Saturday In The Park

〜football weekend〜


Jリーグ第12節 FC東京 1 − 2 ジェフユナイテッド千葉 at 市原臨海競技場


No.63 Fifty Ways To Leave Your Lover


経験はないだろうか。

言葉を尽くして、話せば話すほどなお遠くなる。
気持ちを込めて、触れ合えば触れ合うほどより解らなくなる。
疲れ果て、互いにどうすればよいのか答えを見出せぬぬまま、俯いて黙り込む。
そんな経験はないだろうか。

午後9時、ゲームの終わった市原臨海競技場のゴール裏スタンドとチームとは、
まさにそんな風情で向き合っていた。互いに無言だ。かける言葉もない。
引き分けをはさんで7連敗。
明るい未来のイメージを共有し、微笑みを交し合え、というほうがムリというものである。

完全燃焼の果てに、それでも望むものが手に入らなかった前節大宮戦。
あの報われぬ幕切れのまま、中断期間を迎えることができたなら。
それでも最後の最後にひとすじの光明が差し込む、というオチとともに、
悲劇の第一章をひとまず終えることができたのに。
7月からの第二章の結果がどうなるにせよ、チームと僕らはとりあえずの栞を、
そこにはさむ事ができただろう。
いろんな意味でこのアウェイは、立ち位置の難しいゲームではあったのだ。

選手はがんばっていた。必死だった。
しかし、体や心のどこかに、前節の燃えかすをくすぶらせたまま、それを持て余していた。
そんな状態で背負った2点のビハインドを、最早取り返す術も力もあるはずはなかった。

ゲームの後、僕らとチームの間に訪れた沈黙の意味は、何だったのだろう。
それは決して、互いを見切る諦めでもなく、結果に対しての抗議でもなく。
「どうすればいいんだろう」「どうしたらいい?」
そんな答えの見えぬ、沈黙の中での果て無き問答。
いっそこの場から立ち去れたら。
もう終わりだよと、一言呟くことができたなら。

恋人と別れる方法は50だってある、と誰かが歌っていたけれど、
好きなクラブとのそれは、ただのひとつだって思い浮かばない。
こんな冷たい風の吹く、見知らぬ街の夜に置き去りにされても。


2005.5.15 sun



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