『小さな風景』  作 者:葉山 みやこ

mado


風が誘っているんだ
切り取られた風景が動いている
病室の窓の外

風がすべての始まり
季節は風に導かれてやってきて
風に背中を押されて去ってゆく

季節が入れ替わるころ
命の交換がある
ささやきあっているんだ
生き物たちは
土の中で 草むらで 木の葉の陰で
死が日常の 命の賛歌

弱肉強食と共生のバランス世界には
憎しみの感情はない
きっと ない
喜びと悲しみと、それから一時的な怒りだけ
きっと それだけ

風に誘われているんだ
小さな風景が動いている
切り取られた病室の
窓の外


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soto


ビルの谷間でも
屋上は空に近いから
風の声が少し聞こえる

  季節と約束しているんだよ
  命と契約しているんだよ

本当の空は 遠い

人間世界では
風は 四角く通るから

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