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◇ 特別転載 20030630 ◇

不況を克服し経済を活性化するベンチャー・ビジネス


―世界技術大賞(仮称)の提案―
<100兆円プロジェクト>

アブストラクト


日本大学大学院 グローバル・ビジネス研究科

ベンチャー・ビジネス・コース

主任教授   柳下 和夫


まえがき

 かつて、ギリシャ・ローマ時代に地中海沿岸の都市国家では多くの戦争が勃発し、多くの若者が戦死をした。小国にとってはこれは滅亡を意味した。そこで、戦争の代わりに体育競技で覇を競う古代オリンピックが誕生した。時代は変わっても人間の闘争意欲は変わらず、19世紀のヨーロッパでは多くの戦争が行なわれた。 これを嘆いたクーベルタン男爵は近代オリンピックを提唱し、それを実現させた。

 しかし戦争は一向になくならない。しかも戦争により技術が進歩するという現象が顕著である(第1表参照)。技術の進歩のために戦争は必要悪だろうか?それは絶対にNO! である。戦争による大量殺人お大量破壊はあまりにも犠牲が大きい。第二次世界大戦後の日独の繁栄はまさに戦争をしなかったからであると言っても過言ではない。

 そこで戦争に代わる技術開発競争促進手段として、私は「世界技術大賞(仮称)」を提案したい。これはまさにエビでタイを釣る、"エビ・タイ・プロジェクト"なのである。


      第1表 軍事技術の民間転用
No 軍事技術 民需技術
1 爆撃機・戦闘機 旅客機
2 原子爆弾、原子力潜水艦 原子力発電所
3 軍事衛星 気象・通信・放送・航海・資源探査衛星
4 レーダー 航海、気象、電子レンジ
5 IC LSI
6 CALS(Computer Aided Logistic Systems) CALS(Commerce At Light Speed)
7 アーパネット インターネット




1.日本の産業の現状

産業を一次、二次、および三次産業に分類した場合には、残念ながら一次産業の農林水産業はまさに補助金産業になっている。国土の面積が少なく(アメリカの25分の1)、山地が多いため農業は生産性が低く、米以外は自給自足できない。米も外国の米に比して価格が数倍もしてまったく国際競争力はなく、国の保護政策がなければ衰退産業である。周りを海に囲まれた日本は水産業も乱獲と環境ホルモンのせいか資源は減少しつつある。三次産業の金融(銀行・証券)、サービス、教育、運輸、観光などいずれも国際競争力を持っていない。例えば、日本の航空会社を利用する外国人旅客よりも、外国の航空会社を利用する日本人の方が多い。また、われわれの教育業界においても、外国に留学する日本人と、日本に来る外国人留学生の数を比較すると、圧倒的に前者が多い。

 したがって、二次産業の自動車、鉄鋼、半導体、家電、電話機などが外貨を稼ぎ、わが国を支えている。二次産業が衰退すれば日本は滅ぶ。今その二次産業の大半に元気がない。

 この二次産業を軸にした技術立国こそが、わが国の国是である。技術立国は必ずしも製造立国とは限らない。戦後の日本は加工貿易により発展してきたが、安い労働力を求めて、生産拠点を海外にシフトした。アジアNIEsやASEAN諸国は日本企業の工場がひしめく事態となった。日本からの技術移転によりその技術レベルは向上した。特に問題点だった品質も日本の品質管理者の指導よろしきを得て、各段に向上した。

 その反動としてブーメラン現象が起こり東南アジア製品が日本に輸入あれ、日本国内には産業の空洞化が始まり、大企業の下請型の中小企業の倒産が増え、大企業のリストラが行なわれるようになった。

 そこへ12億人とも13億人とも言われる巨大な人口を抱える中国が参入し、自社ブランドで輸出までし始めた。

 そこでこのような日本の産業に活を入れるため、ベンチャー・ビジネスに1兆円産業の種となるような技術課題を100件提示し、それを解決できれば1億円の賞金を出す「世界技術大賞(仮称)」を提案したい。そして1兆円産業が100件も創生されれば、GDPが500兆円の日本経済にとって100兆円がプラスされ、大きなインパクトとなり、経済が再活性化することは火を見るより明らかである。



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転載・編者: 本稿は柳下先生のご快諾を頂きまして転載させて頂いた次第でございます。柳下先生、転載に関するご快諾、心よりありがとうございました。