| 『あずみ』 '03 『あずみ』製作委員会 監督:北村龍平 脚本:水島力也・桐山勲 原作:小山ゆう 出演:上戸彩・成宮寛貴・小橋賢児・金子貴俊 ・石垣佑磨・小栗旬・オダギリジョー・岡本綾 ・松本実・榊英雄・遠藤憲一・伊武雅刀 ・北村一輝・佐藤慶・竹中直人・原田芳雄 ありゃりゃ、北村監督やっちゃった。これは北村龍平の監督作品っていうよりも、東宝の大作時代劇です。長篇処女作らしく個性が出まくっていた『VERSUS』の方が観る価値アリってな感じだった。“唯一無二”的な北村龍平監督が、こんなに普通の映画でいいの? なんて勝手に心配してしまった。 本格的な殺陣を経験に基づく感覚でこなせる俳優がほとんどおらず、しかもアクションをCGやワイヤーで表現する事の出来る現在では、何百人単位でのスピード感溢れるチャンバラを生身の人間で描く事なんてナンセンスなのかも知れない。でも、北村龍平なら…、とほのかな期待を寄せていたのだが、残念ながら全く描き切れていない。20分にも及ぶ「1人vs200人以上」の戦いは観るも無惨な情けないものだった。あずみと刀を交える数人以外は、周辺でウロウロ戦いを見ているだけ。あずみが動けば、群集はそれに引っ付いて動くだけ。あれは200人斬りというよりも、ただの鬼ごっこ。しかも、全員にとどめを刺している訳ではないし。大爆破だし。まんまとマスコミに踊らされてしまったよ。 200人鬼ごっこを観ていて思ったのだけど、北村監督の描くアクション(バトル)って、基本的に1対1でこそ魅力が発揮されるのだろうなぁ、と。飛猿と長戸の忍者どうしのマンツーマンバトルシーンはCGでもワイヤーでもなんでもアリでとてもよろしかった。あれこそが北村龍平なのだ。『VERSUS』も結局はそのマンツーマンの魅力の映画だし、この『あずみ』の200人斬りみたいな群集バトルでは北村監督の良さを引き出す事は難しいのだろう。試みとしては良かったんだろうけど。 この群集バトルの中で、唯一光っていたのはオダギリジョーの美女丸。いちばん長い刀をただ盲滅法にブン回してるだけ、ってな雰囲気で、素人が目立つ為の最良の方法を示してくれた。変に頑張っちゃってなかったところが逆によい。 上映時間は2時間22分。かなり長い。『VERSUS』だったらその殆どがアクションだったんだけど、今回は違う。意外と原作に忠実で、戦いに至るまでの経緯に結構な時間を割いている。だから、なかなか本題が見えてこないし、しかも見えてきた本題がかなりぼやけている。というかショボい。特に原作を読んでいる側としては、「あーそれがメインディッシュなんだー。へー」くらいの貧相なメインディッシュとなっております。もっと原作から離れて、よりアクション重視・ビジュアル重視に描いて欲しかった。一見ビジュアル的でいながら、実はかなり静止してしまっている感のある原作のその部分までをも再現してしまって、映画が相当退屈になった。 この映画でいちばんおいしいのは北村一輝。何せ出番が多くて、しかも重要な役回りだから。そして、オダギリジョー。これはイロモノだから。でもって、エンケン。「エンケンさん、好き勝手やっちゃって下さい」っていう監督の注文に、本当に好き勝手やっちゃったエンケンの図が観られます。あと上戸彩はあずみに見えませんでした。やっぱあずみはハーフじゃないとダメだと思います。 |