目次

『仔犬ダンの物語』 '02 「仔犬ダンの物語」製作委員会

監督:澤井信一郎
出演:モーニング娘。・ハロー!プロジェクト・キッズ・後藤真希・ダン・原田美枝子・榎木孝明・柄本明


 よくぞやってくれた。さすが東映。子供向け映画としては、ほぼ完璧に近い完成度。

 芸術路線の映画は別として、大衆向けに作られる多くの映画は、元々右翼的志向の高いものである。金を払ってまで、劇場に客を向かわせる為には、客が好む作品を作らなければならない。また、出来るだけ多くの客を運ばせなければならない。そうすると、自然に映画の内容は、奇抜で進歩的なものよりも、保守的なものになる。誰も嫌悪を抱かない様なものや、誰もが涙する様なもの。そんなごく“当たり前”に感じ取れる様な解り易くて保守的なものが映画で表現されるのだ。そういう意味で、映画は右翼的である(勿論、極右という類いのものではない)。
 この『仔犬ダンの物語』は、素晴らしく保守的な作品だ。清く正しく健全な子供、可愛らしく罪悪とは無関係の仔犬、規則にうるさく融通のきかない大人。誰しもが容易に想像出来るフォーマットをほぼ完全に再現し、心暖まるエピソードを展開する。そして、その中で語られるメッセージは、家族の愛であり、友情であり、普遍性の濃すぎる様なものばかりだ。そういう意味で、この作品は物凄く映画的である。多分、こういう映画こそが映画であり、こういうものに素晴らしさを感じてこそ、右翼を騙る事が出来るのだろう。全く、近頃の自称右翼やプチナショナリストときたら、アメリカ気触れに気付いてないくせに、愛国だの、家族だの言いやがって、全然本質が見えてない。この映画を観れば、一発で解るってのに。そんな感じで、道徳教育の根源を垣間見る様な作品。

 でもって、肝心のモーニング娘。はどうかと言うと、無理矢理な感じで申し訳程度の出演。モーヲタ的にはNGって事になるのかも知れないが、モー娘。目当てで来る子供にしたら、とても素晴らしい作品である事には違いないだろう。これだったら、子供の情操教育に良い影響を与える事が出来る。そういう意味では、ハリーポッターよりもこっちを選択する方が、親としては賢明だと思う。
 ハロプロキッズの演技は、準備の期間が異常に少なかった割には、それっぽく仕上がっていて、大人達の適当な演技を考慮すると、かなり光っていた方だと思う。あの棒読み具合なんかも教育映画っぽさを演出するには最適だった。

 作品のハイライトは、マンションの中庭であれやこれやもめるシーン。キッズ、なっち、柄本、そしてビッグで素敵なゲスト陣。最高のカラミを拝む事が出来た。ちょっと泣きそうになった。