紙漉き通信 

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受賞作品 「野草から紙を作る研究」 について

静岡県沼津市立愛鷹小学校 5年 田村ありさ

  母が茶畑のそばで、ツルカゴやドライフラワー作りの「ゆとりろ」という工房を開いています。  時々、あそびに行っては、山で拾ったドングリやマツカサで鳥や貼り絵を作っていました。  工房のまわりにはヨモギやクズ、ノギクなどがたくさん生えています。  先生からお聞きした「紙は植物のセンイからできている」というお話を思い出したのが出発です。  「野草から紙が出来たらなぁ」と考えてすぐに実行しました。  それが「野草から紙を作る研究」のスタートです。
 3年生の夏休みでした。

▲パート 1。 (平成8年ー3年生)
 ヨモギ、ノギク、カヤツリグサ、トウモロコシの皮など、手当たりしだいに乾かしてスリ鉢で細かくすり、網に貼って乾燥しました。  厚くて黒いセンイの紙のようなものができましたが、さわると破片がポロポロ落ちて、とうてい紙らしくありません。  でも、野草から紙らしいものができて私は満足です。  お友達に見せて自慢したら「こんな紙じゃお手紙なんか書けないじゃないの」と言われてガッカリしました。

▲パート 2。 (平成9年ー4年生)
 思い付きだけではダメです。 それで作戦をたてました。
1。 百科事典で紙の歴史、製法、どうやって日本にたどり着いたかなどを調べて図と表にする。
2。 野草はハーブ、ヨモギ、イタドリなど5種類に決める。
3。 これらの干したセンイを煮て柔らかくし、ミキサーにかける。 そして、弱いセッケン水で洗ってアクを抜き、なるべく白くする。  そして大きさはお手紙や絵がかける15p平方に乾燥する。
4。 更に、野草のセンイとセンイをつなぎ合わせ、白くするために、「お助け水」をまぜる。  (助け水は、少量の牛乳パックを煮て解かした液に白粘土を混ぜたものです)  その結果、どうやら、お手紙になる紙らしいものができました。

▲パート 3。 (平成10年ー5年生)
 夏休みまでの1年間、次はどんな紙を作ろうかなぁ、と考えると楽しくてたまりません。  でも平常の心がけが大切です。 ノートを用意しました。  紙に関する情報、ヒントなど、見たり、聞いたり、考えついたりしたら、すぐにメモをするのです。  書いてるうちに習慣になりました。
1。「いい香りのする紙」
 ハーブが原料の紙は、乾燥させると香りが逃げてしまうのです。  百科事典で調べたら「香りのもと」はキハツ性といってジョウハツしてしまうのだそうです。  A4版のきれいな紙がたくさんできました。
2。「紙に花を咲かせる」
 ハーブの紙原料を網に薄くすいて、いろんな夏の花や花ビラを並べます。  そして、もう1回、薄くすきますと紙の上にきれいな花が咲きます。  この楽しい作業は朝から晩までくり返してもあきません。  ご飯を食べるのも忘れて母にしかられました。  色とりどりの花が咲いた紙がいっぱいできました。  しかし、ピンクや赤の花は色あせが早くてガッカリです。  反対に黄色は元気です。 いつまでも紙の上で光っていてくれました。
3。「食べられる紙」
 童話にお菓子の家があるように、食べられる紙に挑戦です。  弟が「食いしん坊!」と笑った。 蹴とばしてやりました。  でき上がったハーブの紙に、母からもらったケーキ用のチョコレートを、厚さ5oにぬって乾かします。  サトウをいっぱい入れたので乾くのに5日もかかります。 ゆだんすると犬のチャッピーに盗まれます。  でき上がったものをお友達が食べて「おいしい!」とほめてくれました。

 このパート3でグランプリ奨励賞をいただきました。
うれしくって「バンザイ!」と大声で叫びました。

▲そして、パート 4。 ・・・・・秘密です・・・・・。

 

ありささんのお母さんのコメントが付いていますが、それは『紙漉き通信』を読んだ方だけに!

 

『紙漉き通信』について

      『紙漉き通信』という、和紙の制作者を含む和紙愛好者の会報が有ります。
      1997年〜2002年の5年間限定発行で、編集責任者は田村正氏です。
      この中の第6号に、サイエンス・グランプリ’98のグランプリ奨励賞(小学生の部)を受賞した
      田村ありささんの『受賞作品「野草から紙を作る研究」について』という文章が載っています。
      田村氏が受賞者に内容について或いは感想などのコメントをお願いされて、返事で頂いた手紙だそうです。
      今回、これを掲載させていただきました。
      バックナンバーが有るそうですので、読みたい方は下記の住所までお手紙にてご連絡下さい。
      ちなみに、年会費は2000円で、年4回発行予定。和紙に興味のある人を募集しています。

 

サイエンス・グランプリ(小学生・中学生理科大賞) : 夏休みの自由研究を募集。東京電力主催。
 ’98のキャッチフレーズは「自然ぜんぶがヒントだよ」でした。
 中学生の部の最優秀作品賞グランプリは、『紙の不思議』:庄司良子さん(横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校3年)。
 作品の紹介等は、1999年2月7日(日)の毎日新聞紙上にて。

 

田村 正 氏 : 〒189−0013 東京都東村山市栄町3−16−33〜505

 

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