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〜「もの」をどのように歴史認識に高めるか〜
「もの教材」とは社会科教材の中で、形態的に見て、現物(実物、レプリカ、模造品等)の教材をいうが、質量のある「物体」だけでなく、実物の音声資料なども含むことができる。人類の発展は道具の発明と進化の歴史であるといっても過言ではなく、社会生活の中で「もの」を作りだし、利用してきた(利用している)経緯がある。社会科教材には講話、文書資料(文書、統計資料)、現物資料、現地見学・体験などがあるが、子どもたちに具体的に「わかる」授業は現地見学や現場体験に勝るものはないとされる。しかし、実際は社会見学や修学旅行などを除いて、現地へ出かけて学習するというのは難しく、教室でとなると現物の「もの教材」を用いる授業形態は、具体的なイメージを持たせ、「わかる」授業を進めることにおいて最も優れている授業方法といえよう。
社会科教材
抽象的 講 話
↑ 文書資料(文章、統計)
| 視聴覚資料(絵画、写真、ビデオ、パソコン)
↓ 現物資料(もの教材)
具体的 現地見学、現場体験
歴史的分野に限らず、地理的分野や公民的分野においても、「もの」を教室に持ち込んで教材として使うことはよくあることである。「もの教材」にこだわる以前、歴史の授業で、学校の備品にあった縄文土器や弥生土器の模型を使って古代の学習をしたことがある。しかし土器はいかにも「模型です」といわんばかりの不出来で、子どもたちの反応も期待はずれであった。何よりも「これが縄文(弥生)土器です」と説明することへの虚偽・詐称(?)への罪悪感を強く感じた。その時「こんな(模型)のは土器でも何でもない!」「これ(土器)が本物であれば・・・」と頭をかすめたのである。
しかし地理的分野の授業で、中国の黄河のところを学習した時に、中国旅行で持ち帰った黄河の砂を水に溶かして、「これが本物の黄河の水だ!、これが川の水となって流れていることを想像してごらん」と子どもたちに回覧して見せたことがあった。その時の子どもたちの目の輝きは違っていたのである。また歴史の奈良時代の学習で、たまたま学校にあった伊勢国分寺跡の軒瓦を教室に持ち込んだことがあった。瓦の軒先の模様の様子、布目、重さを実際の子どもの手で感じ取らせ、寺院の規模や建立の苦労、当時の人々の思いを考えさせたが、やはり本物だけがもつ質感と感動があり、子どもたちの反応にすばらしいものがあった。
10数年前、埋蔵文化財の仕事に従事したことがあった。考古学は出土遺物や遺構から当時の時代や社会を明らかにする学問である。その「もの」をとことん見つめて、そのもののもつ情報を探り、疑問を持ち、ひとつひとつ解決していく方法論は「もの教材」の捉え方と同一である。
以上が私が「もの教材」を集め、こだわりを持つようになったきっかけである。
村上浩一さんは「授業活性化のすぐ使える『モノ』図鑑」(明治図書刊)の中で、もの教材の特性として次の7つを指摘している。
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「もの教材」はそれだけで子どもたちの注意や関心を引きつける魅力(吸引力)があり、その「もの」を観察することによって、色々な疑問を持ち、それを解決する「問題解決学習」の効果が得られる側面がある。そして何よりも社会認識や歴史認識の形成において、具体的にイメージがなされ、ダイナミックにものごとを捉えることに優れている。また、「もの」はビデオや写真では得られない「質感」「立体感」があり、子どもたちが直接、手に取って感じ取れるという特性を持っている。それが子どもたちに身近なもの、地域に密着したしたものであればその関心度は尚更である。
「もの教材」を手に取り、指導者が熱く語るということも大切な学習活動のひとつであり、子どもたちへの説明にも説得力がある。少し授業目標からはそれるが、その説明にその「もの」の入手方法の経緯や、指導者のその「もの」に対する思い入れを加えるならば、授業にのってくること間違いなしである。
「もの教材」を使うことで次のような力をつけたいと考えている。
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「ペリーの来航と開国」のところで、黒船(サスケハナ号)の模型を用いて、観察をさせた。子どもたちから出た意見としては、次のようなものが出た。
・帆がたくさんあり、蒸気船らしくない。
・船体の上半分は黒色だが、下半分は銅色をしている(全部が黒色でない)。
・スクリューがない。
・大砲がいたるところについていて、周囲のどこへでも討つことができる。
・煙突がひとつある。
・船体の外に水車みたいなもの(外輪)がある。
・思ったよりも小さい。
教科書によく出てくるような絵図の観察ではとてもでてこない意見ばかりである。当時の蒸気船は水と燃料を節約するために常時、蒸気を使うのではなく、大部分は昔ながらの帆の力に頼っていた。また動力を伝えるのは外輪であり、スクリューが一般化するのは19世紀後半以降である。日本に脅威をよせた「黒船」は実は、帆船に毛が生えた程度のものだったのである。これらの事実は決して絵図や写真からは観察し得ない重要なことで、「もの教材」だからこそ成し得る観察と分析の結果である。
また「縄文時代」の学習のところでは、土器(鈴鹿市北一色遺跡出土土器)と石器(同遺跡)を観察させて意見や疑問を出させた。 (Vの3の章を参照)
土器(深鉢)について
・縄文土器は逆三角形の不安定な形をしている。
・この土器には何を入れ、どのように使用したのだろうか。
・外側に焼けたあとがある。煮炊きしたあとだろうか。
・土器の模様は単に飾りだけなのだろうか、種類が多いのはなぜだろうか。
・土器に大きな黒い斑点がある。
・土器の作り方はだれに習ったのだろうか。
・縄目の模様が少ないのになぜ「縄文」とよぶのだろうか。
・土器の粘土(胎土)の中に小さな小石がたくさん入っている。
・だれがどこで土器や石器をつくったのだろうか。
石器(石鏃)について(石槍と石鏃を比較)
・石槍に比べ大きさが小さくなっている。
・どれも同じような形(三角形)で、同じ材質の石(サヌカイト)でできている。
・この石器以外にも他の石器はないのだろうか。
・これほど小さい石器はどうやってつくったのだろうか。
・この石器はどうやって使用したのだろうか。
・この石は近くで採ってきた石だろうか。
これらの疑問や観察結果も写真やビデオを教材とすることからは決して得られないものである。旧石器時代から縄文時代への移行のメルクマールは、土器と弓矢(石鏃)の使用であるとされる。土器の登場はそれまでのただ「焼く」だけから、スープを主体とした「煮炊き」が始まったことを意味し、食材の広がりなど食生活の変化を物語る。縄文土器に模様や小石があるのは装飾や信仰の意味合いの他、焼成の時にむらなく焼けて、割れないためである。土器は地面にそのまま置くのではなく、貯蔵用は地中に、煮炊き用は石組にそれぞれ備え付ける。そのために逆三角形のほうが都合がよいのである。石器が石槍から弓矢(石鏃)に移行したことで、手で飛ばすよりも弓矢のほうが遠くに飛ばせるし、何より動物からの危険性が少なくなり、狩猟の安定的供給を可能にした。また。石器の石材の搬入は広範囲な交流、交易を意味している。土器と弓矢の登場は単なる道具の使用というより、定住的生活と共同体的ムラの発生を意味し、狩猟採集経済に支えられた社会上の大変革をもたらしたのである。「もの」を多面的に観察、思考することにより、これらの素朴な疑問を解決する中で、子どもたちは縄文人の生活への知恵と工夫を学び、その時代に共感する。そして縄文社会の構造にまで迫ることも可能である。
「縄文時代」の授業後の感想では次のような意見を書いた生徒がいた。
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単に観察結果で「わかった」だけでなく、その時代の人々の生活に共感し、しかもその時代の評価で終わるのではなく、現代との結びつきを考えていることがわかる。興味や驚きを観察や疑問、分析に変え、自分たちの生活と結びつけることにより、その時の理解や思いを歴史認識として定着するのである。すなわち「もの」を媒介として、子どもたちの意識、認識の流れは次のようになると考えられる。
観察 → 疑問 → 解決 → 理解 → 認識
現代の子どもたちは、テレビゲームによってバーチャル(仮想)な世界がイメージとして強く残り、現実の世界との境を見にくくしている。また学習塾では単なる年号や語句などの機械的な暗記に走り、社会科の目指す科学的な社会(歴史)認識の育成にブレーキをかけている状況がある。このような中で、バーチャルでない実物の「もの教材」を使うことで社会科学習に関心を持たせ、社会的事象を具体的なものから読みとらせる中で科学的な社会認識を育てていくことに極めて有効であると考えるからである。
社会科、特に歴史学習では「流れ」というものを大切にしたいと考えている。年号や文字の上だけでの知識や理解では、正しい歴史認識は形成されにくい。「流れ」はイメージ化してはじめて事象と事象とが繋がるものである。その意味で「もの教材」は歴史の流れをつかむイメージ化に極めて有効であると考える。
社会科は「認識」の教科である。知識や理解の上に「認識」の概念が成り立つ。「もの教材」でどのような認識を育てるかが重要なポイントとなる。社会認識あるいは歴史認識で重要なことは、人権、平和、環境、民主主義、生産と社会の発展などの認識の形成であるが、「もの教材」はそれらの認識の形成をよりわかりやすく手助けをするものである。もの(事実)から何がわかり(理解)、それが一般的、本質的に他とどう区別されるのか(認識)の形成過程に、「もの教材」が有効であると考えるからである。
社会科における認識過程
知 識 ・・・・・・・・ どこで何があった、だれが何をした 、このようなものがここにある など
↓
理 解 ・・・・・・・・ これはこのような理由から行われた 、これはこのようにして起こった 、
これにはこのようなしくみがあった、など
↓
認 識 ・・・・・・・・ 人権、平和、環境、民主主義的な思考形成、生産と社会の発展の概念 など
もの教材の中で「歴史もの教材」とは人類の歴史において、政治的、経済的、社会的、文化的につくり出したものの中で、歴史認識の形成に有効と考えられる歴史的現物資料をいう。「歴史認識の形成に有効」とは言い換えれば、その時代性や事象、事件を象徴する「もの」ということになろうが、それは「漢委奴国王」金印や「刀狩令」などのように権力を象徴するものもあれば、一般民衆が日常に使っていた土器や石器、食料、衣服などもあろう。歴史的遺物であれば何でもよいというわけでなく、その選択や活用方法が問題となってくる。
「歴史もの教材」を形態的に分類すれば以下のようになる。
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収集する場合、実物(本物)にこだわって集めるようにしている。実物がもつ質感、雰囲気は他には無いものがあるからである。しかしそのものが高価であったり、1つしかなかったりして実物の入手が困難な場合も多く、実物→レプリカ→模造品→類似品の順で入手するように努力している。
また「歴史もの教材」を内容的に分類すれば以下のようになる。
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「歴史もの教材」を入手する方法としては、@買う、A拾う、もらう、採取する、Bつくるの3つの方法がある。また入手・保管先として個人と学校(主に備品として)との2つの方法があるが、費用のことを除けば個人入手・保管が最善である。その理由は次の通り である。
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この方法が最も簡単で手っ取り早い方法である。近年の歴史・考古学ブームや、その地方の掘り起こし(ふるさと再生)ブームで観賞用や土産品に精巧な複製品や模造品が多く製造、販売されている場合がある。絵図などは県史、市史の付属品としてついている場合が多い。購入する場所として次の場所がある。
【博物館、美術館、資料館等の売店】
博物館、美術館等にはたいてい「目玉」になる収蔵品があるものである。その「目玉」になる収蔵品について、博物館自身やその外郭団体、売店がその複製品(レプリカ)や模 造品を作成して販売している場合がある。ほとんどの場合、公的機関が多いので値段的に も手頃である。
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特に東京国立博物館(東博)、京都国立博物館(京博)、奈良国立博物館(奈良博)、国立歴史民俗博物館(歴博)の4つの国立博物館には大きなミュージアムショップがあり、レプリカや模造品が充実している。しかし、これらの品々は学校の教材用として制作、販売しているというのではないので、同質のレプリカ製品は少なく、置物、キーホルダー、Tシャツ、ハンカチ、絵はがき、等、形を変えている場合(模造品)が多い。
【古美術店(蚤の市)、コイン店、古書店】
実物(本物)を入手するには古美術商、コイン店、古書店から購入するのが一番確実である。しかし「もの」によっては?十万円するものもあり、高価なものも多い。これまでに購入したものの例としては次のようなものがある。
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これらの店舗は東京や大阪などの都市に多く、ものの出入りが激しいため、まめにいろいろな店舗へ出向いて、チェックすることが肝要である。
【一般土産店】
いわゆる観光地の売店にも思わぬ「掘り出し物」にぶちあたるものである。特に遺跡公園にある売店に多い。
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【教材会社、出版社、美術工芸社】
縄文・弥生土器模型や銅鐸模型など教材会社(学研、ウチダ、プラスなど)から学校の備品として購入していたものは以前からあり、もちろん個人でも購入できる。しかし一般的に割高で、できは良くない。しかし最近、正進社から「歴史モノ教材」や「地理モノ教材」などの実物及び複製品の教材が販売されていて、内容も充実している。しかしやや高いのが難点である。 最近一般の出版社から複製品などを販売している場合がある。ものが限られているが、 一般的に安価で、購入しやすいのが長所である。
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美術品の複製を専門に扱う美術工芸社には、複製品で歴史もの教材となるものが販売さ
れている。ていねいなできではあるが、一般的に高価である。
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A拾う、もらう、採取する
身近にあったり、購入が困難なもの(販売していないもの)については現地で拾ったり、採取したりしている。考古遺物が多いが、破片であっても下手な土器模型よりも説得力がある。遺跡の所在地は教委が発行している遺跡地図を見るとよい。碑文などは拓本をとる。
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知人、親戚、保護者などから実物のものをもらい受ける場合がある。比較的残っている戦前や戦時中のものが多いが、中には明治時代や江戸時代のものもある。
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販売していないもの、販売していても高価で手がでないものなどは自分で「つくる」ことにしている。本物の写真やコピーなどで正確に写し取り、原則的に実物大で作成する。材料も実物に即して、文書類などは和紙を使用することにしている。コピーとわかっていても、これが授業ではある意味、本物以上の効果をもたらす場合があり、何より作成した指導者に対して尊敬(?)を集めるのがよい。
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作成は指導者だけでなく、子どもたちがつくり、それを授業で使う場合がある。子どもたちがつくるのは、社会科選択授業や部活動(地歴部)で作成したものである。子どもたち自身が作ったということで、少々変形していても、それなりにインパクトがある。
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「もの教材」は一朝一夕で集まるものではない。時間と労力と、何より高額の(?)費用を必要とする。旅行等では何回も博物館や資料館、遺跡などを訪れ、古書店やコイン店などもまめに通う必要があろう。しかし何よりも重要なことは「常に集めようとする意志」である。どこを訪れようとも「これは授業に使えるかな?」という思いを持ち続け、入手できるものはとりあえず入手しておくことが肝要である。
もの教材を教材化するプロセスとしては次の順序が考えられる。
@授業構想 → Aもの教材の入手 → B調査研究 → C資料化 → D授業案 →
E授業の実施 → F反省
@とAはしばしば前後逆転することがある(いや実際はこのA→@の順序のほうが多い)。とりあえず入手しておいた「もの」が、ある授業で「教材」として浮かび上がるからである。いや、ある「もの」を入手して、これをどのように授業に活用させようかと思い悩み、実際に使ってみるという授業方法が圧倒的に多い。「もの」はそれだけでは単なる物体にすぎない。歴史認識を形成する上でその「もの」がどこまで「教材」となりうるか、またどういった効果が得られるかが問題となる。そのためにその授業にどの「もの」を使うか、どの場面に何を使うかの選択の問題が考えられる。しかし、この場面にこういう「もの教材」を使いたいと思っても、その「もの」がないことも多く、写真などで代用することもしばしばである。
「もの」を教材化するにあたっては、「もの教材」の使用を次の4つの場面に想定して分類することができる。
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使用する「もの教材」が@〜Cのどれに適しているのか、その授業の目標に照らし合わせて考えることは当然であるが、個々の「もの教材」が何を語りかけてくれるのかを見極めることが重要である。
「もの教材」から疑問や関心を引き出すためにどのような発問を用意するかが問題となる。これは何なのか、いつどこで作られたのか、誰が何に使ったのか、何が書いてあるのか、なぜこのような形をしているのか、なぜこれを出した(作った)のか、等。その「もの」の特質をふまえ、子どもたちから何を引き出したいかを考えて発問を考えるようにしている。
もの教材を提示する場合はパフォーマンス(演出)が必要である。葛飾北斎の錦絵「富嶽三十六景」のハンカチをポケットに潜ませておいて何気なく出して見せたり、攘夷と佐幕のところで、「新撰組の羽織」を着て授業を行ったり、「金印」や「奥の細道の自筆本」を本物だといって取り出したり(もちろん、後でレプリカであることは告げるが・・・・)、等々、何も言わず突然提示したり、何気なくポケットから出したり、思わせぶりにじっくりと提示したりして、授業に合わせて効果を狙うと、興味津々に「もの」を注視し、うまく授業を進めることができる。「もの教材」の提示方法にも一工夫が必要である。
「歴史もの教材」を使った授業は単に思いつきで授業を進めるのではなく、年間を通した授業プランをたてて実施する必要がある。ここ数年間の歴史授業で、どの学習内容にどの「歴史もの教材」を使ったのかを一覧にした。
1.原始から古代へ
| 学 習 内 容 | も の 教 材 | も の 教 材 の 展 開 例 |
| サルから人類へ |
三葉虫、アンモナイトの化石、牛骨と石 | 地球の歴史を化石で説明、人類の歴史を骨と石をなぜ道具にしたことで発展したかを考えさせる。 |
| 農耕と牧畜の始ま り |
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| エジプトとメソポタミア |
ファラオ像、 パピルス、 ロゼッタストーン |
ロゼッタストーンで何がわかったかを考えさせ、エジプト文明のすばらしさを遺跡から紹介していく。 |
ギリシアとローマ |
古代ローマ遺跡の石 古代ローマのコイン 真実の口の模型 |
古代ローマの社会と文化の一端を遺物から知らせる中で興味付けを行う。 |
インドと中国文明 |
亀甲と牛骨 黄河の砂 |
中国文明の社会を占骨や甲骨文字から考えさせる。 |
秦・漢と朝鮮半島 |
秦統一銭 万里の長城の煉瓦 兵馬俑の模型 |
統一前の銭貨と統一銭を比較する中で統一の意義について考えさせ、長城の建設について考えさせる。 |
日本の旧石器時代 |
旧石器 |
石器という道具から当時の生活の何がわかるのかについて考えさせる。 |
縄文時代 |
縄文土器と石鏃 土偶と貝塚遺物 |
土器と石器の観察から人類が生活の安定のためにどのように工夫してきたのかを考えさせる。 |
弥生時代 |
弥生土器片と石鏃 銅鐸と銅戈の模型 高床倉庫の模型 |
稲作と金属器の使用を遺物から知らせ、縄文石鏃との大きさの比較から戦争があったことを気づかせる。 |
邪馬台国 |
金印レプリカ 楼観の模型 |
金印スタンプをノートに押し、文字の解読から日本がどのような状況下にあったのかについて考えさせる。 |
古墳時代 |
銅鏡、勾玉、埴輪片 |
古墳文化について出土遺物からその卓越した権力について気づかせる。 |
| ヤマト王権と 東アジア |
須恵器と土師器 新羅の土器 |
須恵器と土師器の統一性からヤマト王権の成立を予測させ、同時に朝鮮半島との関係を土器の類似性から考えさせる。 |
2.古代国家の発展
| 学 習 内 容 | も の 教 材 | も の 教 材 の 展 開 例 |
| 隋・唐と新羅 |
隋貨幣 唐三彩レプリカ |
唐三彩を使って唐文化の優秀さと、シルクロードによる西方の影響についてつかませる。 |
| 聖徳太子と 飛鳥文化 |
飛鳥の石造遺物模型 飛鳥寺と山田寺の瓦 |
飛鳥地域の不思議な魅力を紹介し、寺院の瓦を使って大陸からの仏教文化の多大な影響について理解させる。 |
| 大化改新と 壬申の乱 |
薬師寺東塔の模型 川原寺と大鹿廃寺の瓦 |
白鳳文化の紹介と、壬申の乱とこの地方との関わりを川原寺系瓦の分布をみる中でつかませる。 |
平城京 |
平城京の土器片と瓦 和同開珎 |
奈良の都を遺物から具体的にイメージさせ、都の貴族の生活と地方の農民の生活を対比させながら考えさせていく。 |
天平文化 |
遣唐使船の紙模型 伊勢国分寺の瓦 |
一枚の瓦から伊勢国分寺の造営に係る建築の規模を割り出し、政治や宗教などこの地方との関わりについて考えさせる。 |
奈良時代の農民 |
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平安京と密教 |
多賀城碑拓影 曼陀羅図、密教仏具 |
多賀城から東北地方の経営について、五枯杵など密教仏具から平安時代の仏教の特徴について考えさせる。 |
高麗と宋 |
宋銭 中国水墨画複製 |
宋銭の輸入と流通、水墨画をはじめとする宋文化のすばらしさを確認させる。 |
| 摂関政治と国風文化 |
源氏物語絵巻 |
絵巻などから貴族の生活を読みとらせ、文化の特徴をつかませる。 |
| 国司と農民 武士のおこり |
尾張国百姓等下文 中尊寺金色堂ポスター、平等院鳳凰堂 |
まばゆい中尊寺金色堂や平等院から貴族や武士がいかに浄土信仰に熱心だったのかをわからせる。 |
3.中世の日本とアジア
| 学 習 内 容 | も の 教 材 | も の 教 材 の 展 開 例 |
| 院政と荘園制 |
荘園図 |
わかりにくい荘園のしくみを絵図を使ってわかりやすく説明する。 |
平氏の政治 |
大輪田泊図 |
清盛の大輪田泊での逸話を紹介する中で、平家の盛衰について興味を持たせる。 |
鎌倉幕府の成立 |
源頼朝画像複製 |
画像の真偽論争の話から興味をもたせる。 |
京都と鎌倉 |
御成敗式目の写し |
御成敗式目の内容から鎌倉と御家人の関係について考えさせる。 |
鎌倉文化と新仏教 |
青磁、白磁片 平家物語(テープ) |
鎌倉採取の土器片から、中国との貿易と国内の流通について知らせる。 |
| モンゴル帝国と 元寇 |
蒙古襲来絵詞 防塁と箱崎宮「敵国降伏」の写真 |
元軍の襲来を幕府が必死にくい止めようとした様子をダイナミックに捉えさせる。 |
| 鎌倉幕府の滅亡と 建武新政 |
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南北朝と室町幕府 |
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明・朝鮮・琉球 |
勘合符 ハングル 明銭 |
勘合符のしくみを知る中で貿易の意味を考えさせ、今も使われるハングルの誕生を知らせる。 |
| 商業、都市、 交通の発達 |
中世陶器片 |
瀬戸陶器と常滑焼片の出土状況から流通を中心とした商業の発達について把握させる。 |
村の自治と土一揆 |
正長土一揆碑文拓影 一向一揆旗 |
正長元年碑文を解読する中で、碑文を刻み込んだ人々の思いや生活状況について思いを巡らせる。 |
| 応仁の乱と 戦国時代 |
戦国大名肖像画 |
どのような戦国大名を知っているか発表させ、戦国大名の政策について調べさせる。 |
室町文化 |
能面 金閣寺模型 雪舟水墨画複製 |
能や狂言、作庭師はどのような人々が中心となって文化を創造していったのかを考えさせ、その高度な文化について知らせる。 |
4.結びつく世界と近世日本の形成
| 学 習 内 容 | も の 教 材 | も の 教 材 の 展 開 例 |
| ヨーロッパと イスラム世界 |
イスラム語コーラン、イスラムカレンダー |
コーランを使ってイスラム教について興味を持たせ、コーランとイスラム語で統一したイスラム帝国について調べさせる。 |
封建制と十字軍 |
騎士の模型 |
騎士の姿から彼らは何を守り、誰と闘ったのかについて考えさせる。 |
| ルネサンスと 宗教改革 |
ダヴィンチとミケランジェロの複製美術作品 | 数々の美術作品から芸術で何を表現したかったのかについて考えさせる。 |
| 新航路発見と 海外侵略 |
香辛料 大陸発見前後の地図 |
香辛料が果たした役割とそれを求めて航海にでたことを知らせる。 |
| 鉄砲とキリスト教 の伝来 |
火縄銃レプリカ ザビエル像複製 |
火縄銃が戦国時代にもたらした影響とキリスト教の伝播について考え、話し合わせる。 |
| 信長と秀吉の統一事業 |
天下布武印 安土城模型 楽市楽座制札 |
天下布武印をノートに押し、信長が目指したものと、楽市楽座による経済効果やその文化について考えさせる。 |
検地と刀狩 |
検地尺と検地帳 刀狩令 |
検地尺は何に使用したのか、検地帳には何が書かれているのか、刀狩令の内容から秀吉の意図するものについて考えさせる。 |
| 秀吉の朝鮮侵略と桃山文化 |
李舜臣像と亀甲船模型 風神雷神図屏風 |
李舜臣の活躍と朝鮮での人気を知らせる中でいかに秀吉の朝鮮侵略が横暴であったのかを考えさせる。 |
5.日本の近世社会の成立
| 学 習 内 容 | も の 教 材 | も の 教 材 の 展 開 例 |
| 江戸幕府の成立 |
大坂夏の陣図屏風 |
屏風絵から誰と誰の戦いで、どのような武将がいたのかなどを探り出させる。 |
神戸城と城下町 |
神戸城と城下町図 神戸城古写真 |
城郭図では縄張りを、城下図では特徴を出し合って話し合わせる。 |
島原一揆と鎖国 |
メダイとマリア像 キリシタン禁止制札 板踏絵、出島図 |
キリスト教の広がりを信仰遺物から、徹底した禁止政策を法令や命令から考えさせ、幕府の意図を汲みとらせる。 |
| 朝鮮通信使 アイヌと琉球 |
朝鮮通信使絵図 朝鮮人参、綿布、 雨森芳洲図 |
絵図や唐人踊りなどから朝鮮との交流の様子をつかませ、朝鮮貿易の輸入品については実物を見せる。 |
| 江戸時代の 農民と町人 |
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差別された人々 |
検地帳、宗門人別帳 |
検地帳等で「えた」身分がいた事実を確認させ、藩や幕府はなぜ被差別身分を置いたのかについて考えさせる。 |
産業の発達 |
各鉱山の石 江戸期の貨幣 |
江戸期の金銀銅の代表的な鉱山を調べさせ、貨幣の種類についても確認させる。 |
都市と交通の発達 |
両替商看板 三井越後屋引札 |
三井越後屋の商法を例に、江戸時代の商業について考えさせる。 |
| 綱吉の政治と 元禄文化 |
見返り美人図 奥の細道自筆本 好色一代男 |
絵画や文学を紹介する中で、上方町人の生き生きとした生活を捉えさせる。 |
| 享保の改革と 差別の強化 |
TVドラマ「暴れん坊将軍」シナリオ |
導入でTVドラマの吉宗のイメージの実像と虚像について考えさせる。 |
百姓一揆 |
唐傘連判状 |
唐傘連判状の疑問から入り、亀山明和百姓一揆を例に、百姓等の生活や願いについて考えさせる。 |
大黒屋光太夫 |
光太夫遺品写真 北槎聞略の図 映画グッズ |
鎖国の世にロシアを見た光太夫を、様々な遺品や遺跡から捉えさせ、鎖国の矛盾について考えさせる。 |
| 国学と蘭学 化政文化 |
解体新書 南総里見八犬伝 写楽、広重の浮世絵 |
解体新書から学問の追求に対する大切さを、浮世絵や諸本から文化の高さと庶民の娯楽性について気づかせる。 |
6.ヨーロッパの近代化と日本の開国
| 学 習 内 容 | も の 教 材 | も の 教 材 の 展 開 例 |
| イギリスの絶対王政 清教徒・名誉革命 |
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アメリカの独立 |
アメリカ独立宣言文 |
原文(英文)と訳文を用意して、内容について考えさせる。 |
| フランス革命と ナポレオン |
フランス人権宣言文 |
宣言文の内容から革命前のフランス人民がおかれた状況について考えさせる。 |
産業革命 |
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| 19世紀のヨーロッパとアメリカ |
ネイティブアメリカンの小物、 リンカーン演説文 |
アメリカの開拓の名のもとに先住民族が虐殺された事実と、リンカーンのめざしたものについて知らせる。 |
| 19世紀の科学と 文化 |
資本論 戦争と平和 |
諸本を紹介する中で、欧米の優れた文芸に興味を持たせる。 |
| イギリスのインド支配とセポイの乱 |
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| アヘン戦争と 太平天国の乱 |
太平天国のコイン |
コインに刻印している「太平天国」とはどのような社会をめざして起こした運動なのかを考え、発表させる。 |
商品生産と藩改革 |
綿の実と綿布 和蝋燭、和紙 |
綿花の栽培から機織りまでのしくみを具体的につかませ、専売品についても紹介する。 |
| 天保のききんと 天保改革 |
大塩平八郎檄文 |
檄文の内容から天保の飢饉のようすと大塩のめざした改革を読みとらせる。 |
渋染一揆 |
渋染めのTシャツ |
なぜ「えた」身分だけが渋染めの着物を着ることを強制されたのかを渋染めの色から具体化して考えさせる。 |
| ペリーの来航と 開国 |
黒船の模型 ペリー肖像と上陸図 安政五カ国条約 |
黒船の登場がいかに幕府や庶民を驚かせたのか、幕府との条約がどのような内容なのかを具体的に読みとらせる。 |
攘夷から倒幕へ |
坂本龍馬の手紙 新撰組羽織 |
竜馬のエピソードを導入とし、攘夷と佐幕の対立を浮き彫りにしていく。 |
7.日本の近代化とアジア
| 学 習 内 容 | も の 教 材 | も の 教 材 の 展 開 例 |
| 明治維新 |
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| 新しい身分と 解放令 |
太政官布告 |
短い命令文から、部落解放について、その意義について考えさせる。 |
| 地租改正と 富国強兵 |
地券 |
地券に何が記載されているかを調べる中で、地租改正の意義について気づかせる。 |
| 周辺地域と琉球、アイヌ |
開拓使地券 |
開拓という名のアイヌ民族からの土地奪取について考えさせる。 |
文明開化と教育 |
文明開化の各錦絵 学問のすすめ |
絵から表面だけの文明開化を読みとらせる。 |
| 士族の反乱と 三重県の一揆 |
西南戦争錦絵 西郷札 伊勢暴動顛末記 |
各種の錦絵からいかに注目をあびたか、また戦闘の様子を読みとらせ、不平士族について調べさせる。 |
自由民権運動 |
伊勢新聞創刊号 ビゴー風刺画 |
この地方にも民権運動があったことを知らせ、憲法草案から当時の人々がどのような社会を望んでいたかを考えさせる。 |
秩父困民党 |
三日市憲法草案 |
一般富農層に広がった民権思想と教養の高さそしてその行動力のすさまじさを読みとらせる。 |
大日本帝国憲法 |
憲法発布の錦絵 |
天皇が臣民に与えるという形を絵から読みとらせ、天皇主権について考えさせる。 |
| 帝国議会と 条約改正 |
ビゴー風刺画 |
当時の選挙の様子をビゴーの風刺画から読みとらせる。 |
帝国主義 |
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日清戦争 |
下関春帆楼の写真 ビゴー風刺画 |
現在にも残る椅子や机から、ここで何が話し合われたかを考えさせる導入とする。戦争前の状況をビゴー風刺画から考えさせる。 |
日露戦争と朝鮮 |
日露戦争号外新聞 戦勝記念雑誌 東郷平八郎ビール |
日本の戦勝の祝いが朝鮮にとっては何を意味するのか、また東郷がヨーロッパで評価されている理由について考える。 |
韓国併合 |
安重根の切手 伊藤博文の千円札 朝鮮総督府の教科書 |
安重根と伊藤博文を対比する中で、日本の朝鮮侵略について考えさせる。 |
| 辛亥革命と 中華民国 |
映画・ラストエンペラーのパンフレット |
溥儀の一生を描いた映画から、この時代の中国と日本の関係について興味を持たせる。 |
| 日本の産業革命と足尾鉱毒事件 |
足尾銅山の鉱石 田中正造天皇直訴文 |
鉱毒の実態を鉱石からイメージさせ、直訴文から正造の農民に対する思いを読みとらせる。 |
労働者と小作人 |
大逆事件を伝える新聞記事 |
新聞記事からなぜこのような事件が起こったのかについて考えさせるきっかけとする。 |
明治の教育と文化 |
教育勅語 明治期の教科書 夏目漱石等の初版本 |
教育勅語と国史教科書から天皇中心の教育、それがアジア侵略にどう結びついていくのかについて考えさせる。 |
8.第一次世界大戦と日本
| 学 習 内 容 | も の 教 材 | も の 教 材 の 展 開 例 |
| 第一次世界大戦 |
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| 日本の参戦と 21ケ条の要求 |
21ケ条の要求を伝える新聞記事 |
短い記事内容から、日本が要求した権益について、中国の立場から検証させる。 |
| ロシア革命と シベリア出兵 |
シベリア出兵軍票 |
軍票の資金調達の仕組みから、長期にわたるシベリア出兵の事実について知らせる。 |
| 大戦の終結と ベルサイユ体制 |
アメリカの志願兵を募るポスター |
ポスターからアメリカ参戦の経緯と意図について考えさせる。 |
民族独立運動 |
朝鮮三一独立宣言文 柳寛順のレリーフと切手 |
宣言文から民族否定の横暴さと独立運動の行動力、民族の願いなどを読みとらせる。 |
米騒動 |
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水平社運動 |
水平社創立大会の呼びかけチラシと宣言文 | 宣言文の崇高な文体を感じ取らせ、部落解放の展望を持たせる。 |
| 関東大震災と 朝鮮人虐殺 |
関東大震災と朝鮮人虐殺を伝える新聞 |
阪神大震災と比較する中で、被害の状況と共になぜ朝鮮人虐殺が行われたかについて考えさせる。 |
大正デモクラシー |
伏字本 |
大正デモクラシーの風潮の一方で、伏字の部分は何が書かれてあるのかを考え、思想弾圧の状況を知らせる。 |
大正の生活と文化 |
蟹工船等の初版本 映画ポスター |
大正デモクラシーを反映して様々な本が出版され、大衆娯楽が定着してきたことを感じ取らせる。 |
9.第二次世界大戦と日本
| 学 習 内 容 | も の 教 材 | も の 教 材 の 展 開 例 |
| 世界恐慌 |
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ファシズム |
ハーケンクロイツ旗 |
この旗のもとで何が行われたのかについて興味付けとする。 |
日本の中国侵略 |
満州国紙幣とコイン 満州国地図と書籍 |
満州国建国の存在を認識させ、その傀儡性について検証していく。 |
日中戦争 |
南京陥落を伝える新聞記事 |
日本での南京陥落祝勝と南京大虐殺の事実とのギャップから戦争の非人間性について考えさせる。 |
第二次世界大戦 |
アウシュヴィッツ写真、杉原千畝の写真 |
人間が人間でなくなることをアウシュヴィッツの遺物から捉えさせ、同時に杉原千畝の人道的行動を知らせる。 |
| 太平洋戦争と東南アジアの侵略 |
真珠湾攻撃を伝えるハワイ新聞 召集令状 |
日本の報道記事と比較させ、戦争の拡大の理由について考えさせる。 |
| 戦時下の日本 軍都鈴鹿の誕生 |
戦時中の雑誌 戦時債券と衣料切符 鈴鹿海軍工廠図 |
鈴鹿にも戦争があったことを知らせ、女性も子どもも国民全体で戦争に加担せざるをえなかった状況について考えさせる。 |
戦時下の植民地 |
植民地発行の紙幣と軍票、創氏改名名鑑 強制連行証言テープ |
軍票の発行がいかに物資略奪につながったか、また倉氏改名や強制連行などの実態について知る。 |
空襲と沖縄戦 |
伝単ビラ 沖縄戦遺品 |
空襲の怖ろしさ、沖縄戦の悲劇を遺物を見る中で実感させる。 |
原爆投下と敗戦 |
原爆瓦 被爆者証言テープ 玉音放送テープ |
原爆瓦や証言テープから原爆の威力のすさまじさを実感させる。 |
10.新しい日本と世界
| 学 習 内 容 | も の 教 材 | も の 教 材 の 展 開 例 |
| 日本の占領と 民主化政策 |
パン食券 民主主義に関する書籍 |
民主主義に関する書籍の多さから、当時いかに民主主義について知りたがっていたかについて知る。 |
日本国憲法の成立 |
憲法発布詔勅 日本国憲法のはなし |
学校でいかに憲法を学習したのか、内容についても少し、踏み込んで考えさせる。 |
冷たい戦争 |
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| 中華人民共和国と朝鮮戦争 |
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| 日本の再軍備化と 平和条約、 日米安保条約 | サンフランシスコ平和条約 |
条文を読み、本当に戦争の総括がなされてのか、戦争の反省の上に立った平和条約や安保条約であったのかについて考えさせる。 |
| 第五福竜丸の被爆と原水爆禁止運動 |
第五福竜丸被爆者の書籍 |
被爆者の証言を紹介する中で、三度おこった被爆への憤りと、原水爆禁止運動の拡大について知らせる。 |
ベトナム戦争 |
反戦運動を伝える新聞記事 |
アメリカや日本をはじめ、世界の反戦運動の広がりを知り、同時に沖縄が果たした加担について考えさせる。 |
| 新安保条約と 日韓基本条約 |
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| 高度経済成長と 公害 |
四日市公害訴訟写真 |
工業優先政策の反動としての公害の実態を身近な四日市ぜんそくの中から考えさせる。 |
| 沖縄返還と 石油危機 |
トイレットペーパー |
石油危機とトイレットペーパー不足の因果関係から日本の産業構造について考えさせる。 |
世界の紛争 |
「歴史もの教材」を使った授業展開例を4例紹介したい。
@縄文時代
(2時間)・目 標 「出土遺物から縄文人の生活の工夫や社会のようすがわかる」
・指導過程
〈第1時〉
| 学 習 活 動 ・ 発 問 | もの教材 ・ 資 料 | 指 導 上 の 留 意 点 |
| 1.縄文土器 @縄文土器片を見て、気づく点や疑問点を発表する たくさんの種類の模様 土器が逆三角形をしている 中に何を入れたか どのように使用したか 表面に煤や黒班 だれがどこで作ったのか 誰に習ってつくったのか A出た疑問点について討議する ・土器は何につかったのか ・何を煮炊きしたのか ・なぜ色々な模様があるのか ・だれがどこでつくったのか 2.石器(石鏃) |
北一色遺跡出土土器 県外出土土器片 煮炊きの様子(写真) 北一色出土石鏃 |
・ノートに書かせて発表させる。 ・土器片は回覧し、実際に触れさせて観察させる。 ・でない点はヒントを与えて、気づかせるようにする。 ・煮炊きの実際を説明し、逆三角形の意味も考えさせる。土器の全てが煮炊きに使用されたのではないことを補足する。 ・漁労、採集での豊富な食料について補足する。 ・装飾、信仰(魔除け)、焼成の3点から考えさせる。 ・ある程度の分業と、人々の交流、伝播について考えさせる。 ・遺物を回覧し、感触を大切にする。 ・石鏃以外に石斧、石皿などの石器があったことを知らせる。 ・槍から弓矢に変わったこと、小さい方がより遠くに飛ばせることに付かせる。 ・北一色遺跡が石器製造の拠点であったこと、ある程度製作者の分化があったことを知らせる ・サヌカイトで、遠く奈良から運ばれたことを知らせる。 ・旧石器時代と縄文時代の区別を明確にさせる。 ・食糧の確保と調理の変化から生活の安定化がもたらされたことに気づかせる。 |
〈第2時〉
| 学 習 活 動 ・ 発 問 | もの教材 ・ 資 料 | 指 導 上 の 留 意 点 |
| 1.時代区分 ・縄文期の時代区分についての 説明を聞く。 2.貝塚と生活 ・貝塚遺物から何がわかるだろうか? 土器、石器、動物の骨や貝 植物の種と実、他 ・縄文時代の住居はどのようなものだろうか?、集落はどうか みすぼらしい? 燃えやすい 暗い 寒い? 3.土偶と信仰 ・この土偶は何のために使用し 何を祈っていたのだろうか、意見を出し合う。 人形(おもちゃ)?、呪い 宇宙との交信? 占い、仏像みたいに祈る 4.まとめ |
宮城県里浜貝塚遺物 縄文カレンダー 竪穴住居模型 船橋市高根木戸遺跡遺構図 土偶レプリカ ・最近の考古学発見新聞記事(三内丸山遺跡、上野原遺跡など) |
・草創期、早期、前期、中期、 後期、晩期のそれぞれの特徴と年代について簡単に説明する。 ・貝塚がゴミ捨て場であったことに気づかせる。 ・種類の豊富さから漁労などの発達と、食生活の豊富さについて考えさせる。 ・海の魚介類と山の石材などの交易に使われたことを補足する ・縄文カレンダーを使い、季節によって食物の主体が異なるこ と、貯蔵の技術が発達したことを考えさせる。 ・意外と広く、室温も一定していて住み易いことを知らせる。 ・集落の構成について、規模や広場の存在などについて補足する。 ・食料の安定供給、自然現象、出生と死などの視点から考えさせる。 ・日本最古の土偶が三重県粥見遺跡から発見したことを知らせ る。 ・最近の新聞記事を使い、農耕 の開始、集落規模の見直しなどの最新の発見成果を知らせる。 |
A天平文化
・目 標 「伊勢国分寺の造営を通して、天平文化の特色と鎮護国家の奈良仏教の性格が わかる」
・指導過程
| 学 習 活 動 ・ 発 問 | もの教材 ・ 資 料 | 指 導 上 の 留 意 点 |
| 1.伊勢国分寺 ・この軒瓦はどこの瓦だろう? ・伊勢国分寺がどこにあり、どのような伽藍配置だったのだろうか? 金堂、塔、講堂、回廊、 鐘楼、僧坊、等 ・この寺院をつくるのにこの瓦が何枚必要だったのか予想して発表する。 だれがつくるのか どれだの費用がかかるか どんな材料が必要か どれたけの労働が必要か ・なぜ国ごとに国分寺を建てたのだろうか? 仏教をさかんにする 経済効果を狙う 天皇の力を示す 平和を願う ・この地方や農民にとって国分寺とはどのような存在だったのかを考え発表する。 税の負担が増す 労働に駆り立てられる 仏教を強制させられる 高い仏教文化が見れる 高い技術に接する 2.天平文化 ・遣唐使船を見てこれは何かを考える。 ・遣唐使によって日本に何がもたらされたのだろうか? ・この頃に作られた寺院建築と 書籍についてまとめる。 東大寺、正倉院、興福寺 古事記、日本書紀、風土記 3.まとめ |
伊勢国分寺跡の軒瓦 伊勢国分寺跡位置図 伊勢国分寺跡伽藍配置想像図 国分寺造営の詔 年表 遣唐使船紙模型 遣唐使航行図 鑑真和上像写真 東大寺の軒瓦模型 |
・鈴鹿市に国分寺があり、現在も発掘調査が継続され、解明されつつあることを知らせる。 ・およそ10万枚以上、それを作るのに必要な費用、労働、原料、技術と技術者等を併せて考えさせる。 ・疫病や戦乱の頻発を背景として鎮護国家としての性格があったことを押さえる。 ・文中にある「好処」が伊勢国分寺に当てはまるのか検証させる。 ・建設と維持のための搾取というマイナス面以上にこの地方に与えた高い仏教文化とそれに伴う技術の向上に注目させる。 ・危険な航海にも関わらず遣唐使によってもたらされた中国の高い文化ついて考えさせる。 ・併せて鑑真の渡航についても補足する。 ・東大寺が総国分寺として建設されたこと、正倉院にはシルクロード文化の濃い聖武天皇の遺品が収蔵されていることを補足する。 |
・目 標 「鎖国体制にいたる経緯と状況をキリスト教、貿易、世界情勢の変化から理解 することができる」
・指導過程
| 学 習 活 動 ・ 発 問 | もの教材 ・ 資 料 | 指 導 上 の 留 意 点 |
| 1.朱印船貿易 ・キリスト教の伝来以後、江戸初期にはキリシタンは何人ぐらいたのだろうか? ・江戸初期の貿易について、年表と朱印船航路図でまとめる 2.島原一揆 ・ジャガラタ文を読んで、なぜ日本人の帰国を禁止したのか考え発表する。 キリスト教の平等思想 ヨーロッパの日本侵略 信頼した家来がキリシタン 大名に貿易の利益を禁止 幕府の貿易独占 ・教科書の島原一揆の箇所を読 む。 3.鎖国の完成 ・踏絵と宗門改帳を見て、何に使用したのか考え発表する。 ・スペインとポルトガルを遠ざけ、なぜオランダとの貿易を 許したのだろうか? ・鎖国の完成以降のキリシタン対策はどうしていたのだろう か? 4.まとめ |
メダイ、ロザリオの複製 キリシタン信者数グラフ 年表 朱印船航路図 平戸ジャガタラ文 キリシタン地獄絵 天草四郎像の写真 板踏絵レプリカ 宗門改帳 出島図 キリシタン禁制立札 とその口語訳文 マリア観音像の模型 |
・70万人以上、秀吉以降急激に増加していることに気づかせ、その理由についても考えさせる。 ・家康が貿易による利益を優先したため、キリスト教を黙認していたことを補足する。 ・1633年からの鎖国令を簡単にまとめさせ、キリスト教禁止の理由を支配と貿易の両面から考えさせる。 ・九州地方での改心に伴うキリシタンの迫害について補足する。 ・天草四郎にまつわるエピソードも挿入する。 ・踏絵が主に九州地方で行われたこと、また生活のすべてが寺院と関わる寺請制度につ補足する。 ・旧教と新教の相違、世界情勢貿易による利益などから考えさせる。 ・集落の中での互いの監視や懸賞金などの巧みな方法を用いたことを知らせ、同時にそれでも信仰を捨てなかった人々がいたことも伝える。 |
・目 標 「世界最初の原子爆弾が広島と長崎に投下され、15年間の侵略戦争がアジア 太平洋と日本の人々に甚大なる被害をもって終結したことがわかる」
・指導過程
| 学 習 活 動 ・ 発 問 | もの教材 ・ 資 料 | 指 導 上 の 留 意 点 |
| 1.ポツダム宣言と原爆投下 ・この原爆瓦を見て感想を述べ合う。 表面がぶつぶつ 鉄が溶けてぐしゃぐしゃ 人間だったら一瞬で溶ける 放射能は残っている? ・ポツダム宣言を読み、連合国が何を望んだのか、政府や軍 部はどのように反応したのかについて考える。 ・被爆者の証言テープを聞く。 ・被爆後の広島の写真を見る。 ・なぜアメリカは原爆を投下したのだろうか? 終結を早めるため ポツダム宣言を無視 原爆の威力を確かめる 世界に威力を誇示する ソ連に負けないため 2.敗 戦 ・この時期になぜソ連が参戦したのだろうか? ・天皇玉音放送を聞く。 ・日本の敗戦をアジア太平洋の人々はどのように感じとったのだろうか? もう戦争しなくてもよい やっと日本から解放された これからが大変だ 復興に時間と費用がかかる 日本の責任を追及するぞ 3.まとめ |
原爆瓦と溶けた鉄片 ポツダム宣言 被爆者証言テープ (沼田鈴子さん) ヒロシマ写真パネル 天皇玉音放送テープ 敗戦を伝える当日の新聞記事 |
・回覧して、原爆の威力の感触を実感させる。 ・ソ連との工作や国体護持についてこだわり、国民の生命や財産について論議されなかったことに触れる。 ・日時と場所、被爆者数、在日朝鮮人の存在などを押さえる。 ・被爆の威力を熱線、爆風、放射線の3点から補足する。 ・降伏を早める、戦後のソ連との国際関係の優位性、人体実験などあらゆる可能性を探らせる。 ・ヤルタ会談の約束と共に、戦後の権利確保があったことに留意させる。 ・詔勅の内容からみてこれが決して国民やアジア太平洋の人々のためではなく国体護持のためであることを読みとらせる。 ・これまでの植民地支配や残虐行為からの解放という視点から考えさせる。 ・アジアの人々との連帯という視点も視野に入れる。 |
歴史の授業の終了後、「歴史もの教材」について簡単なアンケートを実施した。
| 歴史の授業に関するアンケート (対象;中学2年148名) 1.歴史の授業で、実物や模型の「もの(教材)」を使った授業について、当てはまる項目を選んで下さい(いくつ選んでもよい)。 ア.実物や模型などの「もの」を使った授業は わかりやすい。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・104名(70%) イ.実物や模型などの「もの」を使った授業は 楽しく、おもしろい。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・122名(82%) ウ.実物や模型などの「もの」を使った授業は わかりにくく、難しい。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27名(18%) エ.実物や模型などの「もの」を使った授業は おもしろくない。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12名(8%) オ.実物や模型などの「もの」を使った授業と 使わない授業とでは何も変わらない。・・・・・・・・・・・・・・・・・13名(9%)。 カ.わからない。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3名(2%) 2.歴史の授業で使った実物や模型などの「もの」の中で、特に印象に残っているものをあげて下さい(いくつでもよい)。 1.火縄銃(107人)、 2.土偶(105人)、 3.金印(101人)、 4.アラビア語コーラン(98人)、 5.踏絵(95人)、 6.キリシタン禁制の制札(90人)、 6.浮世絵・錦絵(90人)、 8.新撰組の羽織(76人)、 9.黒船の模型(74人)、 10.ロゼッタストーン(69人)、 11.検地帳(63人)、 12.原爆瓦(62人)、 13.万里の長城の煉瓦(61人)、 14.地券(60人)、 15.宗門人別帳(58人)、 16.正長土一揆の碑(51人)、 17.楽市楽座令の制札(49人)、 18.石器(47人)、 18.竪穴住居の模型(47人)、 20.銅鏡(43人)、 21.黄河の砂(42人)、 22.勾玉(40人)、 23.解体新書(35人)、 24.パピルス(31人)、 25.坂本龍馬の手紙(24人)、 26.和同開珎(23人)、 27.伊能忠敬の地図(21人)、 27.天下布武印(21人)、 29.銅鐸(20人)、 30.臨時召集令状(20人)、 31.源氏物語絵巻(18人)、 32.検地尺(17人)、 以下・・・・戦前の教科書、小判、刀狩令、伝単ビラ、戦前の新聞、埴輪、瓦、・・・・ 3.歴史の授業の感想を書いて下さい。 ・今日は何を持ってきてくれるのか、いつも楽しみです。 ・歴史に関するいろいろなものを見れるので楽しい。 ・歴史は暗記する教科と思っていましたが、先生が持ってきてくれたものを見て、それぞれに工夫や歴史があるのだということがわかりました。 ・歴史の授業を受けて、1つのものをじっくりと見て考える訓練がついたような気がします。1つのものにもいろいろな見方があることがわかりました。 ・私は豊臣秀吉や徳川家康が好きで、歴史をつくったとてもえらい人だと思ってきました。しかし、先生の授業を受けて、歴史は名もない農民や町人が力を合わせてつくってきたものだということがわかってきました。 ・私は小学校の時、社会や歴史が嫌いでした。しかし今は、テレビや本で歴史に関するものを進んで見るようになりました。 ・もう少しテストや入試に出ることを教えてほしい。 ・話しばかりでたいくつです。 ・おもしろくない。 |
アンケート結果から言えることは、「歴史もの教材」を使った授業は、歴史の授業をよりおもしろく、より楽しくするということである。しかし「おもしろい、楽しい」と「わかる、理解する」とは違う。われわれが目指す目標はもちろん後者であり、最終的にはどのような歴史認識を育てるかである。「おもしろくない、つまらない」授業でも、その主題の目標の理解はなされていたということはよくあることである。「もの教材」を使って、理解や認識の上でどれほどの効果がもたらされるかが問題となる。残念ながら同じ授業内容で、「もの教材」を使った授業と使わない授業とで比較していないので何とも言えないが、少なくとも写真や文書資料を使って考えさせた授業よりも、「もの教材」から考えさせた授業のほうが、意見は意欲的に活発に出されたことは事実である。その思考や意見がどのように理解や認識の形成に役立ったのかは今後の検証に委ねたい。
個別に印象に残ったものについては、個々の授業の流れや内容に大きく左右されようが、概して古代から近世にかけての前近代のもの、そして小さいものよりも大きなものが印象に強く残るようである。逆に古文書や書籍、新聞などの文字に関する教材は印象に薄い。このことは、実際の授業の子どもの反応でも明らかで、文書に関する教材は始めから毛嫌いすることもしばしばである。
授業で使う「もの教材」を箱に入れ、それを持って教室に入ると、子どもたちから
「先生、今日は何を見せてくれるの?」 とか 「先生って何でもたくさん持っているね!」
などの言葉が必ずでる。すでにこの時点で子どもたちは関心を抱き、授業に集中していることになる。子どもたちはどのような授業を期待しているのだろうかと、少々不安でもあり、嬉しくなったりもする。子どもたちの間ではこの「もの教材」は「浅尾コレクション」と呼ばれており、巷では少々呆れぎみで「歴史オタク」とも噂されている。ここまでくればあとは授業方法、授業展開の問題である。
授業展開は、「もの教材」の性質上、教材の指導者側からの一方的な提示という手段にならざるを得なかった。以前からよく「教え」の授業から「学び」の授業への転換が提言されている。「学び」とは言うまでもなく「自ら課題を見つけて学習する」ということである。教師はその手助けを行えばよいということになる。そういう意味では今回の「もの教材」を使った授業実践は「教え」の領域を出ておらず、子ども自ら「学び」とる学習形態にはなっていない。しかし「もの教材」を中心課題として、子どもたちの中で話し合わせることによって、自ら「学び」とることは十分に可能である。教材の提示は一方的であっても、学習方法の工夫で「学び」の授業に近づくことはできると考える。
「もの教材」にこだわるならば、ものを作る「ものづくり」の学習形態が考えられるが、時間の問題もあって実施には至っていない。しかしこれは選択教科・社会科で実践している。選択教科・社会科では、勾玉づくり、石器づくり、縄文土器づくりを行い、古代の人々の生活を追体験させ、「もの」から道具や生活の進歩・発展を考えさせようとするものである。縄文土器づくりには約20時間を要する。縄文原体の作成からはじまり、粘土づくり→土器づくり→模様つけ→乾燥→焼成と続くが、完成した時の喜びはひとしおである。
「もの教材」を使った場合、使わない授業より興味や関心を持つことはわかった。また強く印象に残ることもわかった。しかし興味や関心がそのまま、つけたい力や認識に結びつくとは限らない。むしろそれがかえって社会認識や歴史認識の形成の妨げになることも十分考えられる。「もの教材」を使った授業が単なる興味と関心を呼ぶだけのものにならないためにも、社会認識や歴史認識の形成への有効性を検証する必要があり、今後の課題としたい。
「もの教材」を収集することは容易ではなく、誰でも集められるというものではない。「もの教材」を持つ者が連携を取り合ってネットワーク化し、一般教員や地域の人々に貸し出しや交換のサービスを提供することも考えられよう。しかし、前述したように、基本的には自己保管が望ましいので、公的機関が主体になることは避けたい。自分のホームページで「歴史もの教材一覧」を公開したところ、メール等で、教育界を問わず、各方面からいろいろな意見を頂いていて、「もの」にこだわっている方の多さに、少々勇気づけられている。
「総合的な学習」が実施されようとしている。社会科が解体され「道徳科」にならないためにも、今一度社会科学習の原点に戻り、社会的事象を科学的に捉え、正しい社会認識や歴史認識を形成させる必要がある。そのために「もの教材」を使った授業形態は有効であると確信する。
「国旗国歌法」「新ガイドライン法」「学級崩壊」「新しい荒れ」と教育を取り巻く環境は悪化の一途をたどっている。これらを是正するため、政治、社会の改革もさることながら、われわれ学校社会の改革も必要である。子どもが主体となる授業づくり、子どもが自ら学ぶ授業づくりに一歩でも近づけるように努力していきたい。
※「もの教材」に関する教育図書および本報告書を作成するにあたって参考にした文献は以下の通りである。
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