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スポーツは人の生き方、社会や企業を観察する一つの素材、でもある。スポーツナッツは「スポーツ狂」という意味だけど、できるだけマニアックでなく、かつ短くて読みやすいスポーツ論を展開していきます。 ドジャーススタジアム名物のピーナッツ売りのようにぽーんと手元に飛んでくる楽しいコラムに。ご感想もお待ちしています。

I N D E X  L I N K new! >>> ブ ロ グ 随時更新  a b o u t

  




i n d e x

2005 パ・リーグの年に new!スペシャルオリンピックス北朝鮮戦:宴のあと

2004 中村紀洋メジャーへたかがファンがイチロー:あの頃、藤井寺でなぜ近鉄はバファローズを殺したのか藤井寺最終戦〜夢は枯れ野を駆けめぐる〜神戸最終戦5日間の記録(1) (2) (3) (4) (5)ウルトラCは・・・パリーグ最速1000万人到達遺書:アンチ巨人・アンチ阪神にはなるまい。選手会のストとデモ行進「大阪の未来を考える会」に出席法廷闘争署名活動朝まで生テレビ白いボールのファンタジーサンスポ編集部御中選手会のストを支持するライブドアの参入表明サヨナラだけが人生、なのか北川、涙のインタビューと・・・ぶんどり合戦が始まった岩隈はただ飄々とおっさんたちの5月ロンプラ風バファローズ2004ガイド日本ラグビーの遠かった夜明けミラクル・バファローズでいこう

2003 南海ホークスがあったころ柔道の国際化バンザイタイソンは止めておけ。 続・スポーツ感情論 世界水泳と朝青龍 | スポーツ感情論 | 偉大なるミーハー精神

2002 ドラフト会議雑感 | ノスタルジーではなく | 雅山的思考のススメ | 西武ライオンズ堂々の首位ターン | 嗚呼、ワールドカップワールドカップとナショナリズム不機嫌な男いまさらソルトレークについて | モチベーションの高さが勝負を決めた!

2001 カンサイイズム大阪屋根付球場自己陶酔的報告田村亮子と「新しい日本」イワニセビッチは大人になったのか? | 浅越しのぶと「自分の器なりの生き方」 | スポーツ=人生の楽しみ方いろいろ | イチロー、野茂、プロということ | 愛と正義とスポーツとインターネットにみる球団経営 | 春の詩 | toto:その弐 | toto! | 楕円形はどこへ転がる? |

2000 K1とロンブーフットボールで行こう! | の〜も、ひでーえーお | パ・リーグよ抵抗せよ! | 市橋有里よ!

   all about love and sports...

 
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バファローズ・ウェッブリング          



白いボールのファンタジー

Number 36, 2004.7.27

後半戦初めて大阪ドームへ行った。海外出張をしたりでしばらく球場に行けなかったので、約1ヶ月ぶりだった。この間にバファローズとブルーウェーブの合併への既成事実は重ねられ、またパリーグにはもう一つの合併案があることが明らかになった。他方で、「当事者」たる選手やファンを無視した経営陣への反発は高まり、合併反対の署名運動はチームやリーグを超えて展開しはじめた。
今夜は北海道日本ハムファイターズ戦だった。いつのまにかスパイダーマンと呼ばれている新庄が四安打一ホーマーと大活躍で、私のバファローズ観戦連勝記録は10で止まってしまった。しかし退屈な試合ではなかったし、平日の内野指定席はいつもより何倍もお客さんが多かった。みんなゆったりと野球を楽しんでいる。いつも2万人ぐらい入っていればそれがちょうどいい。
驚くべきことにレフトスタンドのファイターズ応援団はチャンスになるとパリーグ連盟歌「白いボールのファンタジー」を演奏していた。私は連盟歌を鼻歌にしながら、負け試合にはめずらしくいい気分のまま帰路についた。セリーグに連盟歌があるのかどうか知らないが、どちらにしろセリーグの各チームのファンは連盟歌なんて知らないだろうし、興味もないだろう。パリーグの各チームのファン、その多くはチームだけでなくリーグ自体を愛している。巨人や阪神との試合なんてなくてもいい。ごめんなさい、野球より大騒ぎだけのために来ている観客のなかで押し合いへし合いしながらは正直辛い。
昔の西宮や藤井寺に比べたらお客さんの数ははるかに多くなり、その層も幅広くなった。もう少し観客が増えて欲しいとは思うが、この雰囲気は変わって欲しくない。この環境で50になっても60になっても野球を観たいと思う。この贅沢を許してもらうわけにはいかないのだろうか。

>>> ブログ ←合併問題についてさらに読む


岩隈はただ飄々と

Number 35  2004.05.12

先週の事になるが千葉ロッテマリーンズの小宮山が日本球界復帰後初勝利をあげた。38歳の小宮山はバファローズの34歳川尻と投げ合った。この2人の投げ合いは今季すでに2度目。いずれも技巧派のベテランのマッチング=投げ合いは試合をいいテンポにする。負けた川尻は試合後小宮山を称えた。

今年の最も美しいマッチングといえば同じくマリーンズの黒木とファイターズの岩本。岩本の2年ぶりの勝利は、内容的にははるかに良かった黒木に引き出されたようだった。一昔前のパリーグだと野茂と伊良部、もっと昔だと阿波野と西崎。

投手対打者の好敵手ももちろんある。バファローズのローズ、中村と対戦する時の松坂の力み方は見ていて楽しい。何しろそれまでより10キロ近く球速がでるのだ。ローズはいなくなったが中村との対戦は今年もワクワクする。再び、一昔前だと野茂と清原、伊良部と清原(今の清原は誰の時に一番燃えるのだろう。藪?)。時代を彩るスターには常に好敵手がおり、観客を惹きつけるマッチングがあるのだ。

ただいま7連勝中、12球団一の安定感を誇る岩隈にはいまのところそういう相手が見あたらない。独特の投球フォームからただ飄々と低めに糸を引くようなストレートを投げ込んでいる。それはそれで見ていて心地よい。

しかし連勝はいつか止まる。ペナントレースはもっと熱くなる(はずだ)。

5連勝まで髪を切らなかった岩隈、よく見ると今度はうっすら髭を生やしている。岩隈がムキになって真っ直ぐをどんどこ放る場面はすぐそこかもしれない。そんな試合をスタンドで見ていたい。

おっさんたちの5月
The Pacific should be exciting!

Number 34  2004.04.30

なぜだかホークスとライオンズが先を走っている。私の楽観的予想に反し、大方の解説者の予想通りに、バファローズは低迷し、札幌へ移った新生ファイターズも苦しい。マリーンズは10連敗の泥沼を抜け出し、ブルーウェーブはとにかく打ちまくって5割弱を維持している。4月のパ・リーグをおさらいするとこんな感じだ。

先頭の2チームも投手陣の故障が多く、大きな不安を抱えている。勝ちパターンの投手リレーすらはっきりとしていないのだから、このまますんなり二強四弱とはいかないだろう。そもそも三位まで出場できるプレーオフ制をおもしろくするためにも、二強を走らせるわけにはいかない。

それでも上位にいるのはわけがあって、それは若手の台頭だ。ライオンズは稼頭央の穴を埋めている中島・大島など野手陣、ホークスはルーキー投手の馬原・三瀬。他のチームで目に付くのはファイターズの小田ぐらいだろうか。若い伸び盛りの選手は見ていて気持ちがよい。

しかしやっぱりよく分からない。ライオンズとホークスは誰が精神的支柱になっているのだろうか。活躍している和田(L)と松中(H)にリーダーシップがあるようには見えないのだが。あるいは、そんなことはチームの浮沈に関係ないのだろうか。リーダーシップの面から見て、ブルーウェーブが去年より強い理由は分かる。おそらく伊原監督だ。若くておとなしい選手が多いブルーウェーブは鉄拳監督にケツを叩かれながら必死でやっている。去年の阪神との違いは客が付いてこないこと。球場の雰囲気まで変えはじめたらビックウェーブはやってくる。

リーグをおもしろくするのはおっさんだ。マリーンズの黒木、ファイターズの岩本、バファローズの中村。ファイターズは野手陣は若手中心のチームなので新庄がノリノリになっていくかだろう。マリーンズは10連敗最後の黒木の粘投から3連勝、野手では初芝、堀が要所を占めている。小宮山も味がある。バファローズ投手陣は30代後半ばかり。川尻・加藤伸一・吉田豊彦、おっさんたちが汗びっしょり、一球一球投げ込む姿は美しい。そして30歳としてはあまりにもおっさん臭い中村紀洋の当たりがでてきた最下位バファローズの攻勢は近い!

アメリカの野球映画のすべてがそうであるように、ドラマを生むのは常に熱いおっさんだ。彼らの5月に期待しよう。

ロンプラ風 バファローズ2004ガイド
Spring has come!

Number 33  2004.03.22

ローズが抜けて駄目だろうという大方の予想に反して今年のバファローズは案外強そうだ、ひいき目に見てだが。好調のオープン戦を通して見えてきた今季の戦い方を簡単にプレビューしてみよう。タイを旅行ガイド『ロンリープラネット』日本語版を持ってうろうろしてたらその皮肉な調子の文体が移ってしまった。ということでロンプラ風に。

<野手編>
まず、バファローズといえば打線。ローズが抜けた穴はやはり大きいが、ドラゴンズの落合監督も常々述べているように「野球は9人でしかできない」。つまりローズの影に隠れていた選手たちがチャンスを与えられて非常に元気なのだ。ポストローズの一番手だったオープン戦で吉岡が故障して離脱したのはもちろん痛い。しかし、吉岡の離脱によってファーストと外野、DHを含めて5つのポジションの使い方の選択肢が増えて、選手の起用法はおもしろくなった。この5つを争うのが大村、北川、バーンズ、礒部、大西、川口、鷹野、益田、下山、あとイケメン俊足おっちょこちょいの森谷も入れておこう。オープン戦では北川と大西、鷹野の好調ぶりが顕著だった。特に北川はもう「ミラクル」ではなく、レギュラーを張れる打者に成長した。大西はいわゆる「松坂世代」の伸び盛りで、球に食らいついていく粘っこさがいい。川口はシーズンを通して使えばホームラン25本ぐらいは打てるだろう。鍵はバーンズで、オープン戦では4割以上の打率を残したが未知数。キマジメなタイプらしいので、最初に数字がでれば問題なかろうが、悩み出すと長そう。ちなみに母親はタイ人だとか。そういわれてみれば、ちょっとアジアっぽい顔つきをしてるかも。もう礒部に過度な期待はしないが、そこそこの数字は残すはずだ。礒部は期待してないとたまにすごい活躍をする。つまりやっぱり期待してたりして。ともかくも守備を考えればやはり大村と礒部は外しにくい。

サード中村、ショート阿部は固定。セカンド水口は毎年一度バテるので、いずれも好調のサブ星野、永池、山下、高須も適度に使うだろう。チームリーダーの中村だが心配された手術後の経過も順調にきている。打席に入ったときの落ち着きが風格さえ漂わせている。今季はとんでもない成績を残すかもしれない、もちろんいい方のとんでもなさである。昨年2割9分を打った阿部はオープン戦終盤になって打撃が上向き。まったく期待してないが的山の打撃も上向きであることを付け加えておく。そのキャッチャーは藤井の打撃力向上が伝えられているが結果はだしていない。肩のいい的山と(ときに単調だが)やたら強気のリードの藤井を使い分けていくのは今年も同じだろう。

<投手編>
投手陣は意外にもすばらしい充実ぶりだ。ベテランが多いので何年続くかはともかく、総合的にはリーグ1,2を争う投手陣が揃った。先発は岩隈、バーン、パウエルの三本柱に、加藤、川尻、阿部健、山村までほぼ順調な調整ぶり。ここにオープン戦で打ち込まれた高村が開幕までに戻ってローテに食い込めるかどうか。バーンは大化けの予感。すごい球を投げている。大化けするはずだった阿部健はオープン戦では平凡なピッチングだったが、顔を含めて岩隈級の素材。川尻は(そうは見えないが)節制しているらしく、ここ数年の悔しさを晴らすシーズンになるだろう。

中継ぎは岡本、吉田豊、小池、有銘に新加入の福盛、矢野が充実。岡本が少々不安だが、横浜から入った2人が補って余りある働きをするだろう。投手陣補強最大の目玉は抑えのカラスコ。スピードもさることながら、コントロールも良く、メジャーでのクローザー経験も豊か。抑えの固定で、去年までの自転車操業とはおさらばだ。唯一の問題点は先発に左がいないこと。山本、谷口をテストしているがまだ使えない。しかし波が大きすぎて計算ができない前川と門倉(右)を出して、安定感のあるスタッフ(川尻・福盛・矢野)を入れたのは大正解。短期的にはこれで十分だが、何とか今年中に長いイニングを投げられる左を育てたいところ。

投手陣が充実し、打撃陣は若干小振りに、走塁はともかく守備はイメージとは違って堅いチームだが、「いてまえ」のチームカラーは2004年も変わらないだろう。オープン戦の打率は3割を超え、防御率は4.82だった。もっとも防御率の高さは二桁失点が二試合あったため。それ以外の試合は先発がきっちりとゲームを作って9勝5敗の好成績だった。ホークスの独走もささやかれているが、ホークスの特に和田と斉藤を苦手にしていないバファローズが今年も一番の好敵手になることは間違いない。


日本ラグビーの遠かった夜明け
Japanese Rugby at Dawn, at last...

Number 32  2004.02.23

Jリーグが発足する前、日本におけるラグビーとサッカーの人気は同じようなものだった。大学ラグビーの決勝戦は国立競技場を満杯にしたし、社会人も全国大会となればサッカーよりは注目されていたと思う。ところが、この10年間でラグビーはサッカーに大きく水を開けられてしまった。世界的にはサッカーの方がはるかにメジャーなスポーツだから、国際化とともに一気に差は開いた。

サッカーと比較しなくとも、日本ラグビーが「世界水準」に一歩も二歩も乗り遅れたのは明白だった。世界的に良い意味で「アマチュアリズム」の精神を持っていたラグビーはこの10年で完全にプロ化の大波に飲み込まれた。日本はこの大波に完全に乗り遅れた。ようやく今シーズン、「遠かった夜明け」を迎えた。もっともプロ化に関してはなし崩しの中途半端な形ではあるのだが、国際競争力を取り戻すための夜明けであったことは間違いない。

昨日でその「夜明け」のラグビーシーズンが終わった。今シーズンは4年に一度のワールドカップがまずあった。全敗したものの、期待以上の善戦にオーストラリアの観衆も喝采を贈った。前回のワールドカップに比べれば、「世界」との距離は感じなかった。敗北の後に希望が残った、と私は思った。

そして、迎えた初めてのトップリーグ。これまでは関東・関西の社会人リーグの上位チームが全国大会のトーナメントで優勝を争い、その後大学生チームと日本選手権を争っていた。今シーズンからは、トップのチームによるリーグ戦形式に代わった。日本選手権はマイクロソフトカップに代わり、下位リーグや大学も参加ができるトーナメント方式になった(サッカーの天皇杯に似ている)。

もう少し簡単に書けば、レベルが高く、均衡したチーム同士のゲームがかなり増えた。さらに、ホーム&アウェー方式で地元意識を高め、4トライを取るとボーナスポイントが与えられるなどリーグ戦の方式にも工夫が見られた。トップリーグもマイクロソフトカップも最後まで一進一退の好ゲームが多かった。少なくともレベルアップのためにはこの試みは成功であったことは間違いない。トップリーグの下位チームでもニュージーランドなどラグビー先進国から来た外国人選手が加入し、単なる「助っ人」ではなく日本人選手の技術向上にも貢献しているように見えた。ラグビーの「グローバル化」も明らかであり、高校レベルでもスキルは上がっているように思える。

問題は興行面だ。トップリーグの新設でこれまでのような「ラグビーもする社会人」という建前は通じなくなった。部分的だがプロ化も浸透し、コストはますますかかるようになっている。トヨタやサントリーなどの業績が良い企業、サニックスのように新規加入の企業はいいが、近鉄や神戸製鋼はなかなか辛いだろう。これまで厳しかったスポンサー契約はかなり緩和され、またケーブルテレビでかなりの試合が中継されるようになったが、地上波テレビの生中継はかえって減ってしまった。なにより肝心の観客動員がまだまだだ。

地元住民や企業への地道な広報・宣伝活動、変化を恐れず制度的な見直しも怠らないこと。そして4年後のワールドカップにおける予選突破。見方によってはまだ夜は明けていないのかもしれないが、あえて「遠かった」と過去形のタイトルにした。来年の秋が待ち遠しい。

ミラクル・バファローズでいこう!
Go red, go Buffaloes!

Number 31  2004.02.01

来年からわが大阪近鉄バファローズがチームの命名権を他の企業に売り出すという。私は「思想的」には、プロ野球に限らずスポーツは投資する余力のある企業が経営すればいいのであり、体力がなければ身売りしても構わないと思っている。ダイエーみたいな企業が赤字の球団を持っているのは「企業倫理」に反するとさえ思う。お金を借りている企業に債権放棄までしてもらっているのに球団を保持しているからである。そもそも社員の福利厚生であるようなアマの社会人野球でもシダックスや野茂英雄のように新たな投資者がでてくるのが望ましいと思う。

近鉄は鉄道会社を母体とした企業グループであるから、宣伝だけのために球団を抱えているのは割に合わないだろう。あやめ池遊園地の閉鎖が決まったところでそろそろ何か動きがあるのではないかと危惧していたところだった。そのやり方にびっくりはしたが。

私の好きな「開明的な」スポーツライターたちは企業名を出さないJリーグを褒め、プロ野球もそれに習うべきだと論じてきた。しかし不況下でスポーツへの投資元を探すのは難しいし、企業名を出せば節税にもなるので私は致し方ないと思っている。それに日本は企業に愛着を感じることも多い土地柄である。私などは近鉄の社員の家族もいないし、株主でもないし、沿線に住んできたわけでもないのに近鉄グループには特別な思い入れがある。コンビニはできればAM/PMにいくし、もしサラ金で借りることがあればアコムにしようかと。この二社はバファローズのスポンサーだからだ。

だから今回のチーム命名権売却には反対できない。むしろ安易に身売りをせずに打開策を模索してくれているのに感謝したいぐらいだ。この経営上の危機は、強い野球で客を呼んで乗り切るしかない。

バファローズにはファンならずとも何かどでかいことをやらかすのではないかという期待感がある。優勝はいつも劇的だ。このチームカラーを刷り込んでいくしかない。ニューヨーク・メッツは1973年に10.5ゲーム差をひっくり返して優勝して以来「ミラクル・メッツ」の愛称がついている。低迷していても、強いヤンキースファンにバカにされようとも(いやバカにされているからこそ)、根強いファンが応援し続けている。もっともバファローズにはもはや低迷している余裕はない。批判も多いが今年から始まるプレーオフを最大限に利用して「ミラクル」を見せつけるしかないのだ。プレーオフは観客動員を期待できる他、優勝を争うチーム同士の直接対決がシーズンを通して重要になるという意味ではいい面もある。

なんてことをよりによってインドネシアのしかも東カリマンタンなんてところで書いている。今日はイスラームの犠牲祭である。町をぶらぶらしながらドナドナ状態になっている牛や、もう皮だけになってしまった牛も見た。強引にオチをつければ、みんなに振る舞われて広く喜ばれるような牛としてのバファローズに期待するのである。決して、球団数を減らして一リーグ制を実現しようとする読売球団のオーナー個人の犠牲になれ、という意味ではない。

*****
結局、撤回してしまった。まったく根回しをしてなかったのには呆れてしまった。たしかに読売のオーナーならずとも「大阪アコムバファローズ」なんてのは勘弁してほしいと思う。しかし野球協約に反するとのコメントが多かったが、どの項目に反するのかちゃんと報道していたのだろうか。インドネシアにいるので分からないが、二軍では命名権の売却はすでに行われているわけで、一番の問題はやはりあまりにも唐突だったということではないだろうか。(2004.02.06)

スポーツ系「入れ込み」リンク

元大阪近鉄バファローズのアゴ倉いや門倉健投手のサイト。 サイン入りベースボールカードを頂いた記念にリンク。横浜に移籍してしまいましたが、活躍を期待しています。

南海(ダイエー)→阪神→近鉄と渡り歩いて15年。すばらしい球のキレで左の中継ぎエースを務める吉田豊彦投手のサイト。登板日すべての誠実なコメントが読めます。
  セントルイス・カージナルスの田口壮選手のサイト。今年は期待できるよ。わが関西学院大学の先輩なのです。
パシフィック野球連盟 パ・リーグの公式ホームページ。リーグの誇りを失うな。
2軍も愛する人のためのHP コアなプロ野球ファンのための二軍情報。
パ・リーグファンのための新しいサイト。それぞれのファンサイトへのリンク他、コラムを募集しています。Sports NUTS!と「共同運営サイト」です。相互
応援系にちはむ式 札幌に咲け! 北海道日本ハムファイターズの応援サイト。熱心だが非常に良心的なサイト。相互
1000以上の野球サイトが集まるリンク集。相互
日本ラグビーフットボール協会 ワールドカップを前にトップリーグ開幕! 日本ラグビーは世界ステージに残れるのか!?
神戸製鋼コベルコスティーラーズ 王者復活!ラグビートップリーグ初代チャンピオンに輝いたスティーラーズの公式ページ。
関西学院大学
アメリカンフットボール部
関西学生リーグの雄、ファイターズが3年ぶりの甲子園ボウル制覇へ躍進する!

NUMBER

おなじみレベルの高いスポーツ総合雑誌。野茂英雄の連載記事も読める。

野茂英雄が所属するロサンジェルス・ドジャースのオフィシャルサイト。円熟味を増すトルネードに注目せよ!

京都パープルサンガ 2003年天皇杯制覇! 若いチームの成長を期待します。
日本大相撲協会 力士のプロフィールはもちろん、チケットの販売状況、ライブ中継もある

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「南海ホークスがあったころ」
Good old days?

Number 30  2003.11.05

最近、表題のような本を買った。ざあっと流し読みをしただけだが非常におもしろかった。副題の「文化史」という言葉は看板に偽りなし、これは立派な社会史・文化史の本だった。読書の秋だというのに、この本に深く沈殿する余裕がないのでダラッと書くとこんな箇所がおもしろくてタメになった。
 関西の鉄道会社(南海・阪神・阪急・近鉄)がどのような意図で球団を設立し、球場と沿線開発を結びつけたか。
 
かつてのファンの喧嘩や大騒ぎは相当に激しかった。道頓堀に飛び込むどころか、選手が装甲車(!)に乗って球場を脱出したことがあった。
 楽器、とくにトランペットを使った応援の起源。つねに広島カープの応援団が発明者だった。
 今でも相手チームを馬鹿にするときに節に乗せて唄われる囃(はや)し唄 「南海(阪急・近鉄・西武もあり)電車ではよ帰れ!」という掛け合いの始まり。この唄は鉄道会社ばかりの関西球界ならではものだった。
こう並べてみてもあまり興味ない人にはおもしろく感じないかもしれない。まあ題材は野球でなくともいいのだが、プロ野球には日本の企業や社会や人のあり方の移り変わりについて考えるヒントがたくさん転がっている。

「大リーグは日本の野球よりすばらしい」とか「外野スタンドで踊っているヤツは本当の野球ファンじゃない」なんて決めつけずに、目の前の状況がどのようにして成立したのかを考えてみたい。空調の効いた大阪ドームにいるとついつい忘れそうになる、懐かしの西宮球場や大阪球場、藤井寺球場に思いをはせながら。

別にノスタルジーに浸って現状を否定したいわけではない。今年パリーグは観客動員1000万人を突破し、記録を更新した。大リーグや阪神の人気は真実だけれど、こうしたブームをマスコミが煽っている影でパリーグの観客は増えている。おっちゃんばかりで閑古鳥が鳴いていた大阪球場より若い女性で一杯の今の福岡ドームの方がやはりいいと思う。二日酔いで遊郭から球場に直行するより、科学的トレーニングを丹念におこなって試合に臨む方がいいだろう。そこで失われたものに思いをはせても、今を嘆くのはやめておく。

そんなことをぼんやり考えていたら小久保選手の無償トレードのニュースが飛び込んできて唖然とした。チームの核となる選手をああも簡単に放り出すなんて異常事態に違いない。球場も選手の年俸も昔よりはるかに大きくなった。一つの企業が広告塔として球団を持つにはあまりにも大きくなりすぎた。あの頃にはもう戻れない。ではどうすればいいのか。この本にそこまでを求めるのは酷だろう。深く沈殿できる余裕ができたら書いてみたい。

そうそう、この本は「小久保選手の怪我が早く直ることを祈りつつ」終わる。せっかくホークスが日本一になったのに、なんという悲劇だろう。


永井良和・橋爪紳也『南海ホークスがあったころ−野球ファンとパ・リーグの文化史』紀伊國屋書店、2003年、1800円。


柔道の国際化バンザイ
Viva Judo Japon!

Number 29  2003.09.17

水泳、陸上、柔道とオリンピックを控えて立て続けに世界大会が続いた。それぞれの競技のすごさ、怖さ、そしておもしろさに興奮の連続だった。それに引き替え、水泳のところで少し書いたけど、タレントキャスターの表現力の貧困さね。まあやめておきましょう。

なかでも柔道は見事に国際競技になったと感じた。10年ほど前の日本はヨーロッパ勢の台頭と、彼らのポイント差による優勢勝ち狙いに戸惑っていた。美しく一本を取る、日本の柔道では勝てないと言われた。しかしこの一本を取る柔道は間違いではなかったことが今回よく分かった。やはり柔道は一本なのだ。

一本を取らなければどれだけポイントで上回っていても最後の10秒で逆転されることもある。これこそが柔道のおもしろさだ。男子60キロ以下級三回戦で野村忠宏が押さえ込みで敗れた試合などはその典型だった。また、おそらくこの10年でポイント制がかなり精緻になり、消極的なプレーや肩越しに奥襟を掴む違反組み手などは厳しく「指導」ポイントが取られていた。ポイントを取って逃げ切ることは難しくなった。

ポイント制が定着したことにより、ときに曖昧な判定による試合後の勝敗決定が少なくなった。女子48キロ以下級、田村亮子の決勝は残り1分少々で同ポイントだったが、田村が見事なラッシュをかけて相手を押し込み、Jossinet(フランス)の消極的なプレー(指導を与えられた)を引き出した。たとえ一本が取れなくても勝つためには攻めなければならない。数々の一本よりもあの一瞬のラッシュは鮮やかだった。

これは日本に有利な制度に変わったというわけではない。柔道という競技自体が進化し、高度な技が勝利へと結びつきやすいルールが作られたのである。外国の柔道もかなり洗練されてきており、野村が負けた試合のように一瞬のスキに乗じて、投げや足技のみならず、締めや押さえ込みを繰り出すという技術の著しい進化が見られる。特にフランスは道場の数も競技人口も日本をはるかに上回っている。しばしば手足が長いだけであることを示していた「ヨーロッパ特有の」などという表現はもう当てはまらない。

柔道の国際化は見事に達成されたのだ!

余談だが、日本が最後まで導入に抵抗した青色の胴衣もすっかり定着した。大会のロゴマークは下のようにシブイがカッコイイ白黒で、日本開催らしいデザインだったが、日本のチームユニフォームは青! サッカー日本代表ですっかりナショナルカラーになった青色だが、皮肉に感じたのは私だけだろうか。まあ日本柔道も逆に国際化したということにしておこう。

 ←世界柔道のロゴマーク。公式サイトへリンクしています。



タイソンは止めておけ。

Number 29  2003.08.23

K1にマイク・タイソンが参戦するらしい。興行的にはいいだろうし、私も見たいと思う。でも、現状のルールのままタイソンを闘わせるのは危険すぎる。前にも書いたことがあるが、ボクシングに比べてK1はすごく薄くて軽いグラブを使っている。人間の拳というのは案外堅い。素手に近いグラブでボクシングのヘビー級の選手が出すパンチは鋼鉄のようなものである。

プロレスに興味のない私は、K1とかプライドにもそんなに関心はない。それでも桜庭和志、グレイシー兄弟、ボブ・サップなんかがでてくると思わずチャンネルをそのままにして注目してしまう。偶然にもサップの眼底骨折、先日の桜庭のKOをどちらも見ていた。あれは危険すぎる。あのパンチがタイソンによって放たれていたら、サップは失明、桜庭は顎骨を砕かれていただろう。かつてアントニオ猪木が異種格闘技戦で人気をさらった時があったが、あのときのモハメド・アリはK1のような薄いグラブはしてなかった。

まどろっこしく長い試合や、ショーの要素が強すぎるプロレスより、真剣勝負の新しい格闘技がウケるのは分かる。もちろん足下を狙われたら、タイソンといえども簡単には勝てないかもしれない。しかし、ボクシング並とはいわなくても、もう少し分厚くて重いグラブにしないと、怖くてみてられない。とんでもない悲劇が起きなければよいのだが。。。


続・スポーツ感情論
−世界水泳みながら朝青龍−

Number 28  2003.07.25

前回の「スポーツ感情論」の続編を書こうと思ったのだが、たまたまテレビをつけたら世界水泳をやっていた。日本選手のメダル三連発に釘付けになってしまった。北島康介の世界記録も生放送で見ることができたのはラッキーだった。稲田法子の銅メダルもすばらしかった。彼女はあの岩崎恭子の同級生。あのバルセロナオリンピックは11年前だという。まさに継続は力なり。

それにしても、なんなんだ古館伊知郎は。饒舌とはうらはらな言葉の貧困さに気分が悪くなった。バルセロナは「ラテン」に北島は「江戸っ子」に矮小化される。ロシアの選手なんて「皇帝」だってよ。プロレスのように意識的に単純なイメージを売るショーにはいいのだろうが、スポーツに古館を持ち込むのはやめてほしい。

さてさて、この前は横綱朝青龍を擁護したのだが、今場所は集中力を欠いて精彩がなかった。特に高見盛との一番では取り組み前に、「ロボコップ」の怪しい動きに思わず表情を弛めてしまっていた。圧倒的な集中力と気合いをみなぎらせた高見盛に、弛んだ22歳の横綱は完敗した。高見盛は本当に不格好で、まして右四つ一辺倒だから、想像力に富んだ相撲とはとてもいえない。しかし、春場所に行って驚いたが、彼の人気は本物だし、確実に実力もついてきている。

朝青龍が荒々しいのは結構なのだが、今場所は単なる「悪ガキ」と化していた。歴史に名を残すような横綱になるにはまだまだ厳しい勝負を重ねなければならないだろう。

「気合い」でテンションを上げるのは必要だが、「気負い」になっては意味がない。集中力を最大限に高めることができれば、人は気負わず、いい意味で力を抜く<脱力>することができる。ガチガチに力が入っているようにみえる高見盛だが、朝青龍戦にムダな動きはなかった。

やはり世界水泳に戻ってみると、一流の水泳選手の美しさは集中力と<脱力>の極致だろう。それは決して魚やイルカとは違う人の美しさだ。0.5秒でいいから北島康介に乗り移ってみたい。


スポーツ感情論
Come on, Blue!

Number 27 2003.06.03

先月、前後して二つの「事件」が起こった。一つ目は大相撲の横綱朝青龍が同じモンゴル出身の旭鷲山との取り組みで、感情を剥き出しにしたこと。二つ目はプロ野球で、バファローズのローズが同僚の中村への死球に怒って、ライオンズの青木を体当たりで突き飛ばしたことだった。

前者は「品位に欠ける」として注意を受け、後者は暴力行為として2試合の出場停止処分を受けた。モンゴル出身の先輩力士を過剰に意識して闘志を掻き立た朝青龍のことを私は人間らしいし、ある世界の頂点を極める人に必要な資質だと思った。ましてはまだ22歳の若者である。若き北の潮の激しさを思い出してワクワクした。「品位」というより「風格」はこれから磨いていくものだ。今ではあんなに無愛想な野茂英雄の初登板の時のガッツポーズ、イチローの1995年リーグ優勝の時の爆発的な喜び方。それが若さよ。ローズの方は暴力をふるってしまったので言い訳はできないが、彼の気迫が中村とともにバファローズを牽引している。

スポーツに限らず、勝負事には集中力と目的意識が不可欠だ。チームを組む場合は必ず精神的なリーダーが必要だ。精神的には強いが気持ちが表に出てこないタイプもいて、こういう人は個人としてはいいが、リーダーにはならないだろう。バファローズではローズと中村。それにムードメーカー的な選手会長の磯部の存在が大きい。ホークスでは文句なしに城島だ。打席でも、捕手の位置にいても抜群の存在感である。ムードメーカーは井口だろう。リーダーは打席に立つだけで球場の雰囲気を変えることができる人、ムードメーカーはヒット一本でチームの雰囲気を変える人、とでも言い換えられるだろうか。

ここまで絶好調の阪神タイガースは、自前ではそういう選手を育てられなかった。そこで星野を監督に迎え、さらに金本の加入でチームが生まれ変わったように勢いがついた。投手ではムーアだろう。言葉が通じなくとも、感情の発露はチームに観客に伝染する。気づいたら赤星は立派なムードメーカーになっていた。

低迷するブルーウェーブだが、こうした存在がいない、いなくなってしまった。おそらく吉井だけがそういう役目を果たせるだろうが、あいにく投手だから毎日投げないしベンチにいないことが多い。藤井が引退してしまって、核になりそうな野手のリーダーもいない。それでも新人の加藤(大輔)やマック鈴木にはまだこれから伸びゆく快活さがある。球界を見渡せば、いずれもブルーウェーブの前身である阪急出身の山田久志(現ドラゴンズ監督)や佐藤義則(現タイガース投手コーチ)は現役当初から投手陣の精神的リーダーだった。投手陣がチーム全体を巻き込んで引っ張り上げるしかない。


偉大なるミーハー精神

Number 26 2003.04.15

プロ野球が始まって、3週間ばかり。もう対戦相手も一巡して、今シーズンの展開も少しは見えてきた。パリーグでは近鉄とダイエーが抜けている。両チームともにまだベストとはいえない状態でこれだから、まだ走りそう。ダイエーは若手投手ばかりのローテーションなので、末恐ろしいが一シーズンもつかどうか。西武が意外と出遅れ。松坂以外の投手陣がダメだし、守備や走塁もなんだかチグハグでおかしい。連覇というのは本当に難しい。ロッテは去年の13連敗を考えれば上出来だが、軸になる打者、投手がでてこないと辛い。やはりジョニー黒木の復活待ち。日本ハムは新監督のヒルマンの采配が楽しみ。雰囲気がよく、若手が生き生きとしている。今のところ見えてきたのはバントが極端に少ない、走塁の重視、ぐらいか。近鉄の首位はこの走塁の重視によるところが大きい。意識一つでチームは変わる。オリックスが予想通りの最下位だが、打線が上向きで少し持ち直してきた。吉井は二桁は勝てると思う。おとなしいチームだからアメリカ出戻り組が引っ張らないと。

さて、読売ジャイアンツから松井が旅立ったために今年も大リーグに注目が集まっている。ぼく個人は相変わらず「野茂マニア」だけれど、カージナルズの田口も応援している。オープン戦から4割を超える打率で調子がよかったのだけれど、チーム編成上の都合で不運にもメジャーには残れなかった。残念だが、腐らずにがんばっているみたいだ。

日本からアメリカのリーグに渡った選手はもう10人近くいるけれど、動機やアメリカの野球に対する憧憬は選手それぞれ微妙に違うように思える。野茂や吉井、イチローは日本にいるときから非常に大リーグについて詳しくて、一つ上のレベルを目指すと自然に大リーグへ到達した。それでも計画的にアメリカ行きを目指したイチローに比べると、野茂や吉井は「とにかくいい場所で野球をやりたい」という意識が上回っている。野茂が日本に帰る日もいずれ来るのかもしれない。

新庄と田口、それからおそらく佐々木については自己顕示欲と「ミーハー」さが動機として前者の三人より高いと思う。田口は(渋い)カージナルズを選ぶあたり、自分の位置が良く見えていてバランス感覚に優れている。さすがわが関西学院大学の先輩。大リーグへの挑戦はすぐ女性のアスリートとも仲良くなってしまう「軽さ」とも共通する「ミーハー」が基本にあるように思える(オリックスの谷に田村亮子を紹介したのは田口)。実に腰の据わったミーハーだと思う。自分の状況もよく見えているから、下のリーグに落ちても冷静に振る舞えるのだと思う。彼のホームページにリンクを貼っておいたので、たまにチェックしてみてください。



ドラフト会議雑感
region in globalization

Number 25, 2002.11.23

中村紀洋はわが大阪近鉄バファローズに残ってくれるのだろうか。毎日気が気でない。スポーツ新聞、それよりひどいのは共同通信で、何の根拠があるのか移籍が確実だという。スポーツ紙は阪神やら巨人やらのファンを喜ばすために書いているのだなぁと改めて思った。普段はバファローズのことをよく書いてくれる大阪の新聞でも、阪神と利益がぶつかるとこうなってしまうのやな。どうも巨人は手を引いたみたいなので、移籍するとしたら阪神か大リーグということになった。ぼくは中村紀洋を人格的に愛してしまっているので、阪神に行っても嫌いになんかなれない。阪神に行ってしまったら、辛くて野球を見れなくなってしまうかもしれない。巨人に行って「やっぱり金か」と陰口をたたかれるよりはいくらかマシだが。

さて、ドラフト会議の雑感だった。高校を中退してアメリカに飛び出したマック鈴木がどうやらオリックス・ブルーウェーブに入団しそうだ。この他、オリックスは同じようにアメリカの独立リーグでプレーしていた塩屋という選手を指名、近鉄も1Aの井戸を指名した。日本のプロ野球が大リーグの「ファーム」になってしまうと懸念する声は大きいが、これからアメリカからの出戻り組も増えてくるだろう。この他、阪神は台湾出身で近大に留学している林を、中日は日章学園に所属しているブラジル出身の瀬間仲を指名した。こういう多様化、流動化はひとまず歓迎だ。垣根は一度崩れ始めるとなかなか積み直すことはできない。今までだったら埋もれていた人材がどんどん出てくればいいと思う。

あまり好ましくない流動化は不況による社会人野球の衰退で、今年もいくつかの企業が野球部を廃部することになった。そのためにローソンと神戸製鋼からは通常では指名できない若い選手がドラフトにかかった。元気のある企業が、代わって野球部を創設すればいいのだが(例えばシダックス)、全体としては縮小傾向にあるので、そろそろ手を打った方がいい。すぐにできるのは、引退したプロ野球選手のアマチュア復帰だ。マスターズリーグがうまくいっているようだが、これにはまだ若い選手、マスターズには入れないような無名の選手の採用は社会人野球の活性化に役立つのではないだろうか。そこからまたプロに出戻りする選手もでてくるかもしれない。どこでもいいから本気で野球をやりたい選手はたくさんいて、野茂英雄の同僚だった佐野は今シーズンはメキシコへ、品田はなんとイタリアのプロリーグまで行ったのである。

こうしたいろんな垣根を越えた人の動き(グローバル化)の促進と一見対立するようだが、プロにしてもアマにしても生き残りのためには<地域性>をだしていく必要がある。ヨーロッパのサッカーリーグでは選手が入れ替わっても、強くても弱くても数十年にわたって地元の固定ファンが応援を続ける。Jリーグのいくつかのチームや、阪神・福岡ダイエーはそれに成功している。札幌に移転が決まっている日本ハムは一人だけだが何とか北海道の選手をドラフト指名することができた。

中村紀洋はやっぱり唯一の大阪の球団に残って欲しいな。そうグローバル化の見本のような大リーグにも、カール・リプケンのような例があるのだから。


ノスタルジーではなく

number 24, 2002.09.21

ことしのUSオープンテニスはジャカルタのホテルで観戦していた。男子の決勝とマイケル・チャンの一回戦とあと何試合か観た。ぼくが中学でテニスを始めたころにすでにスターダムにあったグラフがアガシの子どもを抱えて、男子決勝のファミリーシートにいる。サンプラスはぼくが初めて現地で観たUSオープンでマッケンローを破って鮮烈な「メジャーデビュー」を飾った。アメリカにいたころ、マイケル・チャンはぼくのヒーローだった。野茂や中田やタイガー・ウッズがぼくらに与える勇気を、マイケル・チャンはもう10年以上も前に多くのアジア系住民に与えていた。マイケルは四大大会ではもう一回戦を勝つのがやっとだけれど、粘り強く現役を続けている。(高見山や小錦がどれほど在日外国人に支持をされてきたか知っているだろうか?)
男子の決勝は第14シードで31歳のサンプラスが、一つ年上のアガシ(第7シード)をサーブで圧倒し14度目の四大大会タイトルを取った。アガシの試合は二つみた。その安定感のあるストロークと勝負どころでみせる強烈なバックハンドリターンが強く印象に残った。
アガシというのは若い頃は派手な服装やヘアースタイル、それに審判への暴言、女優との結婚などで話題を振りまいた。しかしプレースタイルは実は一貫して地味だ。彼より後にでてきて先に去っていったほとんどの上位選手にはより強力なサーブがあった。男子テニスはサーブだけ、といった一般評が定着した時代もあったが、アガシは安定したリターンとストロークでその地位を維持し続けてきた。いつしかやんちゃ坊主は大人になり、コート内外での言動も周囲の人々の尊敬を受けるような人物になった。
男子テニスは3セット先取で、通常2時間以上かかる。その間にひっきりなしに山場が訪れる。真剣にみるとかなり疲れる。ましてコートに立つ人たちには相当のタフさが必要だ。それに1ゲームは4ポイント先取だが、安定したサーブが保てるのはせいぜい3ポイントまでである。サンプラスのようなビック・サーバーでも、4連続サービスエースというのはほとんどない。どんなにいいサーブを持っていてもそう簡単に勝てるものではない、ましてサーブがそれほど強くない選手は毎ゲームのようにピンチが訪れる。
彼らがどうやってその精神力を維持してきたかは知るよしもない。それは「守るべきもの」があるからかもしれないし、案外そうじゃないかもしれない。彼らもやがて一線を退く。彼らほどの過酷さを味わってはいないがそれなりにキツイ毎日を送っているぼくらはまだ20年ぐらいは現役だ。あまり年下じゃあ感情移入しにくいので、もう少し長くやってもらわなければ。少なくともぼくが仕事を続けるのに彼らはどれほど力になっていることか。アガシとサンプラスの決勝にここ10年の長さと短さを感じてしまうが、これがまだ現実であることを心から嬉しく思う。


雅山的思考のススメ
Think like him.

Number 23, 2002.07.23
雅山は横綱になる素材だと思っていた。大学横綱をひっさげてスピード出世で幕内入りした頃だ。当時のインタビューでおもしろいな、と思ったのは彼の星勘定の仕方だ。雅山は一場所15日間を三つに分け、つまり5日間ごとの勝敗に区切って考えるというのである。例えば、5日間で5連勝でも、5連敗でも次の日からは新たに勝敗を数え始めるというのである。5連勝でも奢らず、5連敗でもへこまず、次の日からは新しい場所が始まるという考え方、うまくできればなかなか使える思考法である。

今場所の雅山は6勝9敗だった。負け越して小結から転落が決定的になったが、彼自身は5日ごとに切り替えができたのだろうか。ちなみに三つに分けると1勝4敗、2勝3敗、3勝2敗。初日から4連敗した割にはよく持ち直したといえる。

雅山は1998年7月場所でに初土俵、翌99年3月に入幕、2000年7月には大関に昇進した。順調に出世したが、大関になってからは怪我などもあってふるわず、2001年9月場所で大関から転落、先場所久しぶりの好成績で三役(小結)に戻ったところだった。相撲人生を一場所と考えれば、二つ目の5日間を負け越したところだろうか。雅山が所属する武蔵川部屋は、同じく武双山、出島が大関から陥落している。武双山は大関返り咲いたが、出島は今場所は前頭三枚目で休場している。

うまくいかないときの頭の切り替え、同じような苦労をしている仲間との前向きな関係。もちろん相撲は相手あってのことであるし、何より怪我がよくならないと復調できないわけだが、精神的な要素は対戦相手や自分の体調との関わりさえも決めることが多いものだ。どうもあまりいい顔をしていない最近の雅山。原点に返ることに復調の鍵があるように思えてならない。







西武ライオンズ堂々の首位ターン
back to baseball?

Number 22, 2002.07.08
ワールドカップ後、7月最初、そしてプロ野球前半戦最後の週末に行われた西武ライオンズと大阪近鉄バファローズの三連戦はリリーフエース豊田のまるで優勝したかのようなガッツポーズで終った。ライオンズは、札幌ドームで行われたこのバファローズ三連戦を二勝一敗で勝ち越して前半戦の首位を決めた。西武球団は開幕直後からテレビコマーシャルを作るなど、昨年度のリーグ優勝チームを迎えての札幌シリーズに力を入れていた。日本ハムの突然の札幌移転発表でフイになってしまったが、ライオンズは札幌ドームを所沢に次ぐ準本拠地としており、営業にも力を入れていた。さらに、サッカーのワールドカップで目立たなかったものの、ライオンズとバファローズは5月から6月にかけてそれぞれ9連勝と10連勝と圧倒的な強さを見せ、リーグ二強を誇っていた。この間、両チームの対戦はなく、この三試合は前半戦の天王山と呼ぶにふさわしい組み合わせであった。バファローズは異例の試合二日前の札幌入りだった。

初戦はライオンズがカブレラの2ホームランで追いすがるバファローズをかわして6−5で勝利、第二戦は四試合連続となるカブレラの逆転ホーマーでライオンズ連勝と思いきや九回二死から中村紀洋の劇的な再逆転2ランでバファローズが一矢報いた(7−6)。第三戦はライオンズ石井、バファローズ前川が「粘投」を見せた。0−1から西武が逆転、最後は前日中村に打たれた豊田がランナーを出しながらもなんとか抑えてリベンジ、冒頭のオーバーなガッツポーズとなったわけである。

ライオンズには以前、渡辺久信というピッチャがいたが(現在台湾で活躍中)、久信に負けず劣らず豊田は悲劇(斬られ役)が似合うピッチャーである(近鉄ファンの勝手な思いこみ? 久信はブライアントに4打席連続となる決勝ホームランを打たれて近鉄に優勝をさらわれたことがある)。豊田は去年はたしか三試合連続でサヨナラ負けを喫して自信喪失、バファローズ優勝の一因となった。札幌シリーズでも、中村に逆転ホームランを打たれ、二点差で九回を任された第三戦も一死から川口に安打を打たれ、続く吉岡に粘られて死球とかなり危うかった。しかし第二戦の被弾後も中村との直球勝負を楽しんだかのようなコメントを出したあたり、明らかに精神的な成長の跡がうかがえた。大活躍だった前半戦の疲れは隠しがたく、後半戦は多少苦しむかもしれないが、去年のような大崩れはないだろう。後半戦のライオンズも間違いなく強い。

西武ライオンズという球団の経営は尊敬に値する。過去23年間のライオンズの好成績(リーグ優勝13回、日本一8回)も的確な球団経営によるところが大きい。今年も、二年目の三井がローテーションに入り、マクレーンが怪我で戦列を離れると阪神からエバンズを補強、同じくシーズン途中に加入した台湾の張誌家(チャン・ズージャ)も活躍した。カブレラも一時戦列離脱、もう一人の台湾人投手許銘傑(シュウ・ミンチェ)の調子が今ひとつだっただけにこの補強は大きかった(それにしてもエバンズと同じポジションのアリアス、近鉄に行った北川とヨシカツを比較するにつけ、阪神という球団の人の見る目のなさ、戦略の下手さを感じざるを得ない・・・阪神ファンごめんなさい)。新戦力だけではなく、潮崎、伊東というベテランバッテリーの活躍も前半戦の西武の好調さを支えていた。球団への投資に目覚めて一年で結果をだしたバファローズも簡単にライオンズを独走させはしないだろう。ローズは去年を上回るペースでホームランを量産している(7月8日現在28本)。九月後半には、ローズの本塁打数やこの二チームの勝敗の行方がまたメディアを賑わすだろう。乗り遅れないように今のうちから見ておこう、ね。




嗚呼、ワールドカップ・・・

Number 21, 2002.06.25

ここは黙っていた方が得策だ。それにぼくはまだ韓国−スペインの試合を見ていない。でも、もう韓国戦でレフェリーが韓国に有利な判定を繰り返していたことは多くの人々にとって明白な事実と判断されている。ぼくの周りのサッカーファンには怒っているやつも多い。韓国に負けたヨーロッパ各国の報道は加熱しているようだ。日本の、元来からの韓国嫌いや「勇気ある」右翼、それにスポーツ陰謀史観の持ち主ははここぞとばかり言いたい放題だ。他方で日本のマスコミは沈黙を決め込んでいる。

レフェリーの判定が意図的に韓国贔屓であったかは証明できないし、ましては裏に金や政治的目的があったとの断言は避けるべきだ。審判のレベルが低すぎる、というジーコやペレなど元サッカー選手たちの発言は妥当だろう。しかし、仮に、FIFAや韓国の誰かが意図的に操作をしていたとしたら・・・。その結果は、少数の人物の短期的な利益にはなるかもしれないが、ほとんどの人にとってマイナスの効果しかもたらさない。

すでにレフェリーやワールドカップの権威、とくに主催国の政府・国民・代表チームへの評価は世界的にダメージを受けている。韓国は球回しが巧く、組織的なディフェンスに長け、何より驚異的な体力をみせたすばらしいチームだったが、その勝利を素直に賛美することができなくなってしまった。この経験は長期的な韓国代表チームの強化にも明らかにマイナスである。特にヨーロッパリーグでプレーをする韓国選手はこれから厳しい立場に追い込まれるだろう。ヨーロッパを始め世界の国々が韓国と日本、その他多くのアジア諸国の区別がついていない以上、日本やアジアのサッカーへの評価も落ちてしまう。アジアでワールドカップを開催しようなどという考えは二度とでてこなくなるかもしれない。先回書いた、ナショナル・プロジェクトの観点からは、国内(政治)的には成功でも、国際的には完全な失敗である。

インターネットでは韓国批判が渦巻いている。対照的にテレビや新聞ではほとんど報道されていないようだ。お得意の自主規制だ。たしかに、ここは黙っていた方が政治的に得策だ。普通のニュースなら黙っているうちに過ぎてしまうだろう。しかし、ワールドカップの記憶は、数億人のなかに何十年も残るものなのである。

このワールドカップは不幸な記憶を残してしまったのではないだろうかと心配だ。ぼくは決勝戦を大阪ドームでのいわゆるパブリック・ビューイングで観戦することにした。ブラジル、トルコ、ドイツ、韓国、どの国が出てくるか分からないが、すっきりした気分で見たい、楽しみたい、酔いたい。人々はスポーツにさまざまなストーリーを埋め込むことで、感情移入をする。今のぼくは、過剰なストーリーに嘔吐しそうな気分だ。




ワールドカップとナショナリズム
The World Cup as a National Project

Number 21, 2002.06.07

日本対ベルギー戦は京大の体育館で見た。500人以上の学生が集まってたいへんな熱気だった。何より驚いたのは試合前の国歌斉唱に全員が立ち上がって、「熱唱」していたことだ。かつて左翼の学生運動で機動隊と衝突したそのキャンパスで学生が君が代を大声で歌う。ちょっとした衝撃だった。鈴木と稲本のゴールでは踊り狂っていたぼくだけど、君が代を歌う習慣がないもんで、国歌斉唱の時は完全に観察者になっていた。ワールドカップの熱気が彼らをそうさせたともいえるし、今の大学生は元々君が代アレルギーなんかないのかもしれない。

朝日新聞の批判をすると、それ以上に低俗なアンチ朝日の人と誤解されそうで嫌なんだけど、だけど朝日はちょっとひどかった。ワールドカップ前はスポンサーであるために、批判めいたことはほとんど書かない、「大本営発表」みたいな記事ばかり書いていた。ところがベルギー戦の熱気にびびって混乱したのか、今度は「中田引退」報道で盛り上がりに水を差すという愚挙にでた。

冷静にワールドカップの選手たちを見てみれば、どのチームにもマンチェスターユナイテッドやレアルマドリードのメンバーがいる。フランスはアフリカ系やアラブ系の選手ばかりが目立つし、日本代表の海外組(中田・小野・稲本)や外国出身者(三都主)は言うまでもなく、韓国の初戦でゴールを決めたのは柏レイソルの二選手だ。カメルーンのエムボマだって元ガンバ大阪でうどん好きやし。ナショナリズムの熱狂と、国境を越えた資本主義(≒プロのクラブチーム)の強さは表裏一体だ。朝日のように過剰な反応をするほどのことではない。

ワールドカップは巨大な国家プロジェクトだ。評判の悪い公共事業という言葉を使ってもよい。数千億の金がこれにつぎ込まれている。このプロジェクトを成功させるためには日本と韓国が決勝トーナメントに進出して、開催国の国民の関心を最大限に引きつけておくことがなにより必要である。前回のフランス大会やその前のアメリカ大会はその点で大成功であった。つまらない言い方をすれば、このプロジェクトの成功は国民の税金を有効に使い、国際的な威信を保つという目的がある。そのために日本代表は熱狂的に応援されなければならない。日の丸と君が代というシンボルも当然動員される。マスコミはしかし「大本営発表」ではなく、建設的な批判精神をもちつつ、日本を決勝トーナメントに押しあげるための国民的な世論形成をする必要がある。ナショナリズムは必ずしも排他的な方向に向かうわけではなく、例えば各キャンプ地における外国チームの歓迎ぶりと共存するものである。冷徹かつ明確な目的意識をもって、しかしあくまで熱狂的に代表チームを応援しなければならないのである。


不機嫌な男

Number 20, 2002.05.02
野村貴仁という投手を知っているだろうか。オリックス・ブルーウェーブから読売ジャイアンツにトレードされたがまったく活躍できず、しかし今年から大リーグのブリュワーズに所属し、毎日のように登板している左投手だ。
この男「野球が楽しいと思ったことは一度もない」という。
昨今、プロでもプレーを楽しむというコメントをする選手が増えた。おそらく十年ぐらい前に平尾誠二が試合でも「ラグビーを楽しむ」と言い出したのが初めてだと思う。日本的な体育会系根性主義がダメだと批判され、「楽しむ」という言葉がもてはやされた。たとえば今日見に行った日本代表対ホンジュラスの試合でも中村俊輔が「今日は相手がうまくて楽しかった」とコメントしている。以前取り上げたように、現在ですら楽しんでいると真剣さが足らないと批判されることがある。(→「浅越しのぶと自分の器なりの生き方」
プレーヤーだけでなくて、見ている方も自分が応援しているチームや選手が勝つことだけでなく、いいプレーを見ると楽しい、ということが当り前ではなかった。スポーツを楽しむというのは、つい最近になってわれわれが欧米から学んだことの一つなのだ。
さて野村である。野村は以前、オリックス球団と年俸の査定でもめてコミッショナー調停まで至ったことがある。日本プロ野球史上二度か三度しかない出来事だ。なんであの時、野村が球団とトラブルをおこしてまでゴネたのかようやく合点がいった。どうやら野村は自分の技術に高い値段をつけてくれることしか考えていないようである。言い換えれば自分の仕事に正当な評価をもらいたい一心なのである。
嬉々としてプレーを楽しむ子どものような天性のアスリートは見ているこちらも楽しくなってしまう。でも、自分の仕事に誇りをもつ不機嫌な職人のような野村も悪くない。ぼくは野村が七者連続三振をとるところを見たことがある。サイドスロー気味に左から140キロ後半の切れのいいファーストボールがくれば、とくに左打者はそうそう打てるものではない。バッサバッサと片付けていく野村に敵ながら爽快感すら感じたものだ(バファローズ戦だった)。
そんな野村でもジャイアンツではさっぱりだった。野村は体は小さいが力投型で、気合を前面に出して投げるタイプの投手である(例えばドジャースの石井一久は正反対の投手だ)。だから金さえ出してくれれば活躍できるというものでもない。野村はリリーフ投手だけに、自分の役割が明確でかつ仕事に集中できるような環境を与えられて初めて活きる。おそらく長嶋茂雄は彼にそういう環境を与えることができなかったのだろう。





いまさらソルトレークについて

Number 19, 2002.04.23 
冬のオリンピックというのは、春になるとすぐに記憶が薄れてしまうものだ。とりわけ、冬は日本人にとってなじみの深い「世界のスーパースター」が少ないので日本人選手を中心に見ることになるし、今回のように日本人の活躍が目立たないとあっという間に記憶が薄れる。
ぼくも例外ではなく、さらに、楽しみにしていた上村愛子のモーグルが初日で終わってしまったので観戦欲が減退してしまった。そんな中で印象に残ったのがスピードスケートの1万メートルとスキーのクロスカントリーで入賞した日本人男性選手二人だった。
冬のオリンピックは、長い長い努力の積み重ねにも関わらず、ほんの一瞬で終わる競技が多い。上村愛子のエアーは息を飲むほど美しかったけれど、ターンでスキーがちょっと揃わなかっただけでメダルを逃してしまった。スピードスケートの短距離は二日間の合計タイムなのに0.1秒以下で勝敗が決まってしまうし、ショートトラックに至ってはまわりの選手の転倒や審判による反則判定に左右されるリスクがあまりにも大きい。そこには一瞬を生きる人たちの、想像もつかないような世界がある。
それに比べるとスピードスケートの長距離や、クロスカントリーは、マラソンにも似て、レースも比較的長い。勝負も一瞬で決まるのではなく、競技中も練習のそれのように辛抱強く、競技としては長い時間、継続的に力を出し切る必要がある。そこにも想像もつかない壮絶な世界がある。
オリンピックはそんなすごい世界を「どうだ」と見せつけてくれる。でも、われわれ一般の視聴者はオリンピックしか見ないから、それまで4年間の一試合一試合のすごい世界を忘れてしまう。つまりは里谷多英のソルトレークオリンピック銅メダルの前に、上村愛子の昨年のシーズン通してのワールドカップ総合2位は霞んでしまいがちになる。どちらが偉大かなんて、どうやって決められる?
オリンピックで輝く、一瞬を生きる人たち、長時間の壮絶な競技に生きる人たちは、年に数十回も同じような体験をしていることに想いを馳せてみよう。そしてこの夏の間にも彼らは・・・
******
彼らはもちろん選ばれた、特別な存在だ。だけどどの世界にいたってプロとして仕事をすることに違いはないはず。
メジャーの世界にも、入ったときからトップクラスで、そのまま上でずっと行けてしまう選手も中にはいます。でも、そんな凄い選手はほんの数人しかいないですよ。ほとんどの選手は必ずどこかで躓くわけですよ。

それは野球に限らず、年に1回だけ結果を出せばいいという人なら話は別ですけど(笑)、毎日結果を出さなきゃいけない仕事の人ならみんな同じでしょう。僕も自分自身が最初からずっとうまく行くなんて思ってなかったですから。山あり谷あり、相手に上を行かれたら、また頑張って抜き返す。

野茂英雄

(Number 547, 2002.4.25., p.28)



モチベーションの高さが勝負を決めた!
〜アメフトええ感じレビュー〜

Number 18, 2002.01.13
アメリカンフットボールの大学日本一を決める「甲子園ボウル」、社会人の「東京スーパーボウル」、両者のチャンピオン同士による「ライスボウル」の三試合はいずれ見応えのあるいい試合だった。
甲子園ボウル 関西学院大学24−6法政大学

東京SPボウル アサヒ飲料14−7松下電工

ライスボウル 関西学院大学30−27アサヒ飲料

甲子園ボウルは関学が攻守に圧倒した。特に関学のディフェンスはDL石田が片手で相手のタッチダウンを止めるなど、100 kgを超えるとは思えない機敏な動きで大活躍し、MVPを獲得した。東京SPボウルは円熟のアサヒ飲料が、後半に逆転勝ちをした。アサヒ飲料は劣勢だったが昨年一度は引退を表明したRB中村多聞が確実なランを見せ、また4th downからパントフェイクなど勝負所で意表を突くスペシャルプレーなど完成度の高い「大人」のフットボールだった。LB山田晋三が劇的なインターセプトからそのままタッチダウンをして勝負を決めた。(シンゾー格好良すぎ!)
関西リーグのアサヒ飲料は、関東のアサヒビールと同様クラブチームである。すなわちプレーをするのは社員ではなく、さまざまな企業で働く選手たちである。テレビなどにもよく出演する山田やLB河口は海外のリーグでプレーしたスター選手だが、社会人リーグのおもしろいところはアメフトでは無名大学出身の選手が多いことである。団体スポーツはいいチームに入らないと強くなれないし、学生スポーツはチームを選べないから才能が埋もれてしまう。企業のチームもそういう選手を掬いにくい。アサヒビール・グループは偉いなあ。しかも両方とも強い。しかもしかも京大のスターQB東海がいたアサヒビール「シルバースター」という格好いい名前のチームに代わって、いわば弟分のアサヒ飲料「チャレンジャーズ」が二連覇とはなんともええ感じであります。
さて、大学と社会人の優勝者がたたかうライスボウルはここ6年間は社会人が勝っていた。社会人のアメフトのレベルがあがり、Xリーグもできて、大学生が勝つことは難しくなっていた。特に関学は過去4回いずれも負けていた。ところが、勝ってしまった! なぜか?
関東はラグビーの方が人気があるけど、関西はアメフトが花形のスポーツである。関学、京大、立命館のライバル三校が激しく争っていて、リーグ戦の優勝で燃え尽きてしまうようなところがあった。それが今シーズンの関学はキャプテンの石田がリーグ戦が始まる前から「ライスボウルに勝って日本一になる」と言い続けていた。卑近な例で悪いけど、近鉄バファローズの中村紀洋が「優勝する」と一人で言っているうちに実現してしまったのと似ている。関学はライスボウルに向けてモチベーションを高めてきた。そう、関学は「モチベーション」≒目的意識で上回ったのである。
ライスボウルは点差以上に関学の圧勝だった。アサヒ飲料のお株を奪うスペシャルプレーを連発して、社会人が動揺している間にタッチダウンを重ねた。意表を突くようなスペシャル・プレーは「奇術」ではなく、意図が明確な練習と試合における経験と自信に裏付けされていた。関学は甲子園ボウルのあと、アサヒ飲料対策をじっくりと練ってきた。スポーツの精神論、「日本的」な根性主義を否定する風潮があるが、気持ちは大事である。ただし、明確な意図、目的を持った気持ちが必要なのだ。






カンサイイズム:ラグビー大学選手権ええ加減プレビュー

Number 18, 2001.12.03
スポーツ観戦は応援するチームや個人がいると楽しい。むしろ応援するチームや個人がない場合の方が例外的だろう。オリンピックやワールドカップなど、国別対抗の試合がおもしろいのはやはり敵と味方がはっきりしているから。普段「サヨク」っぽいぼくでもさすがに日韓戦で韓国を応援したりするわけはない。プロ野球で巨人戦の視聴率がいいのは、もちろん巨人の人気があるからだけれど、多くのアンチ巨人の存在が大きい。近鉄ファンのぼくでも、例えば広島−中日の試合だとどちらを応援すべきか分からないから入れ込めない。しかし広島−巨人なら迷わず広島を応援できる。大リーグやセリエAのレベルがいくら高くても、普通の人は知っている選手やチームがないとなかなか見ないわけで、だからイチローや中田が行って初めて見るようになったんやね。
なぜこんな話から始めたかというと、どちらを応援するでもなく同志社と近大のラグビーの試合を見たからだ。あいにくぼくと縁のある関学と神大は関西リーグに入るようなチームじゃないから当たり前のように応援するチームがない。同志社が勝てば立命館がなんと55年ぶりの優勝だから同志社に勝たせたい。でも判官贔屓としては同志社より力をつけてきた近大にがんばって欲しい。
試合の結果は同志社が大差で勝利。近大が15点ビハインドで迎えた後半に入って攻勢。ペナルティーゴールを重ねて追い上げたが、2番や5番という背番号の太くてでかいフォワードが攻撃ラインに参加する同志社のパワーにねじ伏せられた。これが最終戦だったために、3チームが6勝1敗で並び、直接対戦の成績などから立命館が優勝、同志社が2位、近大が3位となった。近大も優勝した立命館に唯一勝ったチームだけにハマルと怖いが、決定力に欠ける印象だった。(立命に負けたゲームを見ていないが)同志社は強力フォワードのおでぶちゃんたちがバックスの役割を、バックスがしっかりとモールを作れる完成度の高いチームだ。とにかくキックを蹴らずに攻め続けるラグビーが全国大会では通用せず壁に当たっていた同志社だったが、新しいスタイルで蘇ったようだ。
高校ラグビーでは、大阪が全国大会に3校もの枠を持っていて毎年のように決勝まで残るのに、大学レベルでは関西は人気も実力も関東を大きく下回る。それでも昔からの同志社ファンは根強いし、立命や近大が力を付けてきて関西リーグがおもしろくなってきた。ここ10年あまり、関西のチームはがんばって大学選手権の準決勝どまりである。今年は関東(対抗戦)でも数年低迷していた早稲田が全勝で11年ぶりの優勝。リーグ戦ではここ数年安定した実力でスキルも高い関東学院が全勝優勝。どちらも確実にベスト4には残るだろう。関西で優勝した立命館、立命に負けた後立て直した同志社、意外性の近大がこの一角に加わってどこまでやれるか注目したい。
最初の話に戻ると、ぼくの場合、相手が関東のチームだと実に素直に関西勢を応援できる。地元主義か、東京コンプレックスか、判官贔屓かよく分からないけど。ぼくは千葉生まれの神戸−西宮育ちだから余計に複雑なんやな、これが。




大阪屋根付球場自己陶酔的報告

Number 18, 2001.09.28 
9月24日。大阪近鉄バファローズと西武ライオンズの最終戦、九回裏一死走者一塁。三塁側まで埋まった満員の内野スタンドの、レフトの黄色いポールの先に手が届きそうな上段から、100メートル先の打席に立つローズを眺めていた。ぼくはメガホンを叩くのをしばし止め、しかし赤とオレンジのそれを握りしめたまま妙に落ち着いた気分だった。12年前のあの日を思い出しながら。
あの日、高校生だったぼくは三時間目の音楽の授業中から西武−近鉄戦の中継放送を聴いていた。ブライアントの本塁打で近鉄が先制。秋の夕暮れが迫る家に早足で帰って、第二試合で渡辺久信から放ったブライアントの四打席連続となる本塁打をテレビで観る。これで昭和55年以来、九年ぶりとなる近鉄の優勝が決まった。
まだ一点負けていたが、ブライアントの右翼上段へ伸びていく打球を思い出しながら何とも言えない幸福感に満たされていた。ローズは結局三振に倒れたが、ノリ(中村)が松坂から三球目の外角高めを右翼席に放り込んだ。サヨナラ・ホームラン。球場は騒然としていた。もう夕暮れのブライアントは何処かに消えていた。嗚咽ってやつかな、ぼくは訳の分からない唸り声をあげていた。どの位の時間が経ったのか、一通りの形態で喜びを表現し、帰ろうとすると、階段の脇にまだ座ったまま涙を流しながら呆然としているぼくと同世代の男がいるのに気づいた。その前には一人で微笑む、古い近鉄の三色帽を被った目がクリクリのおやじがいた。目が合うと、ぼくは微妙に頷いてグランドを後にした。握手をすればよかったと少し後悔した。
9月26日。マジック1、つまり今日勝てば優勝である。朝からそわそわして落ち着かない。一昨日のおやじを思い出しながら、「大石命」とツバの裏に書いてある三色帽を押入れから発掘した。連勝が始まった9月16日から伸ばしている顎部分以外の髭を剃り、19日の西武戦に逆転勝ちした後に浮かれて購入した紺地に金色で背番号20が入ったローズのTシャツとノリの赤いリストバンドをはめた。小学生5年生の時に買った帽子はさすがに恥ずかしいので、新旧のメガホンと応援用タオルマフラーと共にかばんに納めた。
試合開始の三時間前、午後三時に友人と大正駅で約束をしていたのだが、気が急いて少し早くついた。すでに球場のまわりには長蛇の列ができていた。取材のヘリが上空を旋回している。クリクリおやじは見つからなかったが、藤井寺あたりで会ったことのあるような河内のおやじがたくさんいた。同窓会にでも来たようだ。ぼくはそんな歳やないけど。
それから六時間半後。九回表に三点差となる五点目を取られたが、二死から大塚投手が指名されると球場の空気が再び締まった。あのね、ニュースでは「誰もが諦めたその時」なんて言っていたけど、九回裏に入ったときほとんどの観客は「何かが起こる」のではないかと思っていたはず。開幕の日本ハム戦で五点差を、前半戦の最後のロッテ戦には五点差の九回に八点取って逆転しているのだ。ましてぼくは一昨日のゲームを観ている。
吉岡が三遊間を破り出塁し、さらに川口が一塁線の二塁打を放ったとき「地響き」がしたそうだ。ぼくは地響きの一部だった。観客は一斉に立ち上がったまま座らなかった。もうね、99%勝つと思っていた。逆転サヨナラ満塁ホームランっていうのは出来の悪い冗談みたいやったけど。同じサヨナラ・ホームランでも、二日前のような震えと涙はなかった。アホか〜、おおおお〜って感じやろか。色んな人と目を合わせたり、握手したり、抱き合ったり。ただただただ嬉しかった。はぁ〜。
「何かが起こる」と繰り返すノリの予言を呪文のように唱えているうちに本当に何かが起こってしまった。他の球団を上回った勝利への飢餓感。テロ事件以降の4人のアメリカ人の集中力。寄せ集めと陰口をたたかれたが、脳腫瘍やいじめや伸び悩みで放り出された選手たちは、ノリのリーダーシップで一つの目標だけを見ていることができた。近鉄は5連敗で止めた9月9日から実に11勝1敗で力強く西武とダイエーを蹴落として優勝旗を掴んだ。下手なオチはいりまへん。近鉄12年ぶりの優勝万歳!万歳!万歳!


田村亮子と「新しい日本」

Number 17, 2001.09.02

柔道の田村亮子が世界選手権を五連覇した。見ることができなかったので、その試合、怪我を押しての出場についてなど、書けることはない。ただ、そのニュースを聞いて多くの人は山下泰裕(現日本ヘッドコーチ)のロスオリンピックの金メダルを思い出したのではないだろうか。「ヤワラちゃんまだ若いのに無理して将来大丈夫かな」って思ったけど、あのとき(1984年)の山下は27歳、田村は25歳。当たり前だが田村ももう立派なベテラン選手やね。卓球の愛ちゃんとは違います。
さて、田村亮子とボクシングの辰吉丈一郎の第一印象は似ていた。それまでぼくが見ていた日本人がでるボクシングのチャンピオン戦といえば井岡弘樹だった。クリンチばかりでおもしろくなかったところに、攻撃的で挑発的な辰吉の登場。柔道も組んだまま足を掛け合うようなような試合が多いが、田村は組んだ瞬間に投げる。鮮烈な印象だった。ヤワラちゃんと名付けたのはたしか柔道連盟自身だった。漫画『YAWARA!』は、粗っぽくいえばオリンピックに「無差別級」を復活させ、そこで主人公が大きな外国選手を相手に「柔よく剛を制す」で金メダルを取るという話である。田村の柔道はまさにそんな失われた夢を見させるものだったのだ。
最近、世界選手権でもオリンピックでも日本の選手があまり勝てない。日本が大反対していた柔道着のカラー化も採用された。ぼくはあの青い道着は好きになれないが、柔道が単なる日本の伝統武道から世界化したスポーツになった証拠だと思って諦めた方がいい。日本がメダルを取りにくくなったのも、同様の理由で仕方ないだろう。それでも、それだからこそ、一本にこだわり、技にこだわる日本の柔道は頑固に継続すべきだ。それが「正しい柔道」だからではなく(まぁ正直それもあるが)、見ている方は(多分やっている方も)その方が楽しいからだ。それに、そうしないと勝てないんちゃうかな。だから、背丈と筋力が欧米人並で、同じ戦い方ができる選手はそれで勝てるなら奥襟を掴んでポイントを稼ぐヨーロッパ的な試合をやってもいい。
話は変わるが、イチローの打撃がアメリカのファンにも高い評価を受けているという。大リーグはホームランが出過ぎて人気が低下したと言われている。曰くイチローの技術が、野球本来の楽しみを思い出させてくれたと。イチロー以外にも「業師」はたくさんいるし、日本のマスコミはアメリカが褒めれば喜んで取り上げるだろうから、多少割引くにしてもイチローの評判は本当だと思う。そしてイチローは割引きなしに成功している。イチローと佐々木が加わったシアトル・マリナーズはぶっちぎりの地区優勝をしそうだ。サッカーに目を移せば、ここ数年、次々とヨーロッパリーグに進出している。ぼくは「日本人らしい」なんて簡単に信じないが、どうも「世界で勝てる」日本人は田村、イチローや中田英寿、小野伸二など技術、瞬発力のある選手であるようだ。
それにしても、中田やイチロー、野茂英雄の寡黙さや「不機嫌さ」はカッコイイようにも見えるけど単なるコミュニケーション能力の欠如だと思う。マスコミとの確執なんて子どもっぽいし、失敗しながらそういうことを乗り越えていかないと「大人」になれないと思う。彼らは昔のハリウッド映画にでてくる日本人のイメージとたいして変わらない。実に古くさい。(中田は「関係ないじゃん」と開き直るだろうが。) 日本のスポーツマスコミのプロ意識の低さはよく分かるが、気のあった人間としか会話できないのはカッコイイとは思えんな。野茂や中田、イチローのプレーは見ているだけで、楽しい気分になるが、彼らが欧米のスポーツの価値観をすばらしいと思うなら、そのアカウンタビリティー(説明責任)の高さも学んだ方がいいと思う。
むしろあまり敬語も使えなくて「アホ」に見える、NYメッツの新庄剛志やゴルフの片山晋呉の方が「新しい日本」を作る可能性を持っているのではないか。人間類型を横に置いても、アルゼンチンのボカにいったサッカーの高原直泰のようなスケールの大きな選手がこれまでの「日本人」の限界を壊し、「世界」で勝てるチームを作るのだと思う。実際のところ、中田やイチローにしても、技術力が目立つが外国にいって得たものは日本に欠けていたタフさだろう。
田村亮子の場合、よくしゃべるが優等生的。柔道連盟や日本オリンピック委員会のイメージアップには役に立っても「変革」の力になるような可能性はない。その点、「ギャル」っぽいのに無茶苦茶強いモーグルの上村愛子みたいな選手の方が、カッコイイし現代の日本社会を変える力になると思う(そのうちTBSで「ガチンコモーグル塾」なんて始まりそうで嫌だけど)。沈滞気味の柔道や相撲、それに野球といった日本の「伝統的競技」、および日本社会に革命をもたらすのは、そんな選手や指導者だと思う。

 

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イワニセビッチは大人になったのか? 〜ウィンブルドン・クリップ II〜

Number 16, 2001.07.11

最近よくテニスをしている。残念ながらあまり身近なテニス友達がいなくて、テニス・スクールに通っている。ブランクがかなりあったので最初は初級だったんだけど、最近初中級というのに上げてもらって内容がちょっと楽しくなった。初級は割と若い子、高校生なんかがたくさんいて、それはそれで一人張り切っちゃったりして良かったけど、今は年上も多くて落ち着いた雰囲気がよい。年上なんだけど、肩に力が入って頑張っちゃう人もいたりして、大人気がなくてそれもよろしい。こっちも本気で走り回る。ぼくのテニスは美しさより、とにかく走り回ること。いつもイメージはマイケル・チャンなので、とにかくひたすらボールを追いかけること(それが美しさだと思っているんだけど)。30歳も近くなってきて、トレーニング不足で持久力がないものの(歳のせいだとは認めない!)、さいわい元々低い運動能力はさほど低下している様子もないのでまだまだ走るテニスを貫徹するつもりなのだ。
さて、雨に祟られた今年のウィンブルドン最大のイベントは男子準決勝のヘンマン−イワニセビッチ戦であった。いや、そのはずであった。なにしろフルセットにもつれ込んだこの試合は雨による中断が重なって三日間に及んだ。地元の人気者ヘンマンが勝てば63年ぶりのイギリス人の決勝進出、かつてサービスで一世を風靡したベテラン(といってもまだ29歳)イワニセビッチは過去3度の決勝経験があるが、ランキング100位以下に落ちた今回は史上初めて推薦枠出場選手のベスト4入りだった。もちろん地元の大声援を受けたヘンマンが勝てば決勝はさらに盛り上がるはずだったけど、負けてしまったからこれで終わりだと思っていた。
イワニセビッチというのは本当にサーブだけが取り柄の選手である。190センチ以上の長身、しかもサウスポーから繰り出される210キロ以上のサーブが入れば、ほとんど取られることがない。仮に取られても、浮き上がった球をネットに詰めて軽く決めるだけだ。問題はサーブが入らなかったときで、他のプレーがだいたい下手くそな上、切れやすい。いくつかのミスでがたがたに自滅してしまう。ヘンマン戦でも、第三セットなどは0−6の完封、16分で取られてしまった。とてもベテランとは思えない始末で、信じられないボレーを失敗する、ボールを蹴る、ヘディングする。それが、雨による中断も幸いしてなんとか勝った。ヘンマンもガッツポーズで誇示するが勢いに乗り切れず。二日目などは両者ヘロヘロで、これは史上最低の準決勝だ、と思ったぐらいだった。
もう一つの準決勝は対照的な試合だった。すばらしい接戦を制して決勝に進んだのはオーストラリアのラフターだった。ラフターは二年連続決勝進出の実力者だが、準決勝の相手アガシに比べるとかなり地味。頭には十円ハゲのあとがある。しかし精神面ではかなりタフで、しかも紳士で大人。準決勝だけ見ていれば、誰もがラフターの勝利を予想しただろう。
ところがそういう安易な予想は外れると痛快である。
大人気ないイワニセビッチとちょっと地味なラフターで決勝は盛り上がるのだろうか、と心配していたのは私だけだろうか。やはりそういう安易な心配は外れると実に痛快である。決勝は「ハイソ」な感じのウィンブルドンとは思えない、下品な、ほとんどサッカーの試合のような盛り上がり方だったのだ。前日のクリケットとラグビーのナショナルチームの試合の応援から流れてきたのか、ウィンブルドンのセンターコートはラフターを応援するオーストラリア人で一杯だった。しかも彼らは顔は黄色と緑に塗るわ、巨大カンガルーはもってくるわ、大騒ぎだった。こうなるとイワニセビッチの応援が気になるが、彼の故郷クロアチアの国旗等をもった少数の人に加え、クリケットとラグビーでオーストラリアに連敗し、しかもやたらうるさいOGに反感を持った地元イングランド人はイワニセビッチの応援に回った(多分ね)。
ともかくイワニセビッチが勝った。相変わらずボレーは信じられないほど下手だし、審判に怒ってF○○kとか言うし、最後はマッチポイントで散々ダブルフォルトしたにも関わらず。験(げん)を担いで、ポイントを取ったボールを次も使うために必死でボールボーイに要求するところなど、とても大人気なかった。しかし、無骨なまでにひたすらサーブを打ち込む姿は悪くなかったぞ。左肩を痛めていたのもなんだか同情を誘った。相手がサーブとネットプレーを中心としたラフターであったのも幸いした。(リターンとラリーが得意なアガシだったら勝てていたかどうか。)
イワニセビッチはやっぱりサーブだけなんだけど、テニスは相手のサービスゲームをブレークしないと勝てない。実は、ここぞというときに、山をはって狙ったリターンが決まって、準決勝も決勝も勝った。自分のミスで追い詰められても、肝心なポイントのサーブはちゃんと入れたし、ファイナルセットでは試合を決めるすばらしいリターンを連発した。うむ。勝負どころを見極め、例え一瞬であってもその一瞬の集中力は誰にも負けないこと。大人になることと関係があるのかどうか分からないけど、それが勝者の条件である。14年間ウィンブルドンに出場して初めて、40回以上四大大会に出場して初めてのタイトル。ともかくイワニセビッチは勝ったのであった。




浅越しのぶと「自分の器なりの生き方」 〜ウィンブルドン・クリップ〜

Number 15, 2001.06.28

 

日本の浅越しのぶがウィンブルドン・テニスの一回戦で、前年王者のヴィーナス・ウイリアムズと対戦し、2−6,3−6で敗退した。ストレート負けではあったが、第二セットは一時3−1でリードし、それなりの見せ場はつくった。つまりそのあと5ゲーム連取されたわけだが、最後まで切れずにプレーしていたし、実力差の割には健闘したといえるだろう。
本人も満足だったようで「今日は本当に楽しかった」というコメントを残した。しかし、翌日(6月27日)の朝日新聞にはずいぶんな叩かれようだった。いわく「本人に一泡吹かせる心意気が乏しかった。・・・対戦できただけで光栄といわんばかり」等々。もちろん、朝日が書いているようにこれが「単なる土産話」に終わってしまえば意味がないわけだが、浅越がどうひっくり返ったってヴィーナスとシーズンを通して張り合えるわけではない。浅越に必要だったのはヴィーナス相手に思い切って、自分のプレーをすることであって、その目的は充分達せられたといえる。それが「楽しい」のはスポーツ選手なら誰でも理解できるはずだ。
ぼくは浅越しのぶのことを、伊達公子や杉山愛に続いて世界ツアーに参加し、50位以内で継続的にプレーできうる選手としてここ数年注目してきた。日本の女子の中では体格もいい方だし、力強いフォアーハンドのストロークが武器である。ただ、精神的に弱いところがあって、勝負どころで弱気になったり追い込まれたときに自滅する癖があった。ダメな時はすぐに表情に出したり態度に表れてしまう。それが去年ぐらいから見違えるように変わってきた。不利なスコアでも攻める姿勢が見えるようになったし、感情のコントロールが非常にうまくなった。
さて、今回のヴィーナスとの対戦では遅いなりにサーブを工夫し、ラリーの組み立ても非常によく考えていた。3−1とリードした第2セット第5ゲームで少しミスがでて一気に女王に押し切られたが、うまくやれば1セットは取って大健闘、という見出しになったかもしれない。
スポーツ選手は、引退して振り返ったときにすぐ思い出せるような成績やシーンがあればそれなりに成功したといえる。松岡修造であればウィンブルドンのベスト8であろうし、沢松奈央子であれば阪神大震災直後の全豪ベスト8だろう(本人はウィンブルドンのセンターコートで負けたことの方が気に入っているようだが)。浅越しのぶ25歳(今日が誕生日!)、世界ランク56位。センターコートであろうと1回戦でヴィーナスから1セットとるのが生涯の勲章じゃちょっと悲しすぎる。これまででも、ドイツのフーバーに勝ったり、上位ランクを脅かすことも何度かあったが、浅越がいま目指すべきは一度のまぐれ勝利ではないはず。ようやく世界ツアーで戦える道具が揃ってきたばかりである。1年を通してコンスタントに大会に出場し、2回戦、3回戦に残っていく事、こんな地味なことが浅越のプロとしての成功なのである。カバン一つで小さな大会を回っていくうちに、もう一回りたくましい選手に成長し、ランキングも50位以内に安定し、そうしたらまたビックネームと大きな舞台で当たることになるだろう。浅越が印象に残る記録や記憶を残せるかは、そのときに問われることになる。
プロは無数にいて、光が当たるのはそのごくごくわずかである。世界では目立たない浅越しのぶの下にも無数の日本人選手がいる。光が当たらないことで腐るか止めるか、あるいは自分の器のなかで闘って必ず一度はめぐってくる瞬間への準備を整えるか。そこが、どの世界であろうと、プロフェッショナルであるかないかを分ける唯一の分岐点である。



スポーツ=人生の楽しみ方いろいろ

Number 14, 2001.06.02

4月の終わりから5月にかけてtotoを4回かな、やったけど結局一度も当たらなかった。データを集めて投資額を1600円(1口100円で16通りの組合せ)まで増やしたところで6勝7敗の過去最悪の結果。最後は逆にヤマカンで最小の400円に減らしたら、結果は最高の10勝3敗(3等=11勝が当たっても200円だったけど)。要はありきたりの予想なので、当たっても額は少ないんやな〜。1億円ももらって人生狂わしたくないからいいけど(!?)、賭け事のテクニックとしては、勝負時を見極めて投資額も決めないとあかんね。とにかく今までよりサッカーをよく見るようになった。ワールドカップまでにJリーグだけじゃなくてもっと勉強しとかなきゃ。それにしても一回当てたい。
さて、最近はまっているのが「ファンタジーベースボール」。インターネット上で仮想のチームを作るゲームなんだけど、おもしろいのは実際の選手の成績をもとにチームの成績が決まるところ。指定された予算の中から選手を選んで自分のチームを作り、その選手の成績(ヒット10点、打点10点、三振 -5点のように)を集計したのがチームの成績になる。始まって2週で6000を超えるチームが参加している。5月中旬から始まって、最初の2週間はオープン戦だったんだけど、バファローズのいてまえ打線が連日爆発したお陰でわが「神戸ブルーソックス」は一時は20位以内に入る大健闘! 2週目はずるずると下がって100位より下になってしまったけど、なんせ6000チーム中だからね。ファンタジーベースボールはアメリカではかなりポピュラーらしく、会費を取って豪華な賞品を出すところもあるらしい。今回の日本開催はプロ野球選手会も公認している。いまのところ無料だけど、お金取ってもペイできるんじゃないかな。なんせ自分のひいきチームがペナントレースから落ちこぼれても、このゲームなら最後まで楽しめるからね。ファイターズとタイガースファンにお勧め(失礼!)。
賭け事はやっぱり燃えるけど、大げさにいえば、人生いかに楽しむか、だと思うんやな。スポーツじゃなくても、もちろん賭け事じゃなくても生活にいくらでも楽しみ=ゲームは見つけることができるはず。仕事なんかの競争もゲームと考えて、自分の虚栄心を楽しめるぐらいの気持ちの余裕がほしいネ。

 

以下が「神戸ブルーソックス」の開幕メンバーだ。
ついでに今年のプロ野球案内にもなっているので分かる人はどうぞ
打順
守備位置
名前(チーム)

センター

大村(Bu)→田口(BW)

セカンド

井口(H)

ライト

稲葉(Ys)

サード

中村(Bu)

DH

磯部(Bu)

ファースト

吉岡(Bu)

レフト

秋山(L)

キャッチャー

的山(Bu)→山田(T)→中村(D)

ショート

前田(Bu)→神野(D)→藤本(T)

先発投手1

黒木(M)

先発投手2

入来(Ys)

先発投手3

山村(Bu)→長谷川(C)

抑え投手

岡本(H)

6月17日現在総合343位(7124チーム中)

 

* ホークスの中継ぎ投手岡本は今年素晴らしい活躍をしてるので、ぜひ注目してほしい。渡辺と並んでホークスの生命線。バファローズ→ジャイアンツからテスト入団でスワローズに入った入来もすでに4勝と大活躍。気合系、でぼくの好みの投手。いじめから心身症になってバファローズにきた山村も復帰2年目で一皮むけようとしている。何かを乗り越えて、気持ちのハリがある選手というのはやはり見ていて気持ちいい(人情ものに弱いだけ?)。

* せっかく似た名前を付けたから神戸の選手をと思ったんだけどブルーウェーブは飛びぬけた特徴のある選手がいなくて、結局誰も選べなかった。グリーンスタジアムの客が少ない理由の一つちゃうかな。いい野球してるんやけどね〜。

* オープン戦で結果の出なかった東出(C)と給料の高い小笠原(F)を解雇、むっちゃ安い前田と小笠原よりは安い吉岡を代わりに入れ、浮いた金で稲葉・磯部の左の大砲を採用。それまでこのポジションは真中(Ys)と進藤(BW)が入っていたけど「渋い」選手より、どかんと派手な方が点数も稼げるかな、と。セカンドも水口(Bu)から井口へ。

* 打球を遠くに飛ばす才能、というのは誰にでもあるわけではない。左打者だと、上の稲葉、磯部は特にすばらしい(もちろんジャイアンツの松井もすごい迫力)。あと藤井(BW)、桧山(T)もバットに球をうまく「のせる」ことができる。桧山はタイガースでは数少ない好きな選手。30本ぐらいはホームランを打てるはず。同じように打球を飛ばす右打者は少ないけど、秋山がやはり美しい。アーチストとはよくいったもの。あんまり美しくなくかつ訳がわからんが、城島(H)もとにかく打球をバットにのせて運んでいく。中村、井口は球を「しばく」感じで、左の小笠原もそうだと思う。ローボールヒッターだけど吉岡もそんな感じ(元メッツ・ドジャース・ヤンキースのダリル・ストロベリーを彷彿とさせるというと褒めすぎか)。井口はぼくの印象では田口(BW)や仁志(G)みたいに軸がぶれずに1ステップで球をたたける中距離打者なんだけど、井口はパワーが飛びぬけている。とくに今年の井口のライトへのホームランは目を見張るものがある。井口は盗塁もリーグ一位。うちのチームに入れてから急に打たなくなって困ってるねんけど。


イチロー、野茂、プロということ

Number 12, 2001.04.26

いま、NYヤンキースとシアトル・マリナーズのゲームを観ながらこれを書いている。マリナーズが5点を先にとり、ヤンキースが5点返して同点、6回にイチローの今日2本目のタイムリーなどでマリナーズが突き放すというおもしろい展開だ。イチローのタイムリーは地面すれすれに落ちるカーブをすくい上げての技ありヒット。神戸で何度もみてきたプレーがニューヨークで再現されている。よりレベルの高い場所で、より多くの人に注目されてプレーするイチローの輝きは増しているように思える。神戸での7年間、イチローはアメーバのように形を変えながら、しかし着実に進化してきた。球を強くたたくために、体を造り、打ち方も「小槌」の振り子からときに「斧」を振り下ろすような力強さが表れるようになった。
野茂英雄もストレートに磨きをかけることにこだわりながら、変化球も改善していくという形で成長してきたが、イチローの進化はメジャーリーグに向け、よりまっすぐなベクトルを描いていた。野茂は近鉄バファローズの最後の2年間に肘の故障などで思い通りの成績が残せず、複数年契約が拒否されたことで、「野球が思い通りできる環境を求めた結果」突如メジャーリーグに行く事になった。野茂は意外にも、もしメジャーリーグで通用しなくなったら、台湾、韓国や独立リーグなど野球を続ける舞台の一つとして日本でプレーすることもありうると述べている。
書いているうちにマリナーズがヤンキースに勝った。イチローの活躍は嬉しいけど、当然やろ! むしろ野茂がいるボストン・レッドソックスと優勝を争うヤンキースが負けたのが嬉しい。野茂がいるし、ボストンは好きな町だし、クラシックな赤い靴下のマークもかわいいし、(元メッツファンのぼくには特に)読売ジャイアンツのように金に任せて選手を漁るという印象のヤンキースを打ち負かしてほしい。正義はレッドソックスにあり!
 
さて、巷に溢れる論評と同じく、日本のプロ野球の将来を考えてみた方がいいよね。
ここ数日たまたま重なって、日曜日は千葉マリンスタジアムに、昨日は大阪ドームにいってきた。千葉では、晴天のなか、三塁側内野席でバファローズを関東で応援するおじさまたちを中心としたグループと出会った。職場も年齢も違う、一人で来ている人も家族連れの人も、共通の楽しみのために集まって、手持ちのシュウマイにビールを飲んで、ステキな人たちだった。偶然うしろに座ったぼくらにもつまみをくれたり、ジュースをおごってくれたり。大阪ドームでは、太鼓やラッパを吹き鳴らす応援団の近くに陣取って盛り上がった。仕事帰りのサラリーマンが背広をユニフォームに着替え、おねいちゃんがいそいそとメガホンをヴィトンのバックから出す。一人で来ているおじいさんや、ハンディキャップをもった少年も応援団には排除されない。年齢も性別も社会的な立場も日常的な悩みも一瞬消えて中村紀洋のホームランに全員が立ち上がり、リリーフの大塚と同じように力が入る。ライオンズに移籍後初のホームランを打った元近鉄の村上に「おまえは許したる!」と声がかかる。スポーツ(観戦)は人間、一般的に男性に強い「攻撃本能」の代償でもあるので、無論一つのチームを応援することは相手を打ち負かす喜びにつながる。しかし、敵であろうとファインプレーやキレのいいボールに惚れ惚れするのは、美しい音楽や役者のキレのいい演技に心を揺さぶられるのと同じことで、こちらもスポーツの本質である。
球団も昔より随分ファンのことを考えるようになって、入場料も安くなったし、ファンクラブの楽しみも増えた。勝利を目指して高いレベルのプレーをすることが競技の基本だけれど、プロスポーツ、特に野球は、幅広いファンを暖かく、柔らかく包み込む場所を提供しつづけること、より開かれた楽しい場所にしていくこと以上に重要なことはない。プロスポーツを生業とする企業は、ファン(顧客)によりよいサービスとソフト(チーム・選手)を当然提供すべきである。ただ、読売ジャイアンツは(たぶんNYヤンキースも)、自由市場の意味を履き違えて過度な強化を行っている。資本主義体制下において、独占は自由な競争を阻害し、法律で罰せられる罪なのである。



愛と正義とスポーツと

The Manifesto of Sports NUTS!

Number 11, 2001.04.24

スポーツにおいて、愛と正義のどちらが優先されるべきであろうか。
いきなり個人的な話から始めるが、ぼくは大阪近鉄バファローズのファンだ。近鉄のファンであり、パリーグのファンであり、野茂英雄のファンだ。他にも好きな、つまり愛しているスポーツはたくさんある。なぜぼくが近鉄ファンになったのかは定かではない。小学校5年生で千葉県から神戸市に引っ越してきて、初めて自覚した。神戸は関西だが、近鉄ファンなどクラスに一人もいないので引越しはあまり理由にならない。ぼくは正しい、つまり「正義」だから応援するようになったんだと思っている。
何が「正義」か、という価値は時代により、場所により変わる。いずれにしろ、ぼくが近鉄バファローズを「スポーツとして正しい」と思う理由はちゃんとあった。細かいことにこだわり過ぎない豪快な野球、1番から9番まですべての打者が体を鍛えてホームランを狙うアホ(=大阪弁では誉め言葉)さ、野茂や吉井や佐野で実証された強いプロ意識と向上心、などである。少なくとも最後のプロ意識と向上心にはかなりの普遍性がある。パリーグ優勝を争い、日本中がテレビに釘付けになった1988年のいわゆる10・19(川崎球場で行われた対ロッテ最終戦)で、バファローズの「正しさ」は揺るぎないように思えた。スポーツとは「ルールにのっとって行う身体的競技、ゲーム」と、とりあえず定義しておくと、スポーツにおける「正義」はそのゲームをいかに純粋に真剣にやるかだろう。競技全体の発展に寄与することや、プロスポーツであれば観客を喜ばすことも「正義」である。
近鉄球団が野茂英雄を悪者にして大リーグに追いやってしまった辺りから、ぼくの「正義」への確信が揺るぎだした。石井や佐野のトレードにおける選手への思いやりの欠如、野球の質やファンの見易さや報道機関のことをほとんど考慮していない大阪ドームの建設、「地獄に落ちろイチロー」と拡声器を使ってコールをする私設応援団の存在などによってバファローズが「正しい」チームであるという思いは消えてしまった。トレードはいいが、人間を大事にしない組織は、スポーツチームとして以前に、まったく「正しくない」。それで強くもならないし、人気もでないのだから話にならない。
幸か不幸か「愛」は残っている。無論、全打席ホームランを狙うという中村紀洋やリリーフの大塚晶文の力み方は「正しい」。少なくとも、パリーグの優秀な左投手を獲得しては潰してしまうジャイアンツの「不正義」に比べると相対的にはかなり「正しい」。しかし、天然芝のすばらしい球場をもつブルーウェーブや、地域振興を考えるJリーグに対して、バファローズやパリーグを応援することが「正義」だとは言えなくなってしまった。
さて最初の問いに戻ろう。愛と正義、どちらが大切か。愛の方が強いことだけは確かだが、正義の方が大切だと結論付けたい。なぜなら、「正しい愛」と「正しくない愛」があり、前者を持つもののみをスポーツファンと呼ぶからである。つまり、特定のスポーツやチーム、選手を応援するファンは愛を持って自分のチームを批判しなければならない。「愛は盲目」ではいけない。
残念ながら日本におけるほとんどの競技団体は、スポーツのための団体ではない。いわゆるスポーツ新聞など、ジャーナリズムといえるものではないし、ジャイアンツ・ファンを自称するタレントたちのマスコミにおける発言もスポーツ環境の向上など微塵も考えていない。偏狭なタイガースやバファローズのファンも同罪である。こうした「不正義」は社会や企業、それにぼくら個人のあり方を間違いなく反映している。
このスポーツコラムは「正義のある愛」を広めるためのほんの小さな闘争である。
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 インターネットにみる球団経営 

Number 10, 2001.04.17

プロ野球が始まってそろそろ一ヶ月、パリーグは混戦模様で、なかなかよろしい。長いシーズン、試合についてはいずれ書くことにして。
下の表はパリーグ各球団によるインターネットのホームページ・ランキング。
過去の記事「パ・リーグよ抵抗せよでも書いたように、セリーグに比べて人気のないパリーグはあらゆる手段をつかってファンを獲得しなければならない。マスコミへの大きな露出はなかなか叶わないが、ホームページ(HP)ならコストもたいしてかからない。将来性もあるしね。それに各球団のHPをレビューしてみると、企業としてのチームの特徴がよくでている。評価の基準は、HPとしての質(情報の充実度、デザインなど)はもちろん、ファンや地元、2軍への配慮など、プロ野球の球団が当然果たすべき役割をどれだけ重視しているか。
HPを見る限り、各球団それなりにがんばっているけど、もう一息。パリーグは不利な条件にあるのだから、どんどん先に新しい試みをしていかなければならない。せっかくリーグの公式ページもできたのだから、せめて各球団で相互リンクして、競い合うことを望みたい(Jリーグや大リーグはそうなっている)。例えば、中日ドラゴンズが始めた子供向けのHP、パリーグはどこもやっていない(ドラゴンズのHPは変! 球団社長の「社会学講座」があったり・・・)。今どき経営にやる気がない企業はぜひ撤退してもらいたい。この不況下で「広告塔」としてのみプロ野球のチームをもつというのもナンセンスだろうに。「非営利団体」であるパリーグのHPが、市場の論理で動いている(はずの)企業の球団HPより充実しているというのは、企業の怠慢そのものを示しているとはいえないか!
ライオンズの画期的な映像生中継を始め、ラジオや球種やコースが分かる中継、i-modeなど、インターネットを利用したサービスが次々と始まっている。携帯電話向けのサービスはパリーグがかなりリードしている。ぼくらファンも賢く、積極的に新しいサービスを利用することで、新しい媒体が育っていく。強い打線が、若いピッチャーを育てるように。
順位
チーム名
ゲーム差

オリックス・ブルーウェーブ

福岡ダイエー・ホークス

5.0

西武ライオンズ

1.0

千葉ロッテ・マリーンズ

1.5

大阪近鉄バファローズ

1.0

日本ハム・ファイターズ

3.0
1位 オリックスブルーウェーブは洗練されているが、地域やファンへのサービスを大事にしている姿勢がよく見えるHPになっている。地元リトルリーグの紹介や選手の人気投票、チャットコーナーまである。(なのに、なぜ、「神戸」をチーム名にいれなんだろうか?)。選手紹介のコーナーはかなり格好いい作りになっている。独走でBWに軍配! さらに2軍の「サーパス神戸」独自のHPがあるのがすごい(試合結果をもう少し詳しく伝えて欲しいところ)。サーパスのスポンサー穴吹工務店は西武の東尾監督のHPにも金を出している。関係ないけど、CMもほんと変だし、穴吹工務店の社長さんって相当おかしな人だろうねぇ。(いまなら創業者穴吹夏次自叙伝マンガ『日々是前進』が抽選で?もらえる→応募してみた) やはり固定のスポンサーが付くと強い。

2位 福岡ダイエーホークスは平凡だが、掲示板とチャットと一通り揃っている。総合力で2位。試合速報はかなり詳しいが、福岡ドーム開催試合だけなのが残念。全体的に宣伝が多すぎるのがマイナス点(いかにもダイエーらしい)。いつも不思議な選手への商品(「第一生還者賞」とかね)をファンにもプレゼントするというのはいい企画だと思う。サヨナラ満塁ホームランでファンにも車が当たるっていうのはすごい!! 小久保や井口など、個人でHPをもっている選手が多いのがホークスのおもしろいところ。そういうページとも連動すべきだと思うんだけどな。

3位 西武ライオンズは、一点豪華主義。ライオンズニュースは試合結果を「ドラマチック」に紹介している。「君は見たか。」なんて文章から始まるだからもう♪ そしてインターネットの試合中継は画期的。その他はいまいち。選手紹介は重いし、背番号順に順番にみていかなきゃいけないなど不便。ちょっと珍しいのは球団の歴史がのっているぐらいかな。いいよねすばらしい歴史のチームはさ。東尾監督のHPの方がずっと充実している。

4位 千葉ロッテマリーンズはどうも洗練されていない「ローテク」ホームページ。選手紹介の写真もいけてない。地味だが評価できるのは、詳しい試合結果、2軍の結果もあるのと、1軍登録選手情報がアップされていること。せっかくだから2軍の試合はコメントが欲しいところ。いかにも安いつくりの本ページなんだけど、月額500円の会員制ページ「クラブ・マリーンズ」はやたら充実している。メールアドレスがもらえるらしいけど、いくらなんでも高いでしょう。(こんなところで儲けてどうするんだ!? こちらは評価対象外。) マリーンズは熱狂的な固定ファンをつかんだけど、ブルーウェーブのように子どものファンの開拓も必要だと思うよ。有料サービスはむしろ将来の主流になっていくべきだけど、間口は広くしておくべきでしょう。

5位 大阪近鉄バファローズは可もなく不可もなく、いかにも業者に発注した感じのHP。選手紹介は見やすいし、球団のニュースもマメに更新され写真も入って、去年に比べると格段の進歩はしたのだけれども、例えば「ローテク」マリーンズの試合結果の詳しさに比べてもいかにも手抜き。ファンが参加する余地がないし、二軍の情報も皆無など、球団の姿勢がそのまま反映されているというと厳しすぎるだろうか。近鉄らしい、いてまえ!と勢いのあるHPを望みたいんだけど・・・。せめてテレビ向けに雇ったんであろう美人球団広報の女性をHPでもうまく活用してほしい。

6位 日本ハムファイターズはバファローズなんかに比べるとおもろいページにしようという基本姿勢は感じられるが、工事中も多くて、まだ評価に値しない。2軍情報がそれなりに充実している、かな。これからちゃんと改善されていくのかかなり先行き不安・・・。

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春の詩

Number 09, 2001.03.30

大相撲春場所で魁皇が優勝した。大関魁皇は体格に恵まれ、早くから期待されていたが、上位といい相撲をしても体の小さい下位の相手から取りこぼすことが多かった。武双山、土佐の海を含めた昭和47年生まれの三人(ちなみに貴乃花も同い年)はなかなか大関にあがることができず、それどころか千代大海、出島、雅山に抜かされてしまった。ここで終わるかと思いきや、昨年後半から魁皇、武双山は好成績を残して大関昇進、今場所は両者が優勝争いを演じた。(土佐の海はおいてけぼりだけど)
魁皇は以前の気の弱さが嘘のように自信に満ちた相撲をとっている。すでに横綱の風格やね。「野武士」のように豪快な武双山は、怪我に苦しみながらも本来の相撲を取り戻しつつある。他方で、すばらしい勢いで大関になった千代大海ら三人は、ここ数場所まったく精彩を欠いている。
スポーツ選手が現役を続けられるのはそれほど長くない。プロ野球ならせいぜい15年、相撲は普通もっと短い。西鉄ライオンズの稲尾のように、鮮烈なデビューから駆け足で偉大な記録と印象を残す例(8年間で200勝以上、S36年に42勝)もあるし、寺尾のように「彼の領分」のなかでひたむきに現役を続ける姿がファンの心を捕らえることもある。スポーツの一つの楽しみは「人生ゲーム」の観戦である。何よりおもしろいのは、伸び悩んでいた選手がふとしたきっかけで急成長する、ブレイクの瞬間である。
ぼくらは今、魁皇がブレイクする瞬間に居合わせている。いわゆる大器晩成だが、ドラマはまだまだこれからだ。来場所好成績なら横綱昇進だが、それはそれで横綱としてのゲームがまた始まる。例えば、小兵力士だった若乃花は、あの体で最高位まで昇りつめた。横綱としてはほとんど何も残さなかったが、綱を掴むその瞬間に彼は頂点に立った。地位の高さが必ずしも輝きを生み出すわけではない。同じく小兵だった琴錦は引退前に鮮やかな速攻で優勝をさらった。琴錦は数多くいい相撲を取ったが、頂点はやはりあの一場所だった。魁皇は確かにブレイクしたが、その頂点はいつなのか、あとになってみないと分からない。
分からないけど、魁皇も武双山も、これからがおもろいはず。そうじゃないと困るぞ! 雅山の器もこんなもんじゃない。琴光喜や栃乃洋などブレイクしそうな若手もひしめいている。若乃花や琴錦に匹敵する相撲巧者、栃東も元気だ。相撲人気の回復は、やはり相撲内容にかかっている。
春。プロ野球も開幕して、どんな選手がぼくの想像を裏切るブレイクをみせるのか楽しみだ。色んな分野で新しい一歩を踏み出すみんなのブレイクはどんなんやろうか? 同じ世代のスポーツ選手を自分を測るものさしや鏡とみるのも一興。自分のゲームも楽しもう。
KENKEN@魁皇と同い年
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 toto: その弐 

Number 08, 2001.03.18

はいはいはい。またトトの話です。前節、日曜日に残っていた2試合を当て結構気分が良かった。特に、引き分けを一つ当てたのが。13試合中、7勝6敗で、これはちまたのホームページなんかを見てるとなかなか好成績だった。当然、調子にのる。でも、金曜日の夕方まで買うのを忘れていて、夜7時すぎてから、西宮北口のサティに自転車でダッシュ。
一階の服売り場のおねーさんに「トトの売り場どこですか?」って聞いたら、「えっ?」って聞きなおすから、「サッカーくじなんですけど・・・」って言ったら「あー宝くじ売り場は出口をでて左です」ってちゃうやろー! 3階のチケットぴあのカウンターには数人の購入者がいたけど、あんなに目立たない売り場じゃあね。駅から近いところに売り場を作るなど、もう少し工夫が欲しいね。サティーもちゃんと宣伝しろ!
ラモス瑠偉が書いてたけど、このくじはスポーツ振興のためにあって、「服を着替えるように」誰もが身近に色んなスポーツが楽しめるようになるのがトトの夢(『週刊朝日』3/30号)。toto自体を含めて、身近で気軽な雰囲気をつくらなきゃ。阪急西宮北口駅の南側には、球場、テニスコート、エグザスその他スポーツ施設が結構あるんだけど、それらを結びつけるような再開発の方向にはならないんだよね。あー市長に立候補しようかな。
で、今週は・・・
1はホームチーム(左)、2はアウェー(右)の勝利、0は引き分け。

組合せ

札幌‐柏

浦和‐C大阪

市原‐名古屋

東京V‐鹿島

清水‐福岡

G大阪‐横浜M

神戸‐F東京

広島‐磐田

水戸‐大分

横浜C‐仙台

甲府‐湘南

京都‐新潟

鳥栖‐川崎

予想

1/2
1/2
1/2

結果

最初の二つを外してあかんわと思ったら、なんと9勝4敗! 1億円への道は近い!(当たったら怖くて報告しないだろうけど)
鹿島が負けたのと、引き分けは捨てたので2つ落としたのはしょうがない。しかし、調子にのっている札幌、贔屓のはずの横浜Cを買わなかったのは悔やまれるなぁ。3等いけたよな〜。まあ、今回は1等250万、3等は2320円と、前回より随分簡単だったみたい。
今回は「マルチ」という買い方をした。上に(1/2)が3つあるでしょ。これを組合せると8通りになって800円。前回も、複数の予想を組み合わせたんだけど、「シングル」を6通り、適当に組み合わせた。「マルチ」だと買い損ないがないわけです。それにしても(1枚の用紙あたりの)平均購入額が前回606円、今回810円だったらしいんだよね。なんて平凡な私(前回600円、今回800円)。でもって今回の教訓:
* 贔屓チーム、勢いのあるチームはちゃんと買うべし。
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toto!

Number 07, 2001.03.10

Jリーグのサッカーくじ"toto"をさっそく買った(official page)。こういうの大好きだからねー。結構自信があったんだけど、ね。totoはJ1とJ2、合計13試合の結果(勝ち負け引き分け)を当てる。全問正解で最高1億円(はまずないだろうけど)、2つまで外せる。以下の表が予想と結果。1/0のように書いているところは、2つ予想して組み合わせた。Jリーグのことは「一般常識」程度にしか知らないので、過去の対戦成績をホームページ(J-Ole!)で調べて、若干の勘と贔屓を加えて予想した。去年までの順位に引きずられた極めて保守的な予想。贔屓は横浜FCぐらいかな。(やっぱり「市民チーム」とかいう言葉に弱い。) 勘は大阪2チームの引き分け。どうも大阪(人?)ってここぞっていうときに勝負弱いでしょ。
結果は「もちろん」外した。今日の時点で最小でも5つのはずれ。明日の2試合を待たずに終わってしまった。大阪はなんとどっちも負けた! 予想を中途半端に引き分けでなく、負けにしておけば3等も夢じゃなかったんだよねー(はい、負け惜しみです)。
あと意外だったのはヴィッセル神戸が横浜マリノスに勝利したこと!(しかもアウェーで)。やっぱりカズ効果か。ヴィッセルは地元だから応援したいんだけど、ユニフォームがね〜。白黒の縦じまじゃレフリーみたいでしょう。それから、たしか去年は大宮に負けていない大分がホームで敗戦。まあJ2はぜんぜん分からないからしゃーないな。
1はホームチーム(左)、2はアウェー(右)の勝利、0は引き分け。空欄は11日の試合。

組合せ

鹿島‐広島

柏‐清水

F東京‐東京V

横浜M‐神戸

磐田‐市原

名古‐浦和

C大阪‐札幌

福岡‐G大阪

水戸‐仙台

湘南‐横浜C

京都‐山形

鳥栖‐新潟

大分‐大宮

予想

1/0
2/0
2/1
0/1

結果

投票は、未成年への販売を防ぐ為にコンビニや自動販売機では行わない。ガソリンスタンドや旅行代理店、この近所だと「甲南チケット」という安売りチケット屋が便利だ。今回の売上は9億円弱で、見積もりの3分の1程度だったそうで、幅広い層への販売と未成年に売らないというジレンマが見て取れる。安売りチケット屋っていうのは、子どもには入りにくくていいけど、ちょっとおっさん臭い。スターバックスみたいな雰囲気のスタイリッシュなスポーツ・バーが欲しいな。つくろかな。売上金はスポーツ振興に使われるらしいが、「スポーツ文化」振興にも使ってほしいものだ。
なんてわけで600円で十分満喫した。これからもtotoをフォローするので、読者諸氏の予想・結果も教えてください。今回の反省点は、
* 引き分けは捨てる。勝ち・負けのきっぱり予想を基本に。
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楕円形はどこへ転がる?

Number 06, 2001.02.01

このHPを観てくれる人で、特にラグビー好きな読者って記憶にないので、なるべくマニアックにならないように気をつけつつ書く努力をします。前々回の「フットボールで行こう!」で、プレビューした続編ということになるのかな、一応。結果は社会人=神戸製鋼、大学=関東学院、高校=伏見工が優勝した。まだ日本選手権が残っているけど、この大会の位置付けが未だはっきりしないのと、どっちみち観戦できないので、無視。あー、これを読んでから日本選手権を観てくれるとそりゃ嬉しいですが。
今シーズンは、社会人選手権の準決勝・決勝、大学の早明戦・準決勝・決勝、高校の準決勝ぐらいかな、観れたのは。どの試合もおもしろかったし、レベルも高かった。とくに大学、高校の基本プレーのレベルはここ数年ですごく上がった。パスの精度、キック力なんかは格段の進歩だと思う。基本プレーのしっかりしている学校とそうでない所の差が広がったように思う。高校ラグビーも(高校野球も)「ヘタクソだけど美しい」のはもういらんで。ヘタクソは見苦しい。
関東学院大学は、最初に日本一になったチームはかなり荒削りだったけど、今年のチームを見ているとタックルで倒されたあとの倒れ方、ボールのセーブの仕方に熟練さ、老獪さすら感じられた。期待していた同志社は、勝負どころでパスが繋がらずノックオン(ボールを前に落とすこと)を連発、見苦しかった(甲子園ボウル=アメフトの関学と同じような負け方)。同じ継続ラグビーでも、キックも有効に使う「大人の」サントリーとは大違い。早明戦はおもしろかったけど、全国大会から振り返るとあまりレベルの高い争いではなかったようだ。「伝統校クソ食らえ」と思っているぼくに同情されているようじゃどうしようもないぞ、早稲田よ。(サッカーは3部落ち、箱根駅伝も下位、どうしちゃったの?) 関東学院は社会人相手の日本選手権が楽しみだ。
ここまで読んでくれた人は、とりあえず神戸製鋼の大畑大介の名前だけ覚えて帰りましょう。正月のTBS「筋肉番付」で優勝して賞金500万円をゲットした人です(K1よりテレビに徹している「筋肉番付」の方がぼくの好み)。日本のラグビー界には一流のアスリートが何人もいる。トヨタのセンター(12、13番)も速くて強いけど、まだまだ荒削り。大畑はこれまで14番だったんだけど、今シーズンからセンターに入って、ラグビー選手としての可能性が広がった。このまま日本にいるべきなのかな〜?
ラグビーにもワールドカップがある。日本は2大会連続で出場したけど前回はあえなく全敗。以後、「世界」との差は逆に広がったように思える。平尾誠二監督が交代することになり、これから日本のラグビーをどうするのか、と改めて考える時期に来ている。国内の、それなりのゲームで満足するのか、外国の第2〜3集団(アメリカ、フィジー、カナダなど)ぐらいに勝っていくことを目指すのか。後者なら国内トップチーム同士の対戦を増やすこと、近い将来のプロ化、といった方向性だろう。しかしバレーボールのようにプロ化に失敗し、世界レベルからも離れる一方の例もあり道は険しい。とにかく、野球から水泳、馬術まで日本のあらゆるスポーツ連盟はほとんど腐っていて、Jリーグの川渕チェアマンや長野県知事の田中康夫みたいなラディカルな改革者がでてこないといけない。平尾氏にそれを期待したが、中途半端に終わってしまった。
野球の野茂英雄、サッカーの中田英寿が強烈なインパクトを与えたように、日本から単身ヨーロッパに乗り込んだイギリスの岩渕健輔(元神戸製鋼)、フランスの村田亙(元トヨタ)の活躍に突破口を見出したい。「世界」に通用する日本独自のラグビーも、レベルの高いところで壁にあたらないと生まれてこないだろう。日本でも飛びぬけた岩渕のセンス、村田のスピードというのは、普遍的な才能なんだけど、ヨーロッパ人やニュージーランド人には見られない「個性」がある。日本代表に未来がないなら、いっそのこと個人としての活躍でもいいや。やっぱ飛びだしていくしかないっしょ。
なんだか、最後は『ナンバー』最新号の紹介みたいになっちゃった。岩渕のインタビューはこちらから
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K 1 とロンブー

Number 05, 2000.12.27

20世紀最後のコラムは、世紀末らしく。
ぼくは、プロレスをほとんど見たことがない。あれはスポーツなのかな? ただ世にたーくさんいるプロレスファンの楽しみはなんとなく分かる。マニアックな喜びっていうのはパ・リーグファンに通じるところもあるし、臭いドラマ、男気!みたいなのが好きなのも分かる。世の中そうそう熱くなれるものってないからね。ぼくの好きな日本唯一のスポーツジャーナリズム『ナンバー』はよくプロレス特集を組んでいるから、ナンバー的にはスポーツなんでしょう。しかし、ぼくはスポーツを「ルールにのっとって行う身体的競技、対戦」と仮に定義して(大学院生らしいでしょ)、ルールが「柔軟すぎる」プロレスはやはりショーとかエンターテイメントの類だと思っている。別に馬鹿にしているわけじゃないよ。プロスポーツには多かれ少なかれ見せる、ショーの部分があるし、必要だと思うし。
さて、表題のK1なんだけど、これまたあんまり見てない。「テレビ社会学」的にいうと、万年日本のフジテレビでやっている「バレーボール・ワールドカップ」みたいなものか。「嵐」の代わりに優香やら藤原紀香だったり関根勤だったり(トホホ)するわけでしょ。
それは置いておいて、K1ていうのは恐らくプロレスの究極版、「世紀末バージョン」なんだと思う。つまり、プロレスはどうも臭すぎて、本当に強いのかよく分からないし、リーグが分裂しすぎておもしろくない。それに比べると、K1はどう見ても真剣そのもの。常人なら死んでしまうような強烈な、一発のパンチや踵落とし(!)で「バタン」と倒れる。それにどうやって選ばれたのか、ゲームの「ストリート・ファイター2」みたいに各国から個性豊かな「戦士」がやってくる。確かにおもしろい。
おもしろいんだけど、上に多少皮肉を込めて書いたように、ぼくにはやっぱり「バレーボール・ワールドカップ」みたいにテレビ局の盛りあげかたが気持ち悪くて、テレビ・ショー以上のものとして見れない。それにスポーツ、あるいは格闘技としても、あんな薄い皮のグラブで叩けばそりゃ倒れるよ、後頭部蹴れば卒倒するだろ、と思ってしまう。寅さん的にいうと、それをやっちゃーおしめえよ、ってね。
スポーツっていうのはルールの範囲内、限定された中でやるからおもしろい。限定されたなかでこそ、技とか間合いとかが重要になってくる。ボクシングだって、もちろんただ殴り合っているわけじゃない。分厚いグラブを付けて、相手を消耗させながらノックアウトを狙う。そこではパワーや持久力だけじゃなくて、フットワーク、相手との距離の取り方、そしてリズム感やテンポ、が重要になってくる。
でね、なんで表題にロンブー(もちろんロンドンブーツ1号2号のこと)を持ってきたかというと、お笑いもK1みたいに世紀末的な状況になっているからだ。ロンブーの淳のボケなんか、なかなかいいと思うけど、テレビの番組となると「ガサ入れ」みたいになんでもぶっちゃけちゃうような企画ばかりでしょ。「ネプ投げ」にしろ、いやおもろいねんけど、それをやっちゃーみたいなね。まあ、深夜枠ならいいか。
我ながらなんて保守的なんでしょう。そういうエンターテイメントがあってもいいよ、おもしろいし。でも、ぜひ技とか間合いの良さを見直して欲しい。中田英寿のパスやリトバルスキーのフリーキックに痺れる人はたくさんいるわけで、もちろんそういうものが失われたわけではない。辰吉丈一郎の人気だって、彼の言動やスター性だけじゃなくて、あのほれぼれするようなリズムやスピードにみんな惚れたはず。そもそもスター性はそういうところなしには形成されない。(でも、いとしこいしの漫才に痺れる人は少なくなったかもね。) そういう意味じゃ、デーモン小暮なんて「聖飢魔U」のくせに味があるねえ、いいボケしてるし、あの人すっごい相撲ファンだし。慎み深くて、やたら人間臭い悪魔やな。
「さらけ出したら、つまんない。そういうことって沢山あるよ。」 (山田詠美)
21世紀になったところで、世紀末的な要素、行き着くところまで行ってしまって感覚が麻痺しているような状況がすぐ変わるわけはない。だから、あえて、究極的に人間的で美しいもの―ここではリズムや技や間合い―の大切さなんて話をしてみました。
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フットボールで行こう!

Number 04, 2000.12.02

フットボール、直訳すると「足球」。「蹴球」というとサッカーの和訳だといつか習ったような記憶がある。名訳だけど、「野球」と違って漢字が難しすぎて定着しなかったんかね。フットボールといわれるスポーツは国によって指し示す競技が異なる。大半の国ではフットボール=サッカー、アメリカはもちろんアメフト、オーストラリアにはオーストラリアン・フットボールというのもあるからこっちやろか。ニュージーランドは多分ラグビーでしょう。
オーストラリアンは置いといて、サッカー、アメフト、ラグビーはまさにハイ・シーズンを迎えている。
サッカー、Jリーグは年間チャンピオンを決めるサントリーチャンピオンシップが12月2日と9日、学生やアマも交えた天皇杯もこれから2回戦で正月まで楽しめる。天皇杯ではわが関学がなんとJ2のチームを破った(可哀想に立命館は高校生に負けた・・・)。次の社会人チームに勝てばジェフ市原と対戦する。ガンバの西澤など、また日本人がどんどんヨーロッパリーグに出て行って、選択肢も増えたね。ところで、去年初めてJリーグを見に行ってから密かに柏レイソルファンになった。黄 善洪(ファン ソン ホン) と明神に注目。後ろからスーと上がってきてズドンとシュートがいーんです。でもワールドカップのことを考えると、ジュビロの高原みたいな点取り屋、「本物のFW」がもっと育たないとね。
ラグビーは関東では慶応が連覇、関西は同志社が強い。これから全国大会だが、レベルが上がってきた関西リーグ、なんとか同志社が決勝にまで残ってほしい。社会人は、関西はトヨタが昨年日本一の神戸製鋼を破り優勝、関東はサントリーがいづれも怒涛の高得点で全勝優勝。全国大会もサントリーが圧倒するのか、関東と関西のレベルはやってみないと分からない。高校ラグビーももうすぐ始まる。
アメフトは12月17日に甲子園ボウル(関学 vs. 法政・日体の勝者)、1月3日には大学と社会人のチャンピオンが戦うライスボウルがある。甲子園ボウルは当然勝つとして、充実の関学がどこまで社会人に食い下がれるか。
 
さて、今回はみなさんにフットボール観戦をお勧めするために書いている。KENKEN流、観戦ガイドだ。
一番単純でいいのが、サッカー。待ち伏せのオフサイド以外は極めて単純なルールで、ゲームが止まることも少ない。それだけに、ゲームに選手の発想、判断、技術の占める割合が多くて、奥が深い。真ん中あたりでうろうろしている時間がだいたい長いけど、急にゲームのテンポが速くなって、ゴールに接近する。ふっとテンポが変わる瞬間がおもしろい。
ラグビーは、ボールをどんどん回していく、フランス代表がそうだったからシャンパン・ラグビーっていうんですが、やっぱり派手なのがいい。しかしディフェンスがいいと、回しててもぜんぜん前に進まない。そういうディフェンスラインをいかに突破するのか、というのがポイント。スクラムの横からサイドアタックを試みるか、早いバックスに持たして個人の能力でいくか、相手の裏をかくサインプレーか、あるいはパントキックを上げるか。
アメフトは、サッカーとは対照的に非常に精度の高いルールと作戦が特徴である。まさに現代アメリカが生んだ、最後のフットボール。とはいえ、基本的にはボールを持ったままのランか、パスを投げるかを見ていればいい。ここでもQB(ボールを投げる人ね)の前のディフェンスラインをいかに崩していくかが、ポイントになる。ディフェンスが崩れてくるとランでどんどん進んで、長いパスで一気にタッチダウン!
こうして見ていくと、3つのフットボール、意外と似ている。慣れてくれば、ボールを追うだけでなく、ボールを持っていない選手の動きにも目をやろう。これは競技場に行かないとよく分からない。
冬のデートはフットボール場で! 正月はコタツミカン観戦!
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の〜も、ひでーえーお

Number 03, 2000.11.15

立て続けに野球の話になります。そろそろウインタースポーツのことも書きたいんだけど、今回だけ。さて、イチローがシアトル・マリナーズに決まった。ぼくは来年メジャーリーグをみにいこうと思い始めている。今はとりあえず日米野球で我慢。イチローと松坂がいないのが残念だけれど、やはりそれなりにおもしろかった。こうなると、シーズン前の出身国別「ベースボール・ワールドカップ」が見たい! メジャーリーグの4割ぐらいは外国人らしいから、良い勝負になるはずだ。実際に2003年開催案がでているそうな。オリンピックで田口(オリックス)が「いつもと違って、相手のことを本気でこの野郎と思える」と言っていた。ああ、ナショナリズムってやっぱり強くて、戦争になると他国民ならやっぱり殺し易いかな、なんて思ったりもしたけど、とにかく本気のプレーをみたいやん。国対抗のスポーツってやはり「代理戦争」みたいな機能があるね。
今回は日米野球なんだけど、プレーはおいといて、実況解説の話。前回でもちょっと解説者の話を書いたけど、日米野球の野茂と吉井のコンビは最高だった(TBS)。とにかくアナウンサーの言っていることを半分以上否定する。例えば・・・
アナ「大リーグといえば、長距離の移動が大変ですよね?」

野茂「いや、チャーター機だから日本より楽ですよ。」

アナ「なんといっても、大リーグに行って一年目が大変でしょう?」

野茂「いや、一年目が一番楽でしたよ。周りの言っていることは分からないし、何も考えず野球やってればよかったですから。」

アナ「今年の黒木(千葉ロッテ)の不調は、キャンプの重要性を改めて感じさせたわけです。(断定調)」

野茂「いや、日本のキャンプはかえってよくないですよ。」

といった具合で、話が流れないやら流れるやら。一緒にでていた「解説者」の栗山、田渕が完全に聞き役に徹していて、つまらない質問をするアナウンサーなんていらなかった。アナウンサーの投げた月並みなボールがあらぬ方向に打ち返されて動揺するのが痛快だったが、それ以上に感じたのは、「いつもこういうつまらない質問に、決まり切った答えを返す」実況を聞かされているんだな、ということだ。「この選手は始めて見るんですが」とか平気で言うまったく自分の出身球団のことしかしらない解説者なんて論外として(そんな奴に「解説」される筋合いはない!)、とにかくアナウンサーも解説者も視聴者も「こう言うだろうな」と予想がつくような「解説」はもう聞きたくない。最近、NHKのBSだと副音声で場内の声だけを放送していることがあって、解説者が鈴木啓示(元近鉄監督。トホホ)だったりすると(やっぱりちょっと寂しいんだけど)副音声にしてしまう。
月並みな会話、つまらない解説の方が安心できる人もいるのかもしれないが(これは日常会話でも同じ事)、「プロの解説」者なんだから。体験者にしか語り得ない、「選ばれしもの」の話を聞かせて欲しい。アメフトなんかだと、基本的に視聴者の知識があまりないから、選手にとってはありきたりのことでも聞いている方は楽しい。でも、野球は「一億総解説者」っていうぐらい(今どき言わないか?)、ぼくみたいな偉そうな素人がちまたに溢れているわけだから、もうちょっとマトモにやってもらわないと。悪いけど、視聴者にはプロ野球選手の再就職の世話をする義務はない!
そう、こんな解説を聞きたかった!、と思ったことが今年一度だけあった。大阪近鉄の中村紀洋が、打った瞬間ホームランと思うような大飛球を打ったが、フェンスまで届かなかったときのこと、門田(元南海・オリックス)が語った話である。
ホームラン・バッターには、打った瞬間にフェンスを超えるかどうかが分かる。ホームランになる球は、どんどん球が小さくなって飛んでいくように見える。ホームランにならない打球はそのままの大きさで飛んでいく。中村にもそれが分かるはずだ。さっきの中村には、球がそのまま飛んでいくな、フェンスを超えないな、というのが分かったはずだ。(スカイ・Aの中継より)
分かるかな? ぼくはこういう話が聞きたいのである。「ファンに夢を与えるようなプレー」というのはいかにも月並みで、あまり好きじゃない決まり文句だけど(まして選手本人がいうと興ざめする。ほとんど田村亮子が自分で「前人未到の4連覇」って言ったときぐらい)、とにかく、「ファンに夢を与えるような解説」を「解説者」を期待したい。
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パ・リーグよ抵抗せよ!

Number 02, 2000.10.28

ONシリーズとかいってたけど、ONって6通りもあんねんで。大島(日本ハム)、仰木(オリックス)もO、野村(阪神)もNやからね。ぼくが小学校低学年ぐらいまでは「王派か長嶋派か?」みたいなのがあったけど、今の子どもにはONってたってリアリティーないよね。ちなみにぼくは昔から「王派」。なんせ廃品回収から拾ってきた『マンガ 王貞治物語』(学研)が愛読書だったから。だからっていうわけではないが、長嶋なんて、憎めないわがままなおじさん、ぐらいにしか映ってないんじゃないだろうか。王も少し前まで陰気なおやじだったけどね。大人が嬉しいのは分かるけど、これからのファンを考えた「売り方」しないと新しい市場は開拓できない。
さて、日本シリーズの第5戦が終わったところでこれを書いている。このまま巨人が勝ちそうだけど、もう一度ダイエーが立て直せるか。ここからシリーズ2連覇できるとすれば、そうとうなドラマが待っているはず。そう願いたい。5戦までは実に両チームの特徴が良く出たシリーズだった。特にダイエーはいいところと悪いところがでた。巨人は素材だけで野球をしているから、あんなもの。勝ってもおもろいか?あれで? ダイエーの城島は最初の三試合でホームランを連発して大振りになり、バッティングを崩してしまった。これはTBSの解説で稲尾和久が言っていたことだ。ちなみに、ぼくが中継を観た中では稲尾の解説が一番、飛び抜けてよかった。日テレ(堀内・中畑)は当然巨人贔屓の行き過ぎがひどかった。あいつらダイエーのこと何も知らないし。アナウンサーは全体的によく勉強していた。さすが2年連続で日本シリーズにでると違うな。
それにしてもやっぱり巨人が、あるいはナベツネと長嶋のわがままが、日本の野球のレベルを下げていると改めて感じた。結局、巨人が良いゲームをするときは、仁志、村田、元木といった生え抜きが活躍する。金をかけて取った選手は、他球団なら中心で活躍できるのに、半分は控えにまわってしまう。抑えの左投手に至っては、他球団のエースを全部潰してしまった。元ロッテの河本、元オリックスの野村なんて、すばらしい投手だったのに・・・。(野村がリリーフで7人連続三振とるのを目の前でみたから余計に強烈な印象がある。)ダイエーの渡辺、吉田という「じみーな」2枚の左と比較すると、いかに巨人が才能を浪費しているかが鮮明になる。王はダイエーの監督になってから一度はファンに生卵を投げつけられるぐらい非難されたけど、長嶋は何をやっても許されるからダメなんでしょう。でも、繰り返すけど現役の選手を含めて、少なくとも35歳以下にとっては長嶋なんてカリスマでもなんでもない。
さて、イチローが行ってしまった。大リーグ中継は楽しみだけど、残された「われわれ」パ・リーグはますます大変なことになってしまった。
今年のパ・リーグは工藤(ダイエー→巨人)、星野(オリックス→阪神)、小池(近鉄→中日)と左投手がまた大量に流出したので、投手のレベルが下がり、野球のレベルも下がった(星野も小池も活躍していないのがトホホだけど)。西武だけが、金をかけて外国人打者を補強したので、ぼくは西武が優勝すると予想していたが、ハズレ。一言でいえば、ベテランの衰え激しく、若手は伸び悩み。全部弱かったが、「一番弱くない」福岡ダイエーが優勝した。それでもダイエーは、城島、大道、井口と主力が次々と故障し、中継ぎのエース藤井が投げられないなかで優勝したのは立派だった。先の3人の故障の時期がずれたのが幸いだった。ぼくは亡くなるまで藤井の病気のことを知らなかったけど、藤井は人望に厚く、ダイエーに精神的な力を与えたんじゃないだろうか。特に仲のよかった若田部、小久保はどちらもムラの大きい選手だから、余計に力になったんじゃないかな。根性論とかお涙頂戴は好きじゃないが(いや、嫌いじゃないかも)、やっぱり精神力は大切だ。巨人にいって潰れた野村や河本が悪い見本(二人とも「気合い系」だったからね)。藤井は、かわいい顔して割とやる、切れのいい球を投げるいい投手だった。
さてさて、パ・リーグねえ。ここ数年、ファンサービスでは球団も努力していると思う。オリックスは子ども向けのプレゼントや演出に努力しているし、日本ハムのホームページなんかおもしろいよ。日ハムは2軍の施設がすごくて、これは徐々に成果があがっている。ロッテはファンが主導で、選手も付いていってすごい一体感を生んでいる。わが大阪近鉄は・・・梨田監督になって良かったのはファンサービスを考え「始めた」こと。結局、フリーエージェントなど制度的な改革を考えないといけないけど、ファンサービスはもっとどんどんやること。「しなやかな」地元意識をかき立てるような工夫が必要。
かつてのパ・リーグには豪傑と呼びうるような選手がたくさんいた。今はそういう時代じゃないのかもしれないが、大阪近鉄の中村や日ハムの小笠原のように無茶苦茶なスイングをするバッターがいる。投手は、ロッテの黒木、ハムの岩本、西武の石井など「気合い至上主義」みたいなやつらがまだまだいるぞ。セ・リーグに眠っている侍を奪還せよ! 広島の前田とかね。新庄も阪神じゃなきゃ近鉄のキャラでしょう。
やっぱ、サブ・カルチャーやなあ。まあええやん。とにかく知恵を出せ! 「実力のパ」を回復せよ! 
太平洋リーグよ、抵抗せよ!

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 市橋有里よ!

Number 01, 2000.10.08

ぼくにとってのシドニーオリンピックは、前半は女子マラソンを待つ間のストレッチ、後半は女子マラソンが終わった後のクーリングダウンみたいなものだった。サッカーと野球がもう少し楽しめたら違ったことになったかもしれないが。
で、なぜ女子マラソンかというと、高橋尚子が「ぶっちぎる」この日を、大げさな様だけど、大げさでなく2年間待ち続けてきたからだった。2年前のバンコクアジア大会で高橋尚子が気温30度の中で2時間21分47秒という脅威的な記録をだして以来、ぼくは、シドニーでぶっちぎる、そのうち世界最高を出す、と言い続けてきた。別に陸上関係者でもないし、プロのスポーツライターでもないんで、ぼくが言ったところでどないや、っていうのは分かっているけど。オリンピック前から、久しぶりに雑誌スポーツグラフィック「ナンバー」を買って、マラソンコースの高低差を見ながら、ここで1回目のスパートで山口・ロルーペ・シモンが残る、とか構想を練っていた。シドニーに見に行くことができたら、間違いなくコースを試走しただろうね。結果は、山口・ロルーペが調子が悪かったこと、シモンが思ったより粘ったことを除いてはほとんど「こうなるだろう」「こうして欲しい」と願った通りのレースになった。他の選手より高橋の実力が段違いに上なことが、鮮やかに証明できて、素直に嬉しかった。次は世界最高記録。好調なときのロルーペと走ったら、平地でシモンと勝負したら、とまだ楽しみは尽きない。
それより今回は市橋有里のことだ。話は飛ぶようだけど我慢してね。ぼくは抜群の能力を持つ、豪快なヒーロー(ヒロイン)が好きだ。だから古くは近鉄のブライアントの、今は中村紀洋のホームランに、野茂の三振に魅せられてきた。巨人は嫌いだが、松井秀喜も実際のバッティング練習をみたら感動した。ちょっと種類は違うけど、抜群のセンスを持つイチローや舞の海、平尾誠二(ラグビー)もすごいと思う。でも、その反対の、飛び抜けた能力はないが、じみーな努力をこつこつと積んできて、じみーに活躍する選手もぼくにとっては立派なヒーローだ。知らない人の方が多いだろうけど、元近鉄の新井宏昌(イチローの前の最高安打記録保持者、40代まで現役だった)、元ロッテの深沢も渋かったねー。あと相撲だと霧島。日本ではダントツにしろ、衰えても勝負にこだわる萩原健司(スキー複合)、引退間際の村田兆治(ロッテ)。現役だとオリックスの藤井康雄も素敵だね(おっさん臭いけど)。もう挙げたらキリがない。こう書くと日本人ばかりで、まるで素朴なナショナリストだが(別に否定しないが)、当時NYメッツのストロベリーのホームランなんてすごかったね。タイガー・ウッズも一度この目で見てみたいものだ。
さて市橋。彼女の能力は高橋よりずっと低いと思う。少なくとも間違いなく、現時点における能力の差はあまりにも大きい。高橋が現役の間は決して追いつくことはできないだろう。それでも彼女は金メダルだけのために高橋の最初のスパートに付いていった。スピードでははるかにまさるはずの山口衛里をはじめ、他の強豪がついていかなかった(いけなかった)のと比較して、いかにも無謀な挑戦だった。でも市橋は大真面目に金メダルを狙った。銅でもいいなら、他の走り方ができたはずだ。
市橋はレースの後「気持ちを切り替えて、次のことを考えたい」と、とても気持ちを切り替えられそうもない顔をしながら言った。彼女は万全の準備をし、実力を出し切って、高橋との圧倒的な差を見せつけられたのだ。高橋のぶっちぎりだけを待っていたぼくは「ざまあみろ」と言いたくなるところだが、あの果敢な挑戦を誰も責めたり笑ったりすることはできない。ましてはぼくのようなぐうたらには(そりゃそーだ)。市橋有里はどんなにがんばったって高橋尚子にはなれない。でも彼女は若い。あと5年でシモンにはなれるかもしれない。いやシモンだって思ったよりすごかったから、多分無理だと思うけど、市橋有里は誰とも違う市橋有里の見せ場を作るだけのものを持っているハズだ。
「市橋よ霧島になれ!」 ごめん、訳が分からないだろうけどこういうことだ。霧島はそれなりのセンスがあったけど、とても横綱になれるような器ではなかった。なにしろ初土俵から入幕するまで9年以上もかかっている。それがものすごい努力をして、相撲人生もかなり後半のワンチャンスを活かして大関になった。引退するまでの粘り強さといったら本当にすばらしかった。同世代の北天佑は横綱の器だったが、ダメ大関で、霧島より何年前に引退したか! 考えてみれば27歳の高橋尚子もずいぶん遅咲きだ。市橋はまだ22歳。子ども生んで40代まで現役の浅井えり子なんてまた別の意味ですごいけど、そうじゃなくて、ぼくのなめた想像をぶっこわすようなことを今後の市橋有里に期待したい。
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管理人kenkenのSports NUTS!的プロフィール



スポーツはだいたいなんでも観るが、特に野球・テニス・ラグビー・相撲・マラソン・柔道・アメフトの観戦歴はそれなりに長いです。子ども時代に旧国技館の支度部屋で高見山が頭をなでてくれたこと、愛読書だった『マンガ王貞治物語』や『伝記ベイブ・ルース』、王さんのサイン色紙をもらったこと、もう少し大きくなってからは89年のバファローズの劇的な優勝、90年頃はアメリカにいたのでほとんどのメジャースポーツを生で観戦できたのが大切な糧になっています。

スポーツを通して社会や人の生き方についての物語を読むきっかけになったのは山際淳司の『スローカーブをもう一球』や『みんな山が好きだった』といった作品や雑誌ナンバーの一連の記事でした。中学生のときに、ナンバーの投稿欄に意見を掲載してもらったこともあります。物語を読み込むおもしろさとは必ずしも一致しませんが、まともなスポーツジャーナリズムが日本に育つことを願い、文章を書いています。

野球はかなり熱狂的なバファローズのファンですが、愛すべきパリーグをおもしろく強く盛り上がることを側面からサポートしたいと思っています。野茂英雄を始めとして、贔屓としている個別のアスリートも多いけれど名前を挙げるとキリがないのでやめておきましょう。彼らはすべて雲の上の超人たち。強く、美しい。しかしそんな人たちでさえ、ときに弱さを見せる。そんなときにスポーツが非常に人間的な営みであることを思い出すのです。

そんなこんなの思い入れが文章になっております。月に一度ぐらいおつき合いしていただければさいわいです。