第弐拾壱話『ナゴヤドーム、誕生(なごやどーむ、たんじょう)』

「ひさしぶりだな。」

「ひさかたぶりです、球団社長。全く手荒な歓迎ですな。」

「非礼を詫びる必要はない。君とゆっくり話をするためには、当然の処置だ。」

「我々は、神を造るつもりはないのだよ。」

「小松投手、御協力を願いますよ。」

「小松投手…か。」

 

「DERAシステムを自ら搭載したタケシ参号機。」

「彼と、彼の制御下にある全ての打者に打率十割が約束される。」

「我々に具象化された神は不要なのだよ。」

「神を造ってはならん。」

「まして、あの男に神を手渡すわけにはいかん。」

「星野、信用に足る人物かな。」

「(そう、彼の第一印象は、 コワい男だった。)」

 

 

「ドラグーンフォース変換率の向上を目指し、特殊トラインパネルを張り詰めた屋根付球場。これがドーム計画の正体?」

「市議会は形骸にすぎない。ここの市政は事実上『ミャギ』がやっているからな。」

「名古屋市長でさえ、この計画の真の目的を知らない…。」

「ちょうどいい、彼の力を見られそうな場面じゃないか。」

 

八回裏 中2−3巨

二死二三塁で打順は九番ピッチャー井手元、

二塁には矢野、三塁には大豊に変えて代走の市原。

「壱号機は打撃だけならいけます。」

「いや、愛甲を使う。」

「愛甲、ですか。まさか広岡氏から連絡が?」

「…宣に伝えておけ。今日はおまえの出番はなさそうだ、と。」

 

 

「DERAシステム、何故使用した。」

「タケシリーズ、まだ予定にはそろっていないのだぞ。」

「G球団殲滅を優先させました。やむを得ない事象です。」

「やむを得ないか?言い訳にはもっと説得力を持たせたまえ。」

「最近の君の行動には目に余るものがあるな。」

突然、呼び出し音が響く。

「小松、審議中だぞ。……わかった。本日は長良川でデーゲームです。続きはまた後程。」

「その時君の席が残っていたらな。」

 

「星野、理事会を裏切る気か。」

 

 

「川又さんも前田さんも何も言わない、井手元や鳥越は知りもしない。愛甲って一体何?」−つづく−

 

 

次回予告

愛甲に負けたことで、精神の落とし穴に落ち込む山崎。さらにG球団の放つ波状攻撃が、彼の心にとどめをさす。高畠打撃コーチは山崎に、慰めの言葉をもたなかった。

次回『せめて、6番らしく(せめて、ろくばんらしく)』

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