リニア新幹線の必要性や環境影響などを意見交換

〜シンポ「リニアは必要か?」〜






 リニア新幹線計画の見直しを求めている市民団体「リニア・市民ネット」は(2010年)9月26日、山梨県甲府市内で「リニアは必要か?」と題したシンポを開きました。地元山梨のほか、長野、東京、神奈川などから約60人が参加しました。

 リニア中央新幹線はJR東海が計画しています。計画では、東京−大阪間が67分、東京−名古屋間が40分です。このうち、東京−名古屋間の2027年度開業をめざすとしています。
 JR東海の発表では、東京−名古屋間の建設費は5兆1000億円です。財政問題のほか、南アルプスを貫通することになっているため、大規模な自然破壊が危惧されています。また、強力な電磁波がもたらす人体への影響も心配されます。

 シンポのパネリストは、橋山禮治郎さん(千葉商科大学大学院客員教授)、椎名慎太郎さん(山梨学院大学名誉教授)、舩木上次さん(「萌木の村」社長)、清水絹代さん(都留市議会議員、無所属)の4人です。司会は川村晃生さん(「リニア・市民ネット」代表、慶応大学教授)が務めました。



■大失敗は必至

 橋山禮治郎さんは、こんなことを述べました。
     「東海道新幹線の座席利用率は、07年度64.7%、08年度61.2%、09年度55.6%と年々減少し、09年度は半分しか客が乗っていない。その結果、純利益は、2007年度1597億円、08年度1260億円、09年度884億円と減っている」

     「そんな状態で、JR東海はリニア中央新幹線をつくろうとしている。製造会社にたとえれば、製品の需要が減っているのに、旧工場をそのままにして新規に工場をつくるのと同じだ」

     「年間5840万人の需要を見込み、そのうち15%は新規需要でまかなうとしている。しかし、その根拠はない。15%がどこからくるのかを、JR東海は明らかにしていない」

     「リニア中央新幹線は約8割が地下を通る。空や景色は見えない。それで年間5840万人も需要があるとはとても考えられない。ところが、そんなことをだれも考えない。大失敗は必至だ」



■こんな計画が成功するはずがない

 椎名慎太郎さんは、こうです。
     「私は11年前の1989年、こんな計画が成功するはずがない、と新聞でコメントした。その計画が今も継続していることに呆れている」

     「東海道新幹線は、東海道ベルト地帯という人口のたいへん多いところを走っている。しかし、リニア中央新幹線は人の少ない地域を走る。JR東海は東海道新幹線から7割が移ると言っているが、そんなことはありえない」

     「東京の品川駅から山梨に20分で着いたとしても、駅の位置によっては、甲府までの時間は中央線と変わらない。山梨県民にとってメリットがない。一方、デメリットとして、中央本線が間引かれたり、南アルプス貫通に伴う自然破壊の恐れがある」



■山梨の魅力を大事にしないで、なんでリニアなの?

 「観光カリスマ」として知られる舩木上次さんは、こう述べました。
     「私は“山梨にリニアの駅はいらない”と言いつづけている。それは、新幹線や高速道路が通って豊かになったり、栄えたりしているところはあまりないからだ」

     「山梨は、豊かで恵まれた自然や水、美しい風景、すぐれた地下資源をもっている。山に囲まれていう点では世界一である。これらが山梨の魅力である。それを大事にしないで、なんでリニアなの? と言いたい」

     「山梨をどういう県にするかという共通の哲学をもつことが必要だ。その哲学をもたないでリニアの駅をつくっても、外部資本に利用されるだけだ。また、莫大な駅の建設費用は地元が負担することになっており、それが小さな山梨に大きな負担としてのしかかってくる。」



■情報提供が非常に少ない

 清水絹代さんはこうです。
     「私が住んでいる都留市でリニアの実験線が走っている。しかし、リニアに関する情報提供が非常に少ない。そのため、市民の間でも関心が薄い」

     「リニア中央新幹線は、自然破壊が大きな問題になると思う。自治体がもっと冷静に対応しないととんでもないことになると危惧している」

◇          ◇

 参加者からは、電磁波による人体への影響や、原発の新規建設を必要とする大量の電力消費などについて活発な発言が相次ぎました。














「リニアは必要か?」と題したシンポジウム




パネリストのみなさん




橋山禮治郎さん




椎名慎太郎さん




舩山上次さん




清水絹代さん




司会の川村晃生さん






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