家庭訪問は大変なのだ
毎年訪れる家庭訪問。
方向音痴の私にとっては 地獄のような毎日。
でも,年々 保護者と年齢が近くなってきたこともあり,大笑いしながら話が弾むことも多く,楽しみの一つにもなっています。
そんな中で,私の思うこと,体験したこと,まじめな話,失敗談などを書きたいと思います
● はじめての家庭訪問 ●
家庭訪問,なんて魅惑的な響き。
だって,お菓子が食べ放題。
私ははっきり言って,お菓子が大好きである。
幼稚園の頃の夢は,お菓子の家に住むことだった。
いじわるなばーさんが住んでいようが なんだろーが 食べちゃうもん!
食べて食べて食べつくすもん。
屋根と柱は最後に食べないと 家が壊れちゃうから,壁から食べるもん。
と,幼いながらも 意外と冷静だった幼少期を思い出す。
フフフ・・・準備も ぬかりない。
昨日,チョコが好きっていうことは さりげなくばらしておいた。
うちのクラスは37人いるから・・5日間で平均5〜8個のお菓子が食べられる。
まもなく 家庭訪問が始まり チョコ三昧の日々。
ケーキ・マドレーヌ・ドーナツ・シュークリーム・・・夢のような毎日。
あ〜,極楽 極楽。
出されたものは,お茶もお菓子も全部食べた。
「私,今とっても 幸せなんです」
同僚のせんせーに その至福の気持ちを伝えた。
すると,
「バカねー,そんなことしたら子供から うらまれるわよ。」
普通,先生というものはお菓子は食べないものらしい。
残ったお菓子は,子供のおやつになるらしい。
他のせんせーには,
「ここまで食べたからには,全部食べなきゃダメよ。」
食べたり食べなかったりすると,”あそこの家では食べたのに,うちでは食べなかったわ!”などという噂が立つらしい。
学校というところは,とてもムズカシイところらしいということがわかった。
しかし,同僚の心配をよそに わたしは全家庭のお菓子制覇を成し遂げ,無事 家庭訪問が終わった。
その後,超甘い者好きの先生という伝説が残ったのは言うまでもない。
でも,そんなこんなも 今は昔。
まだ,私の体重が40kgそこそこだったころの話であった。
ああ,なつかしや・・。
● ネバーエンディングストーリー ●
ある地域は,やたらと「横浜」さんばかりだった。
住宅地図を見ると,そこら辺一体 全部「横浜」姓。
いやーな予感は当たった。
道に迷いまくったのである。
道端で 道を聞く。
「横浜○○さんの家を探しているんですが・・・」
「ああ,○○さんなら そこの横浜△△さんの右の道をまっすぐ行って,右手にある横浜□□さんの斜め向かいだよ。」
「はあ,そうですか・・。」
生垣の家が多いので,門柱がない。
「ここの家かな?」と思うと車を止め,表札を見に玄関まで歩いていく。
横
浜わかったっちゅーの!
で,家族のメンバーは誰なのっ!!
郵便受けを見ても 家族の名前が書いていない。
しかたない,ピンポーン・・・。
「横浜○○さんのお宅ですか?」
「いいえ〜。ちがいます〜。○○さんの家はねえ,そこを左に曲がって・・・」
また,はてしない旅が続く・・・。
● ミイラ取りがミイラ ●
家庭訪問に伺うときに 頼りにするのは,ご家庭で書いていただいた略地図。
それを見ても,いまいちよくわからない場合,住宅地図を併用する。
その地図には,細い道まで事細かに書いてあり,道筋をたどるのにはもってこいなのだ。
その日も,近道をしようと 住宅地図とにらめっこをしていた。
とっても細い道。でもこれを通れば,次の家はすぐそこ。
私はあせっていた。いつものごとく,しゃべりすぎて時間がおしていた。
早く着かねば・・・。そんな思いが命取りだった。
今日の星占いは,「最高の星回り。何をやっても成功するでしょう」だった。
えーい,行ってしまえ!ゴーゴゴー!!
星占いに運をまかせ,その道へ車を進ませることになった。
細い道は,右は高さ1メートルほどの崖。落ちたら原っぱにゴロンゴロン。
左はギリギリ垣根が迫っている 雨上がりのビミョーな小道。
車体が 垣根にこすれるのがわかったが 行くしかない。
しかし,気のせいか 道幅が狭まっていくような気がする。
あ,そっか。遠近法か。きっとそれで 先が細く見えるだけなのさ。
えーい,行ってしまえ!なんてったって,今日は最高の星回り。
50mほど進んだところで,道幅は車体の幅ギリギリになってしまった。
これ以上 先へ行ったら,車が落ちて 私が逝ってしまう。
困った・・。何がサイコーの星回りだ・・・。まったく。
バックしなくちゃ。
ズズズッ。
鈍い音がして車体が傾いた。
ゲッ。やばい・・・。神様・仏様・占い師様!!
幸い,下の原っぱには落ちなかったものの,後ろの車輪がひとつ滑ってしまった。
アクセルを吹かしても,タイヤは空回りするばかり。
どうしよう。どうしよう。何がサイコーの星回りだ。チクショー訴えてやる!
さっき訪問した家に応援を頼みに行った。
すると,すぐに親戚一同を集めて応援に来てくれた。
次の訪問先に遅れることを連絡したところ,そこのお父さんもスーツ姿で駆けつけてくれた。
あぁ,なんて温かい人たち。世の中捨てたものじゃないわ。
かくして,車を引き上げるぞ大作戦が始まった。
タイヤの下に板を敷いて,アクセルを吹かしてみる。
ガガガガッ。
一瞬 動くのだが,この傾斜を はい上がるほどの威力はない。
次に,みんなで車を持ち上げてみた。
私の車は軽自動車なので,なんとか持ち上がった。
「やったぁ!」
・・・・ズリズリズリ。
しかし,車は申し訳なさそうに,また ずり落ちてきてしまう。
雨でぬかるんだ道は,てごわい。
最後の手段,軽トラックで牽引することになった。
「おーし。行くぞ!!」「はい!」
ガッコーン。
元の道へ見事戻った。
気分は,プロジェクトXである。
「男たちのアツイ戦いは幕を閉じた・・」,そんなナレーションが頭の中を駆け巡った。
と,そのときである。
「あぁぁぁっ!!!」
雄たけびとともに,車を引いてくれた軽トラックが落ちてしまったのだ。
どぉーーーなって,しまうのか!!
気分は,一気にガチンコと化した・・・。
その後の家庭訪問が,すべてキャンセルになったことは言うまでもない。
● みんな同じでみんないい ●
家庭訪問で よく耳にするのが,
「みんなと同じように できていれば」 という言葉である。
結論から言うと,そんなの絶対無理である。
それぞれ顔が違うよーに,得意不得意にも でこぼこがあってしかるべき。
だったら,「みんなと同じがいい」といって
女子高生が こぞってルーズソックス はいてても,
「人並に かっこいくなりてー」と,
男子高校生が 一様に 細い眉 してても,
ブツブツ文句言う権利 ないよなーと 思ってしまう。
反対からのぞいてみれば,そんな大人社会のものの見方が
いろんな形で 子ども世界に映し出されているような 気がする。
● 家庭訪問 初心者講座 ●
最後は,カタイ話題。
「家庭訪問なんて初めて。何を聞かれるのかしら」という方のための家庭訪問講座。
○ 家庭訪問の前に
家庭訪問前に,学校に略地図を提出することが多いのではないでしょうか。
これ,結構 頼りにしているんです。
でも,道が1本,ぐねぐねって書いてあって,「←ここ」って 家を示すだけの地図の場合,私のような方向音痴はたどり着くのが困難になる場合も。
特に,まわりが全部同じ苗字の地区,閑静な住宅地は,一番迷いやすい場所。
・「白い壁・赤の屋根・洋風の建物」といった家屋の特徴
・「斜め向かいに公園」といった近くの目立つ場所
・近所のお友達の家
・車が通れない道(階段であったり,細かったり,車止めがあったり)
こういった特徴が書き添えてあると,気が利いたおうちだなあと感心してしまいます。
○ 教師が家庭訪問で知りたいこと(あくまでも私の場合)
1 家庭での様子を聞く
友達関係・生活の様子(起床・就寝時間,家庭での学習,遊び,食べ物の好き嫌い,習い事,帰宅時の状況など)・好きなこと・得意なこと・困っていることなどなど。
2 どんなことを伸ばしていきたいか
例えば,ピアノが得意という話であれば,それを学級の中で役立てていきたいと思う。
発表が苦手で内弁慶,というのであれば,自分を表現できる力を育てていきたいと思う。
おうちの人がどんな教育観を持っているかも含め,どういった力をこの1年で伸ばしていきたいかを聞くことにしてます。
3 学校での様子を伝える
学校でがんばっていることや友達との様子,生活や学習の状況を伝えます。
よい面を伝え,これからこういった部分を伸ばしていきたい,という話をすることが多いです。
しかし,忘れ物が多い,学習面の遅れ,問題行動が多いなどの場合,率直にそれらをお伝えすることもあります。
家庭での具体的な対処の仕方を含め,どうしたらよいかを話し合います。
4 教員や学校への要望を聞く
あらかじめ,要望や聞きたいことを まとめておいていただけると話がスムーズに進みます。
5 家の様子を見る
これは,書こうか書くまいかちょっと迷うところなのですが,家の中もちょこっと観察します。
経済的なこと,物のかたづき具合など。
子供の生活の一部が垣間見えます。
○ 家庭訪問で言われて困ってしまうこと
・○○先生は,入学式のあと子供を大きな声で怒鳴っていらして,感じ悪いわ。
・○○君,いじわるなので 私嫌いなんです。うちの子とは付き合わせたくないわ。
(悪口はやめましょう。子どもも影響を受けます。同じことを言うなら,違う言い方をしましょう。私的な感情は入れずに,事実のみを!)
・女の先生,特に 若い先生は困るんですよね。ちゃんと指導できるんですか?
(確かに 若い先生は頼りないかもしれないけど,お互い支えあっていいクラスを作っていきましょう,ね!。)
・他の子が同じことをしても,去年はうちの子ばかりが怒られたんです。うちの子って損。
(悪いことをしたら怒られるのは当たり前。他の子が同じことをしているのに,などと親がフォローしてしまうと,子供は怒られたこと自体に不信感を持ってしまいます。子供のくやしい気持ちは理解しても,その行為自体はしっかり叱ってください。)
・うちの子は,もう言うことを聞かないんで,先生が怒ってください。
(今,そんなこと言ってたら 思春期を迎えたとき,どうなってしまうんですか!)
・宿題をやらないのは,先生が怒ってくださらないからです。もっと厳しくしてください。
(宿題は家庭学習。ある程度,家で習慣づけしてほしいものです。)
・時間は5時以降にしてください。
(これは,私は別に気にならないんだけど,人によっては嫌がります。一応,勤務時間は5時までですから。)
などなど。
厳しいようですが,上のようなことをおっしゃる家は ちょっと困ったちゃんだなぁ,と個人的に思っています。
○ その他 素朴な疑問
Q お茶は出した方がいいですか?
私はお断りしています。
お茶を用意していただく時間がもったいないので。
でも,ご家庭によって どちらでもよいのではないでしょうか。
お茶の代案としては,冷たいおしぼりや持ち帰り用のスタミナドリンクなども。
「お茶ばかりではお腹がいっぱいになってしまうと思ったので」などと付け加えれば,お茶でお腹がポンポコポンになっている教員にはかえってありがたいです。
Q お世話になるので,何か差し上げた方がいいのでしょうか。
何も用意する必要はないと思います。
家庭訪問では,商品券やお菓子などをいただく場合があります。
年々 少なくなってはいるようですが,かえって気を使います。
それでも,どうしても感謝の気持ちを伝えたいという場合,金額的に負担のないものがよいのでは?と思います。
今までいただいてうれしかったものは,「足に貼るシート」「ドリンク剤」「ハーブティー」など,「お疲れでしょうから 体を休めてね」という ねぎらいのメッセージが感じられる安価なもの。
中に手作りのカードが入っていたりすると 涙もの(T_T)。
でも,やっぱり基本的に何もいらないと思います。
その他,何か質問がありましたら どうぞBBSに書き込んでくださいませ。