MSCBに関する一考察
ライブドアマーケティング MSCBの概要とライブドアグループの錬金術




 今年2月に800億円のMSCB発行をライブドア(4753)が発表し話題になりましたが、最近、ライブドアの子会社であるライブドアマーケティング(4759)(以下LDマーケティング)が総額100億円のMSCB発行を発表し話題になっております。
 今回は、本MSCBの概要及び本MSCBを利用して行われる可能性があるライブドアグループ一丸となった錬金術について考察してみようと思います。

〜上方・下方修正条項付MSCB 毎月修正 上限・下限転換価額有り 概要〜

 今回、LDマーケティングが発行するMSCBの転換価額修正条項は、要約すると以下の通りであります。

(1)当初転換価額は5,492円とする。
(2)毎月第3金曜日に直近5営業日の売買高加重平均価格(VWAP)の平均値の90%に転換価額を修正する。
(3)上限転換価額は8,238円、下限転換価額は2,746円とする。

(1)の当初転換価額は6月9日から6月19日までにMSCBの株式への転換を行った場合に適用される転換価額です。
(2)については、毎月第3金曜日のある週の月・火・水・木・金曜日の5日間のVWAP平均に90%をかけた値に転換価額が修正されることを示しております(祝日が入る場合は前週の金曜、木曜・・・とさかのぼる)。
 なお、VWAPは以下の@式で算出されます。要するに、その日の売買平均単価であります。

VWAP算出式

 これを用いて、第1回決定日(6月17日)における転換価額算出方法を式で表すと、以下のA式で示されます。

転換価額算出式

 なお、A式で求めた修正後転換価額が(3)の上限転換価額を上回ったり、下限転換価額を下回ったりした場合は、上限・下限転換価額にそれぞれ修正されることとなります。
 これらを図示すると、図1のようになります。

毎月VWAPにより修正
図1 VWAPと転換価額の関係

 当初転換価額は5,492円であり、その50%である2,746円が下限転換価額、150%である8,238円が上限転換価額となっております。転換価額は、VWAP平均から約10%ディスカウントされる値に修正されますので、VWAP平均が3,051円以下、9,154円以上で上限・下限転換価額にそれぞれ修正されることになります。


〜売却・転換親子共同作戦 ライブドアグループの錬金術に関する一考察〜

 本MSCBの最大の注目点は、100億円の発行額のうち半分に当たる50億円分を、LDマーケティングの親会社であり大株主でもあるライブドアのグループ企業であるライブドア証券が引き受ける点であると考えております。
 このグループ間の連携を生かし、今回ライブドアとライブドア証券が行う可能性が極めて高いと予想される戦術を図2に示します。

麗しき親子愛が織りなす共同作戦
図2 ライブドアグループが行うと思われる連携戦術

 すなわち、ライブドアが保有しているLDマーケティング株を市場で売却し、それと同時にライブドア証券が同株数相当のMSCBの転換を行うと、MSCBの転換価額がVWAP5日平均の90%に修正されることにより、約10%の利ざやを極めて安全に得ることができます。言い換えると、売却した株を1割引で買い戻し、差額を懐に入れることを、株価変動に関わらずほぼノーリスクで行うことが出来ると言うことであります。
 さらに、転換価額の算出期間中に大量の売りを出し株価を押し下げ、転換価額の大幅下方修正を狙ってくる可能性もあります。これが成功した場合、ライブドアグループが稼ぐ利ざやは10%を上回ることになります。
 また、暗雲たれ込めつつある新興市場の先行きを考慮したのか、仮に株価が下限転換価額を下回り、上記のさや取り戦術が使えなくなったとしても、償還日から30日以上60日以内に事前通知を行うことにより、額面での繰上償還を請求する権利を社債権者(ライブドア証券及び日興シティグループのこと)に認めております(プレスリリースの7.(5)C)。すなわち、本件においてライブドアグループが損をすることはほぼ無いと言えます。
 要するに、損をするのはほぼ既存株主(に加えてかなりの高確率で発表後に新たに買った株主)のみであり、その損した分は市場を経由してライブドアグループの懐におさまるという実にわかりやすい図式が成立するのであります。


 本MSCBは、株式分割による株価高騰→他企業買収という、ここ数年の新興企業が多用した手段の使用が徐々に困難になり、それに代わる資金調達手段として、MSCBが注目されつつある現状を象徴するものであると考察しております。
 従って、ライブドアグループに限らず、かつて株式分割による株価高騰を成長に利用してきた企業については、今後MSCB等、既存株主に悪影響が出る手段により資金調達をする可能性が高まると言えそうであり、個人投資家側としては警戒を強める必要があると主張させていただく次第であります。

(05/5/27 記事作成)
(05/6/5 社名変更に伴い文・図中の社名を変更)



親記事:MSCBに関する一考察 (5)転換価額の上方・下方修正条項付きMSCB

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注意事項:本文章はライブドアマーケティングのプレスリリース等を元に管理人(こみけ)が考察を行ったものであり、注意は払っておりますが、必ずしも正確ではないかもしれません。
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