野村昌司

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“廃材”から“文化材”へ

京の町屋が壊されて出てきた“廃材”を使って額作りをはじめて十年近く経つ。
歴史の重み、生活してきた人々の営み、その表情が僕の絵を支えてくれる。
今や僕の絵と“廃材”の額は切り離せないものとなっている。
“廃材”とは本来捨ててしまう物であり、利用する場合は“古材”などと呼ばれ
ているが、その呼び方でも木に申し訳ない気がする。
僕の使っている“材”はおそらく二百年ぐらい経っていると思われる。
その木々たちと向かい合い額作りをしていると、自然と時の流れに想いが
向かう。多くの人々と生活を共にし、人々の喜びや怒り、悲しみ、みんな吸い
込んで、その木々たちは、なんとも「良い表情」をしているのである。
キズ、焦げ跡、釘の穴、すべて柳に風と包み込んで、このおおらかさ、この
味わいが「京の文化を育んできたのだなあ」と深く感じさせられたりする。
手にとってみるとすべてを超越した穏やかさ、温もり、やさしさがずーんと
伝わってくる。その波がダイレクトに押し寄せ僕の意識を大きく揺さぶり、
新しい絵の世界を開いてくれた。
「ふる木を訪ねて、新しい気を知る」温故知新、
こんなわけで、“廃材”の恵みを受けた僕にとっては、ますます“廃材”とは
呼びにくく、最近では、密かに“文化材”と呼ぶことにしている。
    (京都府立文化芸術会館友の会ニュース抜粋)
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