26. 死の灰


電話の向こうが、あんまりにも理解が通じなくて
少し怒鳴るような感じになってしまう。

通話を切った後、冷静になってから思ったのは。
本当は僕だっていつも、通じなさや愚鈍さの発露を
誰もに与えてるのに、でも怒鳴られたりは殆どしないよねって。
もうあんな風にするのは二度とやめる。

だけどそう決めたら今度は、
訳も無く泣きたい気分になって困ったのだった。



退屈で死にそうだけど
お外の世界は怖くて出て行けないから
ぬるま湯でチキンレースを繰り返してるのよ。
みんな自分を駄目にしてくれるものを求めてるのよ。

おはよう。グッドモーニング。世界いりません。










  27. 冬の星


どこにも居たくない。
でも寒いから外に出たりもしない。
震える手でコーヒー淹れるけど
まるで作用がない。

机上、使わなくなった蜂蜜が小瓶の中で分離してる。
けど捨てられない。
胸の内と一緒だ。

寒いから腐りも発酵もしない。
動きを止めてずっと同じ一つのことだけを考えている。
呪いみたいに。
ずっと同じ一人のことだけを考えている。
呪い。


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この前会った怖い人には
「運はいい方だと思いますか?」って聞かれたから、
「すごくいい方だと思います」って答えた。

いつだって最低でも、
いつだってちゃんと崖っぷちで踏み留まれてる。
深遠と目を合わさずに済んでいる。
だから引き返しも出来ない。
でもそれも僕のせいだ。

どんなにみじめになっても、
すがりつくべきだったんだ。

うまくやりたくなかったなんて思わずに、
うまくやるべきだった。

夢を見るべきだった。
でも夢を見すぎてた。

どこかに届けたい。



"あの娘はきっとパルコにでも行って
今頃は茶髪と眠ってるだろう
ワンダーランドは
この世界じゃないってことを知ってるから"











  28. 


じゃあ
北風は旅人にどうすればよかったの?

弄すれば弄するほど言葉は弱っていくよ。
まごころから出たはずのその発光は。

暗闇でまばたく蛍も
手のひらの中ではただの虫だった。

朝が怖い。
昼が怖い。
夜が怖い。

考えがおよばないので
小石を飲んで眠ります。

おやすみ。今日もおやすみ。
明日もその先も。おやすみ。
おやすみ。

おやすみなさい。





  29. require


僕をひとつずつ作り変えていったら、
どこから僕じゃなくなるのかな。

どこから、僕を好きでいてくれる人は興味がなくなるんだろう。
どこから、僕を嫌いな人は、好きになってくれるんだろう。

どこからなら?

今とてもふぬけている。









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