Saturday In The Park

〜football weekend〜


プレシーズンマッチ FC東京 0 − 1 川崎フロンターレ at 味の素スタジアム


No.60 In To The Liquid


約3ヵ月もの間ゲームに飢えていたファンにとっては、我らがホームに久しぶりに足を踏み入れる、
というだけでそれなりによい休日となったのではなかったろうか。
プレシーズンマッチの段階からああだこうだと野暮を言いたくはないのは本心ではあるけれども、
それにしても「まあ、久しぶりにスタジアム行けたし」とでも独りごちながら
帰りのバスにふらふらと揺られている夕暮れではあった。心はやや曇り模様である。

最初の15分ほどは、ワンタッチでくるくると回されるボールが生み出すリズムに
見通し明るい2005年シーズンを夢見たものだったが、1点取られてからは、
それまでワンプレイごとに実に心温まる拍手を送っていたスタンドも、
徐々にぴりぴりムードを醸し出し始める。
「だってプレシーズンマッチだもの」と、今日ばかりは野次を封印する気概満々に見えた
前に座っているおじさんも、我慢の限界とばかりに声を大にして叫び出した。
さっきまでぽんぽんと拍手を刻んでいたその手は今や握り拳。

後半に入ると、ぽっかり開いた中盤に降ってきたボールをことごとく支配され、
やっとこさ奪い返したボールはすごすごと最終ラインへ渡すだけ。
攻めて取るんではなかったのか。今年は。
多少不器用でも拙くても知ったことか、とにかくボールはよくわかんないけど前へ前へ、
そんな愚直さこそが、このチームの良さであり笑いどころであったはずなのに、
一体何を怖がっているのか。

そして0-1にて試合終了。
「だってプレシーズンマッチだもの」というお気楽さなど、
最早スタンドの誰もが持ち合わせてはいないことは、
開幕さえ迎えていないのに思いっきり発せられたブーイングでわかるだろう。
今、この場においてもなお、驚異的な楽観を持ち合わせている人間がいるとすれば、それは紛れもなく
ピッチにすごすごと用意されたマイクの前でご挨拶を始めたあの人だろう。彼はきっと思っている。
「だって、プレシーズンマッチでしょ?」

さて。こうして若干暗い心持を抱えたまま、あと数日でまたシーズンが始まる。
打つ手なくバックパスを繰り返す選手たちを本日目の当たりにして、
週末ごとに勝った負けたのアップダウンに酔いまくる、あの日々の息苦しさを思い出す。やれやれ、だ。
それでも、それでもとにかく、今年もフットボールが帰ってきた。
僕らはひとり、またひとりと、文句も言わず、疑問も持たず、シーズンへと身を投じていく。
それはまるで、今はまだ波紋ひとつ立たぬまっさらなプールへと飛び込むようなものである。
息継ぐことさえ叶わぬ深い深い水の中へダイブする。春から秋まで沈み込み、底をさまよう。

それはなんて苦しくて、そして楽しいことなのだろう。


2005.2.27 sun



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