『ヒドリガモ』
レクイエム2 〜じっこくおさむ氏へ捧ぐ〜


立ち枯れた薄の野原を行く。
川面はざらざらの雪雲のように鈍く光っている。
冷たい風。
もうすぐ春だというのに、なんて冷たい風。

ヒドリガモが一羽、川面を飛び立っていく。
遙か先には広い海が広がっているのだろう。
北国の優しい海が広がっているのだろう。

声が聞こえる。
ヒドリガモの鳴き声ではない。

静かな海の底。
沈んだ教室で遊んでいる子供達の笑い声だ。
ああ、私には聞こえる。
泡粒となって浮かんでくる声が水面で弾けているのだ。
なんて柔らかな笑い声。
鬼ごっこをしているのだろうか。


  (みんな げんきで いるよ。
          あんしん してね。)


ヒドリガモが、また一羽、飛び立っていく。
遙か先には広い海が広がっているのだろう。
北国の海が広がっているのだろう。
静かで優しい海が。


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