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◇ 特別転載 20030630 ◇

不況を克服し経済を活性化するベンチャー・ビジネス


―世界技術大賞(仮称)の提案―
<100兆円プロジェクト>

アブストラクト


日本大学大学院 グローバル・ビジネス研究科

ベンチャー・ビジネス・コース

主任教授   柳下 和夫


8.課題例

 
実際に1兆円産業を誘発するような技術課題を見つけられるだろうか。例えば次のような課題はどうだろうか。

8.1 安価で高性能な太陽電池

ロシア、カナダ、イギリス、ドイツ、北欧諸国に比して日本は先進国の中では低緯度に位置しており、太陽の恵みが大きい。もし効率が現在の2倍以上で、コストが現在の1/10以下の太陽電池が実現し、国土の1%に太陽電池を設置すると日本はエネルギーを自給自足できる。石油、石炭、天然ガス、ウランなどを輸入する必要はなくなる。炭酸ガスの排出を大幅に減らすことができるだろう。

8.2 蓄光ガラス

現在のガラス窓からは朝、太陽が昇ると朝日が差し込み、部屋が明るくなる。したがって、電灯を点ける必要はない。夕方になり太陽が沈むと、部屋は暗くなり電灯を点ける必要がある。今もし「蓄光ガラス」が発明されて、2枚の窓ガラスのうち1枚をこれにすればどうだろうか。1枚の普通の窓ガラスからは朝日が瞬時に入射するが、他の1枚の蓄光ガラスからは8時間遅れて夕方に朝日が部屋に差し込む。それから8時間光続けてくれれば、ほとんど電灯を点ける必要がなくなり、省エネルギー効果は大きい。例えば蓄光時間が8時間で、入射した太陽光の1/2以上を放出できるような蓄光ガラスが開発できれば画期的である。

8.3 冷暖服

冷暖房は快適であるが消費するエネルギーは大きい。しかも複数の人間が同じ部屋にいる場合には、快適と感じる温度に差があれば、全員の希望する快適温度にはできないため不満な人が現れる。例えば真夏に外出先から帰って来た営業マンは汗だくであり低温の冷房を要求するのに、部屋にじっといるOLは寒くてセーターを着たり、ひざ掛けをしているようなことがある。  仕事の性質上冷暖房とは無縁の人も多い。農民、住宅訪問販売員、営業マン、宅急便配達員、交通警官などは冬は防寒具を厚着すればよいが、真夏は裸で仕事するわけにはいかない。そこで軽量の冷暖房服が開発されれば、建物の中の人も外の人も各自の快適温度で仕事をしたり、生活を楽しめる。また大変な省エネルギーとなる。例えば±50℃の環境で8時間着用可能で重さが2kg以下で、所要電力も30W以下であれば1兆円産業になるに違いない。

8.4 季節蓄冷熱

わが国は夏は暑過ぎ、冬は寒すぎる。そのため夏は冷房に、冬は暖房に膨大なエネルギーを消費している。もし夏の熱を6か月蓄熱でき、冬の冷気を6か月蓄冷できれば、国民は快適な温度で生活できるだろう。蓄冷熱材料がエネルギーよりも高価であったのでは無意味である。また安くても膨大な容積を占めるようなものは置き場所がない。例えば石灰のたどんを作り、夏に太陽炉で高温にし生石灰としてビニール袋に入れておき,冬にはそれに水をかけて発熱させる。この方法では住宅と同容積のたどんが必要であり、実用的ではなかった。吸収した冷熱を6ヶ月間保持し、その1/2以上を放出できる季節蓄冷熱システムで、設備コストと10年間の運転のコストの和が従来の冷暖房システムのコストの1/2以下で、容積が冷暖房対象容積の1/10であること。ただし地上に現れない地下を利用する場合には、容積は問わない。

8.5 健康によいタバコ

タバコに含まれるニコチンやタールが喫煙者やそれと同じ部屋にいる人の健康に害があることはほぼ明らかである。しかしいったん喫煙の習慣を覚えた人はなかなか禁煙ができない。そこで従来のタバコに代わる新しいタバコを開発できないだろうか。ニコチンやタールが含まれておらず,できれば火災の原因となる点火の必要がなければベターである。果たして味が従来のタバコと同じであるのかどうか。同じ必要があるのか、同じにできるのかなど検討しなければならない。

8.6 高速道路自動運転自動車

高速道路でのスピード・オーバーや居眠り運転での事故が多い。また長距離トラックの運転手の疲労も激しい。特に夜間運転では視界も悪く、ストレスが大きい。そこで高速道路を時速100kmで無人運転できる自動運転自動車を開発する。市内の運転は無理としても、高速道路なら自動運転できるのではなかろうか。

8.7 ウナギの人工孵化

ウナギは日本では蒲焼として代表的な和食の一角を占めている。ところがウナギの人工孵化は実現しておらず,もっぱら稚魚を捕獲しては成長させるだけである。これでは計画的な生産ができない。そこでウナギの人工孵化法を開発する。ウナギ一匹を一世代だけ人工孵化したのでは技術が定着したかどうか分からないので、少なくとも100尾を3世代は人工孵化すること。1000円の蒲焼を1億人が年間10回食べれば1兆円となる。

8.8 マツタケの人工栽培

マツタケは焼いて良し、マツタケご飯、土瓶蒸し、すき焼きなど日本人好みの味覚である。しかし産出量が少なく庶民の口には届かない。韓国、中国、カナダ、アルジェリアなどからの輸入品もあるが香は今一である。シイタケ、エノキダケ、マイタケ、シメジなどが人工栽培されているのに、マツタケだけは人工栽培がいまだに不可能である。そこでマツタケの人工栽培法を開発する。1000円のマツタケを1億人が年間10回食べれば1兆円となる。少なくとも100本を3年間連続して栽培すること。

8.9 マンモスの復活

絶滅した生物は多い。その内マンモスはシベリアのツンドラに冷凍されている。雌の卵子は低温に弱く、死んでいるが、雄の精子は低温に強いのでまだ生きているらしい。これをインド象の雌に人工授精させ、マンモスと象の合いの子を作る。その雌にシベリアのマンモスの精子を人工授精させると、3/4がマンモス、1/4が象の合いの子が生れる。この操作を繰返すと127/128がマンモス、1/128が象の合いの子が生れる。これはほとんどマンモスである。動物園やサーカスで1000円の入場券を払って世界の10億人が年間1回見れば1兆円となる。

8.10 常温超伝導

従来は超伝導は絶対零度近くでないと起こらず、それには液体ヘリウムで冷却しなければならなかった。常温超伝導が実現すればエネルギーの輸送や貯蓄で画期的なシステムが開発できる。例えば電気代が日本の1/10であるカナダから超伝導コイルに電力を積載した電力タンカーで電力を日本に輸入することも可能となる。25℃以上で超伝導性を保持すること。

8.11 低温核融合

核融合は水の1/5000を占める重水素を燃料とするので、資源賦存量が多く、無尽蔵と言っても良い。現在の核融合は数億度という高温を実現しなければならない。これは非常に困難で、世界各国ですでに半世紀を越える研究がなされているが、いまだにどこも成功していない。10年以上前にアメリカのユタ大学のポンズ教授が常温核融合に成功したと学会で報告し、湯が沸騰する状況をビデオで見せた。しかしデータは発表しなかった。そのため彼はユタ大学を追われ、トヨタ自動車の子会社のシンクタンクであるテクノバにより南フランスで研究しているが、その後、低温核融合が成功したという報告はない。 しかし低温核融合が1000℃以下で実現すれば、その効果は大きい。

8.12.寝たきり老人のシモの世話ロボット

日本は非常な速度で高齢化が進んでいる。しかも高齢者が増えている。高齢者が健康で、経済的にも恵まれておれば幸福であるが、寝たきり老人も多い。寝たきり老人は当然介護を受けることになるが、低所得者が受けられる介護サービスは必ずしも満足なものではない。特に困るのはシモの世話である。人間には羞恥心もあり、自尊心もある。そこで簡単な操作で使えるシモの世話ロボットを開発する。尿瓶程度の使いやすさが望ましい。価格は10万円以下であること。      : などなどが考えられるが、100件目としては次のようなものはどうだろうか。

100.砂漠降雨

いま世界で沙漠化が進んでいる。毎年、九州と四国を合わせた面積が沙漠になっている。水さえあれば砂漠は緑化できる。海水の淡水化装置もあるが、建設コストと運転コストが高く、砂漠を緑化するほど多くの水を作ることは不可能である。そこで砂漠に雨を降らせることができれば、砂漠を緑化することもできるし、農業などもできる。例えば10日間以上連続して、少なくとも1kuに10mmの雨を降らすこと。 以上の開発課題の例は世界技術大賞(仮称)の概念を説明するために参考までに挙げたものであり、世界技術大賞(仮称)を正式にスタートさせる時には、課題も解決基準も、初めから検討しなければならない。







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転載・編者: 本稿は柳下先生のご快諾を頂きまして転載させて頂いた次第でございます。柳下先生、転載に関するご快諾、心よりありがとうございました。