Saturday In The Park

〜football weekend〜


Jリーグ第23節 FC東京 1 − 0 清水エスパルス at 国立競技場


No.66 光ある限り光の中を


職場の隣の机に戸田がいたら、仕事サボろうなんて気も起きなくなるのかな。

例の如く、虎視眈々と裏取りの機会をうかがって走りまくる姿を見ながら、そう思っている。
怪我から復帰してもやることは変わらない。槍の如くすっ飛んで行っては、また戻る。
疲れも知らず、迷いもなく。ただ一心に仕事をする。

内容には決して見るべきものなどなかったように思う。
取り立てて今シーズンの見通しに明るい兆しが見えたわけでもない。そんなゲームではあった。
それでも、なんとなく前節までとは違う空気をチームから感じ取ったのは、
たぶん戸田が帰ってきたからだろう。

ボールが収まりどころを必死に探して、あちこち転がっているような90分間。
ボランチが不安定なせいか(誰のせいとは言わないけれど)、対する清水の選手たちも
我らが東京と同じくらいボール扱いがよろしくないせいか、大味で雑把、
およそ「システム」の存在を感じるような攻撃は双方とも繰り出せない展開。
それだけに、決まりどころがあるとすれば、おそらくセットプレーからでしかありえないのでは、
と思っていたところに後半11分がやってきた。

軸足まで宙に浮くような渾身のボレー。一閃。

先述のように、ボール扱いが決して上手でない選手が多い中でそれでもこの13番は、
たまにはっとするようなコントロールを見せる。
背後から飛んできたフィードを、かかとひとつで見事に手なずけたり、
やわらかく放物線を描くボールの落下地点で、フルパワーでその脚を叩きつける。
俯瞰の視点でピッチを見渡した場合、戸田の動きは大きく単純であるかもしれないけれど、
足元においてはなかなかの繊細さを時折覗かせる。それが面白いところではある。

ともあれ。久々の勝ち点だ。素直に、13番に「ありがとう」と、声に出して言いたい。

戸田がピッチに帰ってくることで我々が期待したもの。
それはマジメさであったり、勤勉さであったり、ある種の愚直さであったり。
この期に及んで技術だの作戦だのと、お上品なことを抜かしている場合でもないわけで、
そうであればこそ、きちんと自分の仕事をして(おまけに決勝点まで取って)、文句も言わず
ただチームのために走るその姿こそが、僕らに希望らしきものを与えてくれるんだと、
それは今の東京に於いては、すがって掴んでしかるべき一筋の光なのだと、
宵のコクリツで風に吹かれながら考えた次第である。

左前めのいつもの場所に戸田がいたら、仕事をサボろうなんて気も起きなくなるはずだもの。


2005.9.10 sat




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