『時はどこから』  作 者:葉山 みやこ

〜 旅の午後 〜

こんなところにガラスは不似合いだ
時はどこから来て どこへ行くんだろう

山からの雪解け水の流れる川
冷たくて 浸した足が刺すように痛い
ふと 川底に葉っぱが一枚 小石の間で動かないでいる
取り上げてみると ガラスの破片だ

ガラスには 完璧と破壊しかないのだろうか
それとも
壊れても壊れても 破片が個を主張するのだろうか

浸した足が 刺すように痛い
冷たくて

川底からは ところどころ泉のように清水が湧きあがっていた


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〜 冬の朝 〜

風はどこから来て どこへ行くんだろう
そんなことを考えた幼い日は
心は 自由だったかもしれない

風をうたった詩人のことを知った
そして すでにその詩人はこの世にいないことに
何の不思議も感じなかった

子犬が生まれた冬の朝
私が気づいた時には
メリーは血の跡をすっかり隠していた

やさしさはどこから来て どこへ行くんだろう

三匹の子犬を全てうばわれた後も
メリーは飼い主たちを 無邪気に愛してくれた


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