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『パンドラの雪』 葉山みやこ §春 その窓で飾られた建物は きっと美しかったのだろう 黒い縁取りの ステンドグラス 選ばれた陽の光が 白壁に 淡いお花畑をつくっただろう そこに 黒い縁取りはないだろう 生まれたり死んだりするイメージの世界で 言葉も 生まれたり死んだりしている ふと 黒い影の翼が 光のお花畑を横切る 生まれたり死んだりするイメージの世界で 空への憧れが汚れた 黒い影を選んだのは 誰だろう ![]() §冬 ステンドグラスの破片を陽にかざすと 雪の上に 淡い花が浮かびあがるだろう それは きっと美しいだろう 偶然の陽の光が 花を一輪 咲かすだろう その花は きっと そこにたたずむ旅人の所有物だろう 太陽と色ガラスから生まれた イメージは 真白く輝く雪の上に お花畑をつくるだろう けれども 雪が解けてしまうと 花は咲かなくなるだろう 旅人に歩み寄るステンドグラスの職人は 死んでしまったイメージや言葉たちの行き先を気にしている 『しけんきゅう 149号』(2007年12月1日発行に掲載)
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