Saturday In The Park

〜football weekend〜


Jリーグ第25節 FC東京 0 − 0 大分トリニータ at 味の素スタジアム


No.67 強き者の頭上に奇跡は


サッカーを観るということは、ミラクルの瞬間を待ち続けることでもある。

たとえばロスタイム数分数秒を残しての勝ち越しゴールがネットを揺らす一瞬。
たとえば絶対絶命のペナルティキックを弾き出すゴールキーパーの手。
たとえば長く美しい軌跡を残してゴールマウスに吸い込まれるミドルシュート。

体が震えるような、頭の中が真っ白になるような刹那を求めて、今日もスタジアムのゲートをくぐる。
ただし。往々にしてそんな期待は裏切られるハメになることは、誰もが知っている。
こと我らがチームに於いては。
9節を残して13位。25ゲームを消化して、勝ち点わずか28のチームの頭上に、
奇跡が舞い降りる確率はきわめて低いことなぞ、誰に言われるまでもなく知っている。

それでも、キックオフ前の荘厳な歌声に合わせ、まるでその歌詞をなぞるように
分厚い雲の切れ間から光が射したときには、今日こそは、と思ったものだった。
寛大なる慈悲とともに、「下位チーム」の僕らのピッチに奇跡が降り注ぐ。
Today is the day. 今日がその日だ。

正直に告白すると、自分自身に限っていえば今日の90分は、
およそイライラしか感じることのない、誠にストレスフルな時間であった。
それでも、両チームスコアレスのまま迎えたロスタイムが残り2分、と知った瞬間、
それまでの怒りと胸が悪くなるような感情をとりあえずの間は抑え、
今こそ「それ」がやってくるのだと強く、強く信じたのだった。
Now is the time. 今がその時だ。

……結果はご存知の通りである。
今日もまた、その日ではなく、今もまた、その時ではなかった。
終了のホイッスルとともに振り上げられたレフェリーの腕を呆けた顔で見つめながら、
いろいろな意味でぐちゃぐちゃになっている頭で、ああ、と思う。今日もまた、だ。
つくづく、物語を紡がせてくれないチームである。
天を仰ぎ見る。キックオフ前に見せた希望の光なぞ、
なかったことにしてくれとばかりに重く口を閉ざしたように空を覆う黒い雲。
それでも不承不承わずかながらに開いた唇の端から、漏れ聞こえてくるのは耳の痛い言葉だ。

奇跡は、強きものの頭上にこそ舞い降りる。

僕らの選手たちが今日、ピッチで見せたもの。
見込みだけで安易に繰り出されるボール、連係のかけらもないパス、気持ちの見えないタックル。
残り9節を残して、我らがチームにはまだミラクルを迎え入れる準備なぞできていない。
僕らには、その資格がなかった。対する大分にも、それはなかった。
スコアレスドローという結果はそれを示すものであり、
14位と16位の対戦とは、そういうものである。


2005.9.25 sun




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