| 『1980』 '03 東京テアトル 脚本・監督:ケラリーノ・サンドロビッチ 出演:ともさかりえ・犬山イヌコ・蒼井優・串田和美・みのすけ・田口トモロヲ・及川光博・大山鎬則 1980年当時、産まれてはいたけどまだ小学校にあがってなかった僕にとって、この映画の1980年らしさというかリアリティーというか、そういうものが今一つしっくりこないのは仕方ないんだろうけど、それでももうちょっと解り易い80年代を描いて欲しかった、ってのがホンネ。ケバくて、ダサくて、妙にインテリで、眉毛が太い。そういう1980年が見たかった。蒼井優の聖子ちゃんカットも全然聖子ちゃんになってなかった。 大雑把に言っちゃうと「ヘンテコリンな三姉妹が主に恋にいろいろと頑張る」みたいなお話。それをケラなりのノスタルジーと例によってシュールな笑いで上手に描く。ケラの演劇を観たことはないから、それとは比べられないんだけど、昔バンドブームの頃に日本テレビの深夜にやってた、劇団健康周りの人間が出てた、ドラマともコントとも言えないような番組に比べれば、何千倍も面白かった。まあ、当時は僕自身が若かったから、その番組の面白さを理解できなかっただけなのかも知れないけど。というか、記憶もあやふやで、その番組が本当にケラが絡んでいたのかどうかも怪しいんだけど…。 それはさておき、結局のところ、この映画はただ単に「ケラがやりたかった」っていうだけなんだと思う。それこそタランティーノの『キルビル』みたいなもの。とにかく、この映画が作りたくって作りたくって仕方ない。できることなら2時間なんかで終わらせずに、何時間でも、或いは何本でも作りたい。そういうモチベーションでケラが作りまくった映画なのだ。物語の起承転結ってものが、ほとんどないのも必然。いや、ないというか、起承転結の「起承」くらいまでしか描けていない。善くも悪くも、監督の意志に塗れ過ぎてしまい、監督が居続けたい世界が広がっている。この世界そのものにノスタルジーを感じられるのであれば、それもまた心地良いのだろうけど、そうではない観客にとっては、こんなに長い2時間はない。ホント、観ていていつ終わるのかと心配になるくらい。というか、これは連続ドラマか? と思ってしまうほどに。 正直言って、映画としてはけっこうツラい。ダラダラし過ぎてるし、物語の軸も明確じゃないし。もちろんオチは弱いし(というか、本当は落としたくなかったんだと思う)。見せようとするものを真ん中に持ってくるが故に、それが見えなくなってたり(例えば、蒼井優がロッカーをばんばん叩くところ)。ケラの脳内イメージは完璧なのだろうが、それはあくまで演劇として表現するときにしっくりくるイメージであって、決して映画として表現されるべきイメージではない。この映画が「ケラの独壇場」という存在意義を持っているから良かったものの、もし他人の脚本だったり、原作モノだったりしたら、残念ながら落第。 んなこと言ってるけど、そこまで嫌いな映画ではありません。つまんないけど、なんとなく気になる、みたいな。でも、それも要するにナゴムパワーによるものなんだけどね。 |