「土浦ツェッペリンNT号再訪記念イベント」参加顛末記
 
 

 
 

 2005/2/5および2/6の両日、茨城県は土浦市にて開催された、ツェッペリンNT号歓迎イベント、および一般公開の両者に行ってきました。
 
 
 
 初日2/5。初っぱな寝坊しまして家を出たのは9:00頃。このペースでいくと現地に到着するのは12:00ぎりぎりかな、と思いつつ常磐線に乗って行きました。車内ではうとうととしていたため残念ながら常磐線内にあるらしいという情報のポスターを見ることはできませんでしたが、予想よりも若干早めに土浦駅に到着することができました。バス停に行ってみると、満員のバスとさらに順番を待つ人の姿。予想以上の人出です。車内に乗り込んで乗り込んでいる近くの人の会話を聞いていても、飛行船に関して熱心に話している人の姿もあり、その関心の高さには少し驚きました。
 
 
  会場は昨年のシンポジウムでも使われた水郷公園の多目的広場。バスは10分強で会場に到着し、バスから降りた人は係員の案内で会場に向かって歩いてきます。
 入り口には、でかでかとこの日のために準備されていたカレーフェスティバルの文字といばらき食仲間全員集合の文字。その奥に見える人の数に、最初見たときはびっくりしました。多目的運動広場の周辺を囲むように合計40店舗近い店があるのですが、そのどれもに人が列をなして並んでいるのです。今回のイベントに際してはカレーだけでも全店舗合計数千食の単位で用意されていると聞いていたのですが、11:30過ぎに私が到着した時点ですでに完売御礼の札の出ている店もちらほら。こりゃすごい、と思いながら、とりあえず朝ご飯をあまり食べていなかったので私も食事をすることに。
 
 
 アンコウ鍋です。今までアンコウを食べたことがなかったので、是非一回試してみたいと思っていました。鍋を作っている横ではアンコウといえば特徴的なあの釣るし切りをやっていて人だかりがものすごかったです。
 で、アンコウ鍋自体は非常においしかったです。非常にダシのでている味噌の汁もそうなのですが、アンコウの肉や皮がくにくにと歯ごたえがあって、野菜もしゃきしゃきで……瞬く間に器は空っぽになりました。体が中から温まってくる感じです。風が若干吹いていて寒かったですから。
 とりあえず人心地ついたのと、時間もちょうどよい頃合いだったので、12:00に始まる再訪歓迎セレモニーが終わってからさらに食事をしようと思いとりあえずなにやら設営の始まっている様子のステージの方に向かってみることにしました。もっとも、この私の見込みの甘さが後の悲劇を生んだわけですが…(笑)
 
 風が寒さをいやがおうにも増していたのですが、風が持っていったのは暖かさだけではありませんでした。会場に入ってあちこちで耳にする言葉。「で、飛行船はいつ来るんだろうね」というそのセリフの通り、主賓たるツェッペリンNT号はまだ会場上空に来ていません。霞ヶ浦、いや土浦にも。
 現在ツェッペリンNT号は埼玉県の桶川にある空港を基地にしているのですが、気象管制の報告や実際に現地で吹いている強風のため離陸することがまだできていないのだそうです。折から太平洋上に発達した低気圧があり、そこに向けて吹き込む風が強風となっているとのこと。水郷公園の会場も結構な風速になっていたようでしたが、上空はさらに強風のようです。

 とはいえ、船が来るまで式典を引き延ばすわけにもいかないので、12:00過ぎに歓迎イベントは始まりました。市長や県知事、議員の挨拶などを経て、ツェッペリンNT号ゆかりの地、フリードリヒスハーフェンの市長のスピーチなどがあわせて行われていきます。それぞれのスピーチの内容を聞いても、このツェッペリンNT号に対する並々ならぬ期待と、熱意を感じることができたのではないかと思います。
 
 その後、愛知万博のキャラクターであるモリゾー・キッコロのぬいぐるみ贈呈や記念品贈呈などの諸々をこなして式典自体は終了しました。
 残念ながらこの式典終了後、程なくして運営本部より本日2/5のツェッペリンNT号は離陸を断念したというアナウンスが流れ、同時にあちらこちらでため息にも近い声が漏れていました。
 今か今かと来訪を待ち望んでいた人たちだったのでしょう。
 まあ、これが離陸に失敗したとか船体になんらかの故障がとかそういうニュースでない分、残念だけどまた明日だ明日! と気分を切り替えるわけです。今は無理をしたってかえって危険なだけです。
 
 さて、気を取り直して昼ご飯の続きでカレーでも食べましょうか、と思い、各店舗を回ってみました……いや、回ってみました、ではなくぐるっと見回してみました、というのが正しいですね。
 えっとー………どうしてどの店にも人がいないのでしょう? いやそもそも人というかそもそもこの様子はすでに撤収した後に見えます………店の名前の紙の上に貼られているのは完売御礼……って……えええ! ほぼ全店舗!? 30店舗近い店があっちこもこっちも全部完売御礼! しかも式典開催の40分程度の間に! いや提供開始時間が11:00ぐらいだったと聞いているから1時間半で!
 各店舗合計すると、確か聞いていた話では6000食近く用意されていたはずだというのですが、それがきれいさっぱり喰いきられてしまったというのです。後で聞いた話では、最初の方に気合いを入れてご飯をサービスしすぎてライスが足りなくなったケースがあったという話も聞きましたが、それだとしてもこれだけの食事が全て売り切れてしまったと言うことはそれだけの人出があったということです。いばらき食仲間のほうも同じような感じできれいに売り切れてしまい、結果出展店舗のほとんどが昼過ぎに売り切れてしまううれしい悲鳴状態。ということでワタクシ、あれだけカレーカレー叫んでいたのにその肝心のカレーを食い損ねてしまうとは!(涙)

 ……大誤算でした。
 
 ただ、唯一長岡からの山本五十六カレーは、その場で食べるものについては売り切れになっていましたがパッケージの販売はしていたため、これだけはとゲットすることができました。まだ食べていないのですが、一応レトルトをふたつ。買うことができましたので今手元にはあります。
 
 この日はその後都内で買い物をしようと思っていたのでこれで辞去したのですが、風の冷たさが増すばかり。バス停で土浦行きの臨時バスを待っているときにも容赦なく吹き付けるその冷たさでしたが、明日こそは! と固く信じつつ、この日は土浦を後にしたのでした。
 
 

 
 そして2/6。今日のイベントについて、昨年お世話になった土浦ツェッペリン倶楽部の方に電話で聞いてみたところ、「今日は来ます!」という力強い声にこちらのやる気も俄然増強。とりあえず他の今日の推移を心配している人もいるだろうから、と許可をいただいた上で聞いた内容をblogに掲載し、その足で家を出ました。やっぱり今日も若干出かける足は遅れ気味で、10:00頃に初めて到着するその瞬間には立ち会えそうにはありません。結局常磐線荒川沖駅についたのが10:10くらいでした。
 
 駅についてびっくりしたのですが、降りたほとんどの人が会場行きのバスに向かって歩いていきます。たちまちのうちにバスは満員になり、さらに列までできていました。やあ、今日もいっぱいの人出になりそう、という予感がこのときからしていました。
 

 そして、ついにそのときが来ました。荒川沖駅から会場となっている土浦駐屯地に向かっているバスの中で、ついに、初めて、肉眼でツェッペリンNT号を目にすることができました。最初に見たときには船首をこちらに向けた状態で出会ったため、空にまん丸の球体が浮かんでいるような光景でしたが、残念ながらカメラを構えていませんでしたので、かろうじてこれだけを写真に収めました。まったく唐突、という出会いではありましたが、初めて空に浮かぶNT号を見たときには、体にえもいわれぬ震えが来ました。今まで見たい見たいと思いながらも目にすることのできなかったその姿をついに目にしたわけです。感慨もひとしお、というものです。バスの乗客の結構な人も、その光景に気づいてざわめきながら見入っていました。
 

 基地に到着してバスから降りると、やはり人の数は相当なものです。入り口に飾られた歓迎の看板の向こうにかなりの数の人が見え、その上をNT号が飛んでいます。NT号は基地上空と近隣を行き来すると言うことで、ちょうど私が到着したときにまさにおでかけするところだったみたいです。
 基地上空をぐるっと回った後に飛んでいってしまい、しばし人のとまどいにも似た様子が見受けられました。
 「今日は降りないのかね?」
 「どっかいっちゃったんだ」
 といった声がそこそこ聞こえています。全体的な案内について明確なアナウンスがなかったようで、パンフレットの地上係留というところだけを見て見に来ている人が結構な数いたようです。今日どのような形で飛行船を見られるかについては確かに案内があるとよかったかもしれません。
 

 それはさておき、間もなくして飛行船はまた帰ってきます。帰ってきて上空をフライパスしていきます。行くのですが、なかなか低空に降りてきてくれないので、カメラを構えてもファインダーを埋め尽くすということがありません。今回持っていったカメラの光学の最大望遠である8倍でこの大きさです。普及している一般的なデジカメなどだと3〜4倍ズームが標準だと思いますので、そう言ったカメラの方にはまだ小さく写るんだろうなと思って撮っていました。……もっとも、結構な数の人たちが、望遠レンズ付きの一眼レフ持って歩いているみたいでしたから、そう言う人たちには無用の心配でしょうけど(笑)
 
 こうやって見ていると小さいな、と思う人もいたようです。またかつてのLZ127号の1/3の大きさ、というその1/3という所だけを聞いていたのかいないのか、「なんか小さいなぁ」という声も聞かれたのですが、よくよく考えてみると、ですよ。全長75mの船があの大きさに見える高度ってことは、たぶん200mくらいの高度を取っていると思うわけですよ。いや、キャビンの扉が人の身長くらいだとするとその扉がこれくらいの大きさ、ということを考えるとですけどね。で、その200mで、普通のセスナとかがどのくらいの大きさで見えるのかを考えてみれば、この飛行船全然小さいとかそう言うどころの話じゃないことが分かると思います。ジャンボジェットがでかいと思うのは、着陸しているあの姿が印象的なのであって、あれだって高度をあげてしまえば米粒じゃないですか。それと同じことです。
 

 そして船がタッチアンドゴーのために降りてきて、ようやくその大きさを実感できるようになりました。空気の対流があるのか層が厚いのか若干着陸に苦労していましたが、車輪を漬けて軽く前輪を軸に回転させると、再びプロペラを全開にして離陸していきます。驚くべきはその機動性でした。本当にくりくりとよく回ります。前輪を軸に回るって言う芸当が、風の力でではなく自力でできるのはすばらしいと思います。現にこの後、NT号は上空で360度に近い旋回を非常に小さな旋回半径でやってのけました。この機動性の良さは、今までの硬式飛行船にはないものです。船尾に取り付けられたプロペラのたまものでしょうか。
 
 地上係留を行うにはマスト車(飛行船の船首を取り付け、そこを中心に旋回することで船体を風上に向けあおられないようにする)が必要なのですが、マスト車は桶川にいるため、この後何度か低空に降りてきてはいましたが残念ながら係留はありませんでした。
 

 しかし、このツェッペリンNTの様子を見に来た人の数には本当に驚かされました。会場となった係留予定地とされる芝生の前に舗装されたエリアがあるのですが、そこの結構な割合を人が埋め尽くすという状況。また帰ってしまう人もいるのですがひっきりなしに人が訪れるため、閑散とした雰囲気を全く与えずむしろものすごい人出だという印象をうけるのです。主催者公称1万6千人2万人、という数字もなるほど、とうなずけます。その大勢の人が、NT号が低空におり始めるとみんな食い入るように上空を見つめるわけです。ある意味見ていておもしろい光景でした(笑)
 
 それと、時間でいうとだいたい12:00前後でしょうか。今回参加したブイヤント航空懇談会の例会の一環として、日本飛行船の方がハンディスピーカーで我々向けにNT号の説明をしてくれたのですが、ふと振り向いて見てみるとその周りに山のような人だかり。気がつけばいつのまにか一般参加者の人も熱心に聞いていたのです。

 なんとなく予想はできましたが、会場に行って普通に飛んでいる飛行船を見ている所に、あっちの方で何かスピーカーでしゃべっている人がいる。どれどれ聞いてみようかという感じで集まってきたみたいなのですね。そしてよくよく聞いてみればそれが実際に飛行船に関わっている人の話であるだけに、熱心に耳を傾けて聞いていた、という感じでしょうか。
 これは一つのいい方法だな、と思いました。たとえば今後同種のイベントが同じくあるのであれば、飛行船に詳しい人がハンディスピーカーで解説を一般参加者向けにする、というのもいいアイデアなのかもしれませんね。敷地は広いですからハンディスピーカーでも干渉することもないでしょうし、実際に生の声で解説を聞くのは、非常にわかりやすいですから。最後に解説が終わったときには拍手がわき起こっていました。
 

 
 その後、ブイヤント航空懇談会の例会が場所を移動するため、駐屯地を残念ながら離れることにしました。時間にしてここに滞在していたのは2時間程度になりますが、とてもそんなに長くいたとは思えないほどあっという間に時間が過ぎていきました。写真を撮るというものに夢中になっていたわけではないです。ツェッペリンNTという、今まで見てみたい見てみたいというものを念願かなって初めて目の前にして、その一挙一動をじっと見て、またその一挙一動を食い入るように見ている人々をみて、ああ、飛行船というものの持っている何か強い魅力が、自分含めてみんなをこんな風に虜にするのだろうな、と思ったわけです。2時間という時間は短くはありません。しかし決して長いわけでもありません。
 今回は、ツェッペリンNTが初めて多くの人の前で正式にお披露目されるというイベントでした。次に多くの人がこの船と出会うのは愛知万博の会場です。そのときには今日に数倍する多くの人々がこの船を身近に感じるわけです。そしてその前に船は宣伝広報をかねてあちらこちらを行き来するわけですから、より多くの人がこの船を目にします。そのときに、その人々が今日ここに来た人たちのように食い入るようにツェッペリンNTを見つめていたら、やはりこの船には人を引きつける魅力があるのでしょう。
 
 文字通り堪能した最後を締めくくったのは、駐屯地を離れるときに歩いていた時のことでした、瞬間あたりが暗くなりすぐ元に戻りました。何かと思って前を見てみると、4階建てくらいの建物の壁を巨大な黒い影がすーっと走っていく姿が……そう、ツェッペリンNTの船体が太陽の光を影となって隠し、小さな日陰を作っていたのです。
 飛行機ではこんなことはできません。ヘリでは小さすぎて無理です。飛行船だからこそ、ツェッペリンNTだからこそできる光のいたずらを背中に浴びながら、駐屯地を後にしました。
 
 昨日今日のイベントにあたり、地元土浦の飛行船ツェッペリン号再来歓迎実行委員会の皆様をはじめとして、交通整理、会場設営、整理、またイベントに協賛された多くの方々が裏方としてこの両日のイベントを支えてくれていたことでしょう。その皆様のご尽力が、疑いもなくこの両日の成功を導いたと思っています。1万5千を優に超す人々が一日あたり集まるというのは、規模としてはすさまじいと思います。イベント運営のためこもりきりで実際の飛行船を見られなかった方もいて、本当に頭の下がる思いです。
 
 運営に関わった皆様、両日は本当にお疲れ様でした。そして皆様の熱意こそが今後の飛行船の街土浦の発展を導く原動力となることを信じ、この顛末記を締めくくる最後の言葉としたいと思います。
 
 
 
 
2005,2,6 
 間山 直希 

 
 

 
 

 

 
 
 

 
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