30. ワールズエンド


苦手だからしなかったことと
得意だからしたくなかったこと
素足の先でかきあつめてたら
結局なにも出来なくなってた

のどにつっかえる反芻で
いつかミルクにも血がまざってるよ

欲しいのは夕暮れの温度じゃない
青白い夏の光



金縛りの星座と午後まで語り合う

星の名前なんてひとつも知らない

宇宙なんて迷信だし



男ともだちと手をつないで遊園地に行きたい

でもすぐに夕暮れがきていやらしくなる
僕らはお互いに曖昧に
でもはっきりと飛びのく
どこか別々の国境線へ向けて

青白い世界にはいけない



五月のうたをうたうなら
目を見開いて
すべてを飲み込んで
六月まで待たなきゃいけない
でもその時が来たら
誰ももう五月のうたなんて聞きたくない

昨日と今日でも
一瞬と永遠でも
ラブとピースにとっても
それはおんなじこと



羊飼いのように予感を追いやって
柵に閉じ込めるのが詩人の仕事なら
僕なら詩人を閉じ込めて
星の名前をつけさせる



僕に僕の格好をさせるのはもうやめるよ
それはとても苦しいけど

青白い夏が来ないのも知ってる







  31. Elegiaque


理解に苦しむことが多い。
理解したくもないことも多いけど。
でも、理解したいのにうまく出来ないのは苦しい。
時には、理解しようとすることすら許されない場合だって。あるのだ。
理解。

乖離。




近況:麦焦がしが食べたいです。






  32. life goes off


ずっと、逃亡者みたいに生きてきたから
まだもう少しだけ、逃げきって、逃げきってみたいって思ってるよ。
果てまで。もう先がなくなるまで。
果ての先でだめになりたい。

いや、だめにはなりたくないけど。
じゃあどうしたいんだろう?

辿り着きたいのかな。
諦めたいのかな。
きっと両方だな。


"深海にいきる魚のように自ら燃えなければどこにも光はない"







  33. ないもの


最近は
ギブアンドテイクのゲームから抜け出すことと
フェアであることの両立について考えてる

言葉はちぎれていくだけちぎれていけばいいし
思い出を汚さずには生きていけないので

生活は大それたハミングみたいだ

何ひとつ本当のことを扱えないまま
ぼくはここで根を伸ばして
茎を葉をしたたらせ
(もしかしたら枯れないかもしれない)

意味はあまねくにせもので
ここからはにせものが意味になるから

どこまでも無限に向上していかなければいけない恐怖

夢を見せてってつぶやいた

あらゆるものがこぼれおちていくとしても
夢を見せてよ

きみが何もくれなくても
ぼくが何も差し出せなくても







  34. 毀れる


うまくいかなかったことごとについて考えてた。
芸術のこと。生活のこと。僕自身のありかたのこと。
言葉に出来ることはもう何もないなっておもう。

ずっと、まぼろしのようなものに自分をあてはめようと、
まぼろしのようなものを纏おうとしていて、
だけどそれは、やっぱり、只のまぼろしでしかなくて。

目から耳から喉に水があふれることを
ひどくひどく希求するけど、もうそこには行けないんだ。
あふれるような「感じ」がするだけ。

ずっと、ひとのことを好きになりたいとか、
感じよくしたいとか、やさしくなりたいとか、
そういったことばかり、子供の頃から考えてきたけど
そのためにないがしろにされた予感たちは、
ふるえたまま硬直してもう元には戻らないから。

あらゆる意味で、どこにも良くはなれなかったよ。

あとは何をしよう?






  35. 東京


もう半年ほど前になるけど、10年住んだ東京を離れた。
(10年は、腐らせるにも育つにもじゅうぶんな時間だった。)

何もかもが嫌いで怖くて、
自分にも社会にも世界にも折り合いをつけられずに、
冷たい沼みたいな自意識にがんじがらめにされて、
どうすることも出来なくなっていた僕を少しだけ掬いあげてくれた街。

起こったこと、経たこと、感じたことのすべて。
美しいことばかりじゃないけど、美しいことばかりだった。
everyday is a symphony.

よろこびもかなしみももいつくしみもすれちがいも
気遣や気まずさや叡智や愚かしささえ分かちあった、
いままで出会った人達みんなに。
もうこの世にいない友達にも。
いつかもう一度会えたらいいと思う。

そんなことは出来るはず無くても、思うよ。
思うんだよ。







  36. きみの手がいつか月に届くように


思い浮かべてた夢や希望はみんな神様のための羊で、
最後にはやさしく追いやられていなくなってしまう。

熱の、影のいた場所で。
言葉に出来ることはとても少ない。






  37. さよなら2012年


みぞれの小さく降る道をてくてく歩く。
ちいさく視界を検分して、まわりには誰もいないことを確認する。
何日も座りっぱなしでかたまったからだを少しゆすりながら。
肩甲骨を開いたり、後ろに寄せたりする。

"すべての男の子は相応しい機会があれば破滅したいと願ってるんだよ"
そんな風にずっと昔に女の子に言ったことがあったけど、
今は全然そんなことないなと思う。もう男の子じゃない。
かといってたいして大人でもない宙ぶらりの状態の容態で。
どこにも身の置き場が、許されどころがない。

"ダラダラ走った4位より全力を使いきった100位のほうがいい"
なんて、さかしげな言葉を聞いたって、
その4位がどれくらいの規模の、どういう集団の4位かによるよな、とか
あさましいことばかり考えてる。少し笑いながら。
とにかく楽ちんで楽しくいたい。
何も捨てずに自分を律するのはお手軽な娯楽だけど、
何かを捨ててまで律することで辿りつける冷えた高みがあるのはちゃんと知ってて、
でもその高さが今は果てしなく遠い。
遠いと感じることすら全然リアルじゃないくらいに遠い。

勝利条件の見えない戦争ゲームをずっと、何百ターンも何千ターンも繰り返してる。
レベルアップもロストも繰り返して、何回生まれ変わっても、
ルールだけはどうしても変えられないし。


みなみなさま今年もどうかよろしくね。




  38. 斑鳩


他人の孤独に名前をつけて集める。

努力が報われなかったり、裏切られたり、
病んだり、亡くしたり、
やりきれない思いをもうこれ以上したくないって恐れがつみ重なって
年月の中で、人の心を、たましいをこわばらせていく。

自分の孤独に名前をつけて集める。

運命って下品だなって感じるけど、
下品な運命を引き寄せるような生き方を選んでしまったのかもしれない。今。いままで。今。

言葉はただの言葉で上澄みをすくって飲み干して何の栄養もない。

"誰といても楽しいから君以外といるともっと楽しいよ"

何もかもなくしたわけじゃないと思ってたけど、
本当は何もかもなくしてた。
夢にまつわるすべての部分をなくしてた。

ずっと、水槽の底で手をついてたのに、
もうここはそんなところじゃない。

申し訳ないなって思う。
これは僕だけのテーゼだって思う。

ばらばらの点をどれだけ集めてもどこにも線が引けない。

"世界の終わりがきても、僕らは離れ離れで、
世界がもう一度始まっても、もう僕らが始まることはないよね"


もう眠りたい。







  39. 世界のすべてとせかいの全てに


たとえば僕達のしている事がむつかしい言葉を使った茶番に過ぎなくても
美しさを求めすぎて石ころに大きな名前を付けてしまっていても
悪意を笑いに変えて消費してしまっても
誰かの欲望を満足させる事だけを優しさと呼んでも
愛の言葉は言葉だけでも
それでも、良き未来だけが僕と僕の好きな人たちの上にありますように。









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