MSCBに関する一考察
フジテレビジョン(2) MSCBの転換とニッポン放送持分の希薄化




 前回は、フジテレビジョン(以下フジテレビ)のMSCBの概要や、株価動向に与える影響について考察致しました。
 今回は、このMSCBの転換が、ニッポン放送をはじめとする既存株主へどの程度影響するか、また、そのニッポン放送の筆頭株主となり、フジテレビ株の直接取得にも意欲を燃やしていると噂されるライブドアへの影響などについて考察したいと思います。

 今回、フジテレビが発行したMSCBの総額は800億円であるため、MSCBの転換により得られる転換株式数の総数は、800億÷平均転換価額で得られます。
 この転換株式数及び、転換完了後の発行済株式数、発行済株式数の増加率をそれぞれ図に示すと、図1のようになります。

平均転換価額と転換株式数の関係
図1 平均転換価額と転換株式数の関係

 転換価額が低下するにつれ転換株式数は増大し、発行済株式数は、平均転換価額20万9000円で15%、15万7000円で20%、12万5000円で25%増加することになります。また、17万6000円で、現在約254万8000株である発行済株式数が300万株を突破します。
 平均転換価額が13万9000円を下回ると、転換株式数は現在筆頭株主であるニッポン放送の持株数である57万3000株を上回り、仮に転換株をどこかが独占すると、ニッポン放送に代わる新たな筆頭株主が誕生することになります。
 なお、当初転換価額である23万7300円で全MSCBが転換されると仮定すると、転換株式数は約33万7000株、発行済株式数は13.23%増加し、約288万5000株になり、また、下限転換価額で全MSCBが転換された場合は、転換株式数は約67万4000株であり、発行済株式数は約26.46%増大し、約322万2000株になるようです。

〜ニッポン放送の持ち分希薄化 発行済株式数における比率〜

 次に、平均転換価額と発行済株式総数に占めるニッポン放送持株および、MSCBを転換して得られる転換株の比率を図2に示しましたのでご覧下さい。

ニッポン放送持株の比率と転換株の比率
図2 ニッポン放送持株の比率と転換株の比率

 この図からわかりますように、現在約22.5%である発行済株式数におけるニッポン放送持株の比率は、平均転換価額の低下に従い減少し、25万1000円で20%割れします。また、13万9000円で、ニッポン放送持株の比率を転換株の比率が上回ります。この際の両者の比率は約18.4%です。
 また、全MSCBが当初転換価額で転換されると仮定すると、ニッポン放送持株の比率は約19.86%、転換株の比率は約11.68%であり、下限転換価額で全MSCBが転換された場合は、ニッポン放送持株の比率は約17.78%、転換株の比率は約20.92%となります。

〜遠い33.4% ライブドアによるフジテレビ株買い占めに関する一考察〜

 さて、フジテレビ株の今後の動向を考える上で無視できないのが、ニッポン放送の筆頭株主であるライブドアの動向です。
 ライブドアの堀江社長は、フジテレビ株の買付も進めているとされ、既にライブドア本体で1%程度保有しているとの報道もあります。以下では、ライブドアがフジテレビ株の33.4%を保有しようとする場合の必要株式数や障害について検討したいと思います。
 まず、フジテレビ株の発行済株式数の33.4%を買い占めるためには、ニッポン放送保有分の57万3000株を手にすることが絶対条件と言って良いかと思います。これに上積みを行い、発行済株式数の33.4%を押さえることを目指すことになると思います。
 ここで考慮すべき点として、フジテレビが発行し、大和証券SMBCが引き受けている本MSCBは、たとえ株式に転換されたとしても、ライブドアとの緊張状態が続く限り転換株は市場に放出されない可能性が極めて高いと考えられる点であります。すなわち、大和は転換株を自社で保有するか、フジテレビの防衛に協力する相手にのみ売却し、株式市場での放出、ましてやライブドアへの売却は行わないと予測致します。
 そのため、ライブドアは、上積みが必要な株式数を、

・市場で買付
・ニッポン放送株買付時にやったように市場外取引で買付
・TOBをかける

等の手段で入手する必要があります。
 図3は、平均転換価額と発行済株式数の33.4%を占めるのに必要な株式数及び、そのためにニッポン持株に加え上積みが必要な株式数の関係を示したものです。ニッポン放送持株数は57万3000株ですので、両者の間は常に57万3000株で一定です。

フジテレビ支配に必要な株式数
図3 フジテレビ株33.4%確保に必要な株式数

 平均転換価額が低下するにつれ必要株式数は増大し、23万3000円でフジテレビの浮動株式数である39万2000株を上回ります。なお、浮動株式数は会社四季報新春号記載の浮動株比率15.4%を用い、254万8000株×15.4%≒39万2000株と求めました。なお、会社四季報においては、浮動株は1単元以上50単元未満の株主が所有している株式と定義されており、浮動株としてカウントされない分は、同一名義で1000万円分以上を保有していると言えるようです(ちなみにライブドアは1万円台後半)。
 したがって、浮動株に含まれない分は、ある程度大口の株主であるといえそうです。ライブドアが33.4%を目指す場合、このような人々から株式を譲渡してもらうことが必須であります。
 さらに、株式を譲渡してもらえる事になったとしても、約40万株分の買い付け資金として800億円以上の調達を行わねばならないという課題が控えています。
 ライブドアがニッポン放送買付資金に匹敵する資金調達を再度行えること、それがライブドアがフジテレビを傘下におさめるための最低限の必要条件なのであります。


親記事:MSCBに関する一考察 (5)転換価額の上方・下方修正条項付きMSCB
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注意事項:本文章はフジテレビジョンのプレスリリースを元に管理人(こみけ)が考察を行ったものであり、注意は払っておりますが、必ずしも正確ではないかもしれません。
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