更新:2019年4月16日(火)
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第47回 監視社会研究会(通算第65回研究会)【2019−2−28】
(テーマ)東京オリンピックにおける監視とメディア 
(報告)田島泰彦さん(元上智大学教授)

 報告の冒頭で、田島さんは次のように問題を提起しました。
 監視の強化をはじめとして、東京オリンピックでは様々な問題がでてきて
います。にもかかわらずそれらが社会的に問題化されていないのはなぜなの
か。それはメディアの姿勢に大きな問題があるのです。

<監視の進展と具体的な動向>
 政府は「オリンピックに向けたセキュリティ基本戦略」(2017年4月)
で取り組みの基本的方向を決定し、それに基づいて「オリンピックテロ対策
推進要綱」(2017年12月)、「2020年東京大会等を見据えた主なテ
ロ対策の推進状況」(2018年12月)を連続的に発表しています。
 この「テロ対策の推進状況」の内容は、「1情報収集・集約・分析等の強
化、2水際対策の強化、3ソフトターゲットに対するテロの未然防止、4重
要施設の警戒警備及びテロ対処能力の強化、5官民一体となったテロ対策の
推進、6海外における邦人の安全確保、7テロ対策のための国際協力の推進」
の7項目です。
 この「テロ対策の推進状況」自体は抽象的なものですが、政府は実際に取
り組みを進めているのです。具体的には、(1)テロ・警備体制のあり方に
おける強化・拡大―警察庁に警備・災害に特化した「警備運用部」の新設、
自衛隊への警備協力要請。(2)国際的な情報収集・協力の強化―「国際テ
ロ情報収集ユニット」の拡充、日米指紋データ即時照会の運用、ユーロポー
ルとの協力・連携強化。(3)監視の強化―大会関係者への顔認証の導入、
駅での手荷物検査実験などがあります。3月3日に開催される東京マラソン
は監視カメラのAI実験の場になるでしょう。

<スポンサーとしてのメディア>
 テレビの放映権料はかなりの割合でオリンピックの財政を担っています。
全体の30%くらいになります。テレビの放映権料でオリンピックを財政的
にバックアップすることは従来からあったのですが、東京オリンピックでは
メディアがスポンサーに入りました。活字メディアがスポンサーとして財政
を支えることは、これまでのオリンピックではありませんでした。今回はじ
めて全国紙の朝日、読売、毎日、日経の4紙がオフィシャルパートナーにな
り、主催者の立場に立ったのです。こういうことは他国ではあり得ません。
 メディアがスポンサーとしてオリンピックにかかわることによって、報道
内容は主催者の側からのそれに当然なってしまいます。戦前の「大本営」発
表のように、オリンピック組織委員会の発表をメディアがそのまま垂れ流す
ようになってしまいます。メディアがそれでいいのでしょうか。オリンピッ
クそのものに対する監視が放棄され公正さが阻害されます。組織委員会から
差別されることを恐れて、地方紙がオフィシャルサポーターに加わる動きも
出ています。オリンピックにはいろいろな問題があるにもかかわらず、それ
を取り上げた報道ができなくなります。オリンピックはナショナリズムを高
揚させる絶好の場ですが、メディアがこのナショナリズムを増幅して報道す
れば、ナショナリズムを過剰に喚起することになりかねません。

<論議・感想>
・オリンピック警備で運用されるハイテクのシステムが、国民監視のために
オリンピック後にもそのまま運用・利用されようとしていることに危機感を
覚える。
・メディアがオリンピックに対する批判的な報道を全くしなくなっているこ
とはおかしいと思っていたが、メディアがオリンピックのスポンサーになっ
ていることにその理由があることを初めて知って驚いた。


*安倍政権は2月15日に、マイナンバーカードを健康保険証として利用可
能にするために、健康保険法改正案を閣議決定し、ただちに国会に上程しま
した。これについて事務局から報告しました。
 政府は「デジタル社会」を実現するためのインフラとしてマイナンバー制
度を位置づけ、その運用・利用の拡大に突き進んでいます。とくに個人認証
機能をもったマイナンバーカードを国民すべてに持たせることを狙っている
のが政府です。政府は、マイナンバーカードを一挙に普及させることをも目
的にして、マイナンバーカードに誰もが保有せざるをえない健康保健証の機
能を持たせる健康保険法の改正案をいまの通常国会で成立させようとしてい
るのです。

          
第46回 監視社会研究会(通算第64回研究会)【2018−9−28】
(課題) 徹底される在留管理 〜外国人労働者本格受入れがもたらすものは? 〜
(講師)  旗手 明 さん(公社)自由人権協会理事

 今回の研究会では、出入国管理−在留管理の問題に長年にわたって取り組
んでこられた旗手さんに、外国人労働者の現状とこれに対する政府の施策と
その問題点について報告していただきました。旗手さんは外国人労働者が原
発の放射能の除染作業に従事させられていた問題にも、とりくんでいらっし
ゃいます。
 旗手さんにはこれまで二回ほど研究会で次のテーマで報告していただいて
います。2008年11月「外国人管理の再編強化〜外国人登録証廃止でIC在
留カード・外国人台帳制度へ」(『NO!監視』ニュース 第24号 )、2012
年5月「改定入管法・改定住基法は何をもたらすか」。

□ 旗手さんは、まず、今日の日本における〈外国人の状況〉の全体像とし
て、在留外国人の人数は2017年末には2,561,848人にもなり日本の全人口の2
%をはじめて超えて非常な急増の段階に入ってきていることを紹介しまし
た。そして、就労可能な在留資格をもった人が2017年には580,369人となり、
その半分を「技能実習」とされる274,233人の人たち(47.3%)が占め、非常
に歪んだかたちになっていることを指摘しました。
 そのうえで旗手さんは次のようにその問題点を述べました。

 この「技能実習生」の方たちは、働くためではなく、技能を習得する目的
で来ている人たちであるはずです。ところが実質的にはそのほとんどが単純
な労働に携わっている状況にあり、就労外国人のなかで一番多くなっていま
す。ベトナムからは100万円ほどの借金をして日本に来ます。借金奴隷、債
務奴隷とも言われます。途中で辞めて帰ると借金だけが残り、労働条件など
の不満を述べたりすると強制帰国されたりします。このような現状からして、
「技能実習」は非常に問題の多い制度です。また就労資格ではない「留学」
で在留している人が311,505人もおり、その多くがアルバイトとして就労し
ています。
 また日本に入国する外国人の人数が2017年には27,428,782人と非常に急
激に増加しており、オリンピックの年となると更に増えることになるでしょ
う。このような人たちをどうチェックするのかが政府の課題となっているの
は間違いありません。

□ さらに旗手さんから、〈9.11以降の外国人管理強化の流れ〉について、
「非正規滞在者の半減計画」(2003年12月)が出されて以降、政府のもとで、
警察と入管当局が手を組んで、多くの非正規滞在の外国人を「不法就労者、
不法入国者」ときめつけてどしどし強制送還してきていることが報告されま
した。そして以下の項目にそって、いかに在留外国人の管理の強化が実施さ
れてきたかの詳細な報告をしていただきました。

1.非正規滞在者の半減計画(2003年12月)
2.メール通報制度開始(2004年2月)
3.在留資格取消し制度の導入(2004年12月)
4.スカイ・マーシャルの実施(2004年12月)
5.事前旅客情報システムの導入(APIS:2007年2月1日から法的
義務化)
6.旅館業者による外国人宿泊客の本人確認の強化(2005年4月)
7.航空機・船舶等運送業者に対する乗客の旅券確認の義務化(2005年
入管法改定)
8.外国入管当局への情報提供(2005年入管法改定)
9.ICパスポートの導入(2005年旅券法改定、2006年3月実施)
10.テロリスト認定による退去強制(2006年入管法改定)
11.日本版US−VISITの導入(2006年入管法改定、2007年
11月実施)
12.外国人雇用状況届出の義務化(2007年10月)
13.ボディースキャナーの導入方針(2010年12月)
14.改定入管法・住基法施行(2012年7月)
15.全旅客の乗客予約記録(PNR)(2015年1月)、電子的取得開始(2
016年1月)
16.出入国管理インテリジェンス・センター開設(2015年10月)
17.国際テロ情報収集ユニット発足(2015年12月)
18.US−VISITでの顔写真とテロリスト等の顔画像との照合開始(201
6年10月)
19.国際線でボディースキャナーの導入開始(2017年3月)
20.顔認証ゲート(2017年10月)

□ 政府は6月(2018年)に「骨太の方針」で新たな外国人労働者の受
入れを閣議決定し、これにもとづいて7月下旬には「外国人材の受入れ・共
生のための総合的対策」の中間的整理をおこないました。旗手さんは、その
なかで在留外国人の在留状況や就労状況を正確に把握する制度システムの構
築が提案されていることを指摘して、次のように問題を提起しました。

 この中間的整理において、「在留外国人に係る情報を一元的に管理」する
と言われていることに注目する必要があります。これまでは法務省と厚労省
が別立てで出入国及び在留の情報と外国人の就労に関する情報が管理されて
いましたが、これらを法務省のもとに統合していくことが目指されていると
思われます。またマイナンバー制度を活用して「一元的に管理」をおこなう
という報道もありますが、具体的なことは現在では明らかにされていません。
 今回の外国人労働者受入れ拡大政策は、移民政策への大転換というべきも
のであり、この認識にもとづいて、外国人労働者の生活と人権を守るとりく
みが必要であり、彼らに対する監視・管理が政府によっていっそう強化され
ることに警戒しなければなりません。

■ 研究会では次のような質問・意見が出ました。
・「在留管理インテリジェンスセンター」を新たに設置するという報道があ
るが、これとすでに運用されている「出入国インテリジェンスセンター」を
どのように改編し新たなシステムを構築しようとしているのか?
・政府は、出入国管理と在留管理を一体化し体制を強化することを狙って、
法務省の入国管理局を「入国在留管理庁」へと格上げするという方針を出し
ている。政府はこの「入国在留管理庁」のもとに出入国管理と在留管理を統
合して行う「インテリジェンスセンター」を新設するとしていますが、この
二つの業務をどのように統合するのか?
・政府は、出入国管理と在留管理を行う「インテリジェンスセンター」のシ
ステムを、マイナンバー制度の情報提供システムにどのように接続しようと
しているのか?
 このような疑問・意見が出ましたが、政府がこれらのことを全く明らかに
していない現状をふまえて、今後の検討課題としていくことを確認しました。
 
 【政府は2018年12月8日に、外国人労働者の受入れを拡大する入管
難民法改定案の採決を強行しました。2019年4月には「出入国在留管理
庁」が新設される予定です。】
 
第45回 監視社会研究会(通算第63回研究会)【2018−4−25】
(課題)
 Nシステム(自動車ナンバー自動読取装置)に関する情報開示の訴訟について
         櫻井 光政 さん(弁護士)
 今回の研究会では、弁護士の櫻井さんに、2015年4月に提起されたNシス
テムに関する情報開示の訴訟について報告していただきました。原告の今井亮一
さんも研究会に参加してくださいました。
 櫻井さんは、Nシステムの設置・運用によるプライバシーの権利侵害の問題に
長年にわたり取り組み、これまで二度(1998年、2007年)にわたってN
システム訴訟を提起してこられました(『NO!監視』ニュース 10号15号参照)。
□ 2015年4月6日、司法・交通ジャーナリストの今井亮一さんは、櫻井さ
んを訴訟代理人として、東京都に対してNシステムに関する情報開示を求める訴
訟を提起しました。

 今井さんらは、警視庁がある企業から年間3045万円の契約でNシステムを
賃借していることを知り、その契約書の開示を求めました。ところが警視庁は、
賃貸人の企業名や賃貸の目的たる機器の数量や機能などを非開示としました。誰
から、どのような性能の物を、いくつ借りたかというのは、都の支出の適正を判
断するために不可欠な情報です。
 警視庁が非開示したことを不服として、今井さんは東京都公安委員会に審査請
求をしましたが、容れられませんでした。そこでこの度、司法の判断を仰ぐべく
提訴したのです。

□ 東京都(警視庁)は、Nシステムの賃貸人である企業名を開示することを
「嫌がらせを受けたり法人の名誉や社会的評価が損なわれる」として非開示にし
ました。Nシステムの設置場所についても「捜査に重大な支障」があるとして非
開示にしました。書類に押された警察官の印影(印鑑)も「警察職員が特定可
能」、Nシステムの賃貸人の法人の印影も「偽造の恐れ」「法人が特定される」
ことを理由にして非開示にされました。
 警察によるNシステム情報の非開示は、憲法15条(「公務員の選定罷免権、
公務員の性質、普通選挙・秘密投票の保障」)・93条(「地方公共団体の機関
とその直接選挙」)・憲法21条(「集会・結社・表現の自由、検閲の禁止、通
信の秘密」)に保障された国民の権利を侵害するものだ、と原告側は主張して裁
判をたたかいました。
 しかし、東京地裁は、警察がNシステムに関する情報を非開示にする理由をそ
のまま認め、原告側の要求を斥けました(平成28年はじめ)。原告側は控訴し
てたたかいましたが、東京高裁も原告側の要求を認めませんでした(平成28年
7月)。

 櫻井さんは、「Nシステムに関する情報が開示されなければ、適性にNシステ
ムが使われているかどうかを判断できない。国民の知る権利が侵害されている」
「警察の主張をそのまま認めた裁判所は問題意識があまりに低すぎる」と、裁判
所の判断に強い憤りを明らかにしました。

(感想・意見)
◇  警察は、どの車両が・いつ・どこを・走行していたかを掌握するために、全
国各地の道路の要所にそこを通過するすべての車両のナンバーを記録するNシス
テムを設置・運用しています。網の目のように張り巡らされているNシステムの
設置箇所・設置台数、記録データの利用状況は、まったく明らかになっていませ
ん。警察が一切秘密にしているからです。警察によるNシステムの運用によっ
て、国民のプライバシーがどこまで侵害されているのか、その実態は分かってい
ません。また、その運用が一切秘密にされていることは「国民の知る権利」の侵
害です。これに疑念を抱き憤り、櫻井さんと今井さんは、Nシステムの運用実態
を調査・公表し、さらには裁判にもとりくんでこられた。このことの意義は大き
いと思います。

◇ ドライバーに交通の混雑情報を知らせるという理由で設置されたTシステム
(旅行時間測定システム)というのがあります。さらにスピード違反の車両を撮
影するオービス(自動速度違反取締装置)というのもあります。警察がTシステ
ムをNシステムにリンクして運用していることが、Nシステム訴訟などをつうじ
て明らかになっています。これにくわえて警察はオービスもNシステムにリンク
しようとしているのではないか。警戒が必要です。

◇ 警察は、2020年の東京オリンピックでは交通の規制と群衆の掌握が警備
の重要ポイントになる、と宣伝しています。「オリンピック警備・テロ対策」を
理由にして、今後Nシステムが格段に増設されるのではないか。警視庁は現在、
非常時映像伝送システム(東京メトロや私鉄が設置している監視カメラのデータ
を、警視庁がリアルタイムで掌握するシステム)を運用しています。車の運行と
人の動向を一括して掌握するために、Nシステムと非常時映像伝送システムのリ
ンクが進められるにちがいない。それは警察が<誰が・いつ・どこを・どのよう
に・移動したか>を把握する一大国民監視システムの完成に他なりません。
 
第44回 監視社会研究会(通算第62回研究会)【2018−1−30】
〈テーマ〉マイナンバー制度の本格運用開始[2017年11月]後の現在

□ 安倍政権は、5000を超える国の諸機関・地方自治体等が保有する情報を
連携するために《情報提供ネットワークシステムの本格運用》を2017年11
月に開始しました。同時に、個人が国・地方自治体のシステムにマイナンバーカ
ードを使ってアクセスするポータルサイト「マイナポータル」の本格運用も開始
しました。情報提供ネットワークシステムとマイナポータルはマイナンバー制度
の基本骨格をなすものであり、マイナンバー制度の本格運用が始まったと言えま
す。

□ 2018年1月16日に、「eガバメント閣僚会議」において、「デジタル・
ガバメント実行計画」が決定されました。この「実行計画」においては、「『電
子政府』から『デジタル・ガバメント』へ」というスローガン(国家戦略)が掲
げられ、これを実現するためにマイナンバー制度を全面的に活用することが明示
されています。今回の研究会では、この「デジタル・ガバメント実行計画」との
関係で、安倍政権によるマイナンバー制度の本格運用の動向について討論しまし
た。

(出された意見)
・そもそも情報連携の本格運用は三度にわたって開始時期が延期されてきた。行
政諸機関のシステムの整備が進んでいないからだ。マイナンバーカードの普及率
も国民の約10パーセント。「2017年3月末に3000万枚、2018年3
月末に6000万枚交付」という自民党の目標は破綻している。本格運用後、自
治体のシステムのトラブルも頻発している。
・日本経済新聞(1月15日付)が「デジタル・ガバメント実行計画」を次のよ
うに報道している。「転居の際は、自治体に転入届を出した後、アプリで電気や
ガス、年金、健康保険などの住所変更を申し込めば、アプリの運営企業がすべて
の手続きを済ませる。スマホでマイナンバーカードの2次元バーコードを読み取
ると、運営企業が行政システムに接続して本人からの申請と確認する。」
 このように「デジタル・ガバメント実行計画」では、マイナンバー制度の情報
連携システムをつかった「ワンストップサービス」への接続を企業に認めること
がはっきりと提示された。政府は、企業が保有する個人情報を政府のもとに集中
管理することをも狙って、情報連携システムへの企業の接続を認めようとしてい
るのではないか。
・日本経済新聞が発表した「Innovation Roadmap 2030」(1月9日付)で
は、次のような近未来が提案された。「2025年 人が自らの意思で自らの
データを蓄積・管理するためのシステム(PDS)を用い、情報銀行が個人との契
約などに基づき個人の情報を管理」「2030年  保険会社、個人の健康具合や
運転技術ごとに保険料率を個別に設定」。
 この「Innovation Roadmap 2030」は、「デジタル・ガバメント実行計
画」が実現されていくプロセスを主に「金融・保険サービスの発展」の視点から
図示したものといえる。政府は民間の「情報銀行」に大量の個人情報を「マイナ
ポータル」を通じて取得させることを検討している。個人情報を利活用して利潤
を得ようとする企業の要求に、政府は積極的に応えようとしている.。マイナン
バー制度の民間利用という面をおさえておく必要がある。
・改正個人情報保護法(2015年)では、信条・病歴をはじめとした「機微情
報」を「要配慮個人情報」として利活用できることが明記された。憲法で保障さ
れたプライバシー権を侵害する憲法違反の法律。思想・信条の自由をいっぺんの
法律で制限するのはファシズムと言える。「本人の同意」を名目にして個人情報
を利活用することをいま官民で進めているが、改正マイナンバー法と一体のもの
として改正個人情報保護法を制定した政府の狙いはいまや明らかだ。
 安倍政権は、憲法9条に自衛隊を明記し、トランプ米政権による朝鮮核攻撃に
この自衛隊を参戦させることを企んでいる。この安倍政権が、市民団体・労働組
合を監視し弾圧し、すべての国民を戦争に動員するために、マイナンバー制度を
活用していることに警鐘を乱打しなければならない。

第43回 監視社会研究会(通算第61回研究会)【2017−10−17】
〈テーマ〉
(1)ビッグデータと監視社会 
〜マイナンバー制度・情報連携の今秋の本格運用開始との関係で 〜
(2)日弁連人権擁護大会シンポ第2分科会(10月5日、滋賀県大津市)
「情報は誰のもの? 〜監視社会と情報公開を考える〜」について

(1)ビッグデータと監視社会 
〜マイナンバー制度・情報連携の今秋の本格運用開始との関係で 〜
 政府は今秋に、14大学50病院とともに、官民のデータを管理・流通・利用
する実験を開始しようとしています。これは「情報銀行」の医療版の第一号とい
うべきものです(資料@)。しかもこの「情報銀行」制度とマイナンバー制度の
マイナポータルとの情報連携をも、政府は検討しているのです(資料A)。
 遅れに遅れていたマイナンバー制度の骨格である情報提供ネットワークシステ
ムの本格運用の開始が今秋に予定されていることとの関係で、「ビッグデータと
監視社会」というテーマについて、みなさんと意見交換しました。

(出された意見)
・「情報銀行」をマイナンバー制度(マイナポータル)に連携することを基礎に
して、政府は行政機関だけでなく民間が保有するあらゆる個人情報を一元管理す
ることが可能となる。これは監視社会化のあらたな段階を画すものだ。
・ビッグデータを利活用する政府の施策は、官民が保有するデジタル化したすべ
ての情報(上層)、情報銀行などのデータ流通基盤(中層)、マイナンバー制度
(下層)というように、三層構造をなしている。マイナンバー制度は官民データ
を利活用するための唯一無比の社会的基盤(インフラ)。だから政府はマイナン
バー制度の本格運用の開始(情報連携の開始)が遅れに遅れていることにあせっ
ている。
・政府は、マイナンバーですべての個人情報を集積し、マイナンバーで特定の個
人の必要なデータを検索する。『コレクト イッツ オール』は米国だけのこと
ではない。
・国家が〈誰が〉〈どこで〉〈何をしたか・しているか・しようとしているか〉
を把握する国民総監視=総管理体制が一挙に強化されようとしている。このこと
を危機感をもって世論に訴える必要がある。
・市民の自由と人権を国家による情報統制と監視から取り戻す必要がある。

(2)日弁連人権擁護大会シンポ第2分科会(10月5日、滋賀県大津市)
「情報は誰のもの? 〜監視社会と情報公開を考える〜」について
 日弁連人権擁護大会シンポ第2分科会に参加された弁護士の方々から、このシ
ンポについて報告していただきました。
 シンポでは、監視社会化の歯止めと情報公開の推進について活発な議論が行わ
れ、監視社会の実態を明らかにする意見、監視社会の到来に警鐘を鳴らす意見が
出されたことが紹介されました。スノーデン氏とのライブインタビュー(映像中
継)もシンポで行われたそうです。

資料@「診療データを14大学共有 慈恵医大など実験、診察時間を短縮」
(2017年8月22日付 日本経済新聞)
資料A「AI、IoT時代におけるデータ活用ワーキンググループ 中間とりまと
め」(平成29年3月 データ流通環境整備検討会)の25頁を参照。
 

          
第42回 監視社会研究会(通算第60回研究会)【2017−7−24】
テーマ:共謀罪法の施行下で強化される国民監視

■ 今回の研究会では「共謀罪法の施行下で強化される国民監視」というテーマ
で、みなさんと意見交換しました。

 安倍政権は7月11日、現代の治安維持法というべき共謀罪法を施行しまし
た。都議選で歴史的敗北を喫し、世論調査で内閣支持率が3割を切った安倍自民
党政権。共謀罪撤廃、加計・森友疑獄のもみ消しを許さない、憲法9条改悪を許
さない――安倍政権に対する怒りの声がいま全国からあがっています。だからこそ
安倍政権は、共謀罪法を適用して、<反安倍>の声をあげる市民団体・労働組
合・政党、市民・研究者・ジャーナリストへの監視を強化し、集会・結社の自
由、思想信条の自由、報道の自由を踏みにじる弾圧・統制をたくらんでいます。

 研究会では次のような意見が出され討論しました。 
・安倍政権は来年の通常国会で憲法改正を発議するという計画を現在もなお護持
している。この政権は、9条改悪に反対する市民団体や労働組合をはじめとした
組織・団体を監視するために、共謀罪を発動することを画策している。
・9条改憲をはじめとした政府の諸施策に反対する団体・組織の活動を「共謀罪
違反」とみなして、公安警察は電話・メールの盗聴をすでにおこなっている。そ
のために「エックスキースコア」(米政府が日本政府に提供した、すべての通信
データを検索・収集できる監視システム)を利用しているにちがいない。

■ また今回の研究会では以下の項目についてもとりあげました。
@警視庁は現在、「テロ対策」を名分にして、東京メトロが管理する監視カメラ
の全データをリアルタイムで活用するシステム(「非常時映像伝送システム」)
を運用している。
・「都民ファーストでつくる『新しい東京』〜2020年に向けた実行プラ
ン〜」(2016年12月 東京都発表)では、「非常時映像伝送システム」を
2018年度に「新たに3鉄道事業者と運用開始」とされている。東京メトロ・
都営地下鉄・JR山手線の車両内への監視カメラの設置が来春から開始される。
 警視庁は、「オリンピック警備」を名分にして、「非常時映像伝送システム」
を、選手村・競技場をはじめとした関連施設とこれを結ぶ交通機関のすべてに拡
大し運用しようとしている。

Aマイナンバー制度の基幹システム「情報提供ネットワークシステム」をつかっ
た情報連携の試験運用が7月18日に開始され、10月に本格運用が予定されて
いる。
・安倍政権は、国策として、国の機関・地方自治体・民間が保有するすべての
データベースをつなげることを企んでいる(官民データ活用推進基本法 昨年
12月制定)。これにもとづいて安倍政権は5月30日に「世界最先端IT国家
創造宣言・官民データ活用推進基本計画」を閣議決定し、そのなかで「特に官民
データの利活用に向けた環境整備を進めるに当たっては、データの信頼性・安全
性を高める手段として、ネットワーク上の認証基盤としてのマイナンバー制度の
普及展開を推進する」(13頁)と明記した。
 安倍政権は、国民総監視=総管理のための技術的基盤として、マイナンバー制
度の情報連携システムの運用を本格的に開始している。

 「コレクト・イッツ・オール」(スノーデンが暴露したNSAの極秘文書)―
この言葉は安倍政権にも当てはまる。安倍政権はすべての通信履歴を掌握するシ
ステム(エックスキースコア)をすでに運用している。加えて、医療情報をはじ
めとしたあらゆる個人情報、モノに関する情報、つまり「官民」が保有するすべ
てのデータを一元的に管理するシステムの本格運用に突き進んでいる。国民総監
視=総管理体制に反対の声をいまこそ大きくあげる必要がある。

 

第41回 監視社会研究会(通算第59回研究会)【2017−5−18】
(1)共謀罪新設法案と監視社会
(2)マイナンバー制「本格運用」の現状とその問題

 研究会の翌日に共謀罪法案が衆院法務委員会で強行採決されるという、緊迫し
た状況のなかで研究会を開催しました。

(1)〈共謀罪新設法案と監視社会〉
・安倍政権は、犯罪の実行行為がなくても合意するだけで処罰できる法制度をつ
くりあげるために、共謀罪を導入しようとしています。

「多くの労働組合や市民団体が憲法9条改悪に反対する運動にとりくんでいる。
共謀罪はこれらの組織・団体のメンバーたちの内心の自由を侵害するものだが、
それは集会・結社の自由の侵害だ。」
「共謀罪は戦前の治安維持法の機能と本質的に重なる。」
「朝鮮戦争がいつ勃発するかもしれないなかで共謀罪が制定されようとしてい
る。1925年に治安維持法を制定してアジア太平洋戦争に突入していった歴史
を想起する。戦争への道が急ピッチで進んでいる。」

・こういった意見をめぐって研究会では討論をおこないました。

 共謀罪制定について〈戦時下の国民監視〉という観点から今後も掘り下げてい
く必要があります。

(2)〈マイナンバー制「本格運用」の現状とその問題〉
・マイナンバー制の「情報提供ネットワーク」をつかった情報連携の本格運用と
マイナポータルの運用開始が再延期されています(当初予定2017年1月
→2017年7月に延期→2017年10月に再延期)。一大国家プロジェクトで
あるマイナンバー制の情報連携の運用開始が二度にわたって延期されたのは前代
未聞の事態です。

「政府は『窓口で対応する自治体職員らがシステムに慣れる期間も必要と判断
した』と再延期の理由を説明しているが、本当にそうなのか?」 
「マイナンバーカードが普及していない。これを打開するために、国民の多く
が持っているスマホにマイナンバーカードの機能をもたせようとしているのでは
ないか。」
「政府が医療情報の一元化や『情報銀行』計画にマイナンバー制の情報連携基
盤(情報提供ネットワークシステム)を利活用しようとしていることが背景にあ
るのでは?」
「マイナンバーカード(さらにはマイナンバーカードの機能を持たせたスマ
ホ)を、官民のオンラインサービスにアクセスする手段として当てようしてい
る。このためのシステムの整備が関係しているのでは?」

 これらの意見が出され討論しました。

・政府はこれまで「税と社会保障のための共通番号」とか「マイナンバーの利用
は法律で限定している」とかというように、マイナンバー制の利活用は制限する
と称してその導入を正当化してきました。その嘘と欺瞞はいま明らかです。

第40回 監視社会研究会(通算第58回研究会)【2017−2−27】
(1) ビッグデータと監視社会
(2)「マイナンバー違憲訴訟」の現状について

〈 ビッグデータと監視社会 〉 
■ 研究会では、安倍政権の次の施策をとりあげました。

@「官民データ活用推進基本法」を2016年12月に制定。
 安倍政権は、国・自治体・企業が保有するあらゆるデータを結びつけ利活用す
るために、「官民データ活用推進基本法」を制定しました。そしてこの基本法
で、法律では初めて、「官民データ」を利活用するために不可欠なAI(人工知
能)・IoT(インターネット・オブ・シングス)を定義しました。

A「医療ビッグデータ新法」(「医療分野の研究開発に資する医療情報提供促進
法案」)を今通常国会で制定し2018年中に実施することを画策。
 この法律は、国家のもとに個人の医療情報を一元的に集中・管理・利用する新
たな制度を導入するためのもの。

B マイナンバー制の基幹システムである「情報提供ネットワークシステム」の
運用を今年7月に開始。
 「情報提供ネットワークシステム」は、国・自治体(さらには企業)が保有する
データを「情報連携」=データマッチングするためのコンピュータネットワー
クシステム。

 このように、安倍政権は、国・自治体・企業が保有するあらゆる情報を一元的
に集中・管理・利用するために、法制度上でも、システム上でも、その整備を一
挙にすすめています。まさに、その技術的基盤こそ、<高度情報化社会における
国民総背番号制>というべきマイナンバー制に他なりません。<戦争する国づく
り>を目指す安倍政権による、国民総監視=総管理体制をより強固に構築するた
めのテコとなるこのような攻撃を絶対に許してはなりません。
 研究会では、「ビッグデータと監視社会」という視点から、安倍政権がすすめ
るこれらの動向を分析し、みなさんで意見交換しました。


〈 「マイナンバー違憲訴訟」の現状について 〉
 東京訴訟弁護団の水永誠二さんに報告していただきました。
水永さんは「2015年12月1日に、全国5地裁で提訴し、その後3地裁で追加提訴
され、現在8地裁で裁判が進行中」であるとして、次のように報告しました。

「現在、序盤の争点整理的な主張、求釈明のやりとりを行っている。
 @ 共通番号制度(マイナンバー制度)の違憲性(危険性)を主張立証しよう
にも、その“前提”である事実関係があまりにも不明すぎる。
ア)現在運用が開始されている事務関係も、法令関係が複雑で読んでも分からな
い。システムの内容も明らかにされていないし、複雑なところが多く分からない。
イ)国はドシドシ利活用を進めようとしており、どこまで制度が広がるかも未確定。
 A 各訴訟で重点の置き方や主張の仕方に違いが出てきている。 
東京訴訟は、求釈明で、まず@の点を明らかにしようとした。」

 
第39回 監視社会研究会(通算第57回研究会)【2016−10−28】
「共謀罪の問題:戦争法・特定秘密保護法下における」
 村井敏邦さん(一橋大学名誉教授、日本刑法学会元理事長)

□ 安倍政権は、これまで3度廃案になった共謀罪法案を、「テロ等組織犯罪準
備罪」と名称を変更して、来年の通常国会に提出することをたくらんでいます。
村井さんは、共謀罪制定にかけた安倍政権の危険な狙いとその背景について、
「安倍政権は、戦争法、特定秘密保護法、改正刑訴法を実効たらしめる手段とし
て共謀罪を位置づけ、共謀罪法案を来年の通常国会で通す魂胆です」と報告しま
した。そしてこのことについて「当然アメリカと協議しているだろう」と指摘し
ました。

□ 共謀罪法案では、4年以上の懲役・禁錮の刑が定められている600を超え
る犯罪を対象にしています。 このことについて村井さんは、「行為もなしに一
般法で共謀を処罰するという、刑法学において根本的に議論をしないといけない
ことがいま進んでいます」と指摘しました。そして次のように述べました。
 「ナチス刑法は内心を処罰しました」。「二人以上で合意すれば共謀とする
のは、内心の処罰に等しく、心情刑法の考えです」。内心を処罰しないというの
が「戦前の旧刑法の旗振り役をした刑法学者の反省です」と村井さんは訴え、そ
れが覆されることへの強い危機感を明らかにしました。共謀罪は、行為を処罰す
るという刑法の原則に違反し、表現の自由・良心の自由を侵害するものに他なり
ません。

□ さらに村井さんは、「共謀罪の機能」は「『合意』の存在だけで処罰でき
る」ところにあるとして、「政府がおかしな集団、不穏集団とみなした集団の捕
捉が早い段階でできる」ことになると指摘しました。政府・警察はこれまでも、
「おかしなことをしようとしている」「おかしなことを相談しているようだ」と
みなした団体・諸個人にたいして、家宅捜索などをおこなってきていますが、し
かし「おかしなことを相談している」ことそれ自体を「犯罪」として処罰するこ
とはできませんでした。しかし、共謀罪はそのことを犯罪とするものであり、さ
らに、政府は、共謀罪を全面的に活用し、「スパイの送り込み、盗聴、おとり捜
査」などをもおこない、そこで得た情報をもとにして、組織を一網打尽にするこ
とができるようにしようと策していることも明らかにしました。
 共謀罪は、「英米のConspiracy(コンスピラシー)に源」をもった罪
であり、このコンスピラシーは、英米では「政府批判の集会・結社・メデイアの
規制」に活用されてきており、アメリカでは「組織的恐喝罪として労働組合規制
に威力を発揮」してきたことも、村井さんは紹介しました。

□ 村井さんは、「今春の刑訴法改正によって『司法取引、刑事免責、盗聴の拡
大』がなされ、安倍政権は共謀罪を活用するための条件整備を完了」したことに
ついて警戒を促しました。「政府にとってこれまでは、こういう手段にあたるも
のがなければ、共謀罪はあまり活用できないものでした」が、「安倍政権はいま
本気で共謀罪を導入しようとしています」。
 村井さんは、想定される法案の問題点も指摘しました。廃案になった2005
年提出の政府案と対比し、「罪名」を「共謀罪」から「テロ等組織犯罪準備罪」
に変更したが、「テロ対策が目的という限定はなにもなく、まやかし」であり、
「テロ対策のためと言えば法案が通りやすい」と考えていること。「適用対象」
を「団体」から「組織的犯罪集団」に変更しているが、「アメリカにおけるコン
スピラシーの運用状況(労働組合は『組織的犯罪集団』)や日本における組対法
上の組織的詐欺罪の運用状況からは、通常の企業・団体であっても、それが犯罪
にかかわっていると判断されれば『組織的犯罪集団』ということにされます」と
述べました。

□ 安倍政権による共謀罪導入のもつ歴史的な意味を示して、村井さんは次の
ように報告をしめくくりました。
 「2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催が予定されています。
ここに治安部隊が投入され、その障害を取り除く役割を特定秘密保護法と改正刑
訴法と共謀罪が果たす」であろう、さらには、「戦争法の実効性を確認」したそ
の先には「憲法九条の改正が検討されているのだろう」。

□ 質疑では、参加者から「この間安倍政権がおし進めてきた対テロ三法、特定
秘密保護法、刑訴法の改訂などの総仕上げとして、共謀罪を新設しようというこ
とではないでしょうか。この一連の法体系の整備は、アメリカの『愛国者法』と
同様の弾圧法規では?」という質問が出されました。これに答えて村井さんは、
「そのとおりです。日本はアメリカと協議しながら法整備を行っています」と述
べました。

□ 共謀罪法案の国会上程を許さない運動を大きくつくりだしましょう。

 

第38回 監視社会研究会(通算第56回研究会)【2016−7−19】
「個人番号カードと健康保険証の一元化の狙い」
 知念 哲さん(神奈川県保険医協会 事務局主幹)

□知念さんは、「共通番号で医療はどうなる?」(『共通番号制度のカラクリ』
所収 現代人文社)、「共通番号『カード』が医療等分野に与える影響と
は」(『共通番号の危険な使われ方』所収 現代人文社)をはじめとした論文を
執筆し、医療分野における共通番号制度の問題点について、積極的に発言してい
らっしゃる方です。

□知念さんは、「政府の成長戦略など、様々な政策との関連性を多角的に見る。
そしてマイナンバーとマイナンバーのインフラ、公的個人認証と医療情報との関
係、政府の狙いを紐解く」と問題を提起し、次のように報告しました。

・「個人番号カードはマイナンバー制度だけのインフラではないこと。これは明
白。だまされてはいけない」
・「個人番号カードは、公的個人認証(電子証明書)を普及させるインフラ。マ
イナンバー制度は公的個人認証の機能を借りているに過ぎない。これも明白」
・「健康保険証の一元化は、個人番号カード(公的個人認証)普及のための手段」
・「個人番号カード(公的個人認証)の狙いは、すべての個人情報をデータ化
し、ネットワーク上でやりとりすること」

 そして、「政府の狙う個人情報の利活用策」について、次のように指摘しました。

・「ビッグデータ(匿名化した全データ活用)」は、「政策利用、営利目的の産
業利用=医療・社会保障費の抑制と医療健康分野の産業化」
・「個別の医療情報」は、「自己責任論に基づく政策利用、営利目的の産業利
用=データヘルス計画など」

 

第37回 監視社会研究会(通算第55回研究会)【2016−4−25】
■「監視をめぐる最近の動向」というテーマで、安倍政権がいま進めている次の
三つの施策などについて、みなさんで討論しました。

◇ 安倍政権の新たな三つの施策

@安倍政権は、病院などの保有している個人の医療情報を、国の認証を受けた公
的機関が患者の同意なしで集めるための法律案や法改正案を来年の通常国会に提
出することを計画。将来的には、製薬会社などの民間企業を先の認証機関にする
ことも検討(4月10日付 読売新聞)。この施策は「安心・安全に情報の円滑
な流通を担う代理機関」(内閣官房・情報通信技術総合戦略室、2015年5
月)設置計画の具体化と言えます。

A5月末に閣議決定する2016年度「科学技術イノベーション総合戦略」の素
案に、「監視カメラなどの映像」をはじめとした「3次元地図」「ヒト・モノ・
車の位置」「地球環境」「流通」の5分野のデータベースを、2020年東京オ
リンピックまでに構築することを明記した。「複数のデータベースを組み合わせ
た利用」が構想されている。政府・企業・個人がバラバラに保有する情報を「共
通の形式で集約」する。「監視カメラなどの映像」を「顔の自動認識技術も応
用」して「テロ対策・犯罪捜査」に活用する。(4月14日付 読売新聞)

B安倍政権は、外国人観光客が指紋認証だけで買い物や本人確認ができるシステ
ムの実証実験を今年の夏に開始。2020年東京オリンピックまでの実用化を目
指す。「どこでどのように利用されたかという情報は、匿名のビッグデータに加
工し、政府主導の協議体が管理」。(4月8日付 読売新聞)

◇ 今年1月からマイナンバー制の本格運用を開始した政府は、来年1月から、
行政諸機関を結ぶ「情報提供ネットワークシステム」の運用と、さらに国民に個
人番号カードをつかってアクセスさせる個人サイト「マイナポータル」の運用開
始に突き進んでいます。来年7月以降には、個人番号カードに健康保険証を一体
化させて発行する準備をも急いでいます。安倍政権は、マイナンバー制を活用し
て、先の三つの施策の実施を画策しています。国民総監視=総管理のための新た
な攻撃に警戒しなければなりません。

◇ 今回の研究会では<監視に反対するとりくみ>のひとつとしてマイナンバー
違憲訴訟のとりくみも紹介されました。

          
第36回 監視社会研究会(通算第54回研究会)【2015−10−26】
@ マイナンバー違憲訴訟について
  水永誠二さん(弁護士)
A マイナンバー法の施行が強行された現在―
 安倍政権は何を進め、私たちに何が問われているか


〈 マイナンバー違憲訴訟について 〉
・12月の提訴に向けて準備が進められているマイナンバー違憲訴訟について、
弁護士の水永誠二さんに紹介していただきました。
【12月1日、マイナンバー違憲訴訟が、仙台、新潟、金沢、東京、大阪の5地
裁に一斉に提訴されました。今後、横浜、名古屋、福岡の各地裁にも提訴が予定
されています。】

〈 マイナンバー法の施行が強行された現在―
 安倍政権は何を進め、私たちに何が問われているか 〉
・政府は9月下旬に、来年1月から個人番号カードを交付する際に全国約1700
の市区町村の窓口で顔認証を実施することを突然公表しました。窓口を訪れた住
民が、個人番号カードを申請した本人かどうかを確認するために、この住民の顔
写真を撮影し、事前に提出された個人番号カード掲載用の顔写真と照合するとい
うのです。このような強制的な顔認証の実施は憲法で保障された肖像権を侵害す
るものであり憲法に反します。この施策を突破口にして、政府は、私たちが個人
番号カードの提示を要求される際の本人確認の方法として、顔さらには指紋や虹
彩(瞳の色)などの生体認証を一挙に導入することを企んでいるのです。
・政府は「テロ警備」を名分に公共空間に顔認証システムを設置する計画を進め
ています。政府はマイナンバーの構築において顔認証システムをどのように位置
づけているか、研究会ではこの点について討論しました。

第35回 監視社会研究会(通算第53回研究会)【2015−6−16】
@ 監視に向かう日本
   田島泰彦さん(上智大学教授)
A 戦争法案と国民監視

〈 監視に向かう日本 〉
・安倍政権は、共通番号(マイナンバー)法と特定秘密保護法の制定、集団的自
衛権行使容認の閣議決定につづいて、今通常国会で戦争法案、マイナンバー利用
拡大法案、盗聴法・刑事訴訟法改正案の採決を強行しようとしています。この安
倍政権の暴走を、田島さんは、「1 番号法の改正について」、「2 『戦争できる
国』と情報統制」、「3 市民監視の強化」、「4 表現規制とメディア統制」という
四つの角度から分析し、急速に深化する「監視に向かう日本」の実態を強い危機感
をもって明らかにしました。
 日本年金機構から125万件の個人情報が流出したことが6月1日に公表され
ました。田島さんは翌日の6月2日、マイナンバー利用拡大法案を審議する参議
院内閣委員会に参考人として出席し、この事態は日本年金機構の人為的ミス
という問題ではなく「仕組み」の問題であることを指摘しました。そして、あら
ゆる情報にリンクするような共通番号制[マイナンバー制]をもっているG7の
国はなく、マイナンバー制そのものを見直すべきであると主張しました。田島さ
んにはこの参議院内閣委員会での質疑についても紹介していただきました。

(資料)
・『週刊金曜日』「メディアウオッチング」欄に田島泰彦さんが執筆した論文
「個人の金融や医療情報まで侵害するマイナンバー法改正」(2015/6/5)
「現実味増してきた安倍政権の諜報機関創設と憲法改正」(2015/1/30)
「人種差別撤廃基本法案を国会提出へ 表現規制への配慮を」(2014/11/14)
「五輪は好機≠ゥ。テロ対策を名目に行なわれる市民監視」(2014/4/11)
「盗聴法改正と通信履歴保存強化で加速する情報監視」(2013/7/5)

〈 戦争法案と国民監視 〉
・研究会では「戦争法案と国民監視」というテーマでも意見交換しました。
 日本年金機構情報流出事件が問題となっているまっただなかで、安倍政権は、
米国がサイバー攻撃を受けた場合に日本が米国とともに反撃することが可能だと
する見解を示した、と報道されています(朝日新聞 6月11日付)。中国・ロ
シアに対する米国と一体となった日本の戦争遂行準備、「イスラム国」に対する
米国中心の「対テロ戦争」への参戦、これらにくわえてさらに米国のサイバー戦
争に参加するという国家意志をも安倍政権は鮮明にしたのです。
 安倍政権は、戦争法案のなかの国家安全保障会議設置法(NSC設置法)改正
案に、国家安全保障会議が「存立危機事態」「重要影響事態」への対処をも審議
すると明記しました。まさにNSCこそ現代の大本営に他ならないことを示すも
のです。このNSCのもとに「特定秘密」に指定した軍事機密情報を、さらに思
想・信条をはじめとした国民の情報を集中し管理するのです。戦争法の制定と一
体のものとして、国民の目と耳と口をふさぐことを狙った国民監視の体制が一挙
に強化されようとしています。

(資料)
「対米サイバー攻撃も集団的自衛権の範囲」(朝日新聞 6月11日付)
 
第34回 監視社会研究会(通算第52回研究会)【2015−4−28】
@マイナンバー法改正案と個人情報保護法改正案の問題点
A顔認証システムと個人情報保護法改正案

< マイナンバー法改正案と個人情報保護法改正案の問題点 >
・両改正案を一つにした法案を5月15日に衆院内閣委員会で採択し、翌週の衆
院本会議で採決、参議院へ送付――このような「予定」が与野党の間に流されて
いると言われており、極めて危機的な状況にあります。
 2013年にマイナンバー法を制定した安倍政権は、今年10月の施行を前
に、新たに銀行口座と「メタボ健診」等の医療情報をマイナンバーで管理するこ
とをマイナンバー法・改正案に盛りこみました。この政権は、マイナンバーの利
用範囲を金融分野と医療分野に一挙に拡大すると同時に、「民間利用」にも広げ
ようとしているのです。
 同時に個人情報保護法・改正案では、「目的」(第1条)に「個人情報の適正
かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会……に資するもの
であること」という一文が追加され、今回の改正の狙いが、「個人情報」を「保
護」することではなく、逆に政府と企業のための「個人情報」の利用・活用にあ
ることが鮮明に示されました。国・自治体さらには民間企業がマイナンバーを
使って個人情報を収集・保有・蓄積し、自由に利用・活用する――このような制
度を認めることはできません。
 安倍政権は5月14日頃には、「集団的自衛権の行使」のための法整備=安全
保障関連法(戦争法)案を閣議で決定し今国会で制定することを企んでいます。
「切れ目のない安全保障」と称されているものは「切れ目のない国民監視」と一
体のものではないでしょうか。

< 顔認証システムと個人情報保護法改正案 >
・報道によると、全国の主要な小売業団体で作るNPO法人『全国万引き犯罪防
止機構』が、「防犯カメラがとらえた『万引き容疑者』の顔データをスーパーや
書店などで共有する」ことを検討しています(読売新聞 4月4日付朝刊)。こ
の「顔データ」は個人情報保護法・改正案の「要配慮個人情報」にあたる可能性
があるが、同機構は、同改正案の「財産保護のために必要な場合」は例外とする
規定を根拠に「提供は可能」と主張しているというのです。
 安倍政権はいま、東京オリンピックにおける「テロ対策」を名分にして、「誰
が・いつ・どこを・どのように移動しているか」を国家が掌握する顔認証システ
ムの導入を急いでいます。この計画を民間カメラを最大限活用して進めようとし
ているのが政府です。

第33回 監視社会研究会(通算第51回研究会)【2014−11−25】
@ なぜ、今私戦予備罪なのか? 刑事法から見た治安政策
  村井敏邦さん(大阪学院大学教授、監視社会を拒否する会・共同代表)
A 強行される顔認証・自動追跡実証実験(JR大阪駅ビル)
  事務局より

〈 なぜ、今私戦予備罪なのか? 刑事法から見た治安政策 〉
・「イスラム国」へ渡航しようとしていたとして北大生が「私戦予備・陰謀罪」
で逮捕されたことがありました。このことに触れて村井さんは、「憲法9条で戦
争が禁止されている日本で、集団的自衛権の行使を認めることをはじめとして戦
争準備をすすめている安倍首相こそが、私戦予備罪にあたる」と強調しました。
そして、「これまでは、国際テロの防止と国内の治安ということは別個のことと
考えられてきた。しかし今は違う」と指摘したうえで、村井さんは、「国家安全
保障会議設置法、集団的自衛権行使の合憲化、特定秘密保護法、これほどむきだ
しの治安立法がこれまであっただろうか。いままでは巧妙なかたちでやってきた
ことを、安倍政権は真正面から制定してきている。国内の治安政策、国際的なテ
ロ対策、『防衛』という軍事政策、これらが一体となって特定秘密保護法が制定
されている」と、特定秘密保護法の危険な本質的意味を明らかにしました。
(安倍政権が特定秘密保護法の施行を強行した12月10日に、当会は声明「特
定秘密保護法の施行に断固抗議する」を発表しました。当会のホームページにこ
の「声明」を掲載。)

(参考)
・村井敏邦「国家秘密の独占と国民の秘密の管理体制の整備・強化による治安国
家から軍事国家へ」(『秘密保護法から「戦争する国」へ』旬報社[2014年10月
30日発行]に所収)

〈 強行される顔認証・自動追跡実証実験(JR大阪駅ビル)〉
・多くの反対の声によって、JR大阪駅ビルでの顔認証・自動追跡実験を延期し
ていた情報通信研究機構は11月7日に、この実験をエキストラをつかって実施
することを突然発表しました。事務局から、同機構が実験を開始した経緯とその
問題点について報告しました。(監視社会を拒否する会は11月28日に、情報
通信研究機構にたいして、実験の中止と実験計画の白紙撤回を求める要請書を提
出しました。当会のホームページにこの「要請書」を掲載)

(資料)
・「大阪ステーションシティにおけるICT技術の利用実証実験に係る今後の対応
について」(情報通信研究機構 2014年11月7日付)「調査報告書」
( 映像センサー使用大規模実証実験検討委員会 2014年10月20日付)

第32回 監視社会研究会(通算第50回研究会)【2014−9−22】
@ 治安政策強化の視座からみる刑事制度改革
  山下幸夫さん(弁護士)
A 強行される認証実験――
  情報通信研究機構(JR大阪駅ビル)、アクセンチュア社(会津若松市)
  事務局より
B 特定秘密保護法―運用基準案と施行令案の問題点


〈@ 治安政策強化の視座からみる刑事制度改革〉
・法務省の法制審議会は9月18日に開催した総会で、盗聴対象の拡大や司法取
引の導入などを盛り込んだ「新たな刑事司法制度の構築についての調査審議の結
果案」と題する最終とりまとめ案を正式に決定し、法務大臣に答申しました。
・山下さんは、この最終とりまとめ案の問題点と正式決定にいたる経緯について
詳しく報告し、「警察や検察は強力な武器(権限)を持つことになった」「通信傍
受については、これまでも、証拠収集のためではなく、情報収集のための通信傍
受は日常的に行われていたと思われるが、今回の最終とりまとめが実施されると、
使い勝手の良い捜査手法として、通信傍受が多用されるおそれがある」「警察は、
必ず、会話傍受(室内盗聴)の導入を目指して、警察立法での導入を目指すだろ
う」と問題を提起しました。そして、「今後、組織犯罪対策やテロ対策を理由に、
これらの捜査手法が活用され、さらに、テロ対策として、行政盗聴の導入なども
検討されることになるだろうし、共謀罪法案も控えている」「1999年の通信
傍受法成立時に、国民の広範な反対運動によって、使いづらいものに限定してい
た封印が解かれ、いよいよ、猛威を振るうことができるような態勢が整えられよ
うとしている」として、来年の通常国会への法案の上程に反対する必要性を強く
訴えました。

(資料)
・「新たな刑事司法制度の構築についての調査審議の結果案」(最終とりまとめ案)

〈A 強行される認証実験――
  情報通信研究機構(JR大阪駅ビル)、アクセンチュア社(会津若松市)〉
・事務局から、情報通信研究機構は今秋にもJR大阪駅ビルで認証実験を強行し
ようとしていること、この実験はJR大阪駅ビルを利用する膨大な市民を、顔、
歩行、姿態の三つの認証技術をつかって自動追跡するものであり、国民総監視を
企むものに他ならないことを報告しました。さらに、IT企業のアクセンチュア
社が、福島県会津若松市で市内の商店街を東京五輪の競技会場にみたてて、顔認
証をはじめとした実証実験を、「共通番号」をも活用して、今年度中に着手しよ
うとしていることも報告しました。

(資料)
・「歩き方で通行人認証 顔に加え 秋にも実験計画 JR大阪駅で」
(毎日新聞8月2日付)
・アクセンチュア社「オープンイノベーション次世代モデル都市〜レトロフィッ
ト会津〜」(2014年3月11日)
・奇しくも、この研究会と同じ日の9月22日、情報通信研究機構が設置した弁
護士・学者・研究者による「第三者委員会」が最終会合を開催し、JR大阪駅ビ
ルでの実験を条件付きで認める方針を決めて10月中旬にも同機構に提言する、
と報道されました(9月23日付 朝日新聞大阪本社版)。


〈B 特定秘密保護法―運用基準案と施行令案の問題点〉
・政府が特定秘密保護法を12月に施行するためにうちだした運用基準案と施行
令案の問題点をみなさんで討論しました。運用基準案の「防衛に関する事項」に、
自衛隊と「アメリカ合衆国の軍隊との運用協力」「アメリカ合衆国との防衛協力」
が新たに明記されたこと。施行令(概要)案において国家安全保障会議(日本版
NSC)を「特定秘密を指定する19の行政機関」の筆頭にあげたこと。これら
の背景には、集団的自衛権行使を合憲のものとした閣議決定(7月1日)がある
ことなどをめぐって討論しました。【許し難いことに、政府は10月14日の閣
議でこの運用基準と施行令の決定を強行しました。】

(資料)
・「特定秘密保護法の関係政令について」「特定秘密保護法の運用基準について」(内閣官房)
 
第31回 監視社会研究会(通算第49回研究会)【2014−7−11】
@「法律によらず顔認証装置を使用しないよう求める声明」
 (福岡県弁護士会会長 5月27日)について
  武藤糾明さん(福岡県弁護士会)
A JR大阪駅ビル・顔認証実験計画その後
 事務局より
B「改正国会法」(6月20日成立)の問題点について
 田島泰彦さん(上智大学教授)

〈@「法律によらず顔認証装置を使用しないよう求める声明」
(福岡県弁護士会会長 5月27日)について〉
・福岡県弁護士会の調査によれば、2013年12月に福岡県警に顔認証装置が
導入され、すでに使用例も存在していることが明らかになっています。武藤糾明
さんは、この声明で、「ひとたびある市民が福岡県警の対象とされた場合には、
その行動が丸裸となり、そのプライバシー権を侵害するばかりか、街頭での署名
活動、集会やデモ行進など、民主主義社会の基礎となる市民の表現の自由を萎縮
させる危険が大きい」と指摘していることを報告しました。

(資料)
・「法律によらず顔認証装置を使用しないよう求める声明」
 (福岡県弁護士会会長 5月27日)
〈A JR大阪駅ビル・顔認証実験計画その後〉
・事務局から、「JR大阪駅ビル・顔認証実験計画その後」というテーマで、情
報通信研究機構が今秋にも最新の認証技術をつかって大規模・長期間の実験を計
画していることを報告しました(6月3日、同機構が「映像センサー使用大規模
実証実験検討委員会」のホームページを立ち上げて公表)。さらに、アクセンチ
ュア社が、2020年東京オリンピックで運用することを名分にし、政府の支援
をうけて、大規模な顔認証の実証実験を福島県会津若松市で実施する計画を進め
ていることを報告しました。

(資料)
・情報通信研究機構「映像センサー使用大規模実証実験検討委員会」
・「東京五輪 顔パス入場 アクセンチュアなど 福島で実証実験」
 (日本経済新聞夕刊・6月26日付)

〈B「改正国会法」(6月20日成立)の問題点について〉
・田島泰彦さんが、先の通常国会会期末に成立(6月20日)した「改正国会
法」の問題点について報告しました。
 田島さんは、この法改正によって衆参に設置される「情報監視審査会」の制度
的枠組みでは特定秘密の運用をきちんと監視しチェックすることは困難であるこ
と、「改正国会法」の「附則」に、日本版CIAとでも言える新たな情報機関の
設置表明が示されており、「秘密保護法制の行き着く先の一つが情報・諜報機関
の設置とそこでの秘密情報の保護であるとすれば、このような動きを許さず、お
おもとの秘密保護法自体も廃止するしかない」と報告しました。

(資料)
・「情報統制に向かう日本と秘密保護法の監視」
 (田島泰彦 『世界』8月号)

          
第30回 監視社会研究会(通算第48回研究会)【2014−4−2 3】
@「秘密保護法後の情報統制と監視――東京五輪テロ対策も掲げて」
 田島泰彦さん(上智大学教授)
A「JR大阪駅ビルでの顔認証実験の中止を求めて」
 事務局より

〈@「秘密保護法後の情報統制と監視――東京五輪テロ対策も掲げて」〉
・田島さんは、『週刊金曜日』「メディアウオッチ」欄(2014年4月11日号)で、
「安倍政権のもとでの特定秘密保護法制定後の市民社会コントロールのもう一つ
の側面」として、「五輪開催に向けたテロ対策を理由にして、市民監視と情報統
制を強める動きが急速に進められようとしている」ことを指摘し、「共謀罪創設
に向けた動き」と「テロリストの資産凍結のための新法策定の動き」をとりあげ
ています。この点も含め、秘密保護法制定後の情報統制と監視に向かう日本の全
体像をスケッチする報告をしていただきました。

(資料)
・「表現の自由の『冬の時代』」
(田島泰彦 『週刊金曜日』2014.4.17【臨時増刊号】)

〈A「JR大阪駅ビルでの顔認証実験の中止を求めて」〉
・私たち「監視社会を拒否する会」をはじめとした実験反対の声に直面して、総
務省が所管する情報通信研究機構は、JR大阪駅ビルでの顔認証実験の4月開始
を延期しました。しかし、機構は、設置した実験用の高性能カメラ約90台をい
まだ撤去しておらず、政府による「パーソナルデータの利活用に関する制度見直
し方針」大綱決定(今年6月予定)にあわせて、実験開始を企んでいます。事務
局から、実験中止を求めるとりくみの経緯、今回の実験の背後にある政府の施策
等について、報告しました。

(資料)
・「大阪ステーションシティでのICT技術の利用実証実験の延期について」
 (情報通信研究機構 2014年3月11日)
・第6回パーソナルデータに関する検討会(2014年3月27日)
「大綱策定に向けた議論の進め方について」

第29回 監視社会研究会(通算第47回研究会)【2014−1−2 9】
@秘密保護法制定後の現在
AJR大阪駅ビル・顔認証実験について
 事務局より

〈@秘密保護法制定後の現在〉
・安倍政権は、米国と一緒に戦争する国づくりのために、年内にも秘密保護法を
発動し、私たちに対する監視と統制を一挙に強化しようとしています。これにた
いして、1月24日の国会開会日、秘密保護法の廃止を求めて、当会も加わって
いる「秘密保護法」廃止へ!実行委員会が国会包囲行動にとりくみました。この
ようななかで、研究会では、「秘密保護法制定後の現在」というテーマで、参加
者のみなさんで、意見交換・討論を行いました。

(資料)
・「秘密保護法後の表現規制と情報統制」
(田島泰彦 『出版ニュース』2014.01…下)

〈AJR大阪駅ビル・顔認証実験について〉
・安倍政権は2013年5月に共通番号法を強権的に制定したことにふまえて、
2016年から共通番号制度の運用を開始するための準備を加速させています。
また、総務省所管の情報通信研究機構が今年4月から、JR大阪駅・駅ビルで、
カメラ約90台を使って、通行する市民を自動的に追跡する顔認証実験を強行し
ようとしています(朝日新聞 1月6日付 大阪本社版)。安倍政権が、秘密保護
法と一体のものとしてすすめる、これら国民監視の新たな動向について、事務局
から報告しました。

(資料)
・「通行人の顔、カメラで撮影し追跡  大阪駅ビルで実験へ」
 (朝日新聞 DIGITAL 2014年1月6日)

          
第28回 監視社会研究会(通算第46回研究会)【2013−12−2 】
秘密保護法制定の現段階

・〈秘密保護法絶対許すまじ〉〈いつかきた戦争への道をくり返さない〉の声が
全国で急速に嵐のようにあがっています。こうした声をふみにじって安倍政権は
12月6日に秘密保護法を参院で強行採決しました。
・このような緊迫した情勢のただなかで、研究会では、秘密保護法反対の声を先
頭であげている田島泰彦さん(上智大学教授)、齋藤裕さん(弁護士)、武藤糾明
さん(弁護士)をはじめとして、みなさんで、「秘密保護法制定の現段階」とい
うテーマで、討論・意見交換しました。

(資料)
・「秘密保護法の制定に反対する憲法・メディア法研究者の声明」
・「特定秘密保護法の制定に反対する刑事法研究者の声明」
・「修正案でも法案の危険性は変わらない」
 (田島泰彦 『週刊金曜日』2013.11.29  970号)

第27回 監視社会研究会(通算第45回研究会)【2013−9−2 5】
「特定秘密保護法案の概要」の問題点
 齋藤裕さん(新潟県弁護士会)

・今回の研究会では、弁護士の齋藤裕さんに、安倍政権が9月3日に発表した「特
定秘密保護法案の概要」について、報告していただきました。齋藤さんは、この
間「秘密保全法」の問題にとりくんでこられ、『秘密保全法批判』[田島泰彦・
清水勉 編、日本評論社]の執筆者のお一人です。なお、同じく『秘密保全法批
判』の執筆者である弁護士の武藤糾明さんと編著者である田島泰彦さんにも、意
見を述べていただきました。

第26回 監視社会研究会(通算第44回研究会)【2013−6−2 0】
「盗聴法の改正問題〜通信監視の捜査手法も併せて」
 山下幸夫さん(弁護士)

□ 安倍政権は、「捜査の可視化」が問題になっていることを契機にして、(1)
盗聴の対象犯罪を拡大すること、(2)警察施設内においてNTTの立会人なし
で通信の盗聴ができるようにすること、さらには(3)室内や車内での会話をも
盗聴できるようにすること等々、盗聴法の改正を検討しています。この問題につ
いて、山下幸夫さんから次のように報告していただきました。
 山下さんは、盗聴の対象犯罪の拡大について、これまでは窃盗や詐欺を追加す
ることが検討されていたが、「@窃盗、強盗、詐欺、恐喝、A殺人、B逮捕・監
禁、略取・誘拐、Bその他」というように、さらに大きく拡げることが現在検討
されている(6月14日の「法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会」第20
回会議)ことを指摘し、来年の通常国会に盗聴法改正案を提出することを前提に
していま検討が行われている緊迫した情勢にあると述べました。
 山下さんは、盗聴法にもとづいた実施状況は毎年10件程度と国会には報告さ
れているが、既に盗聴法以外の現行法でも通信監視が広く認められているとし
て、「電子メールの傍受」「捜査機関によるGPS携帯電話を利用した位置探索
捜査」「通信記録(通信履歴)のリアルタイム収集」などが実施されていること
を具体的に報告しました。さらに、今後の通信監視のための捜査について、自民
党(治安・テロ対策調査会)が「通信履歴の保存の義務化」「通信傍受・会話傍
受」「携帯電話等のGPS位置情報の取得要件の緩和」などを提案していること
も指摘しました(今年5月に発表された提言「世界一の安全を取り戻すために〜
緊急に取り組むべき3つの課題」)。
 報告の最後に山下さんは、元CIA職員がアメリカ国家安全保障局(NSA)
の秘密監視システム「PRISM」を暴露した問題をとりあげて、「かつて、全
世界の無線通信を傍受するエシュロンが明らかとなったが、今回は、インターネ
ットを対象とする監視システムである」「日本政府は、これと同じことをやろう
としているのではないかと考えられる」と警鐘を鳴らしました。

□ 研究会では、共通番号法の制定、日本版NSC(国家安全保障会議)設置法
案(6月7日に国会提出)、秘密保全法案(秋の臨時国会に提出予定)等々、安
倍政権が矢継ぎ早にかけてきている国民監視と情報統制の諸攻撃を、自民党改憲
草案を先取り的に実施するものとして、一体的に分析・把握することをめぐって
も、意見交換しました。

(レジュメ・資料)
・「盗聴法の改正問題〜通信監視の捜査手法も併せて」
(山下幸夫さんの報告レジュメ)
・「作業分科会における検討(1)」(「通信傍受の合理化・効率化」5頁〜、
「会話傍受」8頁)【法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会第20回会議配
付資料】
・「通信傍受が有効とみられる犯罪」(平成25年5月23日 警察庁刑事局刑
事企画課長 島根 悟)
・「通信傍受に関するヒアリング資料」(警察庁作成)【法制審議会新時代の刑
事司法制度特別部会・第1作業分科会第1回会議 資料】

第25回 監視社会研究会(通算第43回研究会)【2013−4−2 3】
「共通番号法制定の狙い〜監視のツールという視点から見た共通番号制(システ
ム)」
 水永誠二さん(弁護士)

・共通番号法案が衆院で強行採決されようとしている緊迫した情勢のなかで、今
回の研究会は開催されました。
・水永さんは、まずはじめに「本日は『監視』という視点から共通番号制の問題
を考えてみたい」と述べ、「共通番号システムはインフラであって、誰が、何の
ために使うかが問題である」とし、政府の共通番号システム導入の狙いに焦点を
あてて報告していきたいとの問題設定を行いました。「憲法を改正して表現の自
由や集会・結社の自由をはじめとした基本的人権を制限しようとしている自民党
政権は、そのために共通番号システムを使うことが確実に予想」されるし、「社
会保障の抑制・削減のためにも共通番号システムは使われる」と、その狙いを明
らかにしました。そして、反対運動をすすめるためには、プライバシーの侵害を
訴えるとともに、「政府が国民を監視するために個人情報を集積し『人物像』を
つくる(プロファイリング)」ことは「監視社会が進行し萎縮した社会になる」
ことを明らかにする必要がある、と報告しました。
・さらに、田島泰彦さん(上智大教授)が、「国防軍の保持」を明記した自民党
改憲草案では、プライバシーを含む国民の権利は「公益や公の秩序」に反しない
限りで認められるに過ぎないとされており、共通番号法や秘密保全法に反対する
根拠規定を憲法からなくすものとなるおそれが強いことを指摘しました。そし
て、共通番号法や秘密保全法の問題は、改憲の問題と密接にリンクしており、こ
れらの法案の内容に示されているように「改憲問題はいま現在の問題だ」と提起
しました。

(レジユメ・資料)
・「共通番号法制定の狙い〜監視のツールという視点から見た共通番号制(シス
テム)」(水永誠二さんの報告レジユメ)
・「自公政権の復活で加速する表現規制と情報統制」(田島泰彦さん)
 (旬刊『出版ニュース』2013年3月下旬号に掲載)
・『週刊金曜日』「メディアウオッチング」欄に田島泰彦さんが執筆した論文
 「憲法改正案が指し示すマイナンバー法案と秘密保全法の企て」(2013/3/8付)
 「秘密保全法案が日本版NSC創設とセットで国会提出へ」(2013/4/5付)

 

第24回 監視社会研究会(通算第42回研究会)【2013−1−30】
@「自公政権の復活と言論・情報統制」
 田島泰彦さん(監視社会を拒否する会共同代表、上智大学教授)
A「全国で進む警察の監視カメラ網の実態」
 事務局より

〈@「自公政権の復活と言論・情報統制」〉
・田島さんは、「かつての自公政権は、メディア規制三法や有事法制などの軍事
情報統制を含めて、言論・情報統制を包括的に推進してきた。私たちがもし反対
しなければ、復活した自公政権のもとで『表現の自由の冬の時代』が到来しかね
ない」、「自公政権の復活は、同時に自公流の言論・情報統制の復活にほかなら
ない」とその危険性を明らかにしました。そして、「安倍内閣は民主党政権が推
進してきた共通番号(マイナンバー)法案や秘密保全法制等を引き継ぐ公算が高
い」「自公政権にとって、税と社会保障の一体改革とパッケージになっている共
通番号法案の優先順位は高く、成立を急ぐことになるだろう」と指摘しました。
・そのうえで、田島さんは、「自民党は憲法9条だけでなく、21条(表現の自
由)の改憲を重要なターゲットにしている」と問題を提起しました。田島さん
は、今日論議されている憲法21条の改正には、@21条自体の明文改正、Aプ
ライバシーなどを憲法に盛り込むことによって表現規制の効果を実質的に狙う間
接的な方法、B軍隊の保持や緊急権などを明記して軍事的な価値を正面から認め
、このことを理由として表現・報道の自由の制限を正当化する、という三つの手
法があることを指摘し、「自民党の改憲草案にはこの手法のすべてが出そろって
いる」ことを明らかにしました。そして、自民党が改憲草案において、21条の
第2項に「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれ
を目的として結社をすることは、認められない」と明記していることについて、
「『公益』や『公の秩序』という不明確な基準で、政府にとって不都合な言論や
結社を禁圧・抑圧しても合憲だとなってしまう」と報告し、「『法律の範囲内』
でしか表現の自由が認められなかった明治憲法のもとであまたの言論統制がおこ
なわれた戦前、戦中の再来を許していいのか」としめくくりました。

(資料)
・田島泰彦さんが『週刊金曜日』「メディアウオッチング」欄に執筆した論文
「自公政権復活で表現の自由に『冬の時代』到来か」(2013/1/11付)
「自民党・改憲草案 表現の自由改変の策謀を許すな」(2012/7/6付)
「表現の自由どうなる 国会に上程された人権委設置法案」(2012/11/30付)
「表現の自由を狭めかねない人権侵害救済法案」(2010/3/19付)
自民党「日本国憲法改正草案」(2012年4月27日決定)

〈A「全国で進む警察の監視カメラ網の実態」〉
・警視庁は「顔照合システム」(「三次元顔形状データベース自動照合システ
ム」)の試験運用を現在実施しています。それだけでなく、警察は警察直轄の監視
カメラ791台を、全国16都道府県で運用しています(2012年3月末現在)。
警視庁が2002年に「犯罪多発地帯だから」という理由をつけて東京都新宿区
歌舞伎町に初めて監視カメラを設置してから11年、警察は監視カメラを繁華街
だけでなく住宅街にまで設置地域を拡大し、さらに、この監視カメラ網に「顔照
合システム」を導入したシステムを配備しようとしているのです。まさに、警察
は〈誰が・いつ・どこを・どのように・移動したか、移動しているのか〉を把握
することを狙っているのです。事務局からこのことを報告しました。

 
 

第23回 監視社会研究会(通算第41回研究会)【2012−10−26】
@「『医療等分野における情報の利活用と保護のための環境整備のあり方に関す
る報告書』の問題点」
  知念 哲さん(神奈川県保険医協会)
A 政府による「マイナンバー法案」(共通番号制度法案)策定の動向について
B 最近の監視カメラ問題の動向について(事務局より)
@これまで政府は、秘匿性の高い医療情報を「マイナンバー法案」では利用範囲
の対象外とし、厚生労働省で「医療等情報個別法」が検討されてきました。知念
さんは、この『報告書』(9月12日付)で、厚労省が「医療等情報個別法」を
「マイナンバー法案又は個人情報保護法の特別法」と位置づけ、「マイナンバー
法案」が成立しなくても、「医療等情報個別法」の制定を進めようとしているこ
とを指摘しました。さらに『報告書』では、医療独自の番号制「医療等ID(仮
称)」や情報連携基盤「医療等中継DB(仮称)」の導入が検討されており、共
通番号制との境界線が曖昧であることを指摘しました。
 そして、知念さんは、プライバシーを侵害し、医療市場化等に繋がる「医療等
ID」「医療等中継DB」には反対であると報告しました。

(レジユメ・資料)
・[報告レジユメ]
「『医療等分野における情報の利活用と保護のための環境整備のあり方に関する
報告書』の問題点」
・[資料]
「医療等分野における情報の利活用と保護のための環境整備のあり方に関する報
告書」についての資料
「医療等分野における情報の利活用と保護のための環境整備のあり方に関する報
告書」に対する意見書(神奈川県保険医協会 2012年10月17日付)


A臨時国会(10月29日〜)では、民主党政権が継続審議になっている「マ
イナンバー法案」(共通番号制度法案)の審議を開始し採択に踏み切る危険性が
あります。民主党・自民党・公明党が法案修正の内容について大筋合意している
という報道もあることなどが紹介されました。研究会では、みなさんでこのこと
をめぐっても意見交換しました。


B現在警視庁愛宕署は、管内全域に監視カメラを設置する計画を進めています。
事務局から、この愛宕署の計画は、警視庁の「死角のないまち」づくりという施
策にもとづいていることを報告しました。(東京都公安委員会定例会議での警視
庁の報告 2012年1月27日)
http://www.kouaniinkai.metro.tokyo.jp/teirei/teirei_120127.html
警察はいま町じゅうに民間カメラを設置しようとしています。この民間カメラを
ネットワークで結びつけて、これに「三次元顔形状データベース自動照合システ
ム」が導入されようとしています。これを使って、政府・警察は、国民監視のた
めの巨大な監視カメラ網を構築することを進めています。このように事務局から
報告しました。

 

第22回 監視社会研究会(通算第40回研究会)【2012−7−24】
@ グーグル・ストリートビュー訴訟福岡高裁判決について
  武藤糾明弁護士(福岡県弁護士会) 
A 警視庁愛宕警察署主導の管内全域への監視カメラ設置計画について
B 政府による「共通番号法」策定の動向について
<@ グーグル・ストリートビュー訴訟福岡高裁判決について>
・グーグル・ストリートビュー訴訟弁護団の武藤糾明弁護士(福岡県弁護士会)
に、7月13日に言い渡された福岡高裁判決について報告していただきました。
判決は、控訴棄却の不当なものでしたが、一般論として、顔など(「容ぼう・姿
態」として、京都府学連事件最高裁昭和44年12月24日判決で確立)以外の
プライバシー情報であっても、撮影行為それ自体でプライバシー侵害の不法行為
となり得ることを認めたという、重要な判断があったとのことでした。
・「写真ないし画像の撮影行為については、被撮影者の承諾なく容ぼう・姿態が
撮影される場合には肖像権侵害として類型的に捉えられるが、さらに、容ぼう・
姿態以外の私的事項についても、その撮影行為により私生活上の平穏の利益が侵
され、違法と評価されるものであれば、プライバシー侵害として不法行為を構成
し、法的な救済の対象とされると解される。」(福岡高裁判決 22頁)
・この訴訟の経緯と第一審・福岡地裁判決の問題点については、第18回監視社
会研究会(通算第36回研究会)での武藤先生の報告を参照してください。

<A 警視庁愛宕警察署主導の管内全域への監視カメラ設置計画について>
・警視庁が「3次元顔形状データベース自動照合システム」の試験的運用を実施
しているさなかに、警視庁愛宕警察署が主導して管内全域に監視カメラを設置す
る計画を進めていることが明らかになりました(東京新聞 6月30日付)。
事務局からこの計画の問題点について報告しました。

<B 政府による「共通番号法」策定の動向について>
・政府・民主党が「共通番号法」(マイナンバー法)を制定するために、法案の
修正協議を自民党と公明党と開始していることをめぐって、みなさんで討論しま
した。
 
第21回 監視社会研究会(通算第39回研究会)【2012− 5−31】
@「改定入管法・改定住基法は何をもたらすか」
  旗手 明 さん(〔社〕自由人権協会)
A 警視庁「3次元顔形状データベース自動照合システム」(3Dシステム)の試
験的運用の開始について
B 政府の「共通番号法」制定画策の動向の現在
@改定入管法と改定住基法が今年7月に実施されます。旗手明さん(〔社〕自由
人権協会)に、「改定入管法・改定住基法は何をもたらすか」というテーマで報
告していただきました。

(レジユメ・資料)
1-改定入管法・改定住基法は何をもたらすか
  〜 深化する国家による外国人管理 〜 
2-改定入管法による中長期在留者の義務規定と罰則規定
3-出入国管理システム
4-出入国管理業務 
(参考HP)「排除ではなく『共生』のための制度を」
旗手さんの「改定入管法を徹底批判する」というスライドと解説を掲載。
http://www.repacp.org/aacp/report/
 
A警視庁は「3次元顔形状データベース自動照合システム」(3Dシステム)の
試験的運用を開始するために「モデル地区施設」の「事業者」との間で「システ
ム接続協力に関する協定書」を結び(昨年2月)、現在、このシステムの試験的
運用を実施していることが明らかになりました。事務局からこのことについて報
告しました。

B政府は、「共通番号法」を制定するために、衆院内閣委員会における「共通番
号法案」の審議入りを画策しています。政府の「共通番号法」制定画策の動向に
ついて、みなさんで討論しました。
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