思い出の世界へ
 いらっしゃい
(4)会津線

東京から、比較的近い人気撮影地だったのに、なぜか縁が無く、昭和四十四年に一度だけ訪れただけでした。それも、突然思い立って、かなりな無計画で行ったためか、日時等の記憶が曖昧です。確か夜行急行で当日の朝、会津若松に着き、そこから会津線に乗り換えて滝谷に向かいました。その頃撮影の手引書として、山と渓谷社の「蒸気機関車の旅」が私のバイブル的存在で、その本に紹介されている通りに撮影するのが当時の撮影目的であり、それが滝谷の鉄橋でした。

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列車に乗り窓の外を眺めていたら、同じファンの方から声を掛けられました。私より少し年上で、とても気さくな方だったので、すぐに意気投合し、行動を共にする事にしました。まず、会津坂下で撮影し、その後滝谷への予定に変更しました。私は、親からようやく買ってもらったばかりのニコマートFTNを使っていたのですが、標準レンズしかなく、友人から200mmの望遠を借りてきていました。しかし、友人のカメラはキャノンFTで、ピント合わせがニコンと逆なため、これが災いし、ことごとく失敗をしました。これは、私が初めて望遠レンズで撮った写真です。もの凄いドラフトを響かせて登って来たのですが、煙はまったくありません。同行している彼は、「なんだよ、煙、出尽くしたみたいだなぁ〜」。私は、そんな事もあるのかと、感心しきりでした。

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帰りがけに会津若松機関区に寄りました。多分、C11型タンク機関車をゆっくり見たのは、この時が初めてだったと思います。

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滝谷では、目的の定番を押さえて、その日最後の列車を鉄橋の下から撮る事にしました。かなりな待ち時間がありましたので「まぁ、ビールでも飲んでゆっくり待とうや」。彼の大人びた提案に、コーラにしたいと言えず、私もビールを買ってきて、河原で飲みながら蒸気機関車の話に花が咲きました。川面を渡る風が心地よく、昨夜の夜行の疲れもあって、お互い何時しかコックリ、コックリと・・・。

「ガガガ」鉄橋を渡る音に反射的に飛び起きると、C11が鉄橋の途中まで来ていました。慌ててセットしてあるニコマートのレリーズを押して、キャノンを構えてピントを回すと、どんどんボケて、「しまった」と思った時はもう遅く、すでに、C11は山影に隠れ、音だけが空しく響いていました。彼はというと、ボーゼンと佇んでいました。

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Last Updated  2003-06-12