追憶のSL C62 〜番外編〜

14,563 bytes 憧れの山線に5年振りに汽笛が戻ってきました。残念ながら、C62ではなく、小柄なC11ではありますが、あの懐かしい後志の山々に木霊する汽笛が聞こえるだけでも心が躍ります。

山線復活記念としまして、写真集の未使用カットを中心に構成してみました。

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「後志の山々に木霊する汽笛」と書いて、思い出される事があります。それは92年の10月21日、私は友人と二人でC623が牽く団体臨時列車を撮影に山線へ行きました。平日と言う事もあり私達以外、ファンの姿は見かけません。午前中の上り列車は、倶知安峠を望む山からの俯瞰撮影を試みたのですが、直前に大雨に降られてしまい、写真どころではありませんでした。午後の下り列車はどこで撮ろうか、この日のためだけに、私は東京から、そして友人は大阪から来ていますので必死です。

午後になると急速に天候が回復してきましたので、私達は稲穂峠を俯瞰する撮影場所に向かいました。現地に着いてみると抜けるような青空が広がり、紅葉も見事です。はやる心を押さえてカメラのセッティングをしてC62が来るのを待ちました。とにかく、見事な青空で、私も友人も生まれて此の方、このような青空を見た事が無いと言い切れる位でした。

ところが、C62が来る直前になって、またもや黒い雲がどこからともなく湧き出してきて、あれよあれよと言う間に空一面を覆い尽くしてしまい、そして、その空の下を、C62は通り過ぎて行きました。午前の事もあり、私達は無力感に打ちひしがれて後片付けを始めたその時です。稲穂隧道に入るC62の汽笛が山並みを縫って響いてきました。それが後志の山々に木霊して私達を包み込むようです。私は思わず目を閉じ、そしてゆっくりと開けました。見渡すと晩秋の山々に夕暮れが所々に深い影を落としています。足元のススキがカサカサと風に揺れています。山々の息吹と木霊する汽笛が静寂の彼方へと溶け込んでいきます。

私と友人は感動のため、しばらく言葉を交わす事ができませんでした。友人はこの時以降撮影中心から、録音中心に転向して、その後自主制作CD「鉄の息吹」を作成してしまいました。

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Last Updated  2003-06-12