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すすき野原の白い波の向こう側 遙か遠くに灰色の建物が見える。 蒼空を突き刺してそびえ立つ建物は 応用遺伝子研究塔だ。 そこには羽を拡げた無数の蝶たちが 展翅台の上でうっとりと微睡み きらめく夏の夢を夢見ている。 地下室ではホルマリン漬けの胎児たちが 無限地獄の中で宙返りをしている。 最上階では抜け落ちた羽根を両手に抱えた少年が DNAの螺旋階段を上ったり降りたりしている。 クリスタルのシャーレの中で秘めやかに息づく生き物は 汚れのない少年の心臓だ。 年老いた研究員が銀色のメスでひと突きにすると さわやかな血の色が部屋中に広がる。 ![]() いちめんのすすき野原 日が西に傾き厚い雲に隠れ 辺りがぼんやりと光る時 赤とんぼの群れが空を舞いぐるぐる廻り風を起こす。 その風は冷たい。 |