岩手のラーメン

 

 岩手の3大麺といえば,すでに紹介したじゃじゃ麺,冷麺のほかにわんこそば。4大麺だとこれに南部はっと鍋(うどんみたいなもの)が加わるが,対外的に岩手のラーメンが取り上げられることは少ないといえよう。これは,岩手のラーメンには,おいしいものがないというわけではなく,ほかの4つが「郷土料理」であるため,どうしても全国区であるラーメンは,その存在が霞んでしまうのである。
 しかし私は声を大にして言いたい!岩手のラーメンはおいしい,と。
 「岩手ラーメン」とか,「盛岡ラーメン」といった決まった形のご当地ラーメンがあるわけではない。むしろ,地域性や特産物を生かしたり,昔ながらだったり,研究を極めた新作だったり,様々な地方のラーメンを取り入れたりと,そのレパートリーたるや,数限りない。その中で,「本当においしい」と思ったラーメンだけを紹介していきたいと思う。なお,ここで挙げる順序は,おいしいランキングではなく,思いつくまま,あるいは最近行って印象のあるところから書いているものである。

 

穴場(盛岡) 

 この選択は,盛岡のラーメン通の人に言わせると以外かもしれない。盛岡の代表的なラーメンといえば,柳屋,日光軒,中河などが普通挙げられるからだ。しかし,私が盛岡で食べたラーメンの中で,文句なくおいしいと言えるのはこの店である。書く順番はランキングではないといったが,ここは,重兵衛的には今のところ1番である。そのため,その存在は,盛岡ラーメン業界のまさに穴場
 ここのすばらしいところは,味へのこだわり。3か月毎にいろいろとメニューを変え,麺を買え,スープを代えて,味を追求してきたとか,スープの味が気にくわないとその日は休むという話すらある(真偽は確かではないが)。しょうゆ,味噌,塩というスタンダードな3種の中から選べるが,どれもおいしそう。自分の一番好きな味を頼めばよい(ちなみに私は味噌派)。なお,スープは豚骨系だが,思ったよりあっさり。また,さんまだしのラーメンもあるので,豚骨が苦手な人も大丈夫(と思う)。
 そして,特筆すべきは,「厚切りチャーシューラーメン」(写真,上)。ほとんど角煮と思えるようなチャーシューを,提供寸前にもう一度こんがり焼いてくれるのがすばらしい。また,メンマも手作りとか,ネギがワケギと長ネギの2種類とか,いろいろと芸が細かい。サイドメニューやトッピングも充実。まさに至れり尽くせりである。
 味を文字で表現するのは難しいので,ここに行ったときの私と,K。氏,Uraq氏の会話を引用しよう。
 「なんて言うか反則。」
 「あれはもはやラーメンじゃないね。」
 「具はもう少し少なくてもいいのに。あれじゃ採算とれないだろう。」
 「ご飯にも合う」
 「もう一杯食べれますよ。」
 「最初は味が濃いから,腹一杯で完食は無理だと思ったけれど,いつの間にか全部食べた。」etc...
 本当は,ここは誰にも紹介したくない,自分だけの穴場にしたい。しかし,ここは私が行くときは,いつもあまり客がいない。このままでこのお店大丈夫か?とよけいなお世話を焼きたくなる。ということで,勝手に「穴場保存会」を結成し,紹介する次第である。なお一応月曜休業だが,不定休であることは先述のとおり。現在盛岡日本ナンバー1。
(03/07/06)

公式ページはこちら

(追補)

(平成16年8月6日の日記より)
 穴場の冷やしさんまだしラーメン。最高にうまかった。全然魚くさくなく,大盛りのチャーシューもかいわれ大根とほどよくマッチ。
 しかも,皿までよく冷やしているという気配り。これ以上の冷やしラーメンは見たことがない。
 やっぱり,穴場は日本一のラーメン屋です。

(平成16年9月2日の日記より)
 ところが,今日,盛岡で,まさに理想ともいえる豚骨ラーメンに出会った。その名も,穴場穴場の高菜豚骨ラーメン。確かに,穴場には以前にも穴場の豚骨ラーメンというものがあったが,私的には,パンチが弱く(豚骨味が薄い感じ),結局他のラーメンを食べていた。しかし,この穴場の高菜豚骨ラーメンは,豚骨味をしっかり出しながら,くどさや臭みがない。さらに上には定番の辛子高菜と紅ショウガの他に,角切りチャーシューが。麺こそは,博多ラーメンのような固い細麺ではなく,太めのラーメンだが,それがスープによく合うのである。
敢えて言おう,もはや反則である。
 さすがは,日本一(重兵衛認定)のラーメン屋だ。豚骨好きは,穴場へ走れ!!

(追補)
サイドメニューについて

 穴場は,サイドメニューも充実しているが,特にお勧めは3種類の丼もの。穴場のチャーシューなどを生かしたドンブリは嗜好の一品で,これだけ食べても十分な満足を得られるだろう。(それでもやっぱりラーメンを頼んでしまうが)。もっとも,最近は小食になってきたため,チャーシュー麺とドンブリはきついのである。
(05/08/08)


厚切チャーシュー麺(初代)


冷やしサンマだし


チャーシュー丼(絶版)


三重食堂(釜石)

 釜石に住むいとこのだんなさんに勧められて行きました。釜石の人は,外に出て行っても,帰省するたびにここに食べに来るというくらい人気。スープは鳥系のあっさり味。東京ラーメンみたいな感じだが,味は薄め。釜石のラーメンの特徴は,釜石で作っているフジユウ(富士勇)醤油に秘密があるとのことであるが,ここのラーメンもそうなのかな。
 トッピングは,メンマ,なると,のり,ロース肉のチャーシューという王道。1杯400円(350円だったかも)という値段設定もよし。誰もがノスタルジーを感じることができるラーメンである。
 また,ここのお店は,ラーメンもいいが,サイドメニュー(?)のカツ丼親子丼もおいしい。おそらく,ラーメンスープで作っていると思われるが,こちらは,斬新な味である。同様に親子丼とかもおいしい。お得なセットもあるのがうれしい。カツ丼とラーメンのセットで650円。
(03/07/06)



鎌田食堂(盛岡)

 「ラーメンのうまい店はタクシー運転手に聞け。」というのが通説ですが,タクシー運転手をよく見かけるのが,この鎌田食堂。ベースは,煮干しかな。スタンダードなお魚系で,ラーメンというより,中華そばとか支Wそばという言葉がぴったり当てはまる。具は,のり,メンマ,ロース肉のチャーシューと,王道。しかも,400円という値段の安さも人気の元か。多少,麺が柔らかめ(というか煮すぎ)なので,固いのが好きな人はそのように注文しよう。ほかにも,味噌ラーメンなどもよし。
 実は,ここの食堂は,うちの祖父母の家のすぐそばなので,遊びに行くと,よく出前を取ってくれた。そのころは味の善し悪しというものが分からずに食べていたが,盛岡に戻ってきて食べてみて,あらためてその旨さを再発見した次第である。ここのラーメンを食べると,今は亡き祖母を思い出すが,そういう感傷抜きでおいしいラーメンである。私的には,(スープだけなら)盛岡では5本の指に入るラーメンである。
 定食屋であるため,サイドメニューは餃子ぐらいかな。他に,チャーハンとのセットもある。,
(03/07/22)
(補)2005年6月現在のお値段は450円。


備前岡山ラーメン 武蔵(盛岡)

 東京の麺や武蔵が盛岡に登場?というのは誤りで,「たけぞう」と読む。
 「本当においしい」といえるかどうかは,好みの別れるところであろうが,岩手のラーメンとしては少し変わった感じのするラーメンである(すでに岩手のラーメンではないというつっこみは却下)。
 どういう風に変わっているかというと,・・・言葉では言い表せない。食べてみて分かるというか。無理に言葉で言えばまったり,ってなところかな。こってりでもサッパリでもなく,まったり。ダシは鶏ガラといっているが,ほかにも何か,魚系が入っているのではないか。
 ところで,岡山ラーメンというのは,ここの店で初めて聞いた。食べた感じ,尾道ラーメンを思い出す。瀬戸内海系ラーメンとでもいうべきかな。ちなみに,店名は,岡山の偉人,宮本武蔵から採ったもの。武蔵と書いて「たけぞう」と読む。
 サイドメニューは餃子。
(03/09/04)


木蘭の坦々麺(盛岡)

 盛岡市の中心部にある中華ダイニングのお店。ラーメンの他に,中華料理一般が,居酒屋価格で食べれるし,そこそこ飲み物もあるしで,結構人気がある。
 ここのお勧めは,坦々麺。実は,このお店は,盛岡でも人気のある製麺所の中野製麺(白龍のじゃじゃ麺も作っている)が出しているお店なのである。
 麺はつるつるの縮れ麺。これが辛めのスープに入っている。スープに含まれるごまの風味が非常によく,辛いと思いながらも,スープを全部飲んでしまうほどだ。ちなみにチャーシューは,雲白肉(ゆで豚肉のにんにくソースかけ)に使うような,豚ロースの白いもの。これがサッパリとして,辛めのスープによく合う。もっとも,坦々麺と言いながら,定番の挽肉炒めは入っていない。こういうスタイルの坦々麺は,盛岡にも他にもあるので,さほど奇異ではないのかも知れない。
 他に普通のラーメンがあるが,これは昔ながらの煮干しダシらしい。
 中華ダイニングの店なので,サイドメニューというよりは,いずれも酒のつまみという感じだが,鉄鍋餃子などの点心が定番かな。
(03/10/17)


金次屋(二戸) 

 最近,県北から青森にかけての出張・旅行が多かったのだが,二戸でも評判のお店に行ってきた。
 ここの創業は大正11年とかで,ラーメン屋では日本でも10本の指に入る老舗らしい。もっとも,もともとはそば屋なので,どういう基準で10番以内なのかは不明であるが・・。
 外見も,また入った感じも,どう見ても普通の大衆食堂。メニューも,ラーメンの外に,冷やし中華やそばなど種類がある。
 さて,肝心のお味であるが,麺は,手打ち麺で,独特のつるつる感がたまらない。スープはあっさり系の鶏ガラ&お魚か。この麺の場合,スープの味がよほどしっかりしていなければ,麺に負けてしまうのだが,ここのラーメンはサッパリ系なのに,スープと麺が馴染んでいて,全体的なバランスもいい。
 麺が柔らかすぎるという人がいるが,それも昔ながらな感じがして,私としては問題なし(私の親より上の世代だと,ラーメンは柔らかい方がうまいと言うし)。どうしてもダメな人は,「固め」と注文すればいいだろう。
 主なサイドメニューはおにぎり?
(05/08/08)



千草(久慈・盛岡) 

 県北シリーズ第2弾。
 岩手県最北の市,久慈市にあるラーメン屋だが,最近では,横浜のラーメン博物館や盛岡駅にも出店しているため,気軽に食べることができるようになった。(実際に写真は盛岡駅店のものである。)
 ここのラーメンの特徴は,すべて国産品(しかも,岩手産が多い)いうことであろうか。
 スープは鶏ベースの醤油味。透明感があるので,塩ラーメンとの中間という感じもする。麺は,ここも手打ち麺とのこと。乗っている肉も鶏肉で,スープと同様,県産地鶏を使用している。
 スープの色が薄いので,味も薄いかと思いきや,結構塩味がある。金次屋でも書いたが,手打ち麺はスープが難しいのだが,このお店もスープと麺との相性はとてもよい。
 このお店,普通のラーメンもうまいが,実は,かつラーメンがうまい。ラーメンにトンカツ(チキンカツだったかも)?という人が多いが,ここのラーメンに入っているトンカツは,洋食屋のように衣が薄いので,さほど油濃さは感じさせない。何より,味がいい。このトンカツだけで定食を食べたいくらいである。(久慈の本店なら出来ると思うが,やったことがない。)
 また,この店の特徴は,「持ち帰り」があるということである。今でこそ,有名ラーメン店での持ち帰りは常識になってきたが,ここのお店は,横浜などに出店する前から持ち帰りがあったと思う。久慈の知人から何度かいただいたが,味はほとんど変わりない。
(05/08/21)



皆様食堂(盛岡) 

 盛岡市黒石野のホーマックに隣接しているラーメン屋。看板はかなりでかいのだが,店名より,「ごちそうラーメン」というロゴの方が大きかったり,暖簾からして日本そばの店のようであったりなど,アドに難点があるためか,あまり気づかれないことが多いようである。
 しかしここのラーメンは,うまい
 お勧め第1弾は,盛岡ではおそらくここでしか食べられない「徳島流ラーメン」(580円だったかな)。醤油ラーメンであれば,甘めのスープに,甘く煮付けた豚肉が乗っかっている。私は,この徳島流ラーメンのみそ味がもっともうまいと思う。味噌と甘めの豚肉がマッチしている。スープが甘いのは苦手という方でも大丈夫であろう。なお,前記の「ごちそうラーメン」とは,この徳島流ラーメンに卵や野菜など具沢山になったものらしい。
 そして,お勧め第2弾は,「鶏白湯麺」(600円)。鶏ベースの白濁したスープだが,某有名チェーン店のような臭みやとろみがなく,後味スッキリである。麺も,スープによく合っている感じがする。いつもは,徳島流・味噌を食べるのだが,たまたまこのラーメンを食べたときのインパクトは忘れられないものとなった。
 他にも何種類かのラーメンがあるが,いまだ未体験であり,楽しみである。
 サイドメニューは,餃子もあるが,お勧めはチャーハン。ラーメンのかた手間などでは決してない。しっかり火が通った(米パラ)チャーハンであり,これほどのものは,そこいらの中華料理屋でも出ないのではないか。
味もよい。しかも,大中小と,おなかの空き具合にあわせて選べる上,なんといっても安い!(中で280円)こんな値段で,大丈夫やっていけるのだろうかという心配したくなる。
 徳島流といい,このチャーハンといい,ここの親父さんの前身はいったい何だったのだろうかと思う今日この頃である。
(05/11/08)



日光軒(盛岡) 

 盛岡で一番うまいラーメン店,と一昔前まで言われていたが,カワトク店や2号店がなくなったためか,それとも新しい店が幅をきかせているためか,最近聞かないなあと思っていた。というか,その存在を忘れていたのだが,香醤で持ち帰りのじゃじゃ麺を買った際に,隣が日光軒であったことに気づく。まだ昼飯を食べていなかったので,久しぶりに食べてみようと思い,入ってみた。
 お店は昔と変わらず,カウンターのみの8席のみ。さっそくラーメンを注文したのだが,まさに昔ながらの醤油味。盛岡ラーメンと名付けるラーメンがあるとすれば,ここのラーメンがその代表であろう。
  そして,味であるが,文句なくうまい!塩加減もちょうどよく,魚系のダシも薄すぎず,きつすぎず,豚バラのチャーシューもラーメンの味を損なわないながらも,しっかりとその存在を主張しているのである。
 最近のラーメンは,九州発祥のとんこつや和歌山ラーメンなどのこってり系がもてはやされているが,実はここのラーメンのように,あっさり系のシンプルなラーメンこそ,おいしく作ることは難しいのではないか。また,私の親以上の世代になると,こってり系は苦手らしい。実際に,今日は午後3時近くだというのに,年配の女性客が3人ほど来ていた。
 そういう意味で,ここのラーメンは,伝統の一品,守るべき味である。
 サイドメニューにはおにぎりがあった。
(06/03/19)



柳屋(盛岡) 

 盛岡でうまいラーメン屋を揚げろといわれれば,必ず上位に入って来るであろう超有名店。独特のスープがやみつきになっていくのか,親父さんの独特のフレーズの「いらっしゃいませ〜」が聞きたくて行くのか,その真偽は不明であるが,リピーターが非常に多い。
 本屋の3階という立地のためか,店は非常に狭く感じるが,案外キャパシティは高い。

 ここのラーメンで特筆すべきは,やはり「納豆味噌スープ」であろう。これだけ聞けば,食べたことのない人は,気持ち悪いなどといわれるが,これが本当にうまいのである。実際に,この店一番の人気メニュー,「納豆キムチラーメン」である。味噌に納豆を加えているものと思われるが,製法は当然不明。納豆のにおいがしないというのは嘘になるが,食べているうちに,それも気にならなくなる。また,スープの最後に残る大豆もうまさの秘訣である。
 写真は,「キムチチャーシューラーメン」であるが,これも納豆味噌を使っている。
 特徴の第2は,野菜の多さ。もやしは半ふくろは入っているのでは無かろうか。先述の納豆スープとともに,何となく健康に良さそうである。女性客が多いのも,そのためであろうか。
 特徴の第3はメニューの多さ。バリエーションが豊富なだけではなく,季節や時事ネタで新しいメニューを開発していく。(「ワールドカップ」とか「アテネ五輪」などもあった。)これも,何度足を運んでも飽きさせない理由であろうか。
 最近では,親父さんの後継者が,盛岡と仙台に支店を構えている。
(06/08/11)

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