Saturday In The Park

〜football weekend〜


Jリーグ第1節 FC東京 4 − 0 アルビレックス新潟 at 味の素スタジアム


No.61 Right Time , Right Side !


「切り刻む」という表現が、まさにぴったりくるような状態だった。
我々にとっては壮観、対する新潟にしてみれば惨状。
開幕の夜、3月5日の右サイドの話である。

刃物を振りかざし、嬉々としてライン際での突進を繰り返していたのは、もちろん石川直宏。
触れなば斬る、とばかりにトップギアで突っ込んだかと思えば、
相手の出足を空回りさせる急ブレーキでかわし、さらに急ハンドルで方向転換。
スピードスターとはよく言ったものである。

18番の爆走を支えたのは栗澤。石川にボールを出し、また預かって、
最後の最後で相手に止めを刺す凶器をそっと渡す。背徳のパス交換。
ふたりが右サイドで小気味よく輪舞を披露しているおかげで、
背後の加地はいつになく控えめ。ただし機を見て上がるその走りはまた、
我らが「右」の脅威をさらに高める。

ところで我々の右の対面もまた、新潟にとっての生命線。
同じくスピードを売りにする鈴木慎吾がそこにはいるわけだけれども、
今宵のところは、ひたすら暴走する「右」に手を焼くばかりで90分を消費する。
言わば刃をのどに突きつけあう展開を予想していた部分もあったが、
結局、10分足らずを残して交代するまで、石川が一方的に走り通してしまった。
まさに切り捨て御免。
そして終わってみれば4得点。久々の快哉を叫ぶスタンド。いい夜である。
しかもそのうちの3点は、すべて石川の脚から生まれたと言っていい。

初めて見たのは駒沢だったか。
ライオンのたてがみのような金髪に、細い脚。
額に筋浮かべて福田健二に激を飛ばすのに必死になっていた我々の前に、唐突に現れた男。
時を経て、進化し、チームの攻撃スタイルを体現する存在にまで成長を遂げた。
だから我々はいつだって「右」を見る。すべては右サイドで起こる。
時に飛び上がり、時に頭を抱えて、その刀さばきを固唾を飲んで見守るのだ。

とまれ、シーズンは始まった。これ以上はないスタートで、34試合の最初のゲームを終えた。
道のりは長く、浮かぶ日沈む日の繰り返しにまた翻弄されるのだろう。
それでも。それでも、18番の脚にボールが渡れば、我々はとりあえず一瞬の夢を見ることができる。
歓喜も失望も、右サイドに宿る。そこに石川直宏がいる限り。


2005.3.6 sun



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