Saturday In The Park

〜football weekend〜


Jリーグ第33節 FC東京 1 − 1 川崎フロンターレ at 味の素スタジアム


No.69 Stop In The Name Of Love


少なくとも負けることはないだろう、とは思っていたので、
1-1のドローという結果に特段の驚きも感慨もなく、
ハラヒロミの前にマイクスタンドが置かれるのを眺めていた。
それはもう、あらかじめ決められているストーリーと言ってもよいくらい、
ホーム最終戦においてはFC東京はバツの悪い結果を出さない。
なぜならば、ハラヒロミが喋るからである。ぼくらはそれを聞いて無邪気に笑う。
スタジアムに集まった数万数千が、ヒロミの話に心から笑うために、
チームは一応の結果を出すのだ。最低でもドロー。去年も一昨年もそうだった。

シーズン半ばに地獄を見たときには、少なくとも彼は今季限り、もう役目は十分に果たした、
と思ったものだったが、それでも、夕闇迫る晩秋のスタジアムで
その軽妙な語りを聞いていると、なんだか来年も彼でいいじゃないかと、
ふと思ってしまいそうになる。別れるに別れられない恋人のようなものである。
新鮮味も失われた。新しい話題もない。ただ惰性でそばにいる。でも(やっかいなのはここだ)、
でも、そばに居て欲しい。ああ。ハラヒロミ。

いかんいかん、と流されそうになる気持ちを必死に食い止めたりするのだけれど、
ゴール裏の面々は未来永劫そばにいてくれと言わんばかりにその名前を叫んでいるではないか。
来年こそは優勝争いを、リーグ戦制覇を、などと結果だけを追い求めるのも
少々似合わない気風だな、とも思うし。だってヒロミ面白いもの。面白きゃいいじゃん。なあ?
……そういう意味でのコールなら、まあそうだね、と考えなくもない。

憎めない監督、浪花節のブラジリアン、勤勉実直な「部員」たち。
そんなこんなが混じり合ったチームを僕らは愛している。
それを再確認させるために、毎年のホーム最終戦、チームは帳尻を合わせる。
とどめのヒロミトークで、僕らは今一度だまされてしまう。そして叫ぶ。

FC東京、愛してる。



さて。僕らがチームへの「愛」を再確認しているその日、
ここ首都における商売敵であるもうひとつのクラブは、2部への降格を決めた。
個人としては、さしたる恨みも辛みもかのチームには持っていないのだけれど、
なぜ、東京ヴェルディは、より多くの人々から愛されるための努力をしてこなかったのだろうかと、
その疑問だけが痛みのようなものを胸に残している。
数年前の平日夜のコクリツで、対面に陣取る緑のシャツ着たファンたちは、
信じられないくらい少ない人数で声をだしていた。
足りない分はトラメガに任せつつ思いの丈をがなり立てていた。
およそ外側から見た印象でしかないのだけれど、いろんな意味で東京ヴェルディは
彼らが捧げ続けた「愛」に報いるべきだった、と思う。
おそらくは2部に落ちてからも変わらず声を出し続ける彼らに、
どうか「根差す場所」を与えて欲しいと思う。それは物理的な意味でも、精神的な意味でも。
もっとわかりやすい言葉で言うなら「誇り」と表してもかまわない。
設立年度をチーム名にわざわざ冠するような「誇り」ではなく、もっとストレートなことだ。
いつか、もっと多くの人が、その旗の下に集まるようになればいい。


2005.11.27 sun




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