フジテレビによるHP言論弾圧事件の経緯

フジサンケイグループの労働者を中心に組織されたマスコミ合同労組である反リストラ産経労(松沢弘委員長)は、2000年12月11日にインターネット上のホームページ(HP)に、松沢委員長と山口俊明書記長らが株主として出席した00年6月29日のフジテレビ株主総会の実情を伝える記事と、99年6月29日の同社株主総会での写真を掲載しました。この記事と写真は、マスコミ企業の総会の驚くべき実態を初めて明らかにしたものとして反響を呼び、HPへのアクセスも急増しました。

これに慌てたのか、フジテレビは00年12月21日付で、代理人弁護士6人の名を連ねた内容証明便を松沢委員長の自宅宛に送りつけ、反リストラ産経労のHPの全面削除(事実上の閉鎖)と「正式な謝罪」を強要してきました。さらには、プロバイダのウェブオンラインネットワークス(株)に対しても、同様の内容証明便を送りつけてHPの削除を強要するとともに、01年1月15日には、同社代理人あてのファックスで、HP掲載の写真の削除を強要しました。その理屈は@株主総会の記事が同社の名誉を毀損A写真が肖像権を侵害ーというもので、同社の要求に従わなければ法的措置を検討するとの脅しまでかけてきました。

反リストラ産経労は01年1月23日付で、フジテレビの日枝久社長宛に回答書を送付し、HPは@憲法28条の団結権、同21条の言論・表現の自由に基づくもので、労組法、商法にも則っているA総会に出席した組合員が現認した事実のみを報道したB写真は、社員株主の暴力行為を記録して証拠保全を図るとともに、正当防衛権行使もかねて撮影したものだーなどと反論。逆にフジテレビが放映しているニュースでは被写体の同意を得ているのかとも問いただしました。同社の行為は、憲法上の権利を侵害するばかりでなく、商法で保障された株主の権利をも侵す不法行為だとして、抗議しました。その上で「話し合いで双方の了解点に達することができればと願っております。つきましては、貴社のご都合のよい日時、場所、出席者名等を、早急に、当組合までお知らせ下さいますようお願いもうしあげます」として話し合いでの解決を申し入れました。

しかし、フジテレビは、この回答書を無視して何の返事も寄越さなかったため、反リストラ産経労と松沢、山口両株主は、01年2月16日、3月29日、6月20日の3回にわたってフジテレビ本社を訪ね、日枝久社長ら責任者との会談を求めました。フジテレビはこの要請を拒否し、今日に至るまでまったく話し合いに応じようとはしていません。反リストラ産経労と両株主は、この事件以前の分も合わせてこれまで29回にわたってフジテレビとの話し合いを要請してきましたが、同社は、すべて拒否してきました。フジテレビは国民の共有財産である公共の電波を借り受け、政府の許可を得て営業している企業で、株式上場によりその社会的責任は一段と増しているはずです。言論・報道機関として、何よりも憲法と法律を遵守する義務を負っているのであり、言論弾圧を画策したり、話し合いを一切拒否することは絶対に許されるものではありません。

反リストラ産経労は、またプロバイダ側と話し合い、「フジテレビの削除要求には正当な理由がない」との当方の主張に理解を求めました。現時点でHPは健在であり、アクセス数も8万回に迫る勢いで、労組系のHPとしては異例の多さとなっています。

01年6月28日の総会では、この事件についてフジテレビの削除要求の撤回と謝罪を求める方針です。同時に、88年6月から実に13年間の長きにわたって社長に在任中の日枝久社長が代表取締役会長に就任して引き続きトップとして君臨しつづけることの弊害や、続発する社員の不祥事、日本テレビとの業績格差、長期化しているフジサンケイグループ内の労働争議などについて、経営陣の見解を質す考えです。

(注)=フジテレビは産経新聞社の筆頭株主であり、日枝久社長名義の株式を含めると40.1%の出資比率となる計算です。00年の総会で、同社は産経新聞社に、99年度広告料として21億8400万円を支払ったことを明らかにしましたが、媒体価値の劣る産経新聞への広告出稿は援助以外の何ものでもありません。産経新聞社への援助は広告以外にも様々な名目で行われており、その総額は年間50億-100億円にのぼるとされています。人事面でも日枝久社長が産経新聞社の取締役となっているほか、中本逸郎前常務が00年6月に、産経新聞社が筆頭株主として10.7%の株式を保有するサンケイビルの社長に就任するなど実質的な支配を強めています。



フジテレビが言論弾圧! 組合ホームページの削除を強要

産経新聞の親会社・フジテレビが、報道・言論機関の仮面をかなぐり捨てて、驚くべき言論弾圧に乗り出してきた。
同社は、反リストラ産経労が開設したホームページ(HP)に対して、代理人弁護士6人の名前を連ねた.内容証明便でHPそのものの削除と謝罪を強要したのだ。
その理屈は@株主総会の記事が同社の名誉を毀損A写真が肖像権を侵害ーというものだ。法的措置を検討するとし、HPを管理しているプロバイダにも同様の脅しをかけてきた。 
 反リストラ産経労は、フジテレビの日枝久社長に対して回答書を送付し
1.HPは、憲法28条の団結権、同21条の言論・表現の自由をはじめ、労組法、商法に則ったものだ
2.総会に出席した組合員が現認した事実のみを、このHPで報道している
3.写真は、社員株主の暴力行為を記録して証拠保全を図り、正当防衛権行使もかねて撮影したものだ
4.フジテレビの株主総会の異常な実態を明るみにだす取材資料であり、報道に値する重大ニュースだーなどと反論した。
 さらに、回答書では、フジテレビが放映しているニュースでは被写体の同意を得ているのかとも問いただした。そのうえで、反リストラ産経労は、フジテレビは、話し合いの要請を、26回にわたって拒否してきたが、このHPの問題も含めて、まず話し合いに応じるべきだと申し入れた。
 この事件は、過去に類例をみない、言論機関による言論弾圧であり、マスコミの自己否定につながる問題だとして、各方面で大反響を呼んでいる。

フジテレビからの抗議書 

  抗議書
 
前略 当職らは、株式会社フジテレビジョン(以下「通知人会社」という)を代理して、貴殿に対し以下のとおり厳重に抗議する。
一 貴殿は、反リストラ産経労(労働組合・反リストラ・マスコミ労働者会議・産経委員会)委員長の名のもとに、「フジテレビ・産経新聞の真相」、「フジテレビの闇を照らす」と題するホームページ(以下「本件ホームページ」という)を作成し、通知人会社の本年度の株主総会が公正に行われていない旨の印象を与えるため、「社員株主が暴力行為」 「日枝久議長が、また非民主的議事運営を強行」等の虚偽の見出し、内容を掲載して、通知人会社の名誉を著しく損なっている。
二 また、貴殿が、通知人会社の株主総会において、持ち込みが禁止されているカメラを会場内に持ち込み、不当にも同カメラを使って会場内を撮影し、一部株主の肖像権を侵害して撮影した写真を本件ホームページに掲載していることはまことに遺憾である。
三 よって、通知人会社としては、本書面をもって厳重に抗議するとともに、貴殿に対して、本件ホームページの削除を求め、文書及び貴殿ホームページ上での正式な謝罪を求めるものである。
  なお、貴殿が本書面到達後10日以内に誠意ある対応をとらない場合には、やむを得ず法的手続きを検討せざるを得ないことを警告する。
                                 早々
平成一二年一二月二一日
  通知人会社  株式会社フジテレビジョン
東京都千代田区有楽町一丁目七番一号有楽町電気ビル南館一二階一二五五区  渡部喬一法律事務所 
   右通知人会社代理人
             弁護士 渡部喬一
             弁護士 小林好則
             弁護士 仲村晋一
             弁護士 松尾憲冶
             弁護士 近藤勝彦
             弁護士 大石雅寛
 
松沢 弘 殿
 
     この郵便物は平成12年12月22日
                   第65769号
書留内容証明郵便として差し出したことを証明します
                  東京中央郵便局長 

              送られてきた、抗議書の現物はこちらです。
     


            回 答 書
 
                                                            2001年1月23日
フジテレビジョン株式会社                
代表者・代表取締役 日枝 久殿
                   
                   反リストラ産経労(労働組合・反リストラ・マスコミ労働者会議・産経委員会)  
                                      執行委員長 フジテレビジョン株主 
                                                          松沢 弘
                   反リストラ産経労書記長
                                      フジテレビジョン株主
                                                          山口俊明
貴社、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、昨年12月21日付けで、貴社が代理人弁護士6人の連名で、当組合委員長松沢弘個人の自宅あてに配達証明便で郵送された「抗議書」に対して、当組合は、当方の代理人弁護士の先生方を交えて慎重に検討を重ねてまいりましたが、このほど結論を得ましたので、ここにご回答させていただきます。

1 貴社お申し越しの、当組合のホームページにつきましては、当方は、憲法第28条(勤労者の団結権、団体交渉権、その他団体行動権の保障)・労働組合法に則った労働組合の情報宣伝活動、及び、憲法第21条(言論、出版その他一切の表現の自由の保障)に基づく報道記者たる委員長松沢、書記長山口らの報道・言論活動、さらには、貴社株主である松沢、山口らの商法上の権利行使の一環等として公開しているものであり、その情報の内容は、いずれも、事実にもとづくものです。

2 貴社の2000年度の株主総会には、委員長松沢、書記長山口ら組合員が、株主として出席し、現場で現認した事実のみを記事として作成してホームページ上で公表しております。貴社が主張される「株主総会が公正に行われていない旨の印象を与えるため(中略)虚偽の見出し、内容を掲載」したものでないことは、記事の内容をよくご検討いただければ一目瞭然であると思料いたします。したがって、「会社の名誉を著しく損なっている」との「抗議」は、まったく根拠のない、不当な「言いがかり」であると言わざるをえません。

3 貴社の1999年度の株主総会の会場に於いて、株主松沢、同山口が撮影した写真は、貴社の社員株主や、フジテレビスタッフの名札をつけた社員が、両株主らの発言や、提案を実力で妨害し、株主としての権利行使を阻害したばかりでなく、刑事罰に相当する暴力行為を働いた事実を記録し、証拠保全をはかる目的をも兼ねて撮影されたものです。また、貴社の社員株主やフジテレビスタッフの暴力から身を守る必要最小限の正当防衛の手段としても撮影されたものです。同時に、貴社の株主総会が、言論・報道機関にあるまじき、非民主的で、不公正な運営がなされているとの事実を、報道記者として検証する取材資料としても撮影されたものです。これとまったく同一の写真が、すでに大手週刊誌にも掲載され、これによって貴社の総会の異常な状況が広く世間に公表され、監督官庁はもとより、視聴者にも大きな反響を巻き起こしました。この事実ひとつをとってみても、これらの写真が、報道に値する重大なニュースそのものであったことが明らかとなります。

4 しかも、これらの写真を撮影したカメラは、総会議長の日枝久社長が、総会終了後にもかかわらず「カメラをを取りあげろ!」と社員株主、フジテレビスタッフらに命令し、その時点でカメラを保持していた株主山口の手から暴力的に強奪されたという事実があります。株主山口、株主松沢の厳重な抗議でカメラは戻されましたが、当組合としては、貴社の総会で両株主に暴力を振るった犯人、カメラを強奪した犯人を、捜索してまいりました。貴社は、「一部株主の肖像権を侵害」と主張されておりますが、上記の事情で撮影された写真は、何ら肖像権の侵害には該当しないと思料いたします。肖像権なる概念は、法律上も明確とされていないものですが、当然、貴社は、「一部株主」を代理してご主張されているものと思われます。それら株主は、松沢、山口両株主にたいして暴力行為を働いた犯人に該当する可能性が極めて高いと推認されますので、「一部株主」の氏名、所属等を、当組合にお知らせ下さい。それら株主が貴社との間で代理人契約を締結しているのであれば、その文書を見せていただきたく存じます。当方が検討している刑事告訴に、どうかご協力を賜りますようお願いいたします。

5 また、日常的に放映されている貴社のニュース映像などでは、被写体となった人々すべてに、撮影と映像公開の了承を得ておられるのでしょうか。表現・報道の自由との関係から、貴社のご見解をご教示下されば幸いです。貴社は、また、例年の株主総会で、株主の了承を得ずに、4、5台のテレビカメラで場内をくまなく撮影しておられますが、これらの映像はどのように使用されているのでしょうか。貴社は、さらに、当組合らの情報宣伝活動に対して、当組合の了解を得ずに、その参加者らを克明にビデオで撮影しておられますが、これらの映像も、どう使われているのか、ご教示下さい。 

6 貴社は、常日頃、報道・言論機関として上場企業に対して「開かれた株主総会」を求めておられます。まして、貴社は、国民の共有財産である公共の電波を借り受け、政府の許可を受けて営業しているマスコミ企業であり、他の上場企業にもまして、経営内容の透明性、総会の公開が求められています。「ホームページそのものの削除」を求める、今回の貴社のお申し越しは、情報公開を経営の根幹に据えるマスコミ企業としては、重大な自己矛盾、自己否定にもつながりかねない「自殺行為」とも思われます。

7 以上の事実から、貴社の「ホームページの削除」と「正式な謝罪」とのご要求は、正当な理由のないものと言わざるをえず、当組合としては、残念ながら、貴意に沿いかねます。当組合は、フジサンケイグループの労使関係の正常化等に関して、過去26回にわたって、貴社の責任者である日枝久社長との面談を求めてまいりました。貴社の株式が上場されてからは、委員長松沢、書記長山口らは、貴社の経営の実情を憂慮する株主としての立場からも、日枝久社長との面談をお願いしてまいりました。しかし、貴社は、こうした要請をすべて拒否し、公安警察を配備したうえで、ガードマンや、警備担当者を大勢並べ立てて威圧するという態度に終始してきました。
当組合といたしましては、今回のホームページの件に関しましても、日枝久社長をはじめとする貴社の経営幹部の方々と親しくお目にかかって、話し合いで双方の了解点に達することができればと願っております。つきましては、貴社のご都合のよい日時、場所、出席者名等を、早急に、当組合までお知らせ下さいますようお願いもうしあげます。双方で日程等を調整のうえ、話し合いの日時、場所を確定させていただきたく存じます。
貴社におかれましては、どうか当組合の意のあるところをご理解賜りますよう、衷心よりお願い申しあげます。

                          以上。




 フジテレビ株主総会の実情(その1)
一般株主を恫喝するフジテレビの社員株主。 一般株主に迫るフジテレビスタッフ。公安警察のように耳に無線のイヤフォンをつけている。