Saturday In The Park

〜football weekend〜


1stステージ第3節 FC東京 3−2 東京ヴェルディ1969 at 味の素スタジアム


No.43 大人は判ってくれない

相手チームの屈強なDFに弾き飛ばされ、倒れこむ。
ホイッスル。ファウルだ。
その音を耳にした瞬間、ピッチに半分顔を埋めたまま、ババユータはニヤリと笑った。
ような気がした。いつだってそうだ。
不敵でふてぶてしく、あくまでマイウェイな小僧っ子。
スタンドの我々をとことんイライラさせた次の瞬間、うっとりするようなドリブルやパスを見せる。
始末が悪い。ファンタジスタ? 止してくれ。

しかし今日のダービーで、絶対に負けてはならないこのゲームで、
まるでくたびれたシャツのようだった情けない「大人たち」に
目の覚めるような折り目正しき秩序を与えたのは、他ならぬこの小僧っ子であった。
ケガを乗り越え、たくましさを増したその体はしかし、スピードには衰えをまったく感じさせることなく、
ボールをさばきドリブルを仕掛けていく。
ヨレヨレだったチームのシワをていねいに伸ばし、アイロンを当て、糊を利かせる。
小僧が組み立てる美しき4-5-1。遅滞なくボールが前へと流れる、我らが東京の黄金比。
仕上げに襟を整えたのは奴自身である。逆転のヘッド。グウの音も出ない。

体が一回り太さを増したような印象があるとはいえ、華奢な技術系のイメージは相変わらずである。
端整な顔立ちに長い髪。そろそろハタチを越えたのに、未だに末っ子キャラであることに
別段の違和感も感じさせない。
しかし何かが確実に変わった気がするのはなぜだろう。
奴がボールを持った瞬間のワクワクが、これほどまでに高まるのはなぜだ。

文字通り、ピッチのど真ん中に君臨する姿を見据えながら、
「恐るべき子供」がついに脱皮した瞬間を今、目の当たりにしているのかもしれないと、
さらに気分が高まっていくばかりである。
小僧よ、いや、ババユータよ、もしも今日の姿がホンモノならば、
おまえがすでに「将軍」の手からタクトを奪える位置まで辿り着いていたのならば。
判ってなかったのはこっちかもしれないなと、胸の中でボソリ呟く。

…ファンタジスタ? 

ニヤリ。


2004.4.3 sat



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