『ひかり ひかり』
行く人:今日は晴れていて、せいせいするな。
残る人:でももう夜ですよ。
行く人:月なんかキレイにまん丸く光っている。
残る人:でも私みたいなものは、まだまだ空へはいけませんね。
行く人:君もきっといつかはキレイに空で輝けますよ。
残る人:どうしても行くのでしょうか?
行く人:そうだね。あんなに輝けるのなら。
残る人:それよりも私は何かを照らしていきたいですね。あの木のかげから。
行く人:あの木は全てをすいこんで、なにもかもなくしてしまう。
残る人:全てなんて、そんなことがあるのでしょうか?
行く人:こないだも赤と青がすいこまれてね。
    それはそれでキレイでしたが、どこかむなしかったものだ。
    赤と青は消えた甲斐があったのだろうか?
残る人:本人はどう思っていたのでしょう。
行く人:赤はやさしいから、もしかすると喜んだかも知れない。
    青は自分のことばかりだった。
    赤のやさしさなどはいつもそっちのけだったなあ。
残る人:それでも赤は青が好きでしたね。
行く人:それは、よくわからない。
残る人:すいこまれたときに、赤が紫になりたいことを
    青は知っていたのでしょう。
行く人:わからない。
残る人:青は最後にやっと赤の役にたてたということですか。

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NASA ハッブル望遠鏡の画像

行く人:…………
残る人:…………
行く人:あっ、またあの木が光をすいこんだよ。やっぱり全てすいこむんだ。
残る人:でもあなたは紫の光をあの時見たのでしょう?
行く人:それも消えた。
残る人:でもあの木のかげから、さっきまであなたを照らしていましたよ
行く人:だれが?
残る人:紫が……
行く人:もう照らしてないのだろうか?
残る人:さっきあなたはわかりましたから
行く人:なるほど
残る人:もうそろそろ時間ですね。列車は二時ちょうどの出発です
行く人:今度はみんなのために生きたいよ。ほんとうにみんなのために。
残る人:それがわたくしたちの願いになるといいですね。

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