2000/3/4 No.23 

便利と緊張のバランス

昨日の「ストリーゲート」の曲にバイオリンが入ってるんだけど、その時のバイオリニストが全盲の人だった。
彼はスタッフの方に手を引かれてスタジオに入ってきて、おもむろにケースからバイオリンをだしてチューニングをし始めた。
ほとんどのミュージシャンがレコーディングの時はチューナー(チューニングマシン)を使う。
だけど目が見えないわけだからチューニングは耳でやるしかない。もちろん楽譜も役に立たない。
だけどそのバイオリニストの彼がオケにあわせて弾き始めたとたん、びっくりしたな。それはそれは美しい音がした。
メロディーや詞をちゃんと理解して弾いている。
その日の曲は「フォルテの弓」と言ってバイオリン弾きの主人公と馬のフォルテの物語なんだけど、二人がパンを半分にして食べる詞のところはナイフのような音を、主人公が恋をしてダンスをする詞のところは弾むように弾き、フォルテが戦争で死んでしまいそうになるところは、か細い高い音で願うような音を。
今、ちまたに流れてるほとんどの音楽がパソコン上で作られ目で音を見る時代なのに、彼は耳だけで音楽をやっている。
このレコーディングの3日くらい前に、あるタレントに提供する曲を作っていると言う友人に頼まれて、ピアノを弾きに行ったときに、友人がパソコンを指さして「ちょっとこの音見てよ」って言ったのを「音見てよはないでしょ!」と言って二人で笑ってたのを思い出した。
今のレコーディングシステムは本当にスゴイ。パソコンでなんでもできてしまう。
リズムやKeyや音の長さ、音程だって簡単に直せちゃう。音痴でもOK。だから音を入れるときにあんまり緊張しない。
だってまちがってようがなにしようがマウスで直せちゃうんだから。
でも思うんだよね。緊張が大事なんじゃないかって。
あの時思いっきり緊張してたからずーと覚えてる。あの時練習したから今でも弾ける。あの時緊張したから今でも笑えるし泣ける。
科学の発達でいろいろなことができるようになって嬉しい。本当に科学の発達には感謝している。
そして昨日のバイオリニストの彼にも感謝している。なんか目からうろこが落ちたって感じ。
今ちょうど5THアルバムのプリプロ中だからね。この2,3日の体験はなんかタメになったな。
よし!俺はこの科学の便利と人間臭い緊張のバランスをとりながらやっていこう!頑張っちゃうからね。


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