1.調査の目的
本調査は平成17年6月に特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(以下「外来生物法」という)が施行されたことにより、本法の影響を大きく受けるであろう飼育者の現状及び動向を把握することにより、本法のより良い運用に資するための資料作成を目的とする。
2.調査方法
調査は以下のとおり実施した。
(1) 調査期間:平成17年10月9日(日) 午前11時〜午後4時(5時間)
(2) 調査場所:新大阪センイシティー2号館 5F(大阪市)
ぶりくら市2005会場
(3) 調査方法:上記日時・場所において、会場にて外来生物法に関する情報(法律の概要等)を掲示した。来場者及び出品者は入場パンフレットに同封されたアンケート用紙に記入後、アンケート回収箱に投函することによって回収した。
(4) 回 収 率:44.0% (331通/752件)
内訳: 来場者 317通/713名(43.9%) 出品者14通/39組(35.9%)
なお、アンケートの調査内容は巻末の参考資料を参照願いたい。
注)ぶりくら・・・Breeding(Breeder's)Clubの略で、爬虫類両生類を中心としたペット動物の国内繁殖個体流通をめざし、2001年に設立した。毎年秋に国内繁殖個体の展示・即売会である「ぶりくら市」を開催し、野生からの搾取に頼らない国内繁殖個体の流通促進等を目指している。
3.調査結果
(1) 基礎事項
1) 年齢・性別・地区(質問は来場者のみ:サンプル数:317)
a.年齢(回答率 99%)
調査結果はfig.3.1のとおりであり、30代が最も多く32%で、次いで20代の29%、40代の17%となっている。20代と30代で半分以上を占めていることが分かる。

Fig.3.1 来場者の年齢層
b.性別(回答率 90%)
調査結果はfig.3.2のとおりであり、男性が約2/3、約1/3が女性となっている。

fig.3.2 来場者の性別
c.地区(回答率 81%)
調査結果はfig.3.3のとおりであり、来場者の大半(82%)が関西地区からの来場者である。次いで中部(7%)、関東(6%)、四国、中国(2%)となっており、北海道は3名(1%)で、東北、九州は1名もいなかった。

fig.3.3 来場者の地区構成
(2) 外来生物法について(質問は来場者及び出品者:サンプル数:317+14=331)
1) 外来生物法の認知度について
(回答率 98%(来場者99%、出品者93%))
調査結果はfig.3.4のとおりであり、来場者及び出品者の約9割が「知っている」もしくは「名前程度は知っている」との回答であった。特に出品者では8割以上(参考:来場者は6割)の出品者が「知っている」と回答しており、出品者(ブリーダー)には外来生物法が、爬虫類・両生類等のブリードに影響を与えるとの認識が一般来場者より高いと考えられる。昨年の法施行前の調査では「知っている」と回答しているのが全体で8割であり、今回少し増加しているが、本法の普及啓発に関しては継続的に行う必要があると考えられる。

fig.3.4 外来生物法の認知度について(出品者・来場者合計)
2) 外来生物法の認知方法
(回答数 361件(来場者343件、出品者18件))
調査結果はfig.3.5のとおりであり、外来生物法を知ったきっかけはテレビ・ラジオ・新聞等が153件(全体の約42%)と最も多く、次いで専門誌が76件(同21%)、環境省HP・広報が59件(同16%)となっている。専門誌の内容は「ビバリウムガイド」、「クリーパー」誌が多く、インターネットの内容は「オールアバウトジャパン」が多かった。その他の内容としては「友人から」や「学校」等が多かった。なお、昨年の傾向と比較すると、テレビ・ラジオ・新聞等が91件から153件と大きく増加したのに対して、インターネットが89件から45件と大きく減少、環境省HP・広報が28件から59件と増加し、政府の普及啓発が進んでいること、テレビ等のマスコミの影響が大きいことなどがわかる。

fig.3.5 外来生物法の認知方法について(出品者・来場者合計、複数回答可)
3) 飼育種について
a.種類別生息地別
(回答数 433件(来場者411件、出品者22件))
調査結果はtable3.1のとおりであり、温帯産水棲カメが63件と最も多く、次いで温帯産陸棲カメ(32件)、亜熱帯産水棲カメ(24件)、温帯産地上ヘビ(23件)の順となっている。また、生息地別に見ると、温帯産が433件中197件(45%)とほぼ半数を占めており、亜熱帯産が119件(27%)、熱帯産が112件(26%)となっている。なお、本質問については、設問内容が煩雑であることから、昨年と同じく回答率が低くなったと推察される。
table3.1 種類別生息地別飼育種
(出品者・来場者合計、複数回答可)

b.種類別
(回答数 764件(来場者697件、出品者67件))
アンケートの回答には棲息地別の記入がされず、種類のみ記入されている事例が多く見られたため、これらを加えて集計した結果をtable3.2に示す。これをみると水棲カメが150件(全回答数の20%)と最も多く、次いで陸棲カメが92件(同12%)、地上棲トカゲが89件(同12%)、地上棲ヤモリが84件(同11%)、地上棲ヘビが81件(同11%)の順となっている。また、来場者、出品者別に見ると、来場者では水棲カメが144件と圧倒的に多いが、順位は以下陸棲カメ、地上棲トカゲ、地上棲ヤモリ、地上棲ヘビと全体の結果と同じである。また、出品者を見ると、水棲カメが6件で、以下地上棲ヤモリと地上性ヘビ、半水棲カメ、陸棲カメとカエルの順となっている。これは少なからず、「ぶりくら市」の出品者に水棲カメのブリーダーが多いことと、来場者のうち、水棲カメを購入目的に来場する方が多いことも影響していると考えられる。
table3.2 種類別飼育種
(出品者・来場者合計、複数回答可)

c.飼育頭数
(総頭数 5,726頭(来場者分4,338頭、出品者分1,388頭))
飼育頭数の集計結果はtable3.3のとおりであり、これをみるとカメが1,921頭(全頭数の34%)と最も多く、次いでヘビが1,271頭(同22%)、ヤモリが1,133頭(同20%)の順となっている。また、来場者、出品者別に見ると、来場者ではカメが1,589頭と圧倒的に多く、次いでヘビ(730頭)、ヤモリ(681頭)の順となっている。
また、出品者を見ると、水棲カメが1,362頭と最も多く、以下ヤモリ(402頭)、トカゲ(147頭)の順となっている。これについても少なからず、「ぶりくら市」の出品者に水棲カメのブリーダーが多いことと、来場者のうち、水棲カメを購入目的に来場する方が多いことも影響していると考えられる。
1人当たりの想定飼育頭数については、来場者が13.7頭、出品者が99.1頭、合計では17.3頭となっている。出品者の飼育頭数がかなり多いが、これは出品者の中に100頭以上の飼育者が複数存在することが大きく影響していると考えられる。また、自分の飼育頭数を公表したくない人もいるため、これについては平均値を下げる要因となるが、飼育頭数に対する回答数が331件中281件と約85%の方から回答があることを鑑みると、上記数値については一応の目安としては有効な数値の範囲内であると考える。
table3.3 飼育頭数
(出品者・来場者合計、複数回答可)

4) 外来生物法該当種の飼育について
(回答数 295件(来場者283件、出品者12件))
調査結果はtable3.4のとおりであり、特定外来生物を飼育していると回答したのは来場者が8名(回答者の4.2%)、出品者が2名(同16.7%)であった。具体的な種類については、カミツキガメが6件(来場者4件、出品者2件)、グリーンアノールが1件、キョクトウサソリが1件、その他爬虫類・両生類以外でブラックバスとミズヒマワリが1件ずつであった。なお、来場者の回答の中には特定外来生物でないクモノス(ガメと推察される)、ボールパイソン、アオジタトカゲを飼育しているとの回答があったため、この3件については除外した。
未判定外来生物はスジオナメラが2件(来場者1件(亜種不明)、出品者1件(亜種:タイリクスジオ)、ワニガメ1件、カメ類1件であった。
table3.4 外来生物法該当種の飼育について
(出品者・来場者)

5) 特定外来生物の登録について
(回答数 11件(来場者9件、出品者2件))
調査結果はfig.3.7のとおりであり、前の質問で特定外来生物を飼育していると答えた11人のうち、3人が登録済み(6月2名、9月1名)、7名が登録予定(10月1名11月5名、未記入1名)、1名が「そこまで知らない」との回答であった。特定外来生物については、啓発の効果により、飼育者間に浸透してきているが、今後、特定外来生物の追加も考えられるため、登録の手続き等について、今後さらに啓発を行う必要があると考えられる。
Fig.3.7 特定外来生物の登録について
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6) 「外来生物法」に対する自由意見
(回答数 65件(来場者62件、出品者3件))
調査結果は別紙参考資料のとおりであり、肯定的な意見や否定的な意見さまざまであった。(参考資料には原則として回答の原文で記載)。
7) まとめ
昨年に引き続き、飼育者の立場から見た「外来生物法」の実態について調査を行った。調査結果より、飼育者が本法の施行に対して関心が高く、飼育者の大部分が法令に基づき、適切に飼育しようとしていると推察される。また、本法の評価についても賛否両論あり、一概に飼育者サイドが否定的な意見でないこともわかった。本法の円滑な施行には、今後の特定外来生物の選定方法や種の見直し等が適切に行われることが重要である。また、登録手続きの情報提供等の啓発作業についても、引き続き行って行くことが必要である。
この調査結果が法の運用に際して参考になることを希望する次第である。また、来年度以降についても、具体的な調査要望があれば、それを取り入れた上で調査を行いたいと考えている。
以上
文責 川口晃司
(ぶりくら事務局)
謝辞
本アンケートにご協力頂いた来場者及び出品者の皆様、調査を行うにあたり、アンケートの企画・立案、配布、回収、集計等にご協力頂いたスタッフ各位、そして本調査に対して多大なる助言を頂いた琉球大学の安川雄一郎氏にこの場を借りてお礼申し上げます。
参考資料
2.(その他)の意見について