2000年6月29日、フジテレビの大荒れ株主総会の真相はこれだ!

     〜社員株主が暴力行為。「週刊新潮」も昨年同様、いち早く報道

全国で2161社もの企業が株主総会を開く、総会集中日の6月29日、フジテレビも例年同様、株主の締め出しを画策し、わざわざこの日を選んで株主総会を開きました。
今年で株式上場後3回目となる総会には、反リストラ産経労の松沢弘委員長、山口俊明書記長らが一株株主として出席しました。
会場となった、お台場の「ホテル日航東京」前には、午前8時過ぎから、反リストラ産経労の組合員をはじめ、「お台場共闘」を組む全石油・昭和シェル石油労組、帝国臓器労組有志、国労、人権110番、東京管理職ユニオン、船員争議団、岩井金属労組支援共闘会議などの仲間が続々と結集。昭和シェル労組の強力なハンドマイクと、反リストラ産経労の小型ハンドマイクをフルに活用して情報・宣伝活動を展開しました。松沢、山口両株主が事前に提出した質問状の要旨を掲載した、反リストラ産経労の機関紙「予兆」を、出席する株主たちに配布しました。


情宣活動の組合員らもホテルでコーヒー

この日、いつも挑発にやってくる水上署の公安は、物陰にかくれて姿を見せず、代わりに、フジテレビに頼まれた「ゆりかもめ」の職員や、ホテルのガードマンらが、憲法、労組法に基づいた正当な組合活動、商法に則った株主としての権利行使を妨害しようとしましたが、道理を踏まえた組合側の説得で退散しました。9時30分過ぎに、松沢、山口両株主が会場に向かった後、組合員たちは、情宣活動を続行。開会時間の10時を過ぎて、株主の姿が見えなくなった頃、今度は、会場のホテルに客として入り、カフェでコーヒーを飲みながら休息をとりました。
フジテレビ側のガードマンらは、組合員の入館を阻止しようとしましたが、粛々とした態度で客として振る舞う組合員らを邪魔立てする理由が見つからずに妨害を断念。組合員たちは、早朝からの活動の疲れを、香り高いコーヒーで癒しました。勿論、組合員たちは、しばらくしてから、朝と同じ会場外の場所に戻り、近くを通行するフジテレビ社員や、観光客らに情宣活動を再開、松沢、山口両株主らの帰還を待ちました。


総会屋?2人が松沢、山口両株主をつけ回す

さて、フジテレビの株主総会自体は、昨年同様、社員株主の怒声に守られた、全く証券民主主義のかけらもない不法総会でした。松沢、山口両株主が会場に入ってゆくと、「フジテレビスタッフ」の名札を付けた男(昨年同様、これら「スタッフ」は、個人名を明記していない)が「カバンをよこせ、カメラは入っていないだろうな」と、松沢株主を脅しにかかりました。松沢株主は、カバンを強奪しようとする男に抗議したうえで「株主にものを尋ねるなら、まず、自分の姓名を名乗りなさい」と、たしなめました。

すると、別の2人の男が、松沢、山口両株主の後をつけ、両株主が着席したすぐ後ろの席にへばりつくようにして座りました。不快に感じた両株主が、そこから離れた席に移動するとあわてて後を追いかけ、またしても、両株主に真後ろに着席しました。両株主が抗議すると、まるでヤクザのような口調で、両株主を恫喝しました。

この2人の男は、フジテレビにカネで雇われた正真正銘の「与党総会屋」であったのかどうか、定かではありませんが、総会の最中も、両株主をしばしば脅していました。そのやり口は「プロの業」といえなくもありません。


大半が社員株主、会場を威圧


これまで同様、社員株主も大勢出席していました。フジテレビが明らかにした出席株主164人の内、およそ半数を占めていました。これらの社員株主は、商法上、使用人に当たるわけですが、会社の暗黙の命令で、使用人としての業務をサボッて、「経営者に忠節を尽くす、新手の総会屋」として機能していることはいうまでもありません。

定刻の午前10時に、日枝久社長ら経営陣が、一段も二段も高いひな壇に入場してくると、会場からは、社員株主らの万雷の拍手がわき起こりました。崩壊した旧ソ連の大会では、よく独裁者の入場や演説に対して「長い、長い、熱烈な拍手」と記事に書かれていましたが、まさに、それとそっくりな光景が、「自由な日本」で繰り返されているのです。批判を恐れる経営者には、「崩壊の運命が待っているだけだ」と言っておきましょう。

自分で議長をやると宣言した日枝久社長が、最初の言い出したのが、いつもと同じ欠席役員についての了解を求めることでした。総会の集中日に開催したため、兼任の役員らが出てこれないのです。欠席役員は羽佐間重彰・取締役相談役(フジサンケイグループ代表、産経新聞社会長)、小林吉彦・取締役(ニッポン放送・サンケイビル取締役相談役)、松岡功・取締役(東宝会長)、尾山達己・取締役(テレビ西日本代表取締役相談役)、斎藤英四郎・監査役(経団連名誉会長)、石川六郎・監査役(鹿島建設代表取締役名誉会長)の6人にのぼりました。すかさず、会場からは「了承できない」との声があがりましたが、社員株主がリハーサル通りに「了解!」と叫んでチョン。
木下信親常勤監査役の監査報告の後の、営業報告は、これまた、昨年同様、日枝久社長はサボりを決め込んで、「対処すべき課題」の部分を棒読みしたほかは、小島奈津子アナウンサーのビデオでごまかしました。昨年の総会でビデオ上映中に居眠りをしていた出馬副社長には「今日は眠るなよ」との声が株主から浴びせられ、会場の失笑を買いました。


日枝久議長が、また非民主的議事運営を強行

中本逸郎専務が貸借対照表と損益計算書を報告した後、日枝久社長は、突然、「全ての決議事項を上程し、その後に質問を受け、決議事項は一括採決する」と、昨年同様の非民主的な議事運営を提案してきました。すぐさま、山口株主が挙手して発言を求め「審議すべき議案が多くある。一つ一つの議案ごとに、質疑をおこなうべきだ。昨年の総会でも株主は言いたいことの10分の1も発言できなかった」と異議を申し立てました。

日枝久社長は、昨年、同様の提案をした際に、議長不信任案を突きつけられたのに懲りたせいか、山口株主の発言は認めたものの、「意見は聞いた」として、社員株主らの「異議なし!」の怒声に乗って、自分の提案を強引に押し通し、議案を一方的に読み上げました。

質疑にはいると、株主から事前に寄せられた質問状2通への回答に移りましたが、これまた、木で鼻を括ったような、おざなりな答えで逃げまくる有り様でした。先に提出された株主からの質問状には、出馬副社長が回答しましたが「国民の知る権利に答える。

番組編成では公共的使命と社会的責任を強く打ち出す。民放連の放送基準に従う。今後、国民に役立つ番組を」と、通り一遍の言い訳ですませました。質問状の内容は、株主に知らされなかったので、推測するほかないのですが、フジテレビの俗悪番組に対する厳しい批判が寄せられたものとみられます。

次に松沢、山口両株主の質問状に回答しましたが、これまでの2回よりも、もっと誠意のない、おざなり回答に終始しました。日枝久社長は昨年の不法な総会への抗議については「適法、適正で、瑕疵はない」と切り捨て、「総会の目的に関連していないものなどには答えない」と言い放ちました。出馬副社長は、集中日の開催について「決算スケジュールで決まる」と、とぼけたあげく、実質子会社の産経新聞社及びその関連会社役員からの監査役選任に関しては「小梶氏(日本工業新聞監査役)は人格識見が優れている。近藤氏(前・産経新聞社副会長)は、職務を忠実に行っている」などと、論証抜きで強弁するばかりでした。


ソニーの出資を全面否定

外国人の出資比率は271人、16・4%に達していると明らかにしましたが、株主数が47%も減った点については答えずじまい。注目されているソニーの出資問題については「フジテレビからソニーに出資を打診したことはない。株主の株譲渡については答える立場にない」と逃げました。もし、この答弁が事実なら、ソニーの出資問題を報道している朝日、毎日など各紙に抗議すべきところですが、勿論、今日に至るまで、フジテレビがそうした行動にでた気配もありません。

フジテレビで相次いでいるスキャンダルについても「放送事業として、より高いモラルを保持し、社内規則に則り、厳正に処分している」と開き直りました。産経新聞社の労働争議については「総会と関係ない」と答弁さえ拒否しました。最後に中本専務が、業績等の答弁に立ちましたが、数字を並べ立てるだけの無内容なものでした。

会場からの質疑応答に移ると、案の定、社員株主の八百長・ゴマスリ質問ばかりが目立ちました。一般株主からは「配当が安すぎる」「給料が高すぎる。人件費を削減すべきだ」などの質問が出されましたが、中本専務や村上専務は「他社と比べて配当は低くない」「人件費は適正だ」などと言い訳するばかりでした。


石材会社社長が報道被害を告発


この日のハイライトは、福島県いわき市から来たという石材会社の社長・油座紀一氏の告発質問でした。油座氏は「フジテレビの番組『スーパーナイト』で、隣人とのトラブルについて、一方的に悪者扱いされた。

その結果、一人娘の縁談は破談、会社は信用を傷つけられて倒産、家庭も崩壊した。フジテレビに抗議したが、フジは誤りを認めなかった。そこでBRO(放送と人権等権利に関する委員会機構)に提訴したところ『公正、公平さの点で問題があった。人権への配慮が不十分で、放送倫理上問題があった』との判断を得た

しかし、フジテレビが謝罪しなかったので、やむなく、裁判に訴えた。こうした人権侵害の責任をどう考えているのか」、「フジテレビの番組は視聴率のみを狙い、やらせ、捏造が他局より多い。過去3年間の不祥事、やらせ等の事件は18件あったが、フジテレビはそのうちの9件を占めている。フジテレビには公共性、公益性があるのか。
日枝久社長は、私の家庭や、会社の社員を不幸にした責任をとるべきだ」と迫りました。これには、「議事進行!」、「異議なし!」、「黙れ!」などと騒ぎ立てている社員株主どもも一言も発するコトが出来ませんでした。

ところが、日枝久社長は、自分で答えようとはせず、三ツ井副社長を指名。三ツ井副社長が「ジャーナリストしてきちんと報道している」と居直ったので、会場からは「あんたは何時ジャーナリストになったんだ」との非難が浴びせられました。

油座氏は、再度質問に立って「社長は市民を不幸にする放送をどう考えるのか」と日枝久社長を追及した。日枝久社長はしぶしぶ答弁しましたが「BRC(BRO を、こう言い間違えた)でも、あの放送の公共性、公益性が認められた」と事実を偽る主張を行い、「こうしたことが2度と起こらぬようにするのが私の責任だ。

しかし、今、係争中なのでこれ以上答えない」と逃げをうちました。山口株主も日枝久社長の責任追及この件については山口株主が「こうした悲惨な人権侵害に日枝久社長はどう責任をとるのか。係争中で答えられないというが、裁判で負けたら、日枝久社長は辞任するのか。

フジテレビは、スキャンダルのデパートと言われている。これは社の体質、報道姿勢そのものに問題がある」と、報道被害にあった市民の立場に立って追及しましたが、日枝久社長はまともに答えようとはしませんでした。産経新聞社に21億8400万円を援助松沢株主は産経新聞社への資金援助について質しました。中本専務は「産経新聞社には、広告料として21億8400万円を支払った」と明らかにし、前年度より100万円多く援助している事実を示しました。媒体価値の劣悪な産経新聞社への広告出稿は援助以外の何ものでもありませんが、産経新聞社への援助は広告以外にも様々な名目で行われており、その総額は年間50億ー100億円にのぼるとされています。


ストックオプションで露木アナウンサー除外を

また、松沢株主は、部長以上の使用人402名に対して与えられるストックオプション(自社株購入権)について質問し「政界工作を依頼されてカネを受け取ったことが露見して全ての番組から降板した、露木茂・エグゼクテイブアナウンサー(役員待遇)が、株式取得権を与えられるのは納得できない。

露木氏を対象者から除外すべきだ」と迫りました。しかし、村上専務は、「露木には厳重注意し、番組に出さぬようにした」と答えながら、ストックオプションについては、はっきりと答弁せずに逃げてしまいました。


日枝社長、質疑を打ち切り、会場から逃亡

開会後、1時間30分を過ぎた頃、ひな壇の後ろにいた人物が、日枝久社長に何やら耳打ちすると、それを待っていたかのように、社員株主が質疑打ち切りの動議を提出。会場の一般株主が大勢、反対の声を上げ、「議事進行に関する緊急動議」や「議長不信任案」も提出されましたが、日枝久社長はこれらを一切無視して、採決に移り、反対の怒号が渦巻くなかで、一方的に閉会を宣言しました。

それを言い終わるやいなや、日枝久社長は、さっさと議長席をはなれ、あまりの急展開にとまどって着席している他の役員をムリヤリ立たせるようにして、会場から逃亡しました。

これに抗議する松沢、山口両株主に対して、後ろで睨みをきかせていた「プロ」をはじめ、社員株主や「フジテレビスタッフ」が、両株主を取り囲んで恫喝を繰り返しました。こうした連中は総会の途中でも、松沢、山口両株主を小突いたりして暴力を振るいました。


週刊新潮が「一時騒然」と速報

こうした大荒れの総会について、「週刊新潮」は、昨年につづいて、総会直後の7月6日発売の「7月13日号」の「TEMPO欄」の「サイト&サウンド」のコーナー(34頁)で、石材会社社長の告発に焦点をあてながら速報しました。その中で「フジのグループ企業・産経新聞社を標的に総会に乗り込んでいた反リストラ産経労メンバーも油座氏の応援にまわり、会場は一時騒然」と報じています。





反リストラ産経労の松沢、山口株主が、6月29日、フジテレビの株主総会に出席

ソニーの出資、産経新聞への不正資金援助などを追及 へ

フジテレビの子会社・産経新聞社で結成されたマスコミ合同労組の反リストラ産経労は、6月29日、フジテレビの第59定時株主総会に松沢弘委員長、山口俊明書記長らを一株株主として出席させる。松沢、山口両株主は、事前に質問状を提出しており、不透明なままで放置されているソニーの出資問題をはじめ、相次ぐスキャンダルの責任問題、産経新聞社への不正な資金援助などについて、日枝久社長らフジテレビ経営陣の姿勢を厳しく追及する。同時に、産経新聞社が、憲法や労組法を踏みにじって、94年9月に組合潰しを狙いとして強行した、松沢委員長の不当解雇を撤回させるため、産経新聞社を指導するよう要求する方針だ。

   


フジテレビに提出した質問状は以下の通り。

株式会社フジテレビジョン        2000年6月26日
代表取締役社長 日枝 久殿
                  株主 松沢 弘
                   
                  株主 山口俊明
           

株式会社フジテレビテレビジョン第59回定時株主総会に対する
       質 問 状

貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。6月29日に開催される株主総会に対して、商法第237条の3に基づき、以下の諸点について通知し、株主総会での説明並びに回答を求めます。


1 第58回総会に関する疑義と抗議

  ・99年6月29日に開催された第58回定時株主総会において、議長をつとめる日枝久社長は、突然、「報告事項、決議事項についての質疑、審議や動議、発言を一括して行い、その後、決議事項については採決のみとする」との議事運営についての一方的な提案を  示し、非民主的な議事運営を強行しようとした。これに対して、  株主・松沢が「昨年の総会でも、日枝久社長は議事運営に関する緊急動議を無視するなど、全くの非民主的な議事運営に終始した。今  回はさらに、決議事項を個別に審議せず、一括して採決するとの方針を提示したが、これは証券民主主義に反するものだ。議案一つ、  一つについて質問、意見を聞いたうえで、個別に採決すべきだ。こ  うした非民主的な提案を行う日枝久社長を議長として信任することはできない」と議長不信任を提出したところ、約100名にものぼ  る社員株主たちは怒声をあげて発言を妨害、「フジテレビ・スタッ  フ」とのカードを胸につけた係員が、株主・松沢の足を踏みつけた  り蹴飛ばしたりして暴行を加えた。まずもってこの凶行に厳重に抗議する。


  ・また、日枝議長は、自らの不信任案が提出されたにもかかわらず、その案が審議される間、他の人に議長を替わるとの議事運営上の則を無視して、そのまま議長を続けたあげく、「この不信任案に  私は反対だ」と勝手に自分の意見を開陳し、さらに、「私が議長を  続けることに異議はないか」と一方的に叫び、社員株主たちの拍手をもって、「案は否決された」と宣言して議長席に居座った。こう  した、総会の民主的運営を妨害する、日枝議長のルール無視の議事運営にも、厳しく抗議する。



  ・さらに、社員株主が示し合わせたかのように切り出した質疑打ち切りの動議に関して、一般株主らの反対の声を無視して、日枝議長が突然、「総会終了」と叫んで、総会を一方的に打ち切り、役員たちは壇上から逃げ去った。こうした総会を破壊する暴挙の有り様を、後日の訴訟資料などに活用するため、総会終了後に写真に記録しようとした株主・山口から、社員株主がカメラを強奪し、同時  に「フジテレビ・スタッフ」が株主・松沢を小突きまわすという暴  力行為を働いた。役員たちがいなくなった後も、社員株主ら数十名  が松沢、山口両株主を取り囲んで威嚇した。こうした貴社の暴力行  為は、断じて許すことができない。厳重に抗議するとともに、刑事告訴も検討中である。こうした暴力行為を働いた社員を特定して、その氏名と犯行の内容を、松沢、山口両株主に通知するとともに、厳しく処分するよう要求する。


  ・また、会場外で、視聴者、労働者として、憲法、労組法に基づ  く、正当な情報・宣伝活動を行っていた人々に対し、貴社はその面  前でビデオ等による撮影を行って、肖像権を侵害するとともに、正  当な労働組合活動を妨害・威嚇した。これについても厳重に抗議す  るとともに、撮影したビデオフィルム等の返還を要求する。



  ・こうした事情に鑑み、株主・松沢、株主・山口の両名は、当該総会が適法的に成立していないとの疑義を有しており、当該総会に関して法的な措置を講ずる権利を留保していることを通告する。


2 株主総会の運営について

 ・今回の総会は、情報に携わるマスコミ企業として、率先して情報公開を行うため、総会を株主以外の視聴者等にも公開し、傍聴を認  めるべきだと考えるが、貴社の見解を明らかにされたい。

 ・会場の設営に当たっては、出席した株主全員が同一会場で議論できるように配慮し、株主席にもマイクを多数設置し、株主の発言中はマイクを切るような物理的な妨害は行わないこと。

 ・総会では、十分な時間を確保し、挙手者の発言を全て保証、それに対して誠実に回答すること。

 ・一括提案方式をとることなく、個別事案ごとに審理すること。

 ・質問、意見、提案などについての発言時間を十分に保証するとともに、討論打ち切りなどの強行採決は行わないこと。

 ・採決に当たっては、各議案ごとに採決することとし、拍手によらず、株数による採決法を採用すること。

 ・前回、前々回の総会で、貴社は社員株主を動員して、総会の前列を占拠せしめ、一般株主の発言を妨害し、さらには威嚇のうえ、株主に暴行を加えるなどの不法行為を働いたが、今回はこうした不法行為のないよう、証券民主主義の精神に基づいた総会の運営・進行に留意すること。企業社会の歪みを批判するマスコミ企業として、他の企業の模範となるような「開かれた総会」の実現につとめること。

 ・質疑、意見の表示は、報告事項のみならず、各号議案について個別に十分な審議時間を保障し、採決も民主的に実施すること。

 ・前回、前々回に続いて、株主総会の集中日に、あえて総会を開催した理由について明らかにされたい。次回は、集中日をはずして開催ようする強く要求する。


3 業績について

 ・貸借対照表の資産の部で、受取手形が前期比で28億3400万円増加、前渡し金が14億7500万円減少、有価証券が68億7800万円増加、その他流動資産が18億5100万円減少、建物  が49億8500万円減少、投資有価証券が73億1900万円増加、子会社株式が15奥7300万円増加した理由について詳細に説明されたい。

  負債の部で、前期に比べ、買掛金が10億5600万円増加、未払い法人税等が43億8400万円増加した理由について、詳細に説明されたい。39億9200万円が計上された従業員預り金の内容について説明されたい。子会社に対する短期金銭債権が前期比で1億5100万円増加、偶発債務の保証債務が前期比で13億4600万円増加した理由と、その内容について詳細に説明されたい。 

 ・損益計算書に記載されている、雑損失(24億3500万円)、投資有価証券評価損(8600万円)、同売却損(2300万円)、出資金評価損(4500万円)の内容を詳細に説明されたい。子会  社との取引で、営業収益が55億円にすぎないのに対し、営業費用  が291億7300万円もかかっているのは何故か。営業取引以外の取引高35億8600万円の内容について、いずれも詳細に説明されたい。

 ・利益金処分案のうち、役員賞与金(1億7000万円)の個人別の内訳を明らかにされたい。前期に比べて500万円増額する理由  について説明されたい。また、監査役賞与金1900万円の個人別内訳及び、前期比200万円増額の理由についても説明されたい。

 ・売上高は、民放テレビキー局の中でトップの座を保持しているが、企業の実力を示す売上高経常利益率では11%と、日本テレビの18・3%に大きく引き離されている。経常利益の額も日本テレビ  の65・4%にとどまっている。利益の面で、526億円もの経常利益をあげ、民放初の500億円台に乗せた日本テレビに比べて著しく劣っている理由は何か。経営上の重大な問題だと考えるが、貴社の見解を明らかにされたい。この利益率の低さは、産経新聞社への資金援助と関係があるのかどうかについても、貴社の見解を示されたい。

 ・売上高についても、系列局に配分すべき売り上げの分を貴社に上乗せしているため、見かけ上多くなっているとの指摘もある。日本テレビなど、他のキー局との売上高の計算法に差異があるのかどうか、事実関係を明らかにされたい。

 ・業績を決定づける視聴率競争では、ドラマの不振などのあって全日、ゴールデン、プライム、ノンプライムの4部門で、日本テレビに敗北し続けているが、その理由は何か。その責任をどうとるのか。日本テレビを追い抜く策はあるのかについて、貴社の見解を明らかにされたい。

 ・「企業結合の状況」に記載された連結対象子会社20社、持分法適用会社15社の全ての企業名と、業績(売上高、営業利益、経常利益、当期利益等)、貴社の出資比率、役員派遣の状況、貴社との取引関係を、詳細に説明されたい。連結当期利益は、貴社の単体当期利益より減少しているが、その理由について説明されたい。


4 監査役の選任について

 ・今回選任する貴社の監査役は3人で、任期途中の2人を加えると5人にもなる。取締役26人と合わせると、役員は31人もの多数にのぼり、同じ売り上げ規模の企業に比べて多すぎるのが実情だが、  その理由は何か。執行役員制の導入なども含めて役員を削減する方針はないのか、貴社の考えを明らかにされたい。

 ・候補者番号2の小梶彰三氏は、貴社が前回の第58回定時株主総会の「招集ご通知」24記載の[注3]で明らかにしているように、 「広告出稿等の取引関係があります」とされている、貴社の実質的な子会社である産経新聞社が実効支配している日本工業新聞社の監査役の職にある。産経新聞社は、貴社からの支援で収支をつぐなっているのが実情であり、日本工業新聞社も貴社の資金援助でかろうじて企業存続をはたしているに過ぎない。長年、こうした関係にあった企業の監査役からの監査役選任は不適切であり、その任を全うで  きないと考えるのが常識である

。小梶氏は、今回、日本工業新聞社の監査役を退任される予定だが、今回の任期満了を機に貴社の監査役も退任願うのが当然と考えるが、貴社の見解を明らかにされたい。 また、一昨年6月に常勤監査役に選任された近藤俊一郎氏は、当時、産経新聞社副会長の職にあった。小梶氏と合わせると、2人もの監査役が、貴社の実質子会社と孫会社の利害関係者で占められることになり、商法に基づく厳正な監査が阻害されるとかんがえられるが、貴社の見解を示されたい。  


5 大株主の状況について

 ・貴社の第3位の大株主である「ロンバード オデイエ エ シーアイイー フィデユシアリー アカウント」の実態と、58期の第3位株主「JGI CorporationB.V.」との関係について明らかにされたい。

 ・貴社の株主にしめる外資の比率と内訳について説明されたい。

 ・株主数が、前期に比べ2万917名、47%も減少した理由について説明されたい。


6 ソニーへの出資要請について

 各種の報道によれば、ソニーが貴社に10%程度の幅で出資すると されている。しかも、この出資は、貴社が、今年初めにソニーに対して打診したとされている。この情報は、貴社の株価にも大きな影響を 与えている。まず、こうした報道が事実かどうかを説明されたい。さらに、出資の方法として、貴社の大株主である文化放送が持ち株20 %のうち半分をソニーに譲渡するとされている。こうした点も含めて、これまでの、ソニー、文化放送との交渉経過を詳細に明らかにされた い。報道は、朝日新聞だけでも、今年、4月24日夕刊、同25日、 同28日、6月1日、同23日と続いており、4月25日の毎日新聞にも文化放送が事実を認めたとの報道がなされている。これらが、事実でないならば、各新聞社に抗議したのかどうかも明らかにされたい。


7 産経新聞社への資金援助・取引等について

 ・貴社は産経新聞社の筆頭株主であり、日枝久社長名義の株式を含  めると40・1%の出資比率となっている計算だ。まず、産経新聞社にたいする現時点での出資比率の実態を明らかにされたい。そのうえ、日枝久社長が取締役に就任しているなど、産経新聞社は貴社  の実質的な子会社となっている。貴社がこれまで、長期間にわたって、産経新聞社に対して毎年巨額の資金援助を行ってきたのは、周知の事実であり、貴社も前期の総会で、中本常務が「当期の産経新聞社との取引は、産経側からのTV広告収入が1億8300万円、家賃収入が11億7300万円。フジテレビからは産経に21億8300万円の新聞  広告料を支払っている」と、初めて産経新聞社との取引関係を明らかした。

 ・貴社は、これまで、産経新聞社に対して、年間50億円ー100億円の資金援助を行っているとされていた。株式上場で経理の透明性が要求されることから、97年度に、その一部を打ち切ったとみられていたが、貴社は98年度でも20億円を越える巨額の資金を、媒体価値の乏しい産経新聞に広告料の名目でタレ流していることが判明した。貴社は新聞広告以外にも、産経新聞社主催のイベントへの協力などで不明朗な資金援助を行っているのは確実とされている。産経への資金供与は貴社の株主の利益を損なっていると言うほかないが、これに関する貴社の見解を明らかにされたい。

 ・これまでに実施してきた産経新聞社に対する資金援助及び取引の方法、内容、性格、目的、理由等を明らかにし、年度ごとの援助額、その累計額を明らかにされたい。99年度の援助及び取引の実績、2000年度の予定を明らかにされたい。

 ・上記の産経新聞社に対する援助が、貴社の経営にとって如何なる利益または損失をもたらしたのか、援助の各項目に沿ってその得失を明らかにされたい。

 ・産経新聞社のカラー印刷輪転機の導入に当たっては、600億円もの巨費が貴社から支出されたとされているが、その理由をあきらかにしたうえで、現時点で輪転機の所有関係はどうなっているのかを明示されたい。

 ・産経新聞社への資金援助は、貴社の経営にとっていささかのプラスにもならなかったが故に、97年度末をもって援助の一部打ち切りが行われたと推認される。こうした援助を長年にわたって続けて  きたことで、貴社の経営は重大な損害を被ったはずだが、その責任  をどう追及するのか、貴社の方針を明らかにされたい。産経新聞社への援助は税法上、重大な疑義が生じており、長年にわたる援助は背任に当たるとの意見もあるが、それについての見解を示されたい。

 ・産経新聞社及び、その系列会社との関係を、今後どうしてゆくのかについて、貴社の方針を明らかにされたい。

 ・貴社は、産経新聞社代表取締役会長・羽佐間重彰氏に関する前期総会の招集通知の[注3]で、「広告出稿等の取引関係があります」 (第58回定時株主総会招集ご通知24頁)と明記している。相手企業の代表権を有する人物を自社の取締役に選任している以上、産経  新聞社との取引関係の内実について、販売・購入の両面で詳細に説明するのは当然の義務である。貴社と産経新聞社との取引関係が援助であれば、税法上の問題が生ずる。もし、援助でないとするなら、産経新聞社は貴社にとって重要な関係会社であることは事実なのであるから、取引の総額及び、何の対価としての支払いであったのかなどを開示されたい。また、産経新聞社を含めた、日本工業新聞社  など産経新聞グループとの取引の内容についても開示されたい。

 ・貴社の中本逸郎常務は、29日付けで、貴社の実質子会社・産経新聞社が筆頭株主として10・7%の株式を保有するサンケイビルの社長に就任する。貴社はサンケイビルの株式の8・9%を保有する第2位の大株主だが、今回の社長人事の狙いは何か。ビル立て替えで、2期連続の赤字が続く同社に対して、新たな資金援助を行う口実とされるのではないかとの懸念もでている。貴社の見解を示されたい。


8 CS放送、BS放送、地上波デジタル放送への対応策について

 ・CSデジタル放送のスカイパーフェクTVが、デイレクTVを吸収合併するが、これによって貴社の出資比率はどう変化するのかを明らかにされたい。また。合併後の事業の展開次第では、貴社の経営に悪影響を与える懸念があるとされるが、貴社の考えを示されたい。また、この事業に要する貴社の総投資額についても開示されたい。BSデジタル放送との競合関係についても貴社の見解を示されたい。

 ・BSデジタル放送に関する貴社の計画についての説明を求める。CS放送との関係をどうとらえているのかについても明らかにされたい。この事業に要する総投資額も明示されたい。BS放送と地上波の放送内容の差別化等について、どういう方針をとるのか明らかにされたい。

 ・地上波デジタル放送についての貴社系列の総投資額と、これについての貴社の対応策を示されたい。


9 郵政省等監督官庁との関係について

 省庁再編を踏まえたうえで、今後、監督官庁とはどのような関係を構築してゆくのか、貴社の方針を明らかにされたい。


10 相次ぐ不祥事への対応について

 貴社は、前回の総会以降だけでも・人事局厚生部員が覚醒剤、大麻 所持で高輪署に逮捕される・事業局社員が玉川線で女性に痴漢行為を 働き、世田谷署に逮捕・「愛する二人別れる二2人」のヤラセ問題で 出演者が自殺、番組打ち切り・「報道2001」で役員待遇の露木茂 アナウンサーが、現金授受・政界工作疑惑で出演自粛・「ザ・ノンフィ クション」でヤラセ問題が発覚・元プロデユーサー・石本幸一氏が、 「カリスマ美容師恐喝未遂」で警視庁に逮捕・社員デイレクターとタ レントがカラオケ店で猥褻行為・スポーツ局局長が飲酒運転事故で書 類送検ーなどの不祥事が相次いでいる。貴社は「スキャンダルのデパ ート」とまで揶揄されているほどだ。これらの不祥事にいて、貴社が 行った処分の内容を詳細に明らかにし、今後の再発防止策について説明されたい。また、日枝久社長は、最高責任者として、如何なる責任 をとるのかについても説明されたい。


11 フジサンケイグループ内の労働争議等について

 ・貴社が筆頭株主となって系列下に収めている産経新聞社及び、そ  の系列会社では、新しい労働組合結成をめぐって深刻な争議が発生  している。94年1月、産経労組に替わる、新しい合同労組「労働組合・反リストラ・マスコミ労働者会議・産経委員会」(略称・反  リストラ産経労)が結成されたところ、産経新聞社は、同労組の存在さえ認めず、団交要求を全て拒否し、松沢弘委員長を千葉に不当配転した。そのあげくに、東京都地方労働委員会で不当労働行為救済の審査が行われている最中の、同年9月、松沢委員長を懲戒解雇するという暴挙を働いた。この事件は、現在、都労委と東京地裁で係争中だが、マスコミ企業での憲法、労組法を踏みにじった事件として世間の注目を集めている。反リストラ産経労は、東京地評が主催する「東京総行動」や、「けんり総行動」などで、貴社を訪れ、  24回にわたって争議の早期解決を求めてきた。貴社は、ガードマンを並べて、松沢委員長らとの話し合さえ拒否しつづけている。これは、松沢委員長や山口書記長の株主としての権利行使を真正面から妨害する不法行為でもある。

 ・貴社は、国民の共有財産である電波を使って営業しており、株式の上場によって、その公共性は一段と高まっている。開かれたマスコミ企業としての社会的責務を果たすためにも、産経新聞社を指導して、争議の早期解決を図るべきだと考えるが、この件に関する貴社の見解を明らかにされたい。


99年6月のフジテレビ株主総会の真相

産経新聞への巨額な資金援助が判明

松沢くん、山口さんら一株株主が経営責任を追及し、争議解決を要求

6月29日、東京・台場の「ホテル日航東京」でフジテレビの株主総会が開かれました。同社の株式上場後2回目の総会となりましたが、反リストラ産経労では、昨年に続いて、松沢くんと山口俊明書記長が、一株株主として出席しました。早朝8時30分過ぎに、2人が会場に入ると、すでに会場の前1列目は、フジテレビの業務命令で動員された社員=社畜株主が占拠していました。それでも昨年のように、前3列目までを全部塞いでしまうというやり方ではなかったため、松沢、山口両株主は、議長席の真ん前の2列目のイスを確保することができました。

社畜株主100人が会場を威圧

しかし、フジテレビが前1列だけの社畜株主で安心するわけはありません。定刻の午前10時に日枝久社長ら役員が入場してくると、会場のあちらこちらから盛大な拍手がわき起こりました。フジテレビは、昨年とは戦術を変えて、会場全体にまんべんなく社畜株主を配備する作戦をとったのです。しかも、昨年にもまして、社畜株主らは一段と暴力的になっていました。その数も昨年の公称70人から、80-100人ほどの規模にふくれあがっており、出席者の3分の2を占めるほどの勢いでした。
「定款により議長を務める」と自ら宣言した日枝久社長が、いきなり切り出したのが、羽佐間重彰・産経新聞社会長ら5人の取締役と監査役2人の計7人の役員が欠席するので了承しろという話でした。しかも、その理由を一切明らかにしないという、総会軽視も極まるやり方でした。これは、2227社が一斉に総会を開く集中日を、わざわざ選んで総会を開催したため、他の会社の総会に出席する役員たちが、フジテレビの総会に顔を出せなくなったのがホントの理由です。そうした事実には頬かむりしたままの日枝久社長に対して、会場から「納得できない、訳を言え」との株主の声がぶつけられました。しかし、そうした声も、「了解」と叫ぶ社畜株主たちの怒声にかき消されてしまいました。
そもそも、集中日に総会を開く企業の真意は「一般の株主が総会に出席できないようにしたうえで、役員と社畜株主の内輪だけでシャンシャン総会を終わらせたい」というところにあるのは明白です。フジテレビは、株式を上場して幅広く民衆から資金をかき集めているばかりでなく、国民の共有財産である電波を借りて、政府の許可を得て営業しているだけに、普通の企業以上に、経営の透明度保持が求められています。最高の意思決定機関である総会にできるだけ多くの株主が出席できるようにすることは、当然のことであり、昨年の総会でも株主から集中日を避けるようにとの要求がだされていました。しかし、フジテレビの経営者たちは、よほど後ろめたいことがあるのか、昨年に続いて集中日での開催に逃げ込んだのです。
営業の概況の報告は、本来、社長が行うべきなのですが、フジテレビは、人気女子アナを使ったビデオ上映でお茶を濁してしまいました。上映中は会場が薄暗くなったのをよいことに、NO.2の出馬副社長は居眠りを始める始末。株主に叱責されて、あわてて目を覚ます有り様でした。

松沢くんが日枝久議長不信任案を提出

報告が終わると日枝久社長は、突然、「報告事項、決議事項についての質疑、審議や動議、発言を一括して行い、その後、決議事項については採決のみとする」との議事運営についての一方的な提案を示してきました。社畜株主が「異議なし」とわめきたてる中で、松沢、山口両株主らは「反対」とキッパリと意思を表示したうえで、あくまでも非民主的な議事運営を強行しようとする日枝久社長に対して議長不信任案を口頭で提出しました。日枝久社長は、これを取りあげようとはしませんでしたが、議長席に迫る松沢くんらに対する一般株主たちの強い支援の声を無視することが出来ずに、松沢くんの発言を認めざるを得ませんでした。松沢くんは「昨年の総会でも、日枝久社長は議事運営に関する緊急動議を無視するなど、全くの非民主的な議事運営に終始した。今回はさらに、決議事項を個別に審議せず、一括して採決するとの方針を提示したが、これは証券民主主義に反するものだ。議案一つ、一つについて質問、意見を聞いたうえで、個別に採決すべきだ。こうした非民主的な提案を行う日枝久社長を議長として信任することはできない」と議長不信任の理由を述べました。その間、社畜株主たちは怒声をあげて発言を妨害、「フジテレビ・スタッフ」とのカード(ただし、名前は記載されていない)を胸につけた係員が、松沢くんの足を踏みつけたり蹴飛ばしたりして暴行を加えました。
議長は自分の不信任案が出された場合、その案が審議される間、他の人に議長を替わるのが鉄則です。こんなルールは、小学生でさえ分かっています。ところが、日枝久社長は、そのまま議長を続けたうえで、「この不信任案に私は反対だ」と勝手に自分の意見を言ったうえで、「私が議長を続けることに異議はないか」と叫んだのです。社畜株主たちが一斉に拍手すると、「案は否決された」と言って、議長席に居座ってしまいました。

長銀株で5億6000万円の売却損

その後、松沢、山口両株主が、事前に提出した39項目に及ぶ質問状に対する回答が行われましたが、昨年以上に、不誠実で無内容な答弁に終始しました。居眠りを決め込んでいた出馬副社長が答弁に立ち、昨年の総会への疑義については「適法、適正だ」と強弁しました。株主総会の民主的運営に関する当然の要求ついても「議事の目的に無関係だ」と切って捨てる有り様。集中日に設定した総会の期日についても「商法の決算スケジュールで決まる」と、とぼけた答えで逃げるだけでした。
業績の関連では、経営破綻した長銀の株式を大量に保有していたことで、前期1億円の評価損、当期5億6000万円の売却損が発生した事実が明らかになりました。また、役員選任の件では、「広告などで取引関係がある」と議案に明記された産経新聞社の羽佐間重彰会長と近藤俊一郎常勤監査役が問題にされましたが、出馬副社長は「人格、識見が優れているから問題ない」の一言で逃げをうちました。社長在任期間が11年を越え、13年の超長期政権をもくろんでいる日枝久社長についても「社長は取締役会で決める」と、答えにもならない言い訳をするだけでした。
産経新聞社への資金援助に関しては「援助していない。個別の取引は明らかにしない」と口を拭う始末。産経新聞社と反リストラ産経労との労働争議についても「議題と無関係だ」として答弁を拒否しました。
質疑にはいると、日枝久社長が指すのは、そのほとんどが社畜株主でしたが、中には一般株主が鋭く社長に迫るシーンも見られました。発言した株主延べ28人のうち、松沢、山口両株主の発言の機会は、合計6回しかありませんでした。
まず、一般株主が「総会の審議内容を公開せよ」と迫り、山口さんは「社員株主は何人出席しているのか。有給休暇をとってきているのか」と質しました。尾上専務の答えは「総会は公開しない。社員株主は1177人いるが、今日は自主的に参加している」というものでした。一般株主が「営業収入が予想を下回った理由は」と尋ねたところ、出馬副社長は「景気が悪かったから」と答えて、会場の失笑をかいました。景気のせいで業績悪化が免罪されるなら、この世に経営者はいらないことになります。ほかの株主が「産経新聞社のラジオ・テレビ欄で、フジテレビの欄だけ着色されているが、いくら払っているのか」と質したのに対して村上常務は「リーズナブルな対価だ」と答えました。額は明らかにしなかったものの、フジテレビの欄に広告料を支払っている事実を認めたわけです。

フジテレビから産経新聞社に21億8300万円の援助

ようやく指された松沢くんが「産経新聞社の羽佐間重彰会長の取締役選任は、議案でも明記してあるように産経がフジテレビから資金供与を受けている関係にあるので不適切だ。昨年の総会で選任された近藤俊一郎監査役については、議案に利害関係なしと説明していた。これは虚偽記載に当たるので解任すべきだ」と迫りました。これに対し中本常務は、「当期の産経新聞社との取引は、産経側からのTV広告収入が1億8300万円、家賃収入が11億7300万円。フジテレビからは産経に21億8300万円の新聞広告料を支払っている」と、初めて産経新聞社との取引関係を明らかにしました。フジテレビは、これまで、産経新聞社に対して、年間50億円ー100億円の資金援助を行っているとされていました。株式上場で経理の透明性が要求されることから、97年度に、その一部を打ち切ったとみられていました。しかし、98年度でも20億円を越える巨額の資金が、媒体価値の乏しい産経新聞に広告料の名目でタレ流されていることが判明したわけです。フジテレビは新聞広告以外にも、産経新聞社主催のイベントへの協力などで不明朗な資金援助を行っているのは確実です。産経への資金供与がフジテレビの株主の利益を損なっていると言わざるを得ません。
このほか、一般株主が「退任役員への退職慰労金の額や内容は総会で決めるべきだ」と提案したのに対して、尾上専務は「その必要はない」とハネつけました。さらに山口さんが「自自公体制で危険な法案が次々と成立し、その一方で国民の生活は最悪の状況だ。この事実をどう報道しようとしているのか」と報道姿勢を質しました。中出専務の答えは「公正、公平に報道する」という抽象的で無内容な一般論にとどまりました。また、一般株主が「フジテレビの広告発注先が特定の代理店や新聞に片寄りすぎているため癒着が生じている」と指摘したところ、村上常務は「グループの新聞には、当然、ある種の配慮をする」と開き直って、産経新聞社への援助を正当化しました。さらに一般株主が「配当をもっと増やせ」と要求したのに対して、木下監査役は「適法に監査した」とトンチンカンな答弁を繰り返すだけでした。

在任13年の超長期政権狙う日枝社長に退陣迫る

2度目の質問に立った松沢くんは「日枝久社長は在任13年と長すぎる。社内活性化のため後進に道を譲るべきだ」との見解を述べましたが、日枝久社長は「会社が任期を決める。あなたではない」と、企業の最高の意思決定機関である株主総会をなめきった答弁で会場の顰蹙をかいました。山口さんの3度目の質問は「回答が質問に即応していない。再質問を封じているのも問題だ。有事立法体制とでもいうべき危険な現状に対して、日枝久社長はどう考えるのか」というものでしたが、日枝久社長は「公正、公平に報道する」の一言で逃げてしまいました。
松沢くんの3回目の質問は、出席した社員株主の数と、産経新聞社からの家賃収入の内容の明示を求めたものでした。尾上専務は「40-50人」と、実際の半分の数を、いけしゃあしゃあと答え、当の社畜株主たちからも失笑がもれるほどでした。中本常務は「フジテレビが95年に吸収合併したフジサンケイグループ本社が産経新聞社に貸している印刷工場の賃貸収入だ」と明らかにしました。

社畜株主がカメラを強奪、スタッフも松沢くんらに暴行

時間が12時になったころ、頃合を見計らったかのように、社畜株主が質疑打ち切りの動議を提出、一般株主らの反対の声を無視して、日枝久社長が、これを採択しようとしました。その後は、怒号と罵声が飛び交う中、何が何だかわからないうちに、突然、日枝久社長が「総会終了」と叫んで、役員たちは壇上から逃げ去りました。その様子を写真に撮ろうとした山口さんから、社畜株主がカメラを強奪。「フジテレビ・スタッフ」が松沢くんを小突きまわすという暴力シーンが演じられました。役員たちがいなくなった後も、社畜株主ら数十名が松沢、山口両株主を取り囲んでいつまでも威嚇していました。こうしたフジテレビ側の暴力行為に対して、松沢、山口両株主は、書面を以て、フジテレビに厳重に抗議するとともに、刑事告訴も検討する方針です。

23人の仲間が3時間30分の情宣活動を貫徹

当日、会場のホテルの前には、反リストラ産経労の組合員をはじめ、昭和シェル石油労組、駿台労組、東洋印刷労組、国労闘争団、全交、人権110番などの仲間たち総勢23名が結集、早朝の8時30分から12時過ぎまで、3時間30分以上にわたって、株主やフジテレビ社員にたいする情宣活動を貫徹しました。今回も水上署の公安警察が10人前後も押しかけて、挑発と弾圧を繰り返しましたが、反リストラ産経労と支援部隊は毅然とした態度で、それをハネのけ、憲法、労組法、商法に保障された労働者と株主の権利を行使しました。


                  以上。