■ 26. 死の灰
電話の向こうが、あんまりにも理解が通じなくて
少し怒鳴るような感じになってしまう。
通話を切った後、冷静になってから思ったのは。
本当は僕だっていつも、通じなさや愚鈍さの発露を
誰もに与えてるのに、でも怒鳴られたりは殆どしないよねって。
もうあんな風にするのは二度とやめる。
だけどそう決めたら今度は、
訳も無く泣きたい気分になって困ったのだった。
*
退屈で死にそうだけど
お外の世界は怖くて出て行けないから
ぬるま湯でチキンレースを繰り返してるのよ。
みんな自分を駄目にしてくれるものを求めてるのよ。
おはよう。グッドモーニング。世界いりません。
■ 27. 冬の星
どこにも居たくない。
でも寒いから外に出たりもしない。
震える手でコーヒー淹れるけど
まるで作用がない。
机上、使わなくなった蜂蜜が小瓶の中で分離してる。
けど捨てられない。
胸の内と一緒だ。
寒いから腐りも発酵もしない。
動きを止めてずっと同じ一つのことだけを考えている。
呪いみたいに。
ずっと同じ一人のことだけを考えている。
呪い。
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この前会った怖い人には
「運はいい方だと思いますか?」って聞かれたから、
「すごくいい方だと思います」って答えた。
いつだって最低でも、
いつだってちゃんと崖っぷちで踏み留まれてる。
深遠と目を合わさずに済んでいる。
だから引き返しも出来ない。
でもそれも僕のせいだ。
どんなにみじめになっても、
すがりつくべきだったんだ。
うまくやりたくなかったなんて思わずに、
うまくやるべきだった。
夢を見るべきだった。
でも夢を見すぎてた。
どこかに届けたい。
"あの娘はきっとパルコにでも行って
今頃は茶髪と眠ってるだろう
ワンダーランドは
この世界じゃないってことを知ってるから"
■ 28.
じゃあ
北風は旅人にどうすればよかったの?
弄すれば弄するほど言葉は弱っていくよ。
まごころから出たはずのその発光は。
暗闇でまばたく蛍も
手のひらの中ではただの虫だった。
朝が怖い。
昼が怖い。
夜が怖い。
考えがおよばないので
小石を飲んで眠ります。
おやすみ。今日もおやすみ。
明日もその先も。おやすみ。
おやすみ。
おやすみなさい。
■ 29. require
僕をひとつずつ作り変えていったら、
どこから僕じゃなくなるのかな。
どこから、僕を好きでいてくれる人は興味がなくなるんだろう。
どこから、僕を嫌いな人は、好きになってくれるんだろう。
どこからなら?
今とてもふぬけている。
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