扉を開けると、心なしかひんやりした空気に包まれた。
暗くて何も見えず、手探りで電気のスイッチを探す。
・・・どうやら入って直ぐの壁にはないようだ。

おかしい、と思ったその瞬間。
パタパタと羽音がして部屋は少し明るくなった。
薄オレンジに灯ったその明かりは、
どうやら『堤燈鳩(ちょうちんばと)』のようだ。
電気をつけずに、こいつを眺めて楽しんでいるのだろうか。
酔狂な金持ち趣味だ。

しかし、それでも、まだよく見えない。

手探りするうちに、若干だが目が慣れていた。
相変わらず奥は何があるのかわからないが・・・

今まで見えなかった壁に、うっすらスイッチが見える。
押すと視界が爆発した。
電気が入ったのだった。

まがまがしい置物の並ぶ棚の向こう。
ベッドがあった。

思ったより質素なつくりで、部屋に合っているかは微妙な線だった。
長い枕の脇に、小さなノートがある。
表紙に呪符のような紙が貼ってあるのが気になる…


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部屋からそっと抜け出す