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マ−ケティングへの関連考察メモ

お客さんは実際、どこにいるのかなあ・・・

テクノビジネスプロデュ−サ−  張輝
  20030112









事業企画や営業企画などの方々のよく悩むことの一つは、いい製品はあるが買ってくれるお客さんはどこにいるのかなあ、いい技術は持っているが使ってくれそうなお客さんはどくにいるのかなあ、ユニークな新サービスはあるが利用したいお客さんはどこにいるのかなあ、…、…であろう。要は有力な見込み客を知る方法はないか。

日経産業新聞 2003年1月8日19面に次のような要旨を含む記事が載ってある。

サントリーは住宅業界と連携した珍しいタイプの大型販促で、発売2年目となる主力商品の拡販につなげるものとして、発泡酒「純生」の購入者に最高1千万円分の住宅リフォーム(改修)が当たるキャンペーンを実施する、と発表した。リフォームの設計は一級建築士の大塚正彦氏が手がけるという。

キャンペーンで懸賞を出すことは頻繁に行なわれているが、住宅リフォームが当たるというのは珍しい。リフォーム需要は拡大しているように思われているが、現実問題としては、果たしてリフォームしたいお客さんはどこにいるのだろうかが悩まれることであろう。

この「どこにいるのだろうか」という質問はマーケティングでは非常に大事な観点だというのはいうまでもない。この商品を買ってくれそうな人は一体、どこにいるのだろうか。その層に的確にアプローチできるかどうかが営業成果を大きく左右する。本件の場合はリフォームが必要な人だけが懸賞に応募するのであろう。だとすれば、リフォームの見込み客リストを入手するのに、効果的なやり方だとも言えよう。

話は変わるが、サントリ−関連で、上海ビール事情を紹介している記事を思い出した。

世界的に大麦の値段が上昇しているそうで、上海ではビールの値段が上がるのではないかと噂されている。というのも上海でのビールは大瓶1本で3〜6元(1元=15円で計算)という値段設定になっているので、コストの中に大麦の占める割合が高いのである。巷では「発泡酒を」という話になっている。そうなれば日系メーカーにとっては有利と思われている。

今現在、日系のビールメーカーは大手4社共に上海に進出している。面白いことには日本の順位とはまったく違って、サントリーがトップで、続いてアサヒ、キリンで、ずっと遅れてサッポロといった順位である(2002年12月現在)。

サントリーは大衆向けの価格帯では圧倒的なシェアを誇っている。ドイツ系のリーポや青島ビールを押さえて、サントリーはダントツである。84年、最初は中国江蘇省の小さい町・連雲港で地元企業との合弁から始まり、96年についに上海に進出を果たしたサントリーは、中間価格帯に居る「大衆」をターゲットとし、「あっさり爽やか」が好きな上海人の舌をとらえて成功し続けている。

中国ビール市場への進出には成功しつつある企業とそうでない企業がある。

日本のサントリーのほか、イギリスのバス・ブリュワーズ社やオーストラリアのライオン・ナーサン社なども成功と言われていると同時に、アメリカのバドワイザー・ブッシュ社はうまくいっていなかった。これは同社が当時、中国の販売・流通チャンネルの発達度を過大評価していたことに大きな一因があると指摘されているが、結局は「買える」お客さんはどこにいるかの判断に問題があった。

日本では「飲料市場に新たなカテゴリーを創造した」とも称されるサントリーの懸賞記事から、有力な見込み客はどくにいるのか、どんな方法でそれを知るのか、買えるお客さんは購買力だけで判断するのか、いかに買ってもらうように持っている商品の価値をお客さんに感じて頂くのか・・・。

貴方も、思わずに、そのような連想が止まりなく続いていきそうになるのではなかろうか。


資料
土井秀生『マーケティング・マネジメント』(東洋経済新報社、2000年)    
特別企画「ヒット商品・ヒットCMの裏側 烏龍茶(サントリー)」宣伝会議(2001年2月)
三村一彦「上海人の舌をとらえたサントリー」エコノミスト(2002年2月)
倉本省吾「発泡酒 上海ビール事情」なるだけ週刊・上海通信(2003年1月7日)Vol.44
森英樹「買い替え・買い増しに的」経営戦略考(2003年1月8日)Vol.881、その他。