| 『BROTHER』 '01 オフィス北野 レコーデッド・ピクチャー・カンパニー 脚本・監督:北野武 出演:ビートたけし・オマー・エプス ・真木蔵人・加藤雅也・寺島進・大杉漣・石橋凌・渡哲也 相変わらずで安心した。やはり、北野映画の中のビートたけしは強くあるべきであり、凶暴であるべきであり、そして、女の趣味が悪くあるべきである。相手が誰であろうと、相手が強かろうと、自分の中の正義を貫くビートたけしはいつ観ても格好良い。憧れの対象になる。 確かに相変わらずの演出で、相変わらずの展開であり、それがまた面白いので何の問題もない。これだけコンスタントに面白い作品を創る事ができる監督はそう滅多に居るものではなく、北野武が映画というメディアに最もフィットしているとも言えよう。 しかし、今回の作品では、今までと多少異なった感覚を覚えたのも確かである。 『HANA-BI』でのベネチア国際映画祭グランプリ受賞を受け、初の海外進出となったこの『BROTHER』。ニューヨークが舞台になり、ハリウッドの俳優を起用しているという事は勿論一つのステップアップとなるであろう事なのだが、それが直接北野映画に影響を与えているとは言えないであろう。それらのハード面での変革よりも、北野監督自身の中に何か変革の息吹を感じ取った。 『その男、凶暴につき』も『ソナチネ』も主人公は決して成功しなかった。競争の世界から疎外され、抗争の世界にのめり込む、その散り様こそが北野監督の世界観であったのだ。『Kids Return』でもそうである。成功と背中合わせにある“死”こそが、その主軸であった。 しかし、この『BROTHER』は違った。まるで本宮ひろ志の世界のように伸し上がってゆく主人公は、それまでの北野映画にあるものとは確実に異なる。その解り易いサクセスストーリーの裏には、北野武の脳内にある標的であるところの“世界”というキーワードがちらついた。それをハリウッドに近付く為の手段とは考えたくないが、北野監督の中で何かが変わったという事は確かであろう。そして、この変革は、劇中の日本人ヤクザ対マフィアという対立構造に反映される。ビートたけし演じる山本は、北野武監督そのものなのだ。 変革を感じながらも、ラストシーンを観終わった時には、「相変わらずで安心した」と感じた。やはり、自分の正義を貫き通し、そして、美しく散る北野武は格好良い。次回作でも是非、死んで頂きたい。 |