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中国特許法の改正について

     (C) 関 和郎 ( 日中経済協会北京事務所知的財産室 )
   


2000年8月25日、第九回全国人民代表大会常務委員会第十七期会議に おいて「中華人民共和国専利法」の改正が決定され、これを受け、同日の中華 人民共和国主席令(第三十六号)により、改正法が公布され、2001年7月 1日により施行されることとなりました。今回は、この専利法改正についてお 伝えします。条文翻訳はあくまで参考訳ですので、ご注意下さい。




1.目的  
第一条 発明創造の専利権を保護し、発明創造を奨励し、発明創造の普及及 び応用に役立たせ、科学技術の進歩と創造を促し、社会主義現代化の需要に適応するため、特に本法律を制定する。  
主な変更点等  従来、「科学技術の発展」と規定していた点が「科学技術の進歩と創造」と修正された。

2.所管部門  
第三条 国務院専利行政部門は全国の専利事務を管理し、統一的に専利出願を受理及び審査し、法に従って、専利権を付与する。
二 省、自治区、直轄市、人民政府の専利業務管理部門が本行政区域内の専利管理業務の責任を持つ。  
主な変更点等  従来、専利局と規定されていた部分が「国務院専利行政部門」となった。また、地方政府の専利管理部門の職責が規定された。

3.職務発明  
第六条 所属単位の任務を遂行し、又は主として、所属単位の物理的技術的 条件を利用して完成させた発明創造は職務発明創造である。職務発明創造の専利出願権は当該単位に帰属する。出願が認可されたのち、当該単位は専利権者となる。
二 非職務発明創造における専利出願権は発明者又は考案者に帰属する。出願 が認可された後、当該発明者又は考案者は専利権者となる。
三 所属単位の物理的技術的条件を利用して完成させた発明創造は単位と発明者が契約を締結し、専利出願の権利と専利権の帰属を約した場合はその契約に 従う。  
主な変更点等  従来、所属単位の物理的条件とのみ規定されていたものが 「物理的技術的」と変更され、「全民所有制単位」、「集団所有制単位」の規定が削除された。  また、所属単位の物理的技術的条件を利用して完成させた発明については単位と発明者との契約により処理される旨規定された。

4.共同出願、共同権利者  
第八条 二以上の単位又は個人が協力し、若しくは、一の単位又は個人が他 の単位又は個人から委託されて完成させた発明創造は、別途の合意がある場合を除き、専利出願の権利を完成させた又は共同で完成させた単位又は個人に帰属する。出願が認可された後、出願した単位又は個人は専利権者なる。
主な変更点等  従来、共同発明者及び権利者になるのは単位のみであったが、 今回の改正で、個人も共同出願の出願人、共同権利者となれる旨規定された。

5.権利譲渡
第十条 (第一項、第二項省略)  
三 専利権または専利出願権を譲渡する場合、当事者は書面で契約を締結し、 且つ国務院専利行政部門で登録し、国務院専利行政部門により公告されなければならない。専利出願権又は専利権の譲渡は登録日より効力を生じる。  
主な変更点等  全民所有制単位の権利譲渡に関する旧二項が削除され、項番号が繰り上がると同時に、第三項が軽微に修正された。

6.専利権の実施  
第十一条 発明専利権又は実用新案専利権が付与された後は、如何なる単位または個人も、法律に別段の規定がある場合を除き、専利権者の許諾を得なければ専利を実施してはならない。即ち、業として、専利製品を製造、使用、販 売の申し出、販売又は輸入若しくはその専利方法の使用又はその専利方法により直接得られた製品の使用、販売の申し出、販売、輸入をしてはならない。
二 意匠専利権が付与された後は、如何なる単位又は個人も専利権者の許諾を 得なければ、意匠専利を実施してはならない。即ち、業としてその意匠専利製 品の製造、販売、輸入をしてはならない。  
主な変更点等  TRIPSの規定に従い、特許権実施の態様の中に「販売の申し出」が追加された。

7.強制実施(公共利益)  
第十四条 国務院の関係管理部門、省、自治区及び直轄市の人民政府は、国家 の利益又は公共の利益に重大な意義を有する国有企業事業単位の発明専利を、国務院の認可を受けた上で、認可された範囲内で、普及・応用し、指定単位に実施 させることができる、実施する単位は国家の規定により、専利権者に対し専利実 施料を支払う。
二 中国の集団所有制単位及び個人の専利が、国家の利益又は公共の利益に重大 な意義を有し、普及、応用の必要がある場合には、前項の規定を参照して取り扱 う。  
主な変更点等  従来、第一項では、全民所有制単位の所有する専利権につい て公共利用のための強制実施を定めていたが、今回の改正では、国有企業の発明を公共目的の強制実施の対象とした。

8.職務発明の報償  
第十六条 専利権を付与された単位は、職務発明を創造した発明者又は考案者 を奨励しなければならない。発明創造専利を実施した後は、その普及・応用の範 囲及びそれによって得られた経済効果に基づき、発明者又は考案者に合理的な報 酬を与えなければならない。    
主な変更点等  職務発明をに対しては、従来単に報償を与えるとされていたのが、合理的報酬と改正された。実施細則でどのように規定されるかが注目される。

9.渉外代理機構
第十九条第一項 中国に恒常的な居所又は営業所を有しない外国人、外国企業又 はその他の外国組織は、中国で専利を出願、その他の専利事務を行う場合、国務 院専利行政部門の指定を受けた専利代理機構に委託し、取り扱わなければならな い。
主な変更点等  従来、国務院が専利代理機構を指定する旨規定されていたが、 今回、国務院専利行政部門と改められた。

10.代理機構の義務  
第十九条第三項 専利代理機構は法律、行政法規を厳守し、依頼人の委託によ り専利出願及びその他の専利事務を取り扱わなければならない。依頼人の発明創 造の内容に対しては、出願が公開又は公告されたものを除き、守秘義務を負う。 専利代理機構の具体的な管理方法は国務院の規定による。
主な変更点等  第三項では、専利代理人の守秘義務が規定された。

11.外国への出願
第二十条 中国の単位又は個人が国内で完成させた発明創造の専利を外国に出願 する場合、まず国務院専利行政部門に専利を出願し、指定された専利代理機構に手続きを行わせなければならない。また、本法律第四条の規定を遵守しなければならない。
二 中国の単位又は個人は、中華人民共和国が加盟している関連国際条約、本法律や国務院の関連規定に従い、専利国際出願を提出することができる。出願人は専利国際出願を提出する場合、前項の規定に従わなければならない。
三 国務院専利行政部門は中華人民共和国が加盟している関連国際条約、本法律、 国務院の関連規定に従って専利国際出願を処理しなければならない。  
主な変更点等  第一項では、外国出願の際の国務院関係主管部門同意条項が 削除されたが、第四条(秘密発明の規定)の規定を順守する点が書き加えられた。 第二項、第三項では国際条約等に従って出願及びその処理が行われる点が明記さ れた。

12.迅速的確な審査・審判
第二十一条 国務院専利行政部門及びその専利復審委員会は、客観、公正、確実、 迅速という要請に応え、法律に従い関連する専利の出願及び請求を処理しなけれ ばならない。
二 専利出願が公開または公告されるまでは、国務院専利行政部門の職員及び関 連の職員場はその内容に対し、守秘義務を負う。  
主な変更点等  従来の規定は、関連職員の守秘義務のみが規定されていたが、 今回は、迅速・的確な処理の要請が法律として書き込まれた。

13.意匠権の登録要件
第二十三条 専利権を付与される意匠は、出願日以前に国内外の出版物で発表さ れた又は国内で公然使用された意匠と同一若しくは類似したものであってはならない、且つ他人が合法的に先に取得した権利と抵触してはならない。  
主な変更点等  新規性阻害自由について外国公用は含まれないが、意匠権については、他者が先に取得した権利との抵触の有無も要件とされることとなった。

14.外国審査資料の提出義務
第三十六条第二項を次のように改正した、「発明専利が既に外国で出願されてい る場合には、国務院専利行政部門は、期間を定めて、出願人に当該国が出願審査 で検索された資料又は審査結果の資料の提供を要求することができる。正当な理由がないにも関わらず提出しなかった場合には、当該出願は取り下げられたと見 なす。
主な変更点等  従来、「審査請求時に外国における審査資料等を提出しなければならない」と規定されていたが、今回「専利局が、期間を定めて要求することができる」と改正した。

15.発明専利権の登録、公
第三十九条 発明専利出願について、実体審査により拒絶の理由が発見されなか った場合には、国家専利行政部門は専利を付与する旨の決定をし、専利証を交付 し、且つ登録し公告する。発明専利権は公告の日より効力を生じる。
主な変更点等  従来、専利局と規定されていたものを国家専利行政部門と改めるとともに、発明専利権が公告日から発生する点を明記した。

16.実用、意匠の登録、公告
第四十条 国務院専利行政部門は実用新案または意匠の専利出願について、予備 審査により拒絶の理由が発見されなかった場合には実用新案専利権又は意匠専利 権を付与する旨の決定をし、専利証を交付し、且つ登録し、公告する。実用新案専利権と意匠専利権は公告の日より効力を生じる。
主な変更点等  前条と同趣旨の改正である。

17.異議申立制度の廃止
旧第四十一条、第四十二条及び第四十四条の削除
主な変更点等  異議申立制度を廃止し、無効審判制度に吸収させた。(第四十五条参照)

18.専利復審委員会及び司法判断の導入
第四十一条 国務院専利行政部門は専利復審委員会を設置する。専利出願人は国 務院専利行政部門の出願拒絶の決定に不服がある場合、通知を受け取った3ヶ月 以内に専利複審委員会に審判を請求することができる。専利復審委員会は審判を した上、決定をし、且つ専利出願人に通知する。
二 専利出願人は専利復審委員会の審判に不服がある場合、通知を受け取った3 ヶ月以内に裁判所に提訴することができる。
主な変更点等  旧四十三条の改正である。専利局を国務院専利行政部門と改めるとともに、旧第四十三条三項に規定されていた、実用新案と意匠に関する終局判断の条項を削除し、旧四十三条第二項においては、復審委員会の決定に不服がある場合に裁判所に訴訟提起しうる者を発明専利出願人、発明専利権者、発明専 利取消請求人と限定していたところを専利権者と規定し、実用新案及び意匠の出願人や権利者等も裁判所による司法判断を受け得ることと規定している。

19.無効審判の請求
第四十五条 国務院専利行政部門が専利権を付与する旨の公告をした日以後、如何なる単位又は個人も、その専利権の付与がこの法律を満たしていないと認めたときには、専利復審委員会にその専利権の無効宣告を請求することができる。
主な変更点等  旧四十八条の改正である。異議申立制度(旧四十一条、旧四十 二条)の廃止に伴い、従来、公告後6月以後であった無効請求期間を、公告後いつでも申し立てることができることとしている。

20.無効審判の審理及び司法判断、当事者の訴訟参加  
第四十六条 専利復審委員会は専利権無効請求について審理し、決定をし、且 つ請求人及び専利権者に通知する。専利権無効宣告の決定は、国務院専利行政部 門はこれを登録し、公告する。
二 専利復審委員会の専利権無効宣告、又は専利権維持の決定に不服があるとき は通知を受け取った3ヶ月以内に裁判所に提訴することができる。裁判所は無効宣 告請求手続きにおける相手当事者に通知するとともに、第三者として訴訟に参加 させる。
主な変更点等  旧四十九条の改正である。裁判所(人民法院)が、無効審判に 不服の訴訟を受理した際、復審委員会における無効請求請求の相手方当事者に対 してもこれを通知し、参加人として訴訟に参加させることが規定されている。 また、旧四十九条第三項で規定されていた専利復審委員会が実用新案、意匠無効の終局判断である旨の条項が削除され、実用新案及び意匠についての無効審判についても司法判断を受け得ることが規定されている。

21.無効の効果
第四十七条 無効宣告された専利権は初めから存在しなかったものと見なす。
二 専利権無効宣告の決定は、専利権無効宣告の前に裁判所が下しかつ執行され た専利権侵害に対する判決及び裁定、既に履行され又は強制執行した専利権紛糾 処理決定、及び既に履行された専利実施許諾契約又は専利権譲渡契約に対しては 遡及しない。しかし、専利権者の悪意により他人に損害をもたらした場合には、 賠償しなければならない。
三 前項の規定によった場合、専利権者又は専利権譲渡人が専利権実施者又は専 利権譲受人に専利使用料又は専利譲渡料を返さなければ明らかに公平の原則を欠 くことになる場合には、専利権者又は専利権譲渡人が専利実施権者又は専利権譲 受人に専利使用料又は専利譲渡料の全部又は一部を返さなければならない。
主な変更点等  旧五十条の改正である。四十七条第二項では、専利管理部門が 行うこととなった強制執行に合わせて、これにも無効宣告の効力の及ばない範囲 に含ませることとしている。また、従来、旧五十条第四項に規定されていた旧五十条第二項、第三項の異議申立に対する適用条項を削除している。

22.強制実施(利用発明)
第五十条 一つの専利権を取得した発明又は実用新案が先に専利権を取得してい る発明又は実用新案に比べ、著しい経済上の意義のある重大な技術進歩があり、 しかも、その実施が前の発明又は実用新案を利用しなければ、実施できない場合には、国務院専利行政部門は後の専利権者の請求に基づき、前の発明又は実用新 案を実施する強制許諾を与えることができる。  
二 前項の規定により強制許諾を与えた場合において、国務院専利行政部門は 前の専利権者の申請により、後の発明又は実用新案の強制許諾を与えることがで きる。
主な変更点等  旧五十三条の改正である。従来、裁定実施許諾の条件の一つと して「技術上の進歩がある」としていた点を「著しい経済上の意義のある重大な技術進歩があり」とした。

23.強制実施の登録、公告及び終了
第五十二条 国務院専利行政部門の行った強制実施許諾の決定は専利権者に通知 し、且つこれを登録し、公告しなければならない。
二 強制実施許諾の決定を行うにあたり、強制許諾の理由に基づいて実施の範囲 及び期間を定めなければならない。強制実施許諾の理由が消滅し、且つ再び発生 しない場合には、国務院専利行政部門は専利権者の請求により、審査の上、強制 実施許諾終了の決定を行わなければならない。
主な変更点等  旧五十五条の改正である。今回の改正で加入された第二項の内容は、専利法実施細則第六十八条第六項に規定されていた内容とほぼ同様である。

24.強制実施決定に対する不服
第五十五条 専利権者は国務院専利行政部門による強制実施許諾の決定に不服が ある場合、若しくは専利権者及び強制実施許諾の許諾を受けた単位又は個人は国 務院専利行政部門による強制実施の使用料の裁定に不服がある場合、通知を受け 取ったから3ヶ月以内裁判所に提訴することができる。
主な変更点等  旧五十八条の改正である。従来は、強制実施許諾の決定に不服 を申し立てられたのは専利権者のみであったが、今回の改正では、使用料につい ては、許諾を受けた単位又は個人も裁判所に不服を申し立てることができるとし た。

25.権利侵害紛争の処理、実用新案件検索報告書
第五十七条 専利権者の許諾を得ないで専利権を実施し、その専利権について権 利紛争が発生した場合、当事者が協議の上解決することとする。協議に応じられ ない又は協議が整わない場合は、専利権者又は利害関係者は裁判所に提訴するこ とができ、若しくは専利業務管理部門に処理を請求することもできる。専利管理 業務部門が処理をする場合であって、権利侵害行為があると認定するときは、権 利侵害者に直ちに侵害行為の停止を命じることができ、当事者に不服がある場合 には通知を受けた日から15日間以内に「中華人民共和国行政訴訟法」により、裁 判所に提訴することができる。権利侵害者が期間内に訴えを提起せず、且つ、侵 害行為を停止しない場合は、専利業務管理部門は、裁判所に対して強制執行を申請できる。 処理を行うに専利業務管理部門は当事者の請求に応じ、専利権侵害の損害賠償金額について調停することができる。調停が成立しない場合は、当事者は「中華人民共和国民事訴訟法」の規定により裁判所に提訴することができる。  
二 新製品の製造方法に係る発明専利についての権利侵害の場合、同一の製品 を製造している単位又は個人は、その製品の製造方法が専利権の方法と同一でな い証明を提出しなければならない。実用新案である場合には、裁判所又は専利業 務管理部門は、専利権者に国務院専利行政部門が作成した検索報告の提出を要求 することができる。  
主な変更点等  旧60条の改正である。第一項の改正では、紛争解決に当たっ ては、まず当事者間の協議により解決することが記載され、当事者間で紛争が解 決しない場合には、裁判所又は専利管理部門に提訴できることとした。また、専 利管理部門の処理に不服があるときは、従来は3月以内に裁判所に提訴すること となっていたが、今回の改正で15日とされた。  第二項の改正では、製造方法の侵害を問われた場合に、従来は、同一製品を製 造している被告が自己の製造方法を証明すればよい旨規定されていたが、今回の 改正では、専利権の製造方法でないことを証明するように規定された。

26.虚偽表示(1)  
第五十八条 他人の専利を虚偽表示した場合には、法に従って民事責任を負う 以外に、専利業務管理部門はこれを是正させるとともに公告する。違法所得を没 収し、所得の三倍以下の罰金を科すことができる。違法所得がない場合には、五 万元以下の罰金を科すことができる。犯罪を構成する場合には、法により刑事責任を追究する。  
主な変更点等  旧六十三条第一項の改正である。従来は、通常の権利侵害 (旧60条)の規定により処分することとなっていたが、今回の改正では、民 事責任以外に専利業務管理部門がこのような行為を是正させ、更に公告した上 で違法所得の没収、罰金等を科すことが規定された。

27.虚偽表示(2)  
第五十九条 非専利製品を専利製品と虚偽表示し、又は非専利方法によるも のをを専利方法によるものと虚偽表示した場合、専利業務管理部門はこのよう な行為を是正させるとともに公告し、五万元以下の罰金を科すことができる。  
主な変更点等  旧六十三条第二項の改正である。前条と同様、虚偽表示行 為については、専利業務管理部門が是正させるとともに公告し、罰金等を科すことが規定された。

28.損害賠償額の算定  
第六十条 専利権侵害場合の賠償額は、権利者が権利侵害によって被った損 失又権利侵害者が侵害行為により得た利益に基づいて算定する。権利者の損失 又は侵害者の利益が算定できない場合には、当該専利許諾使用料の数倍して合 理的に算定する。  
主な変更点等  今回の改正で新規に加入された。権利者の逸失利益、侵害者の違法所得、以上が算出できない場合には使用許諾の数倍と規定された。

29.保全  
第六十一条 専利権利者又はその利害関係人は、他人がその専利権の侵害行 為を行っている又は行いつつあることを証拠により証明できる場合であって、 且つ速やかに差し止めないとその合法的利益が補いがたい損失を受けるときに は、裁判所に関連行為の差し止め及び財産の保全措置を申請することができる。  
二 裁判所は前項の請求を処理する場合、「中華人民共和国民事訴訟法」第 九十三条から第九十六条まで、及び第九十九条規定を準用する。  
主な変更点等  今回の改正で新規に加入された。他人の侵害行為を十分証 明でき、その侵害行為によって回復しがたい損害を受ける場合には、民事訴訟 法上の訴前保全(民訴93条等)の手続きにより財産の保全措置ができること となった。

30.訴訟時効  
第六十二条 専利権侵害の訴訟時効は2年とし、専利権者又は利害関係人が 侵害行為を知った、または知り得た日から起算する。  
二 発明専利の出願公開より専利権付与まで当該発明を使用し、適切な使用 料を支払っていない場合、専利権者が使用料の支払いを請求する訴訟時効は二 年間であり、専利権者が、他人がその発明を使用したことを、知った又は知り えた日から起算する。但し、専利権者が専利権付与された日以前に既に知った 又は知りえた場合には、専利権が付与された日から起算する。  
主な変更点等  旧六十一条の規定に第二項が新規に追加された。出願公開 後であって権利付与前の侵害行為に対しても訴訟時効を2年と定めた上、権利 付与前に侵害行為を知った又は知り得た場合には、時効起算日を専利権付与日 としている。

31.専利権の効力の及ばない範囲  
第六十三条 次の各号の一つに該当する場合には、専利権侵害と見なさない。 (一) 専利権者が製造、輸入又は専利権者の許諾を得て製造、輸入した専利製 品又は専利方法によって直接に得た製品が販売された後、その製品を使用、販売 の申し出、又は販売こと。 (二) 専利出願日前に既に同一商品を製造し、同一の方法を使用し、又は製造 に必要な準備を整えており、かつ従前の範囲に限って製造、使用を継続する場合。 (三) 中国の領土、領海、領空を臨時に通過するに過ぎない外国の運輸手段が その属する国と中国と結んだ取決め又は共に加盟している国際条約に従い、若し くは相互主義に従って、輸送手段実体の必要上その装置及び設備に関係専利を使 用した場合。 (四) 科学研究及び実験のためにのみ関係専利を使用した場合。
二  生産経営の目的で使用又は販売した専利製品又は専利方法によって直接得 られた製品が専利権者の許可を得ずに製造、販売されたものである場合において、 その製品の合法的出所を証明できるときには、賠償責任は負わない。  
主な変更点等  旧第六十二条の改正である。第一項第一号は旧第六十二条の 第一項第一号を修正し、方法特許によって製造された製品の場合や、専利権者等 が輸入した場合についての消尽も規定している。旧六十二条第一項第二項は削除 され、旧第六十二条第一項第三号、第四号、第五号が、新法でそれぞれ第二号、 第三号、第四号には、繰り上がった。  また、旧第六十二条第一項第二号で規定されていた「善意の販売者」に専利権 の効力が及ばない規定については、改正されて新法第二項として規定された。これによれば、侵害品と知らずに使用、販売した善意の第三者は、その出所、入手先を証明すれば、損害賠償の責を免れることと規定されている。

32. 汚職防止  
第六十六条 専利業務管理部門は、社会対して専利製品推薦する等の経営活動 に参加してはならない。
二 専利業務管理部門が前項規定に違反した場合、その上級部門また監察部門が 是正と影響力の排除を命じる。違法収入があった場合にはそれを没収する。情状 が重大な場合、直接責任のある管理職又はその他の職員に対し法による行政処分 を科す。  
主な変更点等  今回の改正で新規に加入された。専利業務監督部門が監督権 限を乱用して民間の営業に介入したり、不法な所得を得ることを禁じている規定 であり、昨今の汚職防止関連規定の一類型である。同様の規定は2000年7月 8日に改正された製品品質法においても見られる(製品品質法第25条)。

33.汚職に対する処分  
第六十七条 専利管理業務に従事する国家公務員及びその他の国家公務員が、 職務懈怠、職権乱用、私利のために不正を働き、犯罪を構成する場合は法により 刑事責任を追究する。犯罪を構成していない場合には法により行政処分を科す。  
主な変更点等  旧第六十六条の規定を改正したもので、前条同様、汚職に対 する処分が規定されている。


(財)日中経済協会北京事務所「知財ニュース」 China IP News Letter, NO.24(発行人 関和郎)より。
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