MSCBに関する一考察
ライブドア(3) MSCB転換後の動向に関する一考察



 前回は、ライブドア(4753)が発行するMSCBが株価にどのような影響を与える可能性があるかを考察いたしました。それに対して、今回は、堀江社長が「命がけ」あるいは、「人生かけてる」とまで言った800億円のMSCB発行とその転換が、堀江社長、ひいてはライブドアそれ自体の運命にどのような影響を及ぼしうるかと言う観点から考察しようと思います。

 今回のMSCBは総額800億円であるため、MSCBの転換により得られる転換株式数の総数は、800億÷平均転換価額で得られます。この転換株式数及び、転換完了後の発行済株式数、発行済株式数の増加率を図で示すと図1のようになります。
 転換価額が低下するにつれ、転換株式数は増大し、平均転換価額が362円を下回ると、転換株式数は堀江社長の保有株式数である2億2100万株を上回ります。これは、転換株を何者かが独占すれば、堀江社長を上回る大株主がライブドアに出現する事を意味します。
 また、平均転換価額258円で発行済株式数の増加率が50%を超え、209円で10億株を突破いたします。なお、最低転換価額の157円で全てのMSCBを転換した場合、転換株式数は約5億900万株、発行済株式数は82.33%増加し、約11億2800万株になるようです。

平均転換価額と転換株式数の関係
図1 平均転換価額と転換株式数の関係


〜転換株式の影響度 発行済株式数に占める比率〜

 次に、図2をご覧下さい。こちらは、平均転換価額と、発行済株式総数に占める堀江社長の持株比率および、MSCBの転換により得られる転換株の比率の関係を示しております。

堀江社長の持株比率と転換株比率
図2 発行済株式数に占める堀江社長の持株比率及び転換株比率

 ここからわかりますように、現在、約36%ある堀江社長の持株比率は、30%以下に低下することがほぼ確実であります。なお、堀江社長が現在の保有株数のまま持株比率33.4%以上を維持するためには、平均転換価額を1875円以上に押し上げる必要があります(本MSCBには上限転換価額はありません)。
 一方、平均転換価額が低下するに従い堀江社長の持株比率は低下し、301円で25%割れ、164円で20%割れします。全MSCBが下限転換価額の157円で転換された場合、堀江社長の持株比率は約19.58%となります。
 また、堀江社長の持株比率と転換株比率が362円付近で等しくなりますが、この際の両者の比率は約26.31%です。
 平均転換価額が下落すると、発行済株式数に占める転換株比率は増大し、387円で今回なにかと騒がれている25%を超えます。この転換価額の水準ですと、株価は平均430円程度を推移していることになりますので、可能性は低くはないと思います。
 さらに、257円を下回ると、発行済株式数の33.4%を超えます。これを全てどこかが独占すれば、ライブドアは事実上そこの傘下に入ることになります。
 なお、下限転換価額の157円で全てのMSCBが転換されますと、発行済株式数の約45.15%を転換株式が占めます。

〜返済義務と転換価額引き下げの魅力 貸し株の影響〜


 さて、今回のMSCBについて考察を行う場合に重視すべきなのが、堀江社長が「保有する当社発行普通株式の一部をリーマン・ブラザーズ証券会社グループに貸借する合意」を行っている点であります。
 リーマン・ブラザーズがこの貸し株を市場で大量売却し、株価を押し下げ転換価額の引き下げを狙う恐れがあるという点については前回説明いたしましたが、この際に市場で売りさばいた貸し株は、いずれ、おそらくはMSCBを転換し、転換株式の一部で堀江社長に返済するべきものであります。リーマン・ブラザーズとすれば、なるべく多くの貸し株を用いて株価を下げるのが有利ではありますが・・・
 この堀江社長への返済分を差し引いてなお残った転換株式数が、リーマン・ブラザーズが自由に出来る株式数となります。
 この点を考慮し、転換株式数から、貸し株を返済してもなおリーマン・ブラザーズの手元に残る余剰転換株式数を示したのが図3であります。余剰転換株式数は、

余剰転換株式数=転換株式数−堀江社長から借りた(そして返さなければならない)株数

で求めました。

堀江社長に貸し株を返した後にリーマンが好き勝手できる株式数
貸し株数と余剰転換株式数の関係

 平均転換価額362円以下の場合は、たとえ堀江社長の全保有株式を借りて売り、その後返済を行ったとしても、リーマン・ブラザーズの手元にはなお余剰転換株が残ることになります。
 株価の行方のみならず、この辺の観点からも、堀江社長がどの程度貸し株を行うつもりなのかが注目されます。

 さらに、図2と同様に、発行済株式数に占める余剰転換株の比率を示したのが図4であります。
 本MSCBに関する考察において、重要な水準になりそうな25%及び33.4%に線を引いておきました。

要するにリーマンの掌中にある議決権比率
図4 発行済株式数における余剰転換株の比率

これらより、

・堀江社長の保有株式数以上の余剰転換株を得ることは、堀江社長の全保有株を借り、返済義務があったとしても転換価額次第では可能
・余剰転換株を発行株式数の25%以上入手することは、堀江社長の全保有株を借り、返済する義務があったとしても転換価額次第では可能
・余剰転換株を発行株式数の33.4%以上入手することは、堀江社長から借りた株数が約1億3200万株以下なら可能

 といえます。

 この3点、すなわち、余剰転換株式数が堀江社長の持ち株数および、発行株式数の25.0%、33.4%を上回る状態に着目し、図4の内容を、堀江社長から借りた株式数と平均転換価額の関係として示したのが図5であります。

余剰転換株式数
図5 貸し株数及び平均転換価額と余剰転換株式数の関係

 この図に示した各線の左下方向に、リーマン・ブラザーズが堀江社長から借りた株式数と、平均転換価額が入っていれば、何者かがリーマン・ブラザーズから余剰転換株を入手することで、

・いつの間にか堀江社長を上回る大株主が出現しライブドアの株主総会大混乱
・どこかの会社が突如記者会見を開き「ライブドアの発行済株式数の25%を保有している」と宣言し現在進行中の戦略が頓挫
・実は全てを裏で操っていた影の集団が発行済株式数の33.4%を押さえライブドアを傘下に

と言った愉快な事態を起こせる可能性がある事を示しております。


 ・・・と、言うことで、個人的には、堀江社長の人生がかかっているのは間違いないことであるし、ライブドアの今後にも大きな影響があると考えております。野球の比じゃないですね。


親記事:MSCBに関する一考察 (5)転換価額の上方・下方修正条項付きMSCB
MSCBに関する一考察 ライブドア(2) リーマンの戦術と株価への影響

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注意事項:本文章はライブドアのプレスリリースを元に管理人(こみけ)が考察を行ったものであり、注意は払っておりますが、必ずしも正確ではないかもしれません。
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