Chichiko Papalog 「気になる目白文化村」オルタネイト・テイク

第四文化村入口から簡易スキー場の界隈

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第四文化村は、「第四」と銘打って売り出されているが、実は第二文化村の中でなかなか売れなかった区画を改めて整備し、2年後に再び売り出した一画だ。なぜ売れなかったのかというと、ここはいわゆる「谷戸」と呼ばれる地形で、第四文化村を斜めに横切るように小川が流れていた。この小川は、箱根土地本社敷地にあった池から流れ出たものだ。第一文化村でいうと、ちょうど開発が最後まで遅れた、弁天池のあった小さな谷間のあたりに地形が似ている。

坂上は快適だったのだろうが、坂下はあまり陽当たりがよくなく、きっとジメジメした湿地帯だったにちがいない。現状を見ると、坂下の住宅の土台には13mの大規模な盛り土がなされ、開発当初から大谷石で大がかりにかためられているのがわかる。この小川は、改正道路(山手通り)工事で池とともに埋め立てられているので、いまは痕跡すら存在しない。第四文化村は、第一文化村のちょうど東、第三文化村の南西に位置し、4つの文化村の中ではもっとも小さい1,560坪ほどの面積だった。

1925(大正14)に、全部で19区画が売りに出されている。平均敷地面積は90坪と、4つの文化村の中ではいちばん狭く、坪当たり3573円で販売された。なかなか売れなかったにしては、目白文化村の中では第二文化村に近い価格設定だ。第四文化村東の丘上に隣接して、落合小学校(現・落合第一小学校)があった。やがて、改正道路(山手通り)ができて第一文化村と分断され、戦後は放射7号線(新目白通り)が貫通して第二文化村とも分断されることになる。

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左は、第二文化村側からアプローチした第四文化村の入口。(方向@)

現在の下落合から中落合にかけての段丘を見馴れていると、ここだけが低く谷間になっているのが意外に感じる。目白崖線の下は聖母坂、西坂、霞坂・・・と、丘陵へと上がる坂道ばかりなのだが、ここだけは下り坂になっているのだ。

この道の背後が、十三間通り(新目白通り)となっている。山手通りや十三間通りが貫通する前は、このまま道なりに西へ進むと、第二文化村の東北端、野球場があったあたりへと抜けられた。

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左は、十三間通り(新目白通り)の貫通で、島状になって孤立してしまった土地の現状。(方向A)

山手通りや新目白通りを歩いていると、ときどきこういう道に出くわすことがある。丘陵方面へ道をのぼりだすと、なぜかすぐに再び大通りへともどってしまう。これは、昔の道筋の名残りがそのまま残っているのだ。上の空中写真(1947)でも、その様子がよくわかる。

空中写真の道を、左へ行けば第二文化村、右へ行けば下落合駅へと出られた。現在の<>の様子は、そのかたちが中途半端なせいか、いまなお緑地が多く残っている。

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左は第四文化村を、入口の階段上から見たところ。ここは山手通りにより近いせいか、かなり高いマンションが林立しているのが見える。(方向B)

谷間の道はカギ状に屈折していて、この左手には箱根土地の池から流れ出した湧水の小川が、奥から手前へと流れていた。集合住宅が増えてしまったせいか、いまでは日陰が多くなっているが、第四文化村の販売当初は、日差しはそれほど遮られていなったように思う。

1945(昭和20)413日の空襲では、ちょうどこのあたりから第一・第二文化村にかけて、B-29からの焼夷弾が落とされはじめたようだ。空中写真を見ると、第四文化村の南半分は焼失しているが、小学校を含め北半分には被害がなかったことがわかる。

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左上の写真が、簡易スキー場の現状。(方向C) かなりの急坂の上へ、階段状に建物が建っているのがよくわかる。右上の写真は、空中写真の一部を拡大したもの。改正道路(山手通り)の工事で西側をかなり削られているものの、簡易スキー場の様子がよくわかる。

大正から昭和初期にかけて、東京にはとても積雪が多く、さまざまな“雪遊び”が行われた記録がある。この簡易スキー場も、テニスコートやクラブハウス、野球場などとともに、文化村の住民たちが娯楽施設のひとつとして活用していたところだ。

雪が降るとスキーやソリで、この急斜面を滑っては遊んでいたらしい。最初は、文化村の子供たちが始めたようだが、そのうち大人たちもいっしょになって雪遊びを楽しんでいたという。ひょっとすると、この簡易スキー場の賑わいがヒントになって、西武は大規模なスキー場開発に乗り出していくのではないか・・・などと、うがった見方もしたくなる。

現在は、まるで雛壇のようにビルが建ちならんでいて、昔日の面影はまったく見られない。

 

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