| 『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌』 '03 東映・深作組 監督:深作欣二・深作健太 脚本:深作健太・木田紀生 出演:藤原竜也・前田愛・忍成修吾・酒井彩名・ビートたけし・末長遥・加藤夏希・前田亜季・竹内力 形式的には一応深作先生の遺作だが、実際にメガホンをとったのは御子息なので、これは深作欣二の遺作ではない。というか、もしこの作品が最高に面白ければ、或いは、それなりに面白い作品であれば、深作欣二の遺作という事でも良かったんだけど(僕の中で)、残念な事にお世辞にも面白いなんて言える様な作品ではなかったので、これは完全に深作健太の作品、という事にしたい。死人の名誉だけを抽出して、つらまんものに付加価値をつける様な事は許しません。仮に、この作品の相当部分を深作欣二がディレクションしていたとしても(それは有り得ないのだけど)、御子息に全ての責任を取って頂きたい。あーあ、本当に残念だ。少なからず、予想は出来た結果だったけど、これはちょっと余りにも酷い。しっかりしてくれよ、東映さん! とにかく青臭い作品だ。青春パンクが主題歌になるのも納得出来る。本当に深作欣二がこの脚本にゴーサインを出したのか? って疑うくらいに青臭い。どんな素人でも余裕で目を背けたくなるくらいに青臭い。藤原竜也が主演でなかったとしても、余裕で観ていられない。 今回は、中学生同士の殺し合いは描かれず、中学生とテロリストの戦いから始まり、その後に、中学生がテロリストにオルグされ、テロリストと国家との戦いに発展する。まぁ、そういう物語のプロットはそれでいいだろう。敵味方がまず大人によって勝手に設定され、それを自分達の力で設定し直す、みたいなものも、確かに青臭いのだけど正しいと思う。この物語(原作・第1作含む)のベースとして「反BR法」というものがあるのだから、反BR法テロリスト集団の存在は正当化されるし、子供達がそいつらにオルグされるのも当たり前だ。もし大人の設定した最初の敵味方の図式が最後まで貫かれていたら、この物語そのものを否定する事になるし、先生竹内力はスーパーヒーローになってしまう。 でもって、この物語のベースを貫くべく、テロリスト集団が絶対的な善として、表舞台に躍り出るのだが、とにかくこのテロリスト集団のボス七原くんが馬鹿すぎて、本当に酷いのだ。人間の命を尊ぶべくそういう活動をしているにも関わらず、新宿副都心のビル群を全部潰してしまい、多くの罪もない人間の命を奪う。で、「子供を救う!」みたいな事を言って「全ての大人に宣戦布告」する割りには、BR法2でやってきた中学生を簡単に打ち殺す。お前はどれだけ馬鹿なのか? ただお前は人間を殺したいだけの異常者だ。殺す理由を探しまわってるだけだ。 RIKI先生は七原のテロで娘を失っている。先生が今回のBR2に参戦したのもそこに理由があった。その事実をRIKI先生は七原に伝える。七原が本当に信念を持った人間であれば、そこで自害するべきだ。なぜなら、子供を救うという名目の下、子供を殺したのだから。なのに、七原は死なない。というか、なぜかRIKI先生が七原を助けてしまう。全く、なんだこれは? どいつもこいつも馬鹿か? あと、途中総理大臣が出てきて云々するところも、何が言いたいのかさっぱり解らない。なんとなく、独善的なアメリカとそれにただ服従しているだけの日本に対して、問題提起をしているかの様にも思えるんだけど、それが本当にただなんとなく反戦を訴えているだけの様な中身のないものなので、全くもって伝わらないのだ。深作健太はよっぽどの馬鹿なのか? 解りもしない事を勢いと雰囲気で描いてしまうのか? しかも、かなり押し付けがましく。 青臭いにも程がある。これだったら『凶気の桜』の方が何十倍もマシだ。これだけ中身の薄い映画は久し振りに観た。 物語の内容はさておき、暴力描写などはどうだったかというと、まぁ普通。特に戦う事なく中学生の死体が量産されていくのは気持ち良かった。血の量も結構多かったのでそれは良い。ただ、RIKI先生に「今回の死に様は個性がない!」みたいな台詞を吐かせたのは失敗だったろう。「気の利いた台詞」みたいな狙いだったのだろうが、ただの言い訳にしか聞こえず、胸くそ悪くなった。 千葉ちゃんも出てるのだけど、重要そうな振りしてそうでもない、というとても中途半端な役回りで、悲しくなった。極悪総理大臣だと思ったのに…。 深作欣二作品の面白いところは、一般的な倫理観を捨て去り、作品の中の主人公のエゴイズム的倫理観を躊躇なく引き出すところだ。だから、暴力が肯定的に描かれるし『バトル・ロワイアル』に注目したのだろう。しかし、この『バトル・ロワイアルII』ではエゴイズム的倫理観を単なる馬鹿にしか描けなかった。つまり、主人公のキャラクターを何一つ引き出せていないのだ。ただ深作健太の青臭いものがダラダラと垂れ流されるだけである。これでは面白い作品など出来やしない。 好きな俳優さんがつまらない映画に出ていると、本当に腹が立つ。力さんと千葉ちゃんがこんな映画に出てしまって、悲しいったらありゃしない。ちっくしょー。 |