Saturday In The Park

〜football weekend〜


2ndステージ第14節 FC東京 3−3 ジェフユナイテッド市原 at 味の素スタジアム


No.58 遠くまでいくんだ

試合開始早々から2点を先行された時点で、もう自作自演の匂いがプンプン。
今年1stホーム最終の名古屋戦、ナビスコ杯準決勝ヴェルディ戦。
90分の大半を、取って取られての大立ち回りを思い切り派手に演じておいて、
最後の最後でなんとか勘定を合わせる。そんなおなじみの筋書きが見えたような気がした。

涙の初戴冠からこっち、寝惚けたようなゲームばかり見せられている我々としては、
いくら予定調和でも多少なりともエキサイティングな展開を目の当たりにできるだけで、
ああ、こんなの久しぶりだと悦に入っては見るものの、リーグ戦においてはもう
2カ月以上も勝ちを見ていないという不甲斐のなさは変わらない。

もっとも、勝ったり負けたりを繰り返すチームを飽きもせず懲りもせず追いかけ、
時には小躍りし、時には肩落としながら夕暮れの帰路を辿る、その繰り返しにこそ、
クラブチームを愛することの醍醐味があるのではないか、そうだ、そうに決まってる、と
半ば自分に暗示をかけているところで監督のシーズン最後のご挨拶が始まった。

得点に拳を突き上げ、スーツの袖も切れよとばかりに飛び跳ねる。
失点に俯き、ポケットの中に両手を突っ込みながら眉間にシワを寄せる。
ゲーム中に見せる一挙一動が、スタンドに陣取る我々ファンと寸分違わないその姿が、
愛されぬはずはなかろう。よく食べ、よく笑い、
恐らくは、人生というものを心の底から楽しんでいるのであろう、我らがマネージャー。
言い訳の似合わない彼の、試合後に予定されているスピーチをフォローするように、
本日のゲームにおいても選手たちはものの見事な帳尻あわせを演じて見せた。
よかった。これでヒロミの楽しいスピーチが聞ける。

「大きな声では言えませんが、………天皇杯は狙ってます」

大歓声に沸くスタンド。みんながニコニコ笑いながら思っている。「ホントかよ」。
でも今シーズンは、夢をひとつだけ叶えた。
まだ肌寒い春先から、念仏のように唱え続けた「優勝」の二文字が、現実の王冠に姿を変え、
晩秋の空から僕らの頭上に降ってきた。
そしてコクリツのピッチの上で、誰よりも喜びを派手に爆発させたのは彼自身であり、
おめでとうよりもありがとうよりも、よかったな、とその姿を見ながら思ったものだった。
よかったな。ヒロミ。

さて、いろいろあったシーズンもそろそろフィナーレ。
0-2から3-3に持っていく大味なゲーム、リーグ戦のやりきれなさを帳消しにする優勝カップ、
勝ったり負けたりを繰り返す不安定な戦い。喜ぶべきか憂うべきか、
結果としてよくわからない、というのが2004年のハラトーキョーであった。
が、それでも僕らは原 博実のジェットコースターにおっかなびっくり乗っかって、
とりあえずは去年よりも遠い場所まで来たように思う。
時には上り、時には下りながら、怒涛のUP&DOWNに嬉々として歓声を上げる僕らのことだから、
来年もまた、彼と一緒に拳を突き上げ、飛び跳ね、眉間にシワを寄せるのだろう。
急上昇、急降下、大いに結構。過程はどうあれ、また1年を重ねたときに、
今年よりも遠い場所へ僕らを運んでいてくれれば、それでいい。
同じ場所へ行くならば、平坦でない方が道中は楽しいはずだし、そこにこそ、
クラブチームを愛することの醍醐味があるのではないか、とやはり自分に言い聞かせてみる。

そうだ。そうに決まってる。


2004.11.25 thu




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