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『岸和田少年愚連隊 カオルちゃん最強伝説 番長足球』 '03 セディックインターナショナル・アートポート

監督:宮坂武志
脚本:友松直之
原作:中場利一
出演:竹内力・中村愛美・羽賀研二・小沢仁志・船木誠勝・田口トモロヲ・山口祥行・伊佐山ひろ子


 集大成的な前作から、再び『ロシアより愛をこめて』的なアナザーストーリーモノへと回帰した痛快極まる作品。脚本もNAKA 雅 MURAから友松直之にバトンタッチして、どうなるものかなぁ、なんて思っていたんだけど、全くの杞憂だった。ちゃんと笑えるし、ちゃんと切ないし、カオルちゃんはちゃんと強いしで、素晴らしい作品だ。この路線はよろしい!
 お話の方は、基本的には「カオルちゃんがヒョンなことからサッカーをする」というだけのもの。で、その中にいつものような番長との戦いやら、淡い恋やら、いかにも岸和田らしいブルーカラーなセンチメンタリズムやらが、これでもかと言わんばかりにちりばめられる。世界は広がることなんかないし、狭まることもない。時が流れることもないし、カオルちゃんとそれ以外に時間のラグももちろんない。井筒監督にしてみたら「こりゃマンガやでえ」って思うかも知れないけど、そうまさにマンガ。『トラック野郎』シリーズの時が止まっていたように『カオルちゃん最強伝説』の時も止まっている。こっちの望み通りに止まっている。物語なんかありゃしないよ。
 前作は物語があり過ぎたから、なんとなく消化不良の感が否めなかった。作品を構成するための要素(物語)が、作品に対する枷となっていたのだろう。でも、今回は全然そんなことはない。ただ単に「カオルちゃんがサッカーをする」っていうだけ。つまり、サッカーさえしていればあとはどうでも良い訳だし、もしくはいつもといっしょで良いのだ。『トラック野郎』で桃次郎は毎回ライバルと戦って、そして恋をする。それと同じようにカオルちゃんは番長を瞬殺し、微妙なロマンスに巻き込まれる。ここにきてやっと完成した、素晴らしきフォーマット。こういうものを待っていたのですよ。やっぱり日本映画はプログラムピクチャーであるべきなんですよ。
 そして、今後はカオルちゃんに、野球、アイスホッケー、卓球、ビリヤード、などなど様々なものにチャレンジしていただき、その中でいろんなタイプの番長を(いとも簡単に)倒し、ヒロインを救っていただきましょう。もちろん、ライバル&ヒロインは毎回ゲスト。レギュラー出演者はそのままで。こりゃあ、何本でも作れるよ。

 ちなみに、今回のゲスト番長は船木誠勝。これが本当に弱かった。気持ち良いくらいに弱かった。ゲスト番長には、どれだけカオルちゃんと張り合うか、っていう部分ではなくて、どれだけあっさりとカオルちゃんに倒されるか、っていう部分で勝負して欲しい。
 で、ゲストヒロインは中村愛美。これはもう本当に最高。というか、かわいい。純な処女ヤンキーを見事に演じている。ここに来て中村愛美をかわいいと思っちゃうなんて! ちくしょう!

 力さん的には不本意かも知れないけど、カオルちゃんこそが竹内力の代名詞になってしまうだろう、っていうくらいに傑作。このシリーズだけは、一生追い掛けて行こうと思いました。