Saturday In The Park

〜football weekend〜


天皇杯準々決勝 FC東京 1 − 2 浦和レッズ at 埼玉スタジアム2002


No.59 (You're My) Wonder Wall


試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、どうしようもなく寂しい思いに捕われる。

それは、今日で見納めとなる19番に対するものなのかもしれないし、
ただ単純に、次の週末にはもうゲームがない、という事実に起因するものなのかもしれない。
でも、例年に比べ、たかだか数日長くシーズンを過ごしたというだけで、
師走、寒空の下で敗戦と今季終了を告げる笛を聞くことはこれが初めてではもちろんない。
それでも、いつもの倣いとは違うこのなんともいえない寂しさはなんなのだろうと考えながら、
ピッチを去って行く選手に手を振った。すし詰めの地下鉄に押し込まれた。
つり革にしがみつき、脚を踏んばったところでようやく電車は動き出す。

フル代表選手の輩出、念願の初戴冠。事柄だけ見れば格段の進歩を遂げたわれらがチーム。
2004年は、明るく笑って見送るにふさわしいシーズンであるはずだ。
FC東京はクラブとして次なるステージへと進み始めたと言ってよいだろう。
それなのに、僕らが高みへと昇れば昇るほど、
なんとも言えない息苦しさがのしかかってくる気がする。それは何なのだろう。
電車は鳩ヶ谷を通り過ぎた。

カップウィナーの称号を鼻高々でふりかざすつもりは毛頭ないけれど、
それでもタイトルホルダーになった東京は、自ら手にしたものにふさわしいチームとして
強くなることができるのだろうか。リーグ戦の振るわない成績、相変わらず不安定な戦いぶり。
しかしひとつの優勝をきっかけとして、今までには見られなかった強さと逞しさを、
今日のピッチで見届けることができれば、と思っていた。駒がそろわないのは承知の上、でも、
ここがさいたまであり、相手が浦和であった今日、それが見たかった。
勝ち負けでなく、内容でもなく。
電車は赤羽岩渕を出る。

それは巨大な壁なのかもしれない、と思う。はしごをよいしょと昇った瞬間、初めて眼前に現れる壁。
たった今やっとの思いでよじ上ってきたものよりも、はるかに高く大きい。
次に目指すものが今、目の前に立ちはだかった。
常に高いレベルで戦い続けることによってのみ、乗り越えることのできるフットボールの壁。
今日のゲームとは、それに挑むための最初の一歩ではなかったか。
少なくとも本日の対戦相手は凄まじい気迫でその壁をよじ登ろうとしていた。
一方、僕らのシーズンは終わってしまった。
寂しい。寂しいなあ。

電車はようやく四ッ谷に着いた。


2004.12.21 tue



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