安藤昌益研究会は、昌益研究者を結ぶネットワークをめざして、1974年にその産声をあげました。安藤昌益という特異な思想家に魅せられた好事家が、盲蛇に怖じずの伝法で『季刊昌益研究』という小冊子を創刊したのが、ことのはじまりでした。
昌益のいう直耕(自給)の精神で、編集・組版・校正から印刷・製本・発送まで、すべて自分の手で行なったこの出版は、幸いなことに多くの方々のご支援に支えられ、四半世紀の長きに渡って継続することができました。
この間、世の中は政治的にいえば東西対立・冷戦の時代からグローバルな多極化の時代へ、経済的にいえばマスプロ・マスセールの資源浪費型経済から、持続的発展をめざすリサイクル経済へと大きく変動する兆しを見せてきました。
文化面でいえば高度情報化社会の今日、印刷技術もグーテンベルク以来の活版印刷は趣味の世界に追いやられ、デジタルデータによる電子編集へと大きく転換しました。アナログからデジタルへの転換は、高速度・大容量・広域間のデータの瞬間移動を可能にし、その象徴としてインターネットの急速な発展と普及を見ました。
こうした激変にガリ版印刷の時代からタイプ、ワープロ、パソコンと、その変化発展の後追いに終始し、急速なデジタル化・グローバル化に漠たる不安と危惧を抱いてきたこの小冊子の発行者も、ようやくその重い腰をあげ、インターネットの大海原に船出することに意を決しました。
なにしろ、東京大学総合図書館の貴重本として深く蔵されていた、かの稿本『自然真営道』が、インターネットでアクセスさえすれば、いつでも、誰でも、どこにいても自由に見ることができるのですから、まさに隔世の感を禁じえません。これを使わない手はないと思ったのです。
今はまだ多少のハードルはありますが、そう遠くない将来、ほとんどの人が操作し、参加できる環境が整うはずです。そして、だれでも、いつでも、どこででも自由に双方向に交流できる場となって新しい多様な研究を生みだすはずです。
このささやかなウェブページが、そうした舞台のひとつとして継続発展していくことを願い、皆さまのご理解とご協力を切にお願いする次第です。
自然と人間との関係が極度の緊張関係にあり、さまざまな困難に直面している今日、自然と人間の調和をめざす安藤昌益の思想に学び、実践し、継承、発展させていくことは大きな意義をもつことと信じます。どうか一人でも多くの方にご参加していただき、そして、人類の平和を願った安藤昌益の「男女ニシテ一人」「万万人ニシテ一人」「天人一和」の「無軍・無戦、無事・安平ノ世」の実現をめざそうではありませんか。
2000年10月14日
泉 博幸