■本の紹介


日本湿地学会監修『図説 日本の湿地』

─人と自然と多様な水辺─


朝倉書店/5000円+税








 本書は日本の湿地をテーマに、多彩な角度から湿地の生態系や人間との関わりを体系的・横断的・包括的に扱った書籍で、おそらくこのような本はこれまでなかったと思います。
 大きな特徴は、写真や図を豊富に使い視覚を通して湿地を知ってもらうことと、各分野の専門家や取り組みの最前線にいる方が、できるだけ平易にそれぞれのテーマを解説し、見開きで1テーマ読み切り形式としてわかりやすい内容となっていることです。また本文記事のほか、コラム、用語解説、本書で取り上げた湿地位置図、さらに参考となる図書とウェブサイトも掲載しています。
 研究者・企業・団体の方のみならず、行政担当者や地域で活動される方など湿地に関心を寄せる方、さらには湿地のことを知る入り口を探している高校生・大学生・教育関係者など、幅広い方々に入門書または事典として使ってもらうことを目指した本です。
 内容は大きく以下の4部から構成されています。
 第T部「湿地の恵みを受ける」では、湿地が身近なところで人の暮らしや生業を支えていることを感じてもらうため、人が湿地から受ける様々な恵みに関する事例を紹介しています。
 第U部「湿地を彩る個性派たち」では、湿地という生態系の構成メンバーであり、特異な環境で命をつないでいく様々な生き物たちの懸命で不思議な暮らしぶりを紹介しています。
 第V部「湿地の姿としくみ」では、地形などの環境に応じて様々な姿と形をもった湿地をタイプ別に紹介するとともに、長い年月をかけて獲得されてきた湿地ならではの機能と効用について紹介しています。
 第W部「湿地を活かす仕組みと人々」では、湿地の変遷や課題を紹介した上で、湿地を守る仕組み、担い手の重要性、企業とのかかわり、国際的な広がりなど、湿地の未来に向けての解説と様々な事例を紹介しています。
 湿地はなぜ大切なのか、守らなければならないのかについて、湿地のもつ機能や、人間との切っても切れない関わりなど、多面的なヒントを与えてくれるとともに、保全の取り組みの大切さと、人間と湿地が持続的に共存し続ける姿(ワイズユース)について理解を深めてもらう1冊になると思います。
 なお執筆者と目次については、朝倉書店のホームページに詳しく掲載されていますのでご覧ください。お知り合いの執筆者がいましたら、執筆者を通して割引購入も可能です。
(法政大学人間環境学部教授 高田雅之)












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